暴落相場に強かった銘柄、クレオ(9698)について

      2018/04/08

 今回は暴落相場に強かった割安銘柄、クレオ(9698)に関する記事です。

 この銘柄は2011年2月ごろに会社四季報(2011年1集 新春号)で見つけた銘柄で、来期のPERは8.7倍、PBRは0.31倍と割安な水準で株価は低迷していました。

 割安なうえに、負債の減少に努めて黒字を生み出す体制作りに努めていたことも魅力的に思えました。

 2011年2月に株価を買い集めている中、2011年3月に東日本大震災が起こりました。

 この大震災の影響で多くの銘柄が暴落をしたため、私はさらなる安値で指値注文を行いました。しかし、もともと安かったこの銘柄が更に安くなることはありませんでした。

 私にとってそんな思い出がある銘柄です。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 関連記事:割安株は、下げ相場に強い

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.赤字だらけの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.赤字続きの業績

 2-2.事業の内容

 2-3.販売実績

 2-4.大株主の状況

 2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.現金及び預金について

  2-5-2.受取手形及び売掛金が減っている

  2-5-3.のれんが減少している

  2-5-4.ソフトウェアが減少している

  2-5-5.その他について

  2-5-6.金融資産が多い

  2-5-7.支払手形がない

  2-5-8.総資産回転比率が高い

  2-5-9.営業キャッシュ・フロー利益要素は黒字

  2-5-10.投資キャッシュ・フローでは、無形固定資産の取得が中心

  2-5-11.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 2-6.気になる問題

  2-6-1.たな卸資産が増えている

3.2011年2月から株を取得

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2011年1集 新春号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「システム開発の1億円赤字発生打撃。ERPの遅延案件戻り、「筆まめ」出荷は堅調。下期に早期退職効果1億円超見込むが会社営業益に過大感。退職金特損は年金特益、資産売却益で相殺。12年3月期も退職効果続く。システム開発復調し反発。」と、業績の黒字化にはまだ時間がかかりそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は67.4%あり、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債はわずか35百万円しかありません。総資産の0.6%だけです。

 資本金3,149百万円に対し、利益剰余金は▲559百万円です。赤字業績が続いたことで蓄えた利益を失ってしまったのでしょう。

 しかし、現金同等物を19.8億円保有しているこの会社の時価総額は、わずか12.6億円です。

 

 

 

1-3.赤字だらけの業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

06.3

(実績)

14,641 59 1 ▲209 ▲22.7
07.3

(実績)

17,278 ▲638 ▲691 ▲960 ▲104.3
08.3

(実績)

12,892 49 42 ▲131 ▲14.3
09.3

(実績)

12,119 ▲105 ▲77 ▲504 ▲56.5
10.3

(実績)

9,518 62 82 86 9.8
11.3

(予想)

10,100 10 10 0 0.0
12.3

(予想)

10,500 200 200 140 15.8

 2007年3月期をピークに、売上高の減収が続いています。また、赤字業績が続いています。

 気になることは、2007年3月期の売上高がピークであるにもかかわらず、赤字業績になっていることです。一体、どうゆうことでしょうか?

 本格的な業績回復は、2011年3月期以降を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第37期(平成21年4年1日-平成22年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.赤字続きの業績

 

  平成18年3月 平成19年3月 平成20年3月 平成21年3月 平成22年3月
売上高
(百万円)
14,641 17,278 12,892 12,119 9,518
当期純利益又は当期純損失(▲)
(百万円)
▲209 ▲960 ▲131 ▲504 86
総資産額
(百万円)
10,545 8,571 7,626 6,527 5,758
自己資本比率
(%)
55.9 56.8 61.2 63.6 73.6
従業員数
(人)
1,096 902 936 941 960

 平成19年3月期をピークに、売上高の減収が続いています。そして、赤字業績も続いています。

 特に平成19年3月期が売上高のピークであったにもかかわらず、赤字業績に陥っています。何かの事業で大失敗をしてしまったのでしょうか?

