四季報効果で株価暴落! ファステップス(2338)を分析してみる

   

 6月15日に発売された会社四季報(2018年3集 夏号)をきっかけに、投資家によるファステップス(2338)の投げ売りによって株価が急落をしたそうです。

 一体、ファステップス(2338)とはどんな会社なのでしょうか。早速見ていきたいと思います。

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目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.赤字だらけの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.経営上の重要な契約等について

 2-4.株式会社アルデプロとの業務提携契約の締結について

 2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.負債について

 2-6.気になる問題

  2-6-1.現金及び預金について

  2-6-2.前渡金について

  2-6-3.投資キャッシュ・フローでは、子会社株式の取得が中心

  2-6-4.財務キャッシュ・フローでは、新株の発行等による資金の調達が中心

  2-6-5.経営指標等について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年3集 夏号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「香港での仮想通貨交換事業が中盤から新始動。ただ世界的な規制強化の流れ逆風。金融庁立ちはだかり、国内展開メド立たず。まつげ美容サロン新店なく、横ばい圏。会社営業黒字化計画は過大感。」と先行きの暗い内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は69.8%もあります。しかし後程触れますが、これは新株を発行して資金調達を行ったためです。

 有利子負債は160百万円、総資産の20.6%を占めています。

 資本金1,484百万円に対し、利益剰余金は▲1,960百万円のマイナスになっています

 

 

 

1-3.赤字だらけの業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

14.2

(実績)

5,615 ▲165 ▲141 ▲92 ▲32.5
15.2

(実績)

8,532 42 ▲97 ▲496 ▲166.2
16.2

(実績)

9,322 144 22 21 6.6
17.2

(実績)

4,955 ▲316 ▲289 ▲459 ▲121.0
18.2

(実績)

1,034 ▲187 ▲198 ▲518 ▲97.9
19.2

(予想)

1,250 0 0 ▲10 ▲1.5
20.2

(予想)

1,400 100 100 90 13.3

 2016年2月期をピークに、売上高の減収が続いています。また、2016年2月期以外は赤字業績です。

 2019年2月期も赤字業績ですが、増収増益に転じる予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第19期(平成29年3年1日-平成30年2月28日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、仮想通貨取引所の運営事業及び仮想通貨のマイニング事業等を行っているフィンテック事業、スマートフォンアプリ開発及びシステム受託開発を行っているシステムソリューション事業、並びにまつげエクステンション部門のプロ向け商材の販売やサロン運営を展開するアイラッシュ事業という3事業で構成されています。

 

※ 平成30年5月30日現在、同社の子会社である株式会社ビットワンは、未だ仮想通貨交換業者の登録を受けておらず、日本国内における仮想通貨取引所運営事業は行ってはいないそうです。

※ 第2四半期連結会計期間において「メディアソリューション事業」を構成する株式会社ピーアール・ライフの株式を譲渡したことに伴い、連結の範囲から除外をしているそうです。

 

 

 

2-2.販売実績

 

セグメント名称 販売高

(千円)

割合

(%)

システムソリューション事業 240,334 23.2
メディアソリューション事業 157,330 15.2
アイラッシュケア事業 685,783 66.3
調整額 ▲48,927 ▲4.7
合計 1,034,520

 同社はアイラッシュケア事業の売上高が最も高く、売上全体の66.3%を占めています。

 

 

 

2-3.経営上の重要な契約等について

 

契約会社名 契約内容 契約期限
株式会社ビットワン カレンシーポート株式会社との仮想通貨取引所システムに係る業務提携 平成30年12月8日
株式会社マイニングワン 株式会社クオンタムドライブとの仮想通貨マイニング事業に係る業務提携契約 平成33年1月15日
BIT ONE HONG KONG LIMITED 株式会社マルデプロとの仮想通貨に係る事業に関しての業務提携契約 平成31年3月31日
株式会社ビットワン BIT ONE HONG KONG LIMITEDを設立するにあたり、株式会社ビットワン、陽光網絡有限公司、SED Capital Pte Limited 及び DSS AuthentiChain Limited の4者間での合併契約

 同社は、3社との間で仮想通貨関連の契約を結んでいます。

 

 

 

2-4.株式会社アルデプロとの業務提携契約の締結について

 

 同社の子会社であるBIT ONE HONG LIMITEDは、平成30年3月23日開催の取締役会で、株式会社アルデプロと仮想通貨に係る事業に関して業務提携することを決議したそうです。

 

 

 

2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-5-1.負債について

 

 

 

H28.2.29

(千円)

割合

(%)

H29.2.28

(千円)

割合

(%)

H30.2.28

(千円)

割合

(%)

 流動負債 2,443,648 50.5% 1,655,144 47.7% 163,851 21.1%
 固定負債 1,038,578 21.4% 569,252 16.4% 67,990 8.8%
負債合計 3,482,226 71.9% 2,224,396 64.0% 231,841 29.9%
総資産合計 4,842,344 3,473,191 775,445

