マグネシウム合金部材の成形技術開発でストップ高! 不二サッシ(5940)を分析してみる

   

 アルミサッシ国内4位の不二サッシ(5940)は、医療機器向けにマグネシウム合金部材の成形技術を開発し、これを受けて株価はストップ高になりました。

 (不二サッシがストップ高、医療機器向け合金部材の成形技術開発が注目される

 その間、何か会社に動きはあったのでしょうか? そう思った私は同社のファンダメンタルズを分析してみました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.堅調な業績

2.決算短信から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.今後の見通し

 2-4.研究開発費について

 2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.現金及び預金について

  2-5-2.短期借入金について

  2-5-3.退職給付に係る負債について

  2-5-4.3指標とも安定

  2-5-5.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

 2-6.気になる問題

  2-6-1.有形固定資産の償却方法

  2-6-2.自己資本比率について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「柱の建材事業でビル向けが厳しい。アルミ地金の高騰も痛手。期末に利益集中するも補えず。19年3月期は大型案件が牽引。苦戦続いた住宅向けは、商品拡充で上向く。形材外販も好調。が、ビル向けで価格競争厳しい。営業益は回復鈍い。」とネガティブ含みの内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は17.4%しかなく、安全性に不安が残ります。

 有利子負債は22,393百万円、総資産の23.0%も占めています。

 資本金1,709百万円に対し、利益剰余金は13,688百万円もあります。

 

 

 

1-3.堅調な業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

99,020 3,018 2,643 1,292 10.2
16.3

(実績)

97,704 2,603 2,233 1,276 10.1
17.3

(実績)

94,322 2,615 2,368 4,350 34.5
18.3

(実績)

98,137 1,770 1,862 1,639 12.99
19.3

(会社予想)

100,000 1,500 1,400 800 6.34

 売上高は90,000百万円台で安定しているものの、利益についてはブレがあります。

 2019年3月期は増収減益の業績予想になっています。

 

 

 

 

2.決算短信から詳しく見ていく

 


 

 続いて、平成30年3月期決算短信[日本基準](連結)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、アルミサッシを中心にした「建材事業」、アルミ形材及びアルミ加工等に関する「形材外販事業」及び都市ゴミ焼却施設の飛灰処理設備プラント等に関する「環境事業」を主力に事業を展開しています。

 

セグメント別 事業内容及び主な製品
建材事業 主な製品はカーテンウォール、サッシ、ドア、室内建具、エクステリア製品等。
形材外販事業 主な製品はアルミ形材、アルミ精密加工品等
環境事業 都市ゴミ焼却施設の飛灰処理設備プラントとそれに伴う薬品販売、都市ゴミリサイクル施設の設計・製作・工事を行う。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(百万円)

割合

(%)

建材事業 70,904 72.3
形材外販事業 21,845 22.3
環境事業 3,353 3.4
その他 2,033 2.1
合計 98,137

 売上高は建材事業が最も高く、売上全体の72.3%を占めています。その次は形材外販事業になり、売上全体の22.3%を占めています。

 

 

 

2-3.今後の見通し

 

平成30年3月期の連結業績

(百万円)

平成31年3月期の連結業績予想

(百万円)

対前期増減率

(%)

売上高 98,137 100,000 1.9
営業利益 1,770 1,500 ▲15.3
経常利益 1,862 1,400 ▲24.9
親会社株主に帰属する当期純利益 1,639 800 ▲51.2

 建設市場については、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた工事の本格化が見込まれる一方、建設費の高止まりや着工数の減少など厳しい事業環境が続くと予想されます。

 また、原材料価格の価格変動が事業収益への懸念材料となっているそうです。

 

 

 

2-4.研究開発費について

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

H28.3.31

(百万円)

H39.3.31

(百万円)

研究開発費  1,186  1,428  1,642

 過去の有価証券報告書第から調べてみると、毎年のように研究開発費が増えています。

 その成果として、マグネシウム合金部材の成形技術が開発されたのかもしれません。

 

 

 

2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-5-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 13,314 16.0% 13,501 15.8% 14,787 16.3%
総資産合計 83,206 85,459 90,945