 しかし、平成22年3月期は黒字業績に転換しています。会社の説明によると、全グループを挙げて生産性の向上や経費削減などに努めたそうです。

 売上高の減少に伴い、総資産額が減っています。連結財務3表で確認を行いましたが、どうやら有利子負債を減らすことに努めていたようです。

 興味深いことに、平成20年3月期から従業員数が増えています。何か、新しい動きがあるのでしょか?

 

 

 

2-2.事業の内容

 

 この会社は、システム開発事業やZeeM事業などの情報サービス業で構成されています。

 

事業の種類別

セグメント名称

主要内容
システム開発事業 企画提案からシステム要件定義、システム設計、プログラム作成、その後の保守までの一貫したサービス、サポートサービス

先進的な業務システムの開発

ZeeM事業 人事・給与、会計等のソフトウェアパッケージの開発販売

インターネット会議システムの販売、プリント、ソリューションの開発・販売

コンシューマ事業 毛筆ソフト、電子地図ソフト、DTPソフト、デジタルカメラ画像処理ソフト等のソフトウェアパッケージの開発販売、筆まめ関連インターネット・サービス
サポート&サービス事業 コンピュータに関する顧客サポート、教育の受託等
モバイル事業 携帯サイトコンテンツ開発・サービス、自社モバイルソリューションの開発・販売

 

 

 

2-3.販売実績

 

事業の種類別

セグメント名称

販売高

(百万円)

割合

(%)

システム開発事業 3,125 32.8
ZeeM事業 2,611 27.4
コンシューマ事業 1,462 15.4
モバイル事業 245 2.6
サポート&サービス事業 2,069 21.7
その他事業 3 0.1
合計 9,518  

 この会社では、システム開発事業の売上高が最も高く、全体の32.8%を占めています。

 その次はZeeM事業の売上高が高く、全体の27.4%を占めています。

 

相手先 販売高

(百万円)

割合

(%)

ヤフー(株) 1,063,829 13.0
ソフトバンクBB(株) 717,619 10.9

 また、主な取引先2社だけで売上高の23.9%を占めています。

 その他、特定の取引先として富士通(株)ならびにその系列企業を含めたグループ全体で売上高の26.0%を占めるそうです。

 

 

 

2-4.大株主の状況

 

 大株主を見てみると・・・

 

氏名又は名称 所有株式数
(千株)
発行済株式

総数に対する

所有株数

の割合(%)

ヤフー株式会社 3,500 37.88
クレオ従業員持株会 311 3.37
川畑 種恭 230 2.48
富士通株式会社 189 2.05
竹田 和平 140 1.51

 ヤフー株式会社が大株主になっていました。

 会社四季報(2011年1集 新春号)の説明によると、この会社はヤフー傘下のソフトハウス中堅のようです。

 また、日本一の個人投資家といわれていた竹田和平さんの名前もあります。

 

 

 

2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-5-1.現金及び預金について

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

割合

(%)

H21.3.31

(百万円)

割合

(%)

H22.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 2,644 34.7% 2,689 41.2% 2,510 43.6%
総資産合計 7,621   6,522   5,754  

 現金及び預金が増減しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成21年3月期は営業キャッシュ・フローで得られた資金が少し残ったために増えています。

 平成22年3月期は、有利子負債の支払いで資金を使ったために減っています。

 

2-5-2.受取手形及び売掛金が減っている

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

割合

(%)

H21.3.31

(百万円)

割合

(%)

H22.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 受取手形及び売掛金 2,392 31.4% 2,039 31.3% 1,768 30.7%
総資産合計 7,621   6,522   5,754  

 3期に渡り、受取手形及び売掛金が減っています。

 連結財務3表で確認をすると、売上高が減少したためだと思われます。

 

2-5-3.のれんが減少している

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

割合

(%)

H21.3.31

(百万円)

割合

(%)

H22.3.31

(百万円)

割合

(%)

