割安株、横浜丸魚(8045)に注目をしたときのお話

      2018/04/09

 2014年6月頃、いずれまたやって来るかもしれない弱気相場に備え、会社四季報(2014年1集 新春号)から銘柄選びを行っていました。そこで見つけたのが横浜丸魚(8045)です。

 PERは8.8倍、PBRは0.24倍の割安感に加えて多くの現金同等物を保有していた同社に興味を持った私は、買い候補の1つとして挙げていました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.売上高が年々減少

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-3-1.総資産回転比率が高い

  2-3-2.現金及び預金が増えている

  2-3-3.受取手形及び売掛金が増えている

  2-3-4.投資有価証券が増えている

  2-3-5.金融資産が多い

  2-3-6.繰延税金資産よりも、繰延税金負債が多い

  2-3-7.営業キャッシュ・フロー利益要素が赤字

  2-3-8.1人当たりの売上高が多い

  2-3-9.多額の営業外収益

 2-4.気になる問題

  2-4-1.破産更生債権等がある

3.チャンスを逃す

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2014年1集 新春号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「サケなど主力の水産物卸は数量横ばいながら単価上昇。ただ、円安に伴う仕入れ価格高騰が痛い。不動産賃貸や配送の伸びで支えても、営業益減額。のれん発生特益計上。15年3月期は水産物卸が数量回復へ。集荷作業効率化進め営業益上向き。」と先行きに期待が持てそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は62.4%もあり、安全性は十分です。

 有利子負債はなく、無借金経営が行われています。

 資本金1,541百万円に対し、利益剰余金は6,041百万円です。

 また、30.2億円余りの現金同等物を保有しているこの会社の時価総額は29.1億円です。

 

 

 

1-3.売上高が年々減少

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

09.3

(実績)

79,642 ▲175 146 ▲56 ▲8.4
10.3

(実績)

71,043 ▲75 117 118 18.0
11.3

(実績)

66,516 ▲266 ▲76 ▲63 ▲9.6
12.3

(実績)

60,935 ▲317 ▲121 ▲311 ▲47.2
13.3

(実績)

57,677 61 291 243 36.9
14.3

(予想)

57,000 50 290 300 45.5
15.3

(予想)

59,000 100 340 200 30.3

 売上高が年々減少しています。それにより赤字業績が続いていますが、2013年3月期から黒字に転換しています。

 そして、2014年3月期以降も黒字業績が続く予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第77期(平成24年4年1日-平成25年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社は、水産物卸売事業を中心に行っています。

 

事業区分 事業の内容
水産物卸売事業 横浜市及び川崎市中央卸売市場並びに川崎市地方卸売市場において、水産物卸売業を行う。
水産物販売事業 中央卸売市場等から仕入れた水産物を、量販店及び外食産業等へ販売を行う。
不動産等賃貸事業 流通センター等の賃貸。
運送事業 水産物の運送等。

 

 

 

2-2.販売実績

 

事業部門の名称 販売高(千円) 割合(%)
水産物卸売事業 47,576,546 82.5
水産物販売事業 9,834,489 17.1
不動産等賃貸事業 24,033 0.05
運送事業 242,783 0.42
合計 57,677,852

 この会社では、水産物卸売事業が売上高の82.5%を占めています。

 

 

 

2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-3-1.総資産回転比率が高い

 

 

 

H23.3.31

(回転)

H24.3.31

(回転)

H25.3.31

(回転)

総資産回転比率 4.14 3.73 3.21

 卸売業の平均的な総資産回転比率は2回転と言われています。しかしこの会社の場合、3.2回転もあります。

 水産物を扱う特殊な業態であるため、競争相手があまりいないビジネスを行っているのかもしれません。

 

2-3-2.現金及び預金が増えている

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 2,804,182 17.5% 2,945,625 18.0% 3,025,747 16.8%
総資産合計 16,048,349 16,319,794 17,981,036

 現金及び預金が3期に渡り増えています。

 連結財務3表で確認をすると、平成24年3月は投資有価証券の一部が現金及び預金に振替えられ、平成25年3月期は売上高から十分な利益を確保できたことで現金及び預金が増えたと思われます。

 

2-3-3.受取手形及び売掛金が増えている

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 受取手形及び売掛金 3,489,052 21.7% 3,959,865 24.3% 4,027,078 22.4%
総資産合計 16,048,349 16,319,794 17,981,036

 平成24年3月期に受取手形及び売掛金が大幅に増えています。

 売掛金の相手先別内訳から推測すると、主に(株)菊平、(株)ハンスイ、浜喜水産(株)に対する売掛金が増えたと思われます。

 

2-3-4.投資有価証券が増えている

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産
 投資有価証券 6,467,808 40.3% 6,377,842 39.1% 8,265,603 46.0%
総資産合計 16,048,349 16,319,794 17,981,036

 平成25年3月期に投資有価証券が大幅に増えています。

 純資産の部に計上されているその他有価証券評価差額金が大幅に増えていますが、どうやら保有銘柄の時価総額が上がったためのようです。

 ちなみに、保有銘柄のポートフォリオの73%余りは横浜銀行になっています。

 

