材料株、曙ブレーキ工業(7238)の株価上昇にブレーキが効かない!?

   

 「曙ブレーキ工業(7238)の株価上昇にブレーキが効かない!」そんなギャグツイートに惹かれた私は、同社に興味を持ちました。

 いろいろと調べてみると、どうやら日本経済新聞が「40年ぶりにブレーキの新たな基本構造を開発した」と報道されたことがきっかけで材料視されたようです。

 (曙ブレーキがストップ高、「40年ぶりの新ブレーキ」報道に反応

 一体、どんなオチが待ち受けているのか、早速見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.横ばい傾向の売上高

2.決算短信から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.地域ごとの売上高について

 2-3.減損損失について

 2-4.今後の見通し

 2-5.偶発債務について

 2-6.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-6-1.現金及び預金について

  2-6-2.3指標とも安定

  2-6-3.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

  2-6-4.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 2-7.気になる問題

  2-7-1.安全性について

  2-7-2.非支配株主への配当金の支払について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「国内は労務費増や日産影響で低調だが、北米がコンサル・輸送費消え黒字化。増配。復配の公算。19年3月期は米国や欧州受注減で減収。ただアジアのモジュール売り促進等で歩留まり改善。米国の合理化効果発現し稼働正常化。営業益横ばい。」とプラス要素とマイナス要素を含んだ内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率はわずか14.5%しかありません。

 有利子負債は109,805百万円、総資産の54.4%も占めています。

 資本金19,939百万円に対し、利益剰余金は▲3,833百万円のマイナスになっています

 

 

 

1-3.横ばい傾向の売上高

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

254,157 4,004 2,833 ▲6,095 ▲45.8
16.3

(実績)

281,341 ▲3,761 ▲6,815 ▲19,462 ▲146.3
17.3

(実績)

266,099 4,223 761 354 2.7
18.3

(実績)

264,921 8,143 5,796 782 5.87
19.3

(会社予想)

244,400 7,500 5,400 2,000 15.01

 ここ数年間の売上高はほぼ横ばい傾向になっています。しかし、利益面では赤字業績から改善傾向にあります。

 19年3月期の業績は減収増益の業績を見込んでいます。

 

 

 

 

2.決算短信から詳しく見ていく

 


 

 続いて、平成30年3月期決算短信[日本基準](連結)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、自動車及び産業機械用ブレーキ並びに鉄道車両用ブレーキの製造・販売を行い、さらには事業に関連する研究開発・物流・サービス等を展開しています。

 

 

 

2-2.地域ごとの売上高について

 

セグメントの名称 売上高

(億円)

割合

(%)

日本 814 30.7
北米 1,399 52.8
欧州 141 5.3
中国 225 8.5
タイ 79 3.0
インドネシア 188 7.1
連結消去 ▲196 ▲7.4
合計 2,649

 同社は海外でも事業を展開しており、北米での売上高が最も高くなっています。

 

 

 

2-3.減損損失について

 

 アラスおよびスロバキアの欧州2工場は過去において業績が計画を下回ったため、アラス工場については8億円、スロバキア工場については7億円の減損損失を計上することにしたそうです。

 

 

 

2-4.今後の見通し

 

平成30年3月期実績

(億円)

平成31年3月期予想

(億円)

増減
売上高 2,649 2,444 ▲205
営業利益 81 75 ▲6
経常利益 58 54 ▲4
税前当期純利益 42 51 9
親会社株主に帰属する当期純利益 8 20 12

 平成31年3月期の日本事業の売上高は799億円(前期比1.8%減)を見込んでいます。

 次期の北米事業の売上高は1,145億円(前期比18.2%減)を見込んでいます。

 欧州事業は、高性能量販車用ディスクブレーキ製品販売の増加などにより増収を見込んでいます。

 アジア事業は、労務費の上昇や、投資にともなう償却費負担増などの減益要因はあるものの、売上増の影響や合理化効果で営業利益は前期並みの見通しになるそうです。

 

 

 

2-5.偶発債務について

 

 同社及び連結子会社が過去に製造・販売したパーキングブレーキのうち、自動車メーカーにおいて品質問題が発生しているそうです。

 そのため、当該品質問題に起因して費用を負担する可能性もあるそうです。

 

 

 

2-6.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-6-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 20,403 10.0% 15,564 7.7% 12,682 6.5%
総資産合計 204,402 201,788 194,345

 3期に渡り、現金及び預金が減少しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成29年3月期は有形固定資産の取得や借入金を返済したことが要因で現金及び預金が減少しています。

