ZOZOTOWNがオーダーメイドスーツを販売!! スタートトゥデイ(3092)を分析してみる

      2018/07/07

 ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ(3092)は、完全オーダーメードのビジネススーツを売り出す発表を行いました。

 「ZOZOSUIT」とよばれる計測ツールで全身の各部位のサイズを測り、IT技術を駆使して個人のニーズに細かく応えることで新たな顧客の獲得につなげる狙いがあるそうです。

 (ZOZOTOWN 完全オーダースーツ販売

 そんな同社のファンダメンタルズを分析してみましたが、そのための取組が見られました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.増収増益続きの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.会社の対応すべき課題

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金について

  2-4-2.優れた財務体質

  2-4-3.有形固定資産について

  2-4-4.投資キャッシュ・フローでは、子会社株式の取得が中心

  2-4-5.自己株式の消去について

  2-4-6.高収益体質

  2-4-7.経営指標等について

 2-5.気になる問題

  2-5-1.賞与引当金について

  2-5-2.役員賞与引当金について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年3集 夏号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「衣料品ネット通販は出店ブランド拡大。商品単価低下傾向だが利用者数の伸び続き、手数料収入着実増。1月販売開始のPBも通期貢献。「ゾゾスーツ」無料配布に伴う費用こなし最高益。連続増配。」と絶好調な内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は57.7%あり、安全性に問題はないようです。

 有利子負債はなく、無借金経営が行われています。

 資本金1,359百万円に対し、利益剰余金は38,204百万円と荒稼ぎをしている様子が伺えます。

 

 

 

1-3.増収増益続きの業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

14.3

(実績)

38,580 12,388 12,429 7,797 24.3
15.3

(実績)

41,182 15,084 15,139 8,999 27.9
16.3

(実績)

54,422 17,756 17,883 11,988 37.5
17.3

(実績)

76,393 26,284 26,442 17,035 54.7
18.3

(実績)

98,432 32,669 32,740 20,156 64.7
19.3

(予想)

147,000 40,000 40,000 28,000 91.7
20.3

(予想)

200,000 53,000 53,000 35,000 114.6

 2014年3月期から2018年3月期にかけ、売上高及び利益ともに伸びています。

 そして19年3月期以降も増収増益の業績予想になっており、好調ぶりが伺えます。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第20期(平成29年4年1日-平成30年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社はファッションECサイト「ZOZOTOWN」、ファッションメディア「WEAR」等の運営を主な事業として行っています。

 

セグメントの名称 事業内容
ZOZOTOWN事業 ZOZOTOWN事業は、「受託ショップ」「買取ショップ」「ZOZOUSED」の3つの事業形態で構成されています。

「受託ショップ」は各ブランドの商品を受託在庫として預かり、受託販売を行っています。

「買取ショップ」は各ブランドからファッション商材を仕入れ、自社在庫を持ちながら販売を行っています。

「ZOZOUSED」は主に個人ユーザー等から中古ファッション商材を買取り、販売を行っています。

BtoB事業 BtoB事業では、ブランドの自社ECサイトの構築及び運営を受託しています。
その他 その他には、ZOZOTOWN事業に付随した事業の売上(有料会員収入、送料収入、決済手数料収入等)や、連結子会社のその他売上高が計上されています。

 

 

 

2-2.販売実績

 

セグメント名称 販売高

(百万円)

割合

(%)

ZOZOTOWN事業 87,290 88.7
BtoB事業 1,642 1.7
その他 9,498 9.6
合計 98,432

 同社はZOZOTOWN事業での売上高が最も高く、売上全体の88.7%を占めています。

 

 

 

2-3.会社の対応すべき課題

 

① フルフィルメント及びECシステム機能の強化への取り組み

 今後見込まれる商品取扱量の増加を視野に入れ、更なる物流キャパシティの拡大、業務効率化の促進を検討していくそうです。

 

② ファッションテクノロジーカンパニーとなるべくシステムエンジニアの強化

 現状、200名程度のエンジニアを数年後に1,000名態勢として開発スピードの向上を図り、ファッションEC事業者から「ファッションテクノロジーカンパニー」へ成長を遂げていくそうです。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 11,343 32.5% 22,088 39.6% 24,571 34.7%
総資産合計 34,910 55,715 70,710

 3期に渡り、現金及び預金が増加しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、いずれの期も営業キャッシュ・フローから十分な資金を獲得したことが要因で現金及び預金が増えています。

 

2-4-2.優れた財務体質

 