無形固定資産            
 のれん 353 4.6% 145 2.2% 97 1.7%
総資産合計 7,621   6,522   5,754  

 平成21年3月期にのれんが減少しています。

 連結財務3表で確認をすると、のれんの償却に加えて減損損失を計上したことが要因で減少しています。

 

2-5-4.ソフトウェアが減少している

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

割合

(%)

H21.3.31

(百万円)

割合

(%)

H22.3.31

(百万円)

割合

(%)

無形固定資産            
 ソフトウェア 599 7.9% 272 4.2% 365 6.3%
総資産合計 7,621   6,522   5,754  

 平成21年3月期にソフトウェアが減少しています。

 連結財務3表で確認をすると、主にソフトウェア評価減を計上したことが要因で減少しています。

 

2-5-5.その他について

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

割合

(%)

H21.3.31

(百万円)

割合

(%)

H22.3.31

(百万円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 その他 811 10.6% 689 10.6% 273 4.7%
総資産合計 7,621   6,522   5,754  

 投資その他の資産のその他が総資産の4.7%を占めています。

 単独貸借対照表で確認をしたところ、主な内訳は差入保証金ではないかと思われます。

 また、平成21年3月期から平成22年3月期には416百万円減少しています。減少した要因は、長期定期預金を流動資産へ振替えたためのようです。

 

2-5-6.金融資産が多い

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

割合

(%)

H21.3.31

(百万円)

割合

(%)

H22.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 2,644 34.7% 2,689 41.2% 2,510 43.6%
 受取手形及び売掛金 2,392 31.4% 2,039 31.3% 1,768 30.7%
投資その他の資産            
 投資有価証券 143 1.9% 96 1.5% 43 0.7%
金融資産合計 5,179 68.0% 4,824 74.0% 4,321 75.1%
総資産合計 7,621   6,522   5,754  

 現金及び預金などの金融資産が4,321百万円もあり、総資産の75.1%を占めています。

 特に、現金及び預金だけで総資産の43.6%も占めていることが特徴的だと言えるでしょう。ここまで資金が贅沢な会社はそうそうありません。

 

2-5-7.支払手形がない

 

 この会社には支払手形がありません。

 企業の短期的な支払い能力を表す当座比率(一般に、100%あればよいといわれています)は、324%もあります。

 これだけ資金繰りに余裕があれば、支払手形がないこともうなずけます。

 

2-5-8.総資産回転比率が高い

 

 

 

H20.3.31

(回転)

H21.3.31

(回転)

H22.3.31

(回転)

総資産回転比率 1.69 1.86 1.65

 一般に、情報通信業の総資産回転比率は1回転と言われています。

 しかし同社の場合は1.65回転もあります。

 売上高に結びつく形で資産を有効に活用しているのかもしれません。または、競争相手がほとんど存在しないニッチ市場でビジネスを行っているのかもしれません。

 

2-5-9.営業キャッシュ・フロー利益要素は黒字

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

H21.3.31

(百万円)

H22.3.31

(百万円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 329 554 112
当期純利益 ▲131 ▲504 86
差額 460 1,058 26

 平成20年3月期と平成21年3月期の当期純利益は赤字ですが、営業キャッシュ・フロー利益要素は黒字を出しています。

 営業キャッシュ・フロー利益要素が黒字になっているのは、資金の流出を伴わない減価償却費や減損損失などを多く計上しているためです。

 

 ちなみに多額の営業キャッシュ・フローを生み出しているのは、無形固定資産の減価償却に秘密があります。

 償却方法について詳しく調べてみると、ソフトウェアパッケージ開発に関するものは3年間で償却が終わり、自社利用ソフトウェアは5年間で償却が終わります。

 つまり耐用年数が短いため、減価償却費が多額に計上できる仕組みになっていたのです。

 

2-5-10.投資キャッシュ・フローでは、無形固定資産の取得が中心

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

H21.3.31

(百万円)

H22.3.31

(百万円)

