第三者割当による新株予約及び無担保社債を発行! バルクホールディングス(2467)を分析してみる

   

 7月11日、マーケティング事業を行うバルクホールディングス(2467)は、第三者割当による新株予約権及び無担保社債を発行しました。

 説明によると、子会社に対する出資及び融資、M&A及び資本・業務提携に関わる資金並びに人件費等の運転資金を必要とするため、新株予約権と無担保社債を発行して資金を調達したそうです。

 (第三者割当による第3回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第4回新株予約権 (行使価額修正選択権付)並びに無担保社債(私募債)の発行に係る払込完了に関するお知らせ

 資金を必要とするほど子会社の業績は順調なのでしょうか? または第三者割当増資で資金を調達しないといけないほど資金不足に陥っているのでしょうか?

 そう疑問に思った私は、同社のファンダメンタルズを分析してみました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.増収傾向の業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.経営上の重要な契約等

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金について

  2-4-2.投資キャッシュ・フローでは子会社株式の取得と投資有価証券の取得が中心

 2-5.気になる問題

  2-5-1.賞与引当金について

  2-5-2.長期借入金について

  2-5-3.業績について

  2-5-4.貸付金について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年3集 夏号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「IT事業売却で1億円減収。マーケは顧客の販促費削減や価格競争で鈍調だが、情報セキュリティがPマーク改正で更新支援拡大し採算改善。新規サイバー防衛は見通し難で初期費用かさむが、営業益微増。子会社売却益消える。子会社税負担。」とプラス要素とマイナス要素を含んだ内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は74.2%もあり、安全性は十分です。

 有利子負債は50百万円、総資産の5.2%程度です。

 資本金100百万円に対し、利益剰余金は109百万円になっています。

 

 

 

1-3.増収傾向の業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

14.3

(実績)

1,693 28 224 15 2.4
15.3

(実績)

2,060 42 49 ▲15 ▲2.1
16.3

(実績)

2,250 68 69 51 6.8
17.3

(実績)

1,712 25 23 6 0.9
18.3

(実績)

1,008 15 19 42 5.7
19.3

(予想)

1,320 20 20 ▲40 ▲5.3
20.3

(予想)

1,450 60 60 40 5.3

 2016年3月期までは売上高の増収が続いていますが、2017年3月期には減収減益に転じています。

 さらに、2019年3月期以降は増収減益の業績予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第24期(2017年4月1日-2018年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、コンサルティング事業及びマーケティング事業を主たる事業としています。

 

セグメントの名称 事業内容
コンサルティング事業 ①情報セキュリティコンサルティング

プライバシーマーク認定コンサルティングやISO27001(ISMS)認証コンサルティング等の取得・更新・運営支援をはじめとする情報セキュリティ強化のための各種コンサルティングサービスを提供している。

 

②サイバーセキュリティソリューション

サイバーセキュリティトレーニングサービス、脆弱性診断サービス等のサイバーセキュリティソリューションサービスを提供している。

マーケティング事業 ①マーケティングリサーチ

新製品等開発のためのユーザーニーズ調査、ブランドイメージ調査、CS(顧客満足度)調査、ES(従業員満足度)調査、CM浸透度調査、Webサイト調査及びその他各種意識調査、並びにこれらに関する分析サービス等を提供している。

 

②セールスプロモーション、広告代理

主に食品関連の小売業界、メーカー、物流企業に対して、各種セールス企画、キャンペーン企画及びその事務局運営、イベント企画、販促用フリーペーパーの企画制作、ノベルティ制作等の幅広いセールスプロモーション活動の支援等を行ている。

 

 

 

2-2.販売実績

 

セグメント名称 販売高

(千円)

割合

(%)

コンサルティング事業 242,759 24.1
マーケティング事業 669,217 66.4
IT事業 96,020 9.5
合計 1,007,998

 同社はマーケティング事業の売上高が最も高く、売上全体の66.4%を占めています。

 

相手先 販売高

(千円)

割合

(%)

株式会社 マルエツ 220,130 21.8

 また主な販売先は株式会社マルエツになり、売上全体の21.8%を販売しています。

 

 

    

2-3.経営上の重要な契約等

 

 同社は、イスラエルのサイバージム社との間でサイバーセキュリティ分野において基本合意書を締結し、独占的ライセンス契約を締結したそうです。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 530,896 37.3% 570,466 62.6% 409,647 42.6%
総資産合計 1,424,122 910,852 962,269

