水素関連銘柄、NFKホールディングス(6494)を分析してみる

      2018/06/13

 経済産業省の燃料電池車の普及に向け、水素関連銘柄としてNFKホールディングス(6494)が材料視されました。これを受け、6月11日に株価が急騰したのです。

 それほど魅力的な会社なのでしょうか? そこで今回は、同社のファンダメンタルズを見ていきたいと思います。

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目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.冴えない業績

2.決算短信から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.今後の見通し

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金について

  2-4-2.優れた財務体質

  2-4-3.短期借入金について

  2-4-4.土地について

  2-4-5.役員退職慰労引当金について

  2-4-6.投資キャッシュ・フローでは、投資有価証券の取得が中心

 2-5.気になる問題

  2-5-1.設備投資について

  2-5-2.営業キャッシュ・フロー利益要素と当期純利益について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「12月末受注残10億円割れ。年明けやや苦戦だが、通期黒字化へ。19年3月期は自動車向け工業炉の引き合い旺盛、プラントも復活機運。ただ成約に時間。下期に売上偏る。リピート案件多く採算改善方向。」と今後の業績改善に期待が持てそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は72.3%もあり、安全性は十分です。

 有利子負債は44百万円、総資産のわずか1.1%だけしかありません。

 資本金2,770百万円に対し、利益剰余金は133百万円だけです。

 

 

 

1-3.冴えない業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

3,010 86 90 62 2.0
16.3

(実績)

1,839 ▲143 ▲154 ▲175 ▲5.7
17.3

(実績)

2,590 ▲139 ▲142 ▲179 ▲5.9
18.3

(実績)

2,369 ▲7 2 ▲2 ▲0.08
19.3

(会社予想)

2,500 80 80 60 1.95

 2016年3月期に売上高は大きく落ち込みましたが、2017年3月期からは持ち直しています。

 しかし、赤字業績が続いています。

 2019年3月期は売上高の増収と業績の黒字化を見込んでいます。

 

 

 

 

2.決算短信から詳しく見ていく

 


 

 続いて、平成30年3月期決算短信[日本基準](連結)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、各種燃料装置を製造・販売し、主な製品群としては「バーナ等の燃料機器部品」、「各種プラント燃料装置」に区分されます。

 製品の製造方法・過程等がおおむね類似していることから「工業炉燃焼装置関連」とし、一部で不動産の賃貸等を行っており「その他」としています。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

工業炉燃焼装置関連 2,367,403 99.9
その他 291,399 12.3
調整額 ▲289,599 ▲12.2
合計 2,369,203

 売上高については工業炉燃焼装置関連が最も高く、売上全体のほぼ100%を占めています。

 

相手先 販売高

(千円)

割合

(%)

トヨタ自動車株式会社 321,223 13.6

 また、主な販売先はトヨタ自動車株式会社になっており、売上全体の13.6%を占めています。

 

 

 

2-3.今後の見通し

 

平成30年3月期の連結業績

(百万円)

平成31年3月期の連結業績予想

(百万円)

対前期増減率

(%)

売上高 2,369 2,500 5.5
営業利益 ▲7 80
経常利益 2 80
親会社株主に帰属する当期純利益 ▲2 60

 平成29年4月にスタートさせた「19中期経営計画」に基づき、「収益・成長性の追求」、「新事業・新製品の創出」、「グローバル展開の加速」の3つの経営基本方針を掲げて全社を挙げて取り組み、年度計画の実現に向け全力で取り組んでいくそうです。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 1,821,010 47.1% 1,545,096 41.8% 1,295,982 34.4%
総資産合計 3,864,800 3,696,821 3,772,267

 現金及び預金が減少しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成29年3月期は営業キャッシュ・フローからの資金の支出によって現金及び預金が減少しています。

 平成30年3月期は営業キャッシュ・フローからの資金の支出に加え、投資有価証券を取得したことによって現金及び預金が減少しています。

 

2-4-2.優れた財務体質

 

 短期的な支払能力を表す指標に当座比率があります。一般に100%あればよいといわれていますが、同社の場合は306%もあります。

 また自己資本比率は71.7%もあり、保有する現金及び預金は負債合計を上回っています。

 財務体質に優れた会社です。

 

2-4-3.短期借入金について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 10,400 0.3% 13,400 0.4% 19,600 0.5%
総資産合計 3,864,800 3,696,821 3,772,267

