新作ゲーム発表で株価続伸! オルトプラス(3672)を分析してみる

   

 スマホゲームを手掛けるオルトプラス (3672)の続伸が続いているようです。

 記事によると、スマートフォン向けゲーム「アークザラッド」シリーズ新作(仮)が公式ツイッターで発表され、投資家によって買われたようです。

 (前日に「買われた株!」総ザライ (2) ―本日につながる期待株は?―

 果たして、オルトプラス (3672)とはどんな会社なのでしょうか? 早速、ファンダメンタルズを分析してみました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.赤字続きの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.対応すべき課題

 2-4.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 2-5.経営上の重要な契約等

 2-6.発行済株式総数、資本金等の推移について

 2-7.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-7-1.現金及び預金について

  2-7-2.運転資金について

  2-7-3.ソフトウエアについて

 2-8.気になる問題

  2-8-1.財務キャッシュ・フローでは、株式の発行が中心

  2-8-2.業績について

  2-8-3.低い収益率

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年3集 夏号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「前期投入のスマホゲームが通期寄与。ベトナム拠点のオフシェア開発は非ゲーム案件増加。だが新作開発費が想定超に膨張。赤字幅は再拡大。新作ヒットなら表記上振れ。株式評価損ない。19年9月期はスマホゲームと非ゲームの上乗せ狙う。」と厳しい内容です。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は63.2%になり、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は636百万円、総資産の20.1%を占めています。

 資本金2,726百万円に対し、利益剰余金は▲3,456百万円のマイナスになっています。

 

 

 

1-3.赤字続きの業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

12.9

(実績)

914 174 176 112 16.9
13.9

(実績)

2,594 737 715 450 67.8
14.9

(実績)

2,765 ▲56 ▲82 ▲148 ▲17.7
15.9

(実績)

2,541 ▲926 ▲934 ▲1,016 ▲113.6
16.9

(実績)

2,646 ▲591 ▲647 ▲1,540 ▲171.3
17.9

(実績)

3,300 ▲415 ▲380 ▲605 ▲54.5
18.9

(予想)

4,800 ▲900 ▲870 ▲1,000 ▲77.2
19.9

(予想)

5,600 0 0 ▲130 ▲10.0

 2012年9月期から2017年9月期まで売上高の増収が続いています。しかし、2014年9月期からは赤字が続いています。

 2018年9月期以降も売上高の増収が続きますが、利益面では赤字が続く予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第8期(平成28年10月1日-平成29年9月30日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、スマートフォン向けゲームアプリの開発及び運営を行うゲーム事業、ソーシャルゲーム事業会社向けの各種サービス提供を行うゲーム支援事業、他社ウェブサービス等の開発受託等を行う開発事業を行っています。

 

セグメントの名称 事業内容
ゲーム事業 Apple Inc.が運営する「App Store」やGoogle Inc.が運営する「Google Play」等のアプリマーケットにおいてソーシャルゲームを提供し、基本料金無料、一部アイテム課金制の仕組みを採用している。ゲームの企画、開発及び運営に際しては、オリジナルタイトルだけではなく、アニメやマンガといったユーザー認知度の高いキャラクター等のIPを用いたタイトル(他社IP利用タイトル)を用いている。また、他社が開発・運営をしていたタイトルの運営を受託し、運営を行っている(運営移管タイトル)。
ゲーム支援事業 ソーシャルゲーム会社におけるゲーム資産価値の最大化を図るために、ゲーム開発や運営に必要な人材を提供するなど、ゲームの開発及び運営を行う上で必要となる各種ソリューションを提供している。
開発事業 オフショア開発拠点としてのベトナム子会社の開発リソースを活用し、他社ウェブサービス等の開発受託を行うオフショア受託開発や、スマートフォンアプリ向け統合セキュリティソリューション「DxShield」の販売、ソーシャルゲームのためのインフラの設計から構築・運用までの全てを網羅する「ゲームインフラマネージメントサービス<GIMS>」等のサービスを提供する。