 平成30年3月期に現金及び預金が増加しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、営業キャッシュ・フローからの資金の獲得に加え、銀行から借入れを行ったことが要因で増えています。

 

2-5-2.短期借入金について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 12,785 15.4% 10,648 12.5% 14,169 15.6%
流動資産
 売上債権 18,837 22.6% 18,498 21.6% 21,147 23.3%
 たな卸資 16,110 19.4% 15,299 17.9% 15,736 17.3%
総資産合計 83,206 85,459 90,945

 平成30年3月期は短期借入金が14,169百万円に増加しています。

 これは売上債権やたな卸資産などの運転資金不足を補うための借入だと考えられます。

 

2-5-3.退職給付に係る負債について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

固定負債
 退職給付に係る負債 14,171 17.0% 14,397 16.8% 14,905 16.4%
総資産合計 83,206 85,459 90,945

 退職給付に係る負債が14,905百万円計上され、負債の中では一番多い金額になっています。

 今後、団塊世代による大量退職の計画があるのかもしれません。

 

2-5-4.3指標とも安定

 

 

 

H28.3.31

(回転)

H29.3.31

(回転)

H30.3.31

(回転)

売上債権回転比率 5.19 5.10 4.64
たな卸資産回転比率 5.62 5.76 5.79
買掛債務回転比率 5.63 5.43 4.92

 売上債権回転比率などの3指標があまりブレていません。

 売上高が一定のため、安定した経営が行われていると考えられます。

 

2-5-5.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

投資キャッシュ・フロー ▲3,162 ▲4,565 ▲2,211
有形固定資産の取得による支出 ▲3,156 ▲4,744 ▲2,282
有形固定資産の売却による収入 6 28 243

 投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心になっています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

有形固定資産
 建物及び構築物(純額) 7,192 8.6% 7,366 8.6% 7,552 8.3%
 機械装置及び運搬具(純額) 3,440 4.1% 4,520 5.3% 5,100 5.6%
 土地 13,400 16.1% 13,393 15.7% 13,400 14.7%
 リース資産(純額) 1,642 2.0% 1,669 2.0% 1,738 1.9%
 建物仮勘定 334 0.4% 240 0.3% 287 0.3%
 その他(純額) 904 1.1% 1,041 1.2% 965 1.1%
有形固定資産合計 26,912 32.3% 28,229 33.0% 29,042 31.9%
総資産合計 83,206 85,459 90,945

 その結果、有形固定資産は26,912百万円から29,042百万円にまで増加しています。

 その中でも、定率法で減価償却ができる機械装置及び運搬具(純額)の増加が目立ちます。

 

 

 

2-6.気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを調べていると気になる問題もありました。そのことについて取り上げていきたいと思います。

 

2-6-1.有形固定資産の償却方法

 

 一般に、有形固定資産の償却方法では多くの会社が定率法を採用しています。なぜなら、その方が最初で多くの費用を計上できるため節税に効果があるからです。

 しかし同社の場合は、平成28年3月期から毎年一定額で費用計上を行う定額法に変更されています。

 目先の利益を増やしたいという思惑があるのかもしれません。

 

※ 定額法と定率法の違いについては、こちらのサイトが参考になります。

 (定率法⇒定額法には要注意!「減価償却方法の変更」で利益が変わる理由とは?

 

2-6-2.自己資本比率について

 

 

 

H28.3.31

(%)

H29.3.31

(%)

H30.3.31

(%)

自己資本比率 15.0 20.6 21.2

 3期に渡り自己資本比率は改善傾向にあります。

 けど、それでも自己資本比率は21.2%しかなく、安全性に不安が残ります。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 同社のファンダメンタルズを分析していると、安定した経営が行われているように感じました。

 しかし、平成28年3月期から有形固定資産の償却方法が定額法に変更されています。もしかすると経営者が「この先、会社が先細りしていく・・・」と考えているのでしょうか?

 今回開発したマグネシウム合金部材の成形技術がどのくらい業績に貢献をするのか注目したいと思います。

 6月7日の終値である153円で計算をすると、PERは24.13倍、PBRは1.01倍になっています。 

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 金属製品

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