フィンテックプラットフォームの実証実験実施で株価急騰! 日本通信(9424)を分析してみる

   

 2018年5月31日、日本通信(9424)は金融庁の「FinTech 実証実験ハブ」の支援案件に関する発表を行いました。

 この発表を受け、多くの投資家が同社を材料視し株価が急騰をしたのです。

 (日本通信のFinTechプラットフォームが金融庁の「FinTech実証実験ハブ」の支援案件として決定

 それほど魅力的な会社なのでしょうか? そんな同社のファンダメンタルズを見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.減収減益傾向の業績

2.決算短信から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-3-1.現金及び預金について

 2-4.気になる問題

  2-4-1.新株予約権について

  2-4-2.減損損失について

  2-4-3.3期連続で大幅な赤字

  2-4-4.財務キャッシュ・フローについて①

  2-4-5.財務キャッシュ・フローについて②

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「ソフトバンク回線の格安SIM伸長、関連費用あるが営業赤字幅縮小。減損12億円で純益後退。19年3月期は格安SIMのソフトバンク回線が順調に伸び採算改善。18年冬開始のクレジットカード決済システムも本格開始だが赤字残る。」と業績の黒字化にはまだ時間がかかりそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は33.4%になり、安全性に少し不安が残ります。

 有利子負債は1,158百万円、総資産の36.8%も占めています。

 資本金4,034百万円に対し、利益剰余金は▲5,495百万円のマイナスになっています。

 

 

 

1-3.減収減益傾向の業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

純利益

(百万円)

1株益

(円)

14.3

(実績)

4,667 723 709 881 6.6
15.3

(実績)

5,139 408 463 327 2.4
16.3

(実績)

4,109 ▲1,997 ▲1,993 ▲2,158 ▲15.4
17.3

(実績)

2,659 ▲1,701 ▲1,650 ▲2,198 ▲15.2
18.3

(実績)

3,034 ▲1,093 ▲1,115 ▲2,348 ▲15.1
19.3

(予想)

3,800 ▲200 ▲200 ▲200 ▲1.3

 2015年3月期の売上高をピークに、2017年3月期まで減収が続いています。

 利益面については2016年3月期から赤字が続いています。

 2019年3月期の業績について会社側はまだ公表していませんが、四季報記者は売上高3,800百万円、純利益▲200百万円を予想しています。

 

 

 

 

2.決算短信から詳しく見ていく

 


 

 続いて、平成30年3月期決算短信[日本基準](連結)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、移動体通信分野の各種サービスを開発・運用し、顧客に販売・提供する事業を行っています。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

日本事業 2,796,975 92.2
海外事業 302,908 10.0
セグメント間取引消去 ▲65,648 ▲2.2
合計 3,034,234

 日本事業の売上高が最も高く、売上全体の92.2%を占めています。

 

 

 

2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-3-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 2,591,694 45.0% 2,306,931 48.1% 960,232 46.8%
総資産合計 5,763,672 4,792,152 2,049,744

 3期に渡り、現金及び預金が減少しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、いずれの期も新たに株式を発行して資金を調達していますが、営業キャッシュ・フローからの資金の支出が大きいため現金及び預金が減少しています。

 

 

 

2-4.気になる問題

 

 さて同社の場合、多くの問題が存在するように感じられました。そのことについて取り上げていきたいと思います。

 

2-4-1.新株予約権について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

純資産の部
 新株予約権 51,317 0.9% 77,055 1.6% 9,954 0.5%
総資産合計 5,763,672 4,792,152 2,049,744

 純資産の部に新株予約権が計上されています。

 ここで注意したいことは新株予約権の権利が行使された場合、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があることです。

 

2-4-2.減損損失について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

特別損失
 減損損失 73,706 0 1,220,526

 固定資産の減損に係る会計基準に基づき、平成30年3月期には多額の減損損失を計上しています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産
 建物(純額) 105,448 1.8% 93,363 1.9% 0 0.0%
 車両運搬具(純額) 76 0.0% 38 0.0% 0 0.0%
 工具、器具及び備品(純額) 89,469 1.6% 96,378 2.0% 2,937 0.1%
 リース資産(純額) 83,141 1.4% 52,748 1.1% 0 0.0%
有形固定資産合計 278,134 4.8% 242,527 5.1% 2,937 0.1%
無形固定資産
 商標権 3,332 0.1% 4,439 0.1% 0 0.0%
 特許権 25,560 0.4% 27,999 0.6% 1,426 0.1%
 電話加入権 1,345 0.0% 1,345 0.0% 0 0.0%
 ソフトウエア 490,433 8.5% 610,131 12.7% 5,322 0.3%
 ソフトウエア仮勘定 500,951 8.7% 455,488 9.5% 8,366 0.4%
無形固定資産合計 1,021,621 17.7% 1,099,402 22.9% 15,114 0.7%
総資産合計 5,763,672 4,792,152 2,049,744

 その結果、有形固定資産と無形固定資産が大幅に減少しています。

 

2-4-3.3期連続で大幅な赤字

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

当期純利益 ▲2,158,512 ▲2,198,682 ▲2,348,635

 3期に渡って、大幅な赤字業績になっています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー ▲1,206,703 ▲425,089 ▲1,159,270

 それに伴い、3期連続で営業キャッシュ・フローも大幅なマイナスになっています。

 

2-4-4.財務キャッシュ・フローについて①

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー 22,838 426,300 6,450
短期借入金の純増減額(▲は減少) 992,160 0 ▲904,000
長期借入金の返済による支出 ▲991,306 ▲764,476 ▲569,068

 財務キャッシュ・フローでは、借入金の返済を行っています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 901,440 15.6% 897,520 18.7% 0 0.0%
 1年内返済予定の長期借入金 764,476 13.3% 569,068 11.9% 81,780 4.0%
固定負債
 長期借入金 705,448 12.2% 136,380 2.8% 54,600 2.7%
有利子負債合計 2,371,364 41.1% 1,602,968 33.4% 136,380 6.7%
総資産合計 5,763,672 4,792,152 2,049,744

 その結果、有利子負債は2,371,364千円から136,380千円にまで減少しています。

 しかし、この借入金の返済は銀行が融資を引き上げたためかもしれません。

 

2-4-5.財務キャッシュ・フローについて②

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー 22,838 426,300 6,450
株式の発行による収入 35,094 1,200,166 1,521,441

 財務キャッシュ・フローでは、株式も発行して資金を調達しています。

 営業キャッシュ・フローから資金を稼ぐことができず、銀行から借入もできない状況のため株式を発行して資金を調達したと考えられます。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 同社の場合、自己資本比率は44.1%ありますが、3期に渡って大幅な赤字業績を出しています。

 また営業キャッシュ・フローも3期連続でマイナスが続き、自力で稼ぐことができない状況です。

 銀行からの借入れもできなく、現在は株式を発行して資金を調達している状況です。

 もしいまのような状況が続き、株式を発行して資金の調達もできなくなれば会社はあと1,2年しかもたないかもしれません。

 FinTechプラットフォーム案件への金融庁の支援なども含め、最終的にはどのくらい業績に貢献をするのでしょうか。

 6月1日の終値である169円で計算をすると、PBRは29.96倍になっています。

 

※ PERについては、会社側が業績予想を発表していないため公表できません。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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