 短期的な支払能力を表す指標に当座比率があります。一般に100%あればよいといわれていますが、同社の場合は183%もあります。

 自己資本比率は57.7%になり、有利子負債はなく、多くの現金及び預金を保有する財務体質に優れた会社といえます。

 

2-4-3.有形固定資産について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

有形固定資産
 建物(純額) 1,607 4.6% 1,653 3.0% 1,561 2.2%
 車両運搬具(純額) 1 0.0% 0 0.0% 6 0.0%
 工具、器具及び備品(純額) 1,538 4.4% 1,711 3.1% 2,979 4.2%
 建物仮勘定 10 0.0% 0 0.0% 1,120 1.6%
有形固定資産合計 3,156 9.0% 3,364 6.0% 5,666 8.0%
総資産合計 34,910 55,715 70,710

 平成30年3月期には工具、器具及び備品(純額)と建物仮勘定が増えています。

 設備投資等の概要を調べてみると、主に商品取扱高及びアクセス数の増加に対応したサーバーの増強と新規サービス開発への設備投資を行ったそうです。

 

2-4-4.投資キャッシュ・フローでは、子会社株式の取得が中心

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

投資キャッシュ・フロー ▲2,175 ▲2,725 ▲8,219
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 0 0 ▲2,123
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入 0 495 0

 平成30年3月期には子会社株式の取得を行っています。

 ファッションメディアの運営やその他ソフトウェア等の受託開発を行う会社と、機械学習アルゴリズムの開発や大規模データ解説の領域において高い知見を有した開発チームを擁している会社を子会社にしたそうです。

 

2-4-5.自己株式の消去について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

自己株式の消却 ▲8,055 0 ▲11,758

 同社は平成28年3月期と平成30年3月期に自己株式の消却を行っています。

 

 

 

H28.3.31

(千株)

H29.3.31

(千株)

H30.3.31

(千株)

発行済株式総数 322,352 322,352 311,644

 その結果、発行済株式数は322,352千株から311,644千株にまで減少しています。

 発行済株式数が減少すれば1株当たりの利益は増えますので、株主にとっては喜ばしいことです。

 

2-4-6.高収益体質

 

 

 

H28.3.31

(%)

H29.3.31

(%)

H30.3.31

(%)

売上高総利益率 92.0 90.6 91.9

 小売業の平均的な売上高総利益率は27.6%になります。しかし、同社の場合は91.9%と桁外れの高収益体質です。

 この高収益の秘密は、在庫を持たない、いわゆる『場貸し』ビジネスを展開しているためのようです。

 (高収益企業のスタートトゥデイに期待する“柔軟性とスピード感”

 

2-4-7.経営指標等について

 

 

 

H28.3.31

 

H29.3.31

 

H30.3.31

 

売上高
(百万円)
54,422 76,393 98,432
経常利益
(百万円)
17,883 26,442 32,740
親会社に帰属する当期純利益
(百万円)
11,988 17,035 20,156
営業キャッシュ・フロー
(百万円)
12,027 18,294 19,882
総資産額
(百万円)
34,916 55,720 70,718
従業員数
(人)
783 800 904

 売上高、経常利益及び当期純利益ともしっかり伸びています。

 営業キャッシュ・フローも黒字であり、きちんと現金の裏付けがある利益を稼いでいることがわかります。

 売上高の増加に伴い総資産額及び従業員数も増え、理想的な形で成長しています。

 

 

 

2-5.気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを調べていると気になることもありました。そのことについて取り上げたいと思います。

 

2-5-1.賞与引当金について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債
 賞与引当金 8 0.0% 23 0.0% 25 0.0%
総資産合計 34,910 55,715 70,710

 流動負債に計上されている賞与引当金の計上額が少なく、ほとんど増えていません。

 これまでしっかり業績を伸ばしているにもかかわらず、社員に利益がボーナスとして還元されていないように感じられます。

 

2-5-2.役員賞与引当金について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債
 役員賞与引当金 0 0.0% 18 0.0% 10 0.0%
総資産合計 34,910 55,715 70,710

 流動負債に計上されている役員賞与引当金の計上額も少なく、ほとんど増えていません。

 社員と同様に、利益がボーナスとして役員にも還元されていないように感じられます。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 ファンダメンタルズを分析していると、ものすごく成長している会社であるように感じました。

 同社が運営するZOZOTOWNが完全オーダーメイドのビジネススーツを売り出しますが、私にはその事業が成功するか否かはわかりません。

 しかし、IT技術に優れた会社を子会社にし、これまで業績を伸ばしていることから期待してよいかもしれません。

 7月5日の終値である4,195円で計算をすると、PERは46.69倍、PBRは32.04倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 小売業, 業種別

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