 3期に渡り負債合計が3,482,226千円から231,841千円にまで減少しています。

 業績改善のために負債の整理縮小及び、コスト削減に努めてきたためかもしれません。

 

 

 

2-6.気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを調べていると多くの問題があるように感じました。そのことについて取り上げていきたいと思います。

 

2-6-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.2.29

(千円)

割合

(%)

H29.2.28

(千円)

割合

(%)

H30.2.28

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 2,178,353 45.0% 1,700,348 49.0% 284,715 36.7%
総資産合計 4,842,344 3,473,191 775,445

 3期に渡り、現金及び預金が減少しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成29年2月期は営業キャッシュ・フローからの資金の支出によって現金及び預金が減少しています。

 しかし、平成30年2月期は現金及び預金が1,415,633千円減少(1,700,348千円 - 284,715千円)していますが、連結キャッシュ・フロー計算書では499,582千円だけしか減少していません。

 残りの916,051千円の現金及び預金は一体、どこに消えてしまったのでしょうか?

 

2-6-2.前渡金について

 

 

 

H28.2.29

(千円)

割合

(%)

H29.2.28

(千円)

割合

(%)

H30.2.28

(千円)

割合

(%)

流動資産
 前渡金 0 0.0% 0 0.0% 63,664 8.2%
総資産合計 4,842,344 3,473,191 775,445

 前渡金とは、商品や製品、原材料のような仕入れを行った際、引き渡しを受ける前に前払いで支払ったときに処理をするための勘定科目です。

 この勘定科目は通常多くなることはありませが、それが平成30年2月期には総資産の8.2%にまで増えています。

 売上高が減収傾向であることを考えても、前渡金がここまで増えるのは不自然に感じます。

 

2-6-3.投資キャッシュ・フローでは、子会社株式の取得が中心

 

 

 

H28.2.29

(千円)

H29.2.28

(千円)

H30.2.28

(千円)

投資キャッシュ・フロー ▲666,957 ▲70,747 ▲159,375
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 ▲604,695 0 0
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出 ▲19,174 ▲4,822 ▲110,785

 投資キャッシュ・フローでは、子会社株式の取得が中心になっています。

 平成28年2月期に取得した会社は化粧品、美容器具の販売を行い、シェイプファンデ事業の強化を図るために株式を取得したそうです。

 

 

 

H28.2.29 H29.2.28 H30.2.28
売上高
(千円)
9,322,673 4,955,343 1,034,520
当期純利益又は当期純損失(▲)
(千円)
21,645 ▲459,162 ▲518,827

 しかし、子会社化した後も売上高の減収と赤字業績が続いています。

 新たな子会社は業績に貢献をしているのでしょうか?

 

2-6-4.財務キャッシュ・フローでは、新株の発行等による資金の調達が中心

 

 

 

H28.2.29

(千円)

H29.2.28

(千円)

H30.2.28

(千円)

財務キャッシュ・フロー 356,090 169,954 ▲11,320
新株予約権付社債の発行による収入 0 408,922 0
新株予約権の行使による株式の発行による収入 0 3,710 412,135

 財務キャッシュ・フローでは、新株予約権付社債の発行などによって資金を調達しています。

 

 

 

H28.2.29

(株)

H29.2.28

(株)

H30.2.28

(株)

発行済株式総数 3,343,500 4,776,987 6,261,987

 その結果、発行済株式総数は3,343,500株から6,261、987株にまで倍近くに増えています。

 ここで問題になることは発行済株式総数が増えると、株式の価値の希薄化が起こってしまうことです。

 

2-6-5.経営指標等について

 

 

 

H28.2.29 H29.2.28 H30.2.28
売上高
(千円)
9,322,673 4,955,343 1,034,520
当期純利益又は当期純損失(▲)
(千円)
21,645 ▲459,162 ▲518,827
営業キャッシュ・フロー
(千円)
817,707 ▲700,446 ▲72,411
純資産額
(千円)
1,360,120 1,248,795 543,605
自己資本比率
(%)
14.4 18.7 69.7
従業員数
(人)
129 94 95

 平成29年2月期から売上高の減収が続いています。そのため、赤字業績に陥り、営業キャッシュ・フローのマイナスが続いています。

 純資産額は減少しているものの、負債が減少したことで自己資本比率は改善しています。

 

※ 平成30年2月期の売上高減収の理由は、コストマネジメント事業やメディアソリューション事業を行う会社を連結の範囲から除外したためになっています。

※ 自己資本比率が改善した主な理由は、新株の発行によって資本金を調達したためです。もし、資本金の調達がなければ同社は債務超過に陥っています。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 買収した子会社は売上高の増収に貢献していなく、また自力での業績改善は難しいように感じます。

 仮に業績の改善に成功したとしても、新たに発行した株式によって投資家に還元される利益は少なくなっていると思います。

 また、有価証券報告書からは仮想通貨関連事業に取り組んでいる様子がうかがえましたが、世界的な規制などの影響でその事業も危うい状況だと思います。

 6月19日の終値である751円で計算をすると、PERは21.24倍、PBRは8.65倍になっています。 

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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