 短期借入金が19,600千円計上されていますが、保有する現金及び預金の多さを考えると借入の必要性は感じられません。

 おそらくこの短期借入金は、銀行との付き合いのための借入ではないかと思います。

 

2-4-4.土地について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

純資産の部
 土地再評価差額金 446,516 11.6% 446,516 12.1% 446,516 11.8%
総資産合計 3,864,800 3,696,821 3,772,267

 純資産の部に土地再評価差額金が446,516千円計上されていますが、これは土地の含み益を表しています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産
 土地 703,022 18.2% 703,022 19.0% 703,022 18.6%
総資産合計 3,864,800 3,696,821 3,772,267

 一方、土地の時価は703,022千円になっています。

 取得原価は256,506千円(703,022千円 - 446,516千円)になりますので、購入時から約2.7倍にまで値上がりをした計算になります。

 

2-4-5.役員退職慰労引当金について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

固定負債
 役員退職慰労引当金 20,583 0.5% 20,583 0.6% 0 0.0%
総資産合計 3,864,800 3,696,821 3,772,267

 平成30年3月期から役員退職慰労引当金がなくなっています。

 赤字業績が続いているため、業績改善の一環として人件費を削減したと考えられます。

 

2-4-6.投資キャッシュ・フローでは、投資有価証券の取得が中心

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー ▲10,151 ▲5,236 ▲94,431
投資有価証券の取得による支出 ▲3,966 ▲4,346 ▲204,170

 投資キャッシュ・フローでは、投資有価証券の取得が中心になっています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産
 投資有価証券 108,792 2.8% 123,267 3.3% 347,386 9.2%
総資産合計 3,864,800 3,696,821 3,772,267

 その結果、投資有価証券は108,792千円から347,386千円にまで増加しています。

 

 

 

2-5.気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを調べていると気になる問題もありました。そのことについて取り上げていきたいと思います。

 

2-5-1.設備投資について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー ▲10,151 ▲5,236 ▲94,431
有形及び無形固定資産の取得による支出 ▲6,799 ▲8,511 ▲9,891

 同社は製造業を営んでいます。売上のためにも設備投資が必要になってくるはずです。

 しかし投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産をほとんど取得していません。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産
 建物及び構築物(純額) 89,541 2.3% 82,069 2.2% 75,674 2.0%
 機械装置及び運搬具(純額) 50,015 1.3% 46,401 1.3% 40,074 1.1%
 土地 703,022 18.2% 703,022 19.0% 703,022 18.6%
 その他(純額) 6,952 0.2% 5,738 0.2% 5,282 0.1%
有形固定資産合計 849,530 22.0% 837,230 22.6% 824,052 21.8%
総資産合計 3,864,800 3,696,821 3,772,267

 当然、3期に渡って有形固定資産はほとんど増えていません。

 一体なぜ、設備投資を行わないのでしょうか。

 

2-5-2.営業キャッシュ・フロー利益要素と当期純利益について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 ▲43,961 ▲289,689 5,001
当期純利益 ▲175,980 ▲179,623 ▲2,347
差額 132,019 ▲110,066 7,348

 平成29年3月期は営業キャッシュ・フロー利益要素よりも当期純利益の方が多くなっています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー 130,887 ▲372,642 ▲51,143
 その他 98,942 ▲243,098 8,049

 営業キャッシュ・フロー利益要素が少なくなった原因を調べてみると、その他が▲243,098千円になっていました。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 その他 32,430 0.8% 185,509 5.0% 183,611 4.9%
総資産合計 3,864,800 3,696,821 3,772,267

 その他として▲243,098千円何に使ったのか連結貸借対照表を調べてみると、主に流動資産のその他を購入したようです。その結果、32,430千円から185,509千円にまで急激に増加しています。

 しかし、その中身について知ることができず、急激に増えたことについても不自然さを感じてしまいます。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 財務体質は優れている会社ですが、赤字業績が続き営業キャッシュ・フローも2期連続でマイナスが続いています。

 そのため、会社として悪くなっているように感じられました。

 当分の間は倒産の心配は感じられませんが、今後の業績の見通しについても具体性が乏しく、業績改善に期待を持つことは難しく感じました。

 また水素関連銘柄として注目を浴び株価は急騰しましたが、どのくらい業績に影響を与えるのか冷静に判断をする必要があると思います。

 6月12日の終値である236円で計算をすると、PERは121.03倍、PBRは2.68倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 機械

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