 平成30年3月期には現金及び預金が減少しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、営業キャッシュ・フローで資金を使用したことに加え、子会社株式の取得や投資有価証券を取得したことが要因で現金及び預金が減少しています。

 

2-4-2.投資キャッシュ・フローでは子会社株式の取得と投資有価証券の取得が中心

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー 9,267 ▲867 ▲195,448
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 0 0 ▲167,960
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出 0 0 ▲12,266
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入 0 14,258 112,490
投資有価証券の取得による支出 0 0 ▲114,229

 投資キャッシュ・フローでは子会社株式の取得と投資有価証券の取得が中心になっています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産
 関係会社株式 0 0.0% 0 0.0% 167,960 17.5%
 投資有価証券 0 0.0% 0 0.0% 106,239 11.0%
総資産合計 1,424,122 910,852 962,269

 その結果、関係会社株式は167,960千円に増え、投資有価証券は106,239千円にまで増えています。

 これは成長戦略に基づく投資活動の結果であり、また同社は積極的にM&Aを行っているそうです。

 

 

 

2-5.気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを調べていると気になる問題点がありました。そのことについて取り上げたいと思います。

 

2-5-1.賞与引当金について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 賞与引当金 4,760 0.3% 2,950 0.3% 19,510 2.0%
総資産合計 1,424,122 910,852 962,269

 平成30年3月期には賞与引当金が増えています。

 

 

 

H28.3.31

 

H29.3.31

 

H30.3.31

 

売上高
(千円)
2,250,145 1,712,841 1,008,551
親会社に帰属する当期純利益
(千円)
51,270 6,723 42,909
従業員数
(人)
64 52 36

 しかし売上高の減収は続き、従業員数も減っています。利益が増益に転じたので賞与引当金が増えているのでしょうか?

 

2-5-2.長期借入金について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー ▲14,391 85,979 50,145
長期借入れによる収入 0 150,000 0
長期借入金の返済による支出 ▲50,976 ▲38,662 0

 財務キャッシュ・フローを確認すると、平成29年3月期は長期借入金の借入を行っていることが確認できます。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 1年内返済予定の長期借入金 44,426 3.1% 0 0.0% 0 0.0%
固定負債
 長期借入金 195,472 13.7% 0 0.0% 0 0.0%
総資産合計 1,424,122 910,852 962,269

 しかし連結貸借対照表を確認すると、本来計上されているはずの長期借入金がなくなっています。一体、なぜなのでしょうか?

 

2-5-3.業績について

 

 

 

H28.3.31

 

H29.3.31

 

H30.3.31

 

売上高
(千円)
2,250,145 1,712,841 1,008,551
親会社に帰属する当期純利益
(千円)
51,270 6,723 42,909
営業キャッシュ・フロー
(千円)
122,495 ▲45,541 ▲15,516

 3期連続で売上高の減収が続いていますが、当期純利益はギリギリ黒字を確保しています。

 しかし、営業キャッシュ・フローは平成29年3月期からマイナスが続いています。

 

2-5-4.貸付金について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 関係会社短期貸付金 2,400 0.2% 2,400 0.3% 2,400 0.3%
投資その他の資産
 関係会社長期貸付金 384,000 27.0% 369,600 53.7% 54,400 7.4%
総資産合計 1,424,122 688,714 735,892

 単独貸借対照表を確認すると、流動資産と投資その他の資産に貸付金が計上されています。

 関係会社の状況から調べてみると、持分法適用関連会社の株式会社アトラス・コンサルティングに対する貸付金になっています。

 またこの会社は、44,323千円の債務超過額を抱えているそうです。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 第三者割当による新株予約権及び無担保社債で発行した資金は、主にイスラエルのサイバージム社との間で締結された契約の履行目的に充当されるのではないかと思いました。実際、このライセンス契約の締結に伴い、サイバー社よりコマーシャルアリーナー式を購入し、その金額は350万米ドルになる見込みとのことです。

 この契約が投資家に材料視され、株価は急騰するかもしれないと思いました。しかし、これまで同社のファンダメンタルズを分析していると、私自身はいまいち信用できない会社だと感じます。

 7月13日の終値である1,129円で計算をすると、PBRは11.86倍になっています。 

 

※ PERについては、赤字業績の予想になっているため表示できません。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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