投資キャッシュ・フロー 550 ▲466 ▲276
無形固定資産の取得による支出 ▲418 ▲328 ▲324
無形固定資産の売却による収入 0 0 10

 投資キャッシュ・フローではソフトウェアなどの無形固定資産の取得が中心になっています。

 

2-5-11.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

H21.3.31

(百万円)

H22.3.31

(百万円)

財務キャッシュ・フロー ▲438 ▲233 ▲402
短期借入による収入 0 0 35
短期借入金の返済による支出 0 0 ▲20
長期借入金の返済による支出 ▲218 ▲60 ▲10
社債の償還による支出 ▲150 ▲150 ▲401

 財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心になっています。

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

割合

(%)

H21.3.31

(百万円)

割合

(%)

H22.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債            
 短期借入金 60 0.8% 10 0.2% 25 0.4%
 1年以内償還予定の社債 150 2.0% 150 2.3% 0 0.0%
固定負債            
 社債 400 5.2% 250 3.8% 0 0.0%
 長期借入金 20 0.3% 10 0.2% 0 0.0%
有利子負債合計 630 8.3% 420 6.4% 25 0.4%
総資産合計 7,621   6,522   5,754  

 その結果、有利子負債合計は630百万円から25百万円にまで減少しています。

 

2-6.気になる問題

 

 さて、1つ気になる問題がありました。そのことについても取り上げたいと思います。

 

2-6-1.たな卸資産が増えている

 

 

 

H20.3.31

(百万円)

割合

(%)

H21.3.31

(百万円)

割合

(%)

H22.3.31

(百万円)

割合

(%)

売上高 12,891   12,119   9,518  
流動資産            
 棚卸資産 294 3.9% 0 0.0% 0 0.0%
 商品及び製品 0 0.0% 21 0.3% 20 0.3%
 仕掛品 0 0.0% 246 3.8% 320 5.6%
たな卸資産合計 294 3.9% 267 4.1% 340 5.9%
総資産合計 7,621   6,522   5,754  

 平成22年3月期は売上高が減っているにも関わらず、たな卸資産(仕掛品)が増えています。

 

 

 

H21.3.31

(百万円)

割合

(%)

H22.3.31

(百万円)

割合

(%)

売上高(ZeeM事業) 2,739   2,507  
流動資産        
 仕掛品(ZeeM事業) 126 1.9% 251 4.4%
総資産合計 6,522   5,754  

 増えた仕掛品について詳しく調べてみると、ZeeM事業の仕掛品が増えていました。ZeeM事業の売上高は減少しているにも関わらずその仕掛品が増えていたのです。

 これは一体、どうゆうことなのでしょうか?

 

 

 

 

3.2011年2月から株を取得

 


 

 私が最初に投資を行ったのは2011年2月です。

 それから1か月後の2011年3月には東日本大震災が起こりました。この震災の影響で多くの銘柄がストップ安にまで値下がりをしたのです。

 そんな中、私はこの銘柄もストップ安まで値下がりをすると思い、1株100円で指値をしました。しかし、もともと安かったこの会社が更に安くなることはありませんでした。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

こちらが現在のチャートになります。

 

 私が2011年9月に1株平均190円で売った後の2018年3月には、1,044円の高値にまで上昇しています。実に、5倍以上に株価は上がっているのです。

 

 そして、現在の業績は・・・

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.3

(実績)

11,044 434 439 356 40.5
14.3

(実績)

11,387 259 274 44 5.1
15.3

(実績)

11,425 357 380 213 24.7
16.3

(実績)

10,305 348 368 413 47.8
17.3

(実績)

11,559 296 333 267 31.1
18.3

(予想)

12,500 400 410 280 33.7
19.3

(予想)

13,000 480 500 310 37.4

 2013年3月期から売上高はあまり変わっていませんが、すっかり黒字が定着した会社に生まれ変わっています。

 そして、2018年3月期以降からは、わずかながらも増収増益を予想しています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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