 

 

 

2-2.販売実績

 

セグメント名称 販売高

(千円)

割合

(%)

エンターテイメント&ソリューション事業 3,300,235 100
合計 3,300,235

 同社は、エンターテイメント&ソリューション事業の単一セグメントで販売を行っています。

 

相手先 販売高

(千円)

割合

(%)

株式会社 バンダイナムコエンターテイメント 1,331,254 40.3
グーグル合同会社 367,222 11.1

 また主な販売先2社だけで、売上高の51.4%を占めています。

 

 

 

2-3.対応すべき課題

 

 ソーシャルゲーム市場は成長が鈍化するとともに、開発期間の長期化とコンテンツのリッチ化による開発費の高騰が進んでいます。そのような状況下において、業務を拡大し経営の安定化を図るためには、既存事業における収益基盤の強化だけではなく、新規事業に取り組んでいく必要があると考え、その課題に対応するために以下の課題に取り組んでいるそうです。

 

① 新規タイトルのリリース、開発リスクの分散と効率的な運営

② 開発、運営費用の削減

③ 新規事業・サービスの展開

④ システム管理体制の強化及び情報セキュリティの向上

⑤ 人材の確保と育成

⑥ グループ経営体制及び内部管理体制の強化

 

 

 

2-4.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 

 同社は業務資本提携契約を締結したXPEC社に対し、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行しています。

 これが権利行使された場合、株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があるそうです。

 

 

 

2-5.経営上の重要な契約等

 

 同社は、XPEC Entertainment Inc.(以下、「XPEC社」)との間で業務提携(中華圏地域及び東南アジア向けマーケットに比較優位性を持つXPEC社に対し、当社がゲームを提供するなど)及び、資本提携(XPEC社は当社が発行した第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を取得するとともに、新株予約権の一部権利行使により当社の普通株式1,094,240株を取得)を締結しています。

 

 

 

2-6.発行済株式総数、資本金等の推移について

 

発行済株式総数増減数

(株)

発行済株式総数残高

(株)

資本金増減額

(千円)

平成25年3月31日 普通株式

900,000

普通株式

4,000,000

621,000
平成25年12月15日 普通株式

4,000,000

普通株式

8,000,000

平成26年3月27日 普通株式

520,000

普通株式

8,520,000

386,032
平成26年4月22日 普通株式

173,400

普通株式

8,693,400

128,726
平成26年4月1日

平成26年9月30日

普通株式

142,000

普通株式

8,835,400

35,500
平成26年10月1日

平成27年9月30日

普通株式

154,000

普通株式

8,989,400

38,500
平成27年9月29日 普通株式

1,094,240

普通株式

10,083,640

209,000
平成28年10月1日

平成29年9月30日

普通株式

2,619,400

普通株式

12,703,040

1,147,109

 毎年のように、新たに株式を発行して資金を調達しています。

 発行済株式総数が増えれば1株あたりの利益は希薄化をしますので、結果的に株主は損をすることになります。

 

 

 

2-7.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-7-1.現金及び預金について

 

 

 

H27.9.30

(千円)

割合

(%)

H28.9.30

(千円)

割合

(%)

H29.9.30

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 683,687 27.8% 741,129 39.7% 2,620,775 73.7%
総資産合計 2,459,867 1,865,835 3,556,370

 平成29年9月期には現金及び預金が増加しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、主に株式の発行によって資金を調達したことが要因で現金及び預金が増えています。

 

2-7-2.運転資金について

 

 

 

H27.9.30

(千円)

H28.9.30

(千円)

H29.9.30

(千円)

営業キャッシュ・フロー運転資本要素 ▲47,043 57,538 34,888

 同社の場合、棚卸資産はなく営業キャッシュ・フロー運転資本要素の増減がほとんどありません。

 その点は魅力的に感じます。

 

2-7-3.ソフトウエアについて

 

 

 

H27.9.30

(千円)

割合

(%)