2-3-5.金融資産が多い

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 2,804,182 17.5% 2,945,625 18.0% 3,025,747 16.8%
 受取手形及び売掛金 3,489,052 21.7% 3,959,865 24.3% 4,027,078 22.4%
 有価証券 50,120 0.3% 80,416 0.5% 0 0.0%
投資その他の資産
 投資有価証券 6,467,808 40.3% 6,377,842 39.1% 8,265,603 46.0%
金融資産合計 12,811,162 79.8% 13,363,748 81.9% 15,318,428 85.2%
総資産合計 16,048,349 16,319,794 17,981,036

 現金及び預金などの金融資産が15,318,428千円もあり、総資産の85.2%を占めています。

 会社の資産に着目する私にとては、ものすごく魅力的です。

 

2-3-6.繰延税金資産よりも、繰延税金負債が多い

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 繰延税金資産 35,595 0.2% 19,032 0.1% 1,307 0.0%
投資その他の資産
 繰延税金資産 86,486 0.5% 0 0.0% 0 0.0%
固定負債
 繰延税金負債 1,139,967 7.1% 1,273,194 7.8% 1,939,348 10.8%
総資産合計 16,048,349 16,319,794 17,981,036

 年々、繰延税金負債が増えて総資産の10.8%を占めるようになっています。

 繰延税金資産とは、税金として支払ったけどまだ費用化していない勘定科目です。

 繰延税金負債はその逆で、税金として費用計上したけれど実際にはまだ支払っていない勘定科目です。

 ふつうは繰延税金資産のほうが多くなりますが、この会社のように繰延税金負債が多い会社の場合は利益の一部を節税しているとも読むことができます。

 

2-3-7.営業キャッシュ・フロー利益要素が赤字

 

 

 

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

H25.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー 55,866 177,529 250,417
営業キャッシュ・フロー利益要素 ▲43,449 ▲101,284 455,417
営業キャッシュ・フロー運転資本要素 99,315 278,813 ▲205,000

 平成23年3月期と平成24年3月期の営業キャッシュ・フロー利益要素は赤字になっていますが、営業キャッシュ・フロー運転資本要素の黒字が大きいため、営業キャッシュ・フローは黒字になっています。

 

2-3-8.1人当たりの売上高が多い

 

 

 

H23.3.31

 

H24.3.31

 

H25.3.31

 

売上高
(千円)
66,516,669 60,935,510 57,677,852
従業員数
(人)
245 238 221
1人当たり売上高
(千円)
271,497 256,032 260,986

 卸売業の1人当たり売上高は平均9,249万円です。

 しかしこの会社の場合は2.6億円と桁外れの凄さを誇っています。

 

2-3-9.多額の営業外収益

 

 

 

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

H25.3.31

(千円)

経常利益 76,400 121,825 291,877
営業利益 266,364 ▲317,560 61,508
差額 189,964 195,735 230,369

 この会社の場合、営業利益よりも経常利益の方が圧倒的に多くなっています。

 その理由は、営業外収益に多額の配当金や損害賠償金などがあるためです。

 

 

 

2-4.気になる問題

 

 さて、ここで気になった問題を取り上げたいと思います。

 

2-4-1.破産更生債権等がある

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産
 破産更生債権等 661,336 4.1% 550,425 3.4% 453,901 2.5%
 貸倒引当金 ▲576,076 ▲3.6% ▲526,333 ▲3.2% ▲438,252 ▲2.4%
総資産合計 16,048,349 16,319,794 17,981,036

 破産更生債権等が453,901千円もあり、総資産の2.5%を占めています。

 破産更生債権とは、破綻状態に陥っている債権者に対する債権のことです。つまり、回収が困難な債権のことです。

 一体、どこの会社に対する破産更生債権なのでしょうか?

 一応、それに見合う貸倒引当金は計上されていますが、頭の痛い問題です。

 また、最新の有価証券報告書第81期(平成28年4年1日-平成29年3月31日)で確認を行いましたが、破産更生債権等が再び増えていました。

 この会社は、きちんと与信管理を行っているのでしょうか!?

 

 

 

 

3.チャンスを逃す

 


 

 私がこの会社に注目をしたのは、2014年6月頃でした。そして、直近の安値である315円付近まで値下がりをしたときに買うつもりでした。

 しかし株価は下がることなく上昇を続けたため、同社の株を買いそびれてしまいました。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが現在のチャートになります。

 

 2012年11月の安値315円を大底に、上昇トレンドを描いています。

 

 そして業績は・・・

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.3

(実績)

57,677 61 291 243 36.9
14.3

(実績)

56,868 6 269 308 45.1
15.3

(実績)

55,228 ▲89 171 145 20.6
16.3

(実績)

53,003 173 370 276 39.1
17.3

(実績)

51,978 209 458 549 77.7
18.3

(予想)

52,500 180 400 250 35.4
19.3

(予想)

53,000 200 450 270 38.2

 すっかり黒字が定着するようになっていますが、売上高は下がっています。

 正直、この意外な結果に少し驚きました。予想では、売上高も利益も倍以上に上がっていると思っていたのですが・・・。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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