 平成30年3月期も有形固定資産の取得や借入金を返済したことが要因で現金及び預金が減少しています。

 

2-6-2.3指標とも安定

 

 

 

H28.3.31

(回転)

H29.3.31

(回転)

H30.3.31

(回転)

売上債権回転比率 7.65 7.82 8.26
棚卸資産回転比率 14.98 13.05 13.63
買掛債務回転比率 9.71 9.07 9.01

 3指標ともほとんどブレがなく安定しています。

 経営管理がしっかり行われているのかもしれません。

 

2-6-3.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

投資キャッシュ・フロー ▲10,082 ▲15,887 ▲11,101
有形固定資産の取得による支出 ▲17,547 ▲18,287 ▲11,385
有形固定資産の売却による収入 165 499 299

 投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心になっています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

有形固定資産
 建物及び構築物(純額) 26,129 12.8% 26,457 13.1% 26,317 13.5%
 機械装置及び運搬具(純額) 38,884 19.0% 47,239 23.4% 44,088 22.7%
 土地 21,595 10.6% 21,269 10.5% 21,239 10.9%
 建物仮勘定 12,721 6.2% 7,419 3.7% 9,512 4.9%
 その他(純額) 2,687 1.3% 2,626 1.3% 2,390 1.2%
有形固定資産合計 102,016 49.9% 105,010 52.0% 103,546 53.3%
総資産合計 204,402 201,788 194,345

 しかし、有形固定資産はあまり増えていません。

 原因について連結損益計算書や営業キャッシュ・フロー計算書から調べてみると、多額の減価償却費や減損損失を計上していました。そのため、有形固定資産はあまり増えていなかったのです。

 

2-6-4.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

財務キャッシュ・フロー 11,222 ▲2,796 ▲11,276
短期借入金の純増減額(▲は減少) 465 784 ▲3,426
長期借入れによる収入 43,051 14,700 19,193
長期借入金の返済による支出 ▲16,599 ▲16,124 ▲25,286
社債の償還による支出 ▲15,000 0 0

 ここ数年間、財務キャッシュ・フローでは有利子負債の返済が中心になっています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 21,416 10.5% 22,580 11.2% 19,367 10.0%
 1年内返済予定の長期借入金 16,257 8.0% 24,355 12.1% 21,985 11.3%
固定負債
 長期借入金 76,894 37.6% 66,436 32.9% 62,368 32.1%
有利子負債合計 114,567 56.0% 113,371 56.2% 103,720 53.4%
総資産合計 204,402 201,788 194,345

 その結果、有利子負債は114,567百万円から103,720百円に減少しています。

 しかし、会社の本音としては設備投資資金のためにもっと借入を行いたいのではないかと思います。

 

 

 

2-7.気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを調べていると気になる問題がありました。そのことについて取り上げたいと思います。

 

2-7-1.安全性について

 

 1年以内に返済しないといけない負債を、1年以内に現金化する資産でどれだけ補えるかを表す指標に流動比率というものがあります。

 最低でも100%は欲しいところですが、同社の場合は78.2%しかありません。

 また自己資本比率は改善傾向にあるものの、現在は13.9%だけです。

 資金繰りが厳しい状況で経営が行われているのかもしれません。

 

2-7-2.非支配株主への配当金の支払について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

純資産の部
 非支配株主持分 6,057 3.0% 4,140 2.1% 4,318 2.2%
総資産合計 204,402 201,788 194,345

 純資産の部に非支配株主持分が計上されていますが、平成30年3月期は4,318百万円になっています。

 

※ 非支配株主持分とは、子会社の資本のうち親会社の持分以外の部分のことをいいます。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

財務キャッシュ・フロー 11,222 ▲2,796 ▲11,276
非支配株主への配当金の支払い額 ▲734 ▲770 ▲3,055

 それに対し、平成30年3月期には非支配株主への配当金の支払いが3,055百万円にまで急激に支払額が増えています。

 一体なぜ、ここまで支払額が増えたのでしょうか?

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 平成25年3月期以降から売上高は右肩上がり傾向になっています。そのため、設備投資資金の需要が旺盛だと感じました。

 同社のファンダメンタルズを分析していると、銀行から借入れたり、営業キャッシュ・フローから何とか資金を捻出しようとする必死さを感じました。

 新たに開発したブレーキがどれほど売上高に貢献をするのか私にはわかりません。

 しかし、このブレーキが非常に有望なら銀行に代わって資金を出資するのは個人的に面白そうだと思いました。

 6月14日の終値である348円で計算をすると、PERは23.18倍、PBRは1.72倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 輸送用機器

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