H28.9.30

(千円)

割合

(%)

H29.9.30

(千円)

割合

(%)

無形固定資産
 ソフトウエア 0 0.0% 19,516 1.0% 29,403 0.8%
総資産合計 2,459,867 1,865,835 3,556,370

 同社は主にスマホ向けゲームアプリの開発を行っています。

 にもかかわらず、ソフトウエアの資産が少ないことには意外に感じました。

 

 

 

2-8.気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを調べていると気になる問題がありました。そのことについて取り上げたいと思います。

 

2-8-1.財務キャッシュ・フローでは、株式の発行が中心

 

 

 

H27.9.30

(千円)

H28.9.30

(千円)

H29.9.30

(千円)

財務キャッシュ・フロー 242,419 851,171 2,148,937
株式の発行による収入 77,000 0 2,251,537
株式の発行による支出 ▲65 0 0

 財務キャッシュ・フローでは、株式の発行が中心になっています。

 その結果、「2-6.発行済株式総数、資本金等の推移について」で見てきたように発行済株式総数残高は増え、株式価値の希薄化が起こっています。

 

2-8-2.業績について

 

 

 

H27.9.30

 

H28.9.30

 

H29.9.30

 

売上高
(千円)
2,541,885 2,646,019 3,300,235
親会社に帰属する当期純損失(▲)
(千円)
▲1,016,379 ▲1,540,753 ▲605,595
営業キャッシュ・フロー
(千円)
▲925,135 ▲309,059 ▲291,661
財務キャッシュ・フロー
(千円)
242,419 851,171 2,148,937

 3期連続で売上高の増収が続いているものの、赤字になっています。

 営業キャッシュ・フローのマイナスも続き、不足した資金は財務キャッシュ・フローから株式の発行などで補っています。

 

2-8-3.低い収益率

 

 

 

H27.9.30

(千円)

利益率

(%)

H28.9.30

(千円)

利益率

(%)

H29.9.30

(千円)

利益率

(%)

売上高 2,541,885 2,646,019 3,300,235
 売上原価 2,510,777 2,190,995 2,897,831
売上高総利益 31,107 1.2% 455,023 17.2% 402,404 12.2%
 販売費及び一般管理費 957,358 1,046,729 817,748
営業損失(▲) ▲926,250 -36.4% ▲591,705 -22.4% ▲415,344 -12.6%

 3期に渡って売上高は増収傾向にありますが、売上高総利益率(売上高総利益÷売上高)が低いため営業利益の赤字が続いています。

 

 そこで、営業利益が黒字になるために必要な売上高について計算をしてみました。

 平成29年9月期の実績から、売上高総利益率は12.2%、販売費及び一般管理費は817,748千円と仮定します。

 それから逆算して計算した結果、

 

 

H×.×.×

(千円)

利益率

(%)

売上高 6,702,852
 売上原価 5,885,104
売上高総利益 817,748 12.2%
 販売費及び一般管理費 817,748
営業利益 0 0.0%

 何と営業利益が黒字になるためには6,702,852千円以上の売上高が必要になります。

 ただ、開発費の増加抑制や、賃借料等の削減、管理費の削減などに努めてきていますので、販売費及び管理費などの費用削減が今後も続けば、そこまでの売上高は必要ないかもしれません。

 しかし、それでも今以上の売上高を上げることができなければ会社に利益を残すことは難しいと思います。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 同社のファンダメンタルズを分析していると損益分岐点が高く、なかなか儲かりにくビジネスであるに感じました。

 スマホゲームのアプリ開発を行う花形産業に属するためでしょうか、多くの投資家に過大評価され株価は高くなっているように感じます。

 しかし投資家なら期待感だけで銘柄を選ぶのではなく、会社の数字的な根拠もしっかり見るようにしてほしいと思います。

 7月19日の終値である787円で計算をすると、PBRは5.10倍になっています。

 

※ PERについては、赤字業績の予想になっているため表示できません。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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