建築基準法違反の疑いで株価急落、買いチャンスとなるか!? レオパレス21(8848)を分析してみる

      2018/06/02

 建築基準法の疑いがあるとして、レオパレス21(8848)が世間を賑わせています。

 その報道を受け株価は年初来安値を更新しました。

 今回の騒動は同社の株を購入するチャンスになるのか!? そう思った私は同社のファンダメンタルズを調べてみることにしました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.増収増益傾向の業績

2.決算短信から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.次期の見通し

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金について

  2-4-2.投資有価証券について

  2-4-3.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

  2-4-4.自己株式を消去

 2-5.気になる問題

  2-5-1.たな卸資産回転比率が悪化

  2-5-2.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の売却が中心

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「賃貸管理堅調。不動産開発伸長。介護の赤字幅縮小。19年3月期も法人向け賃貸の入居率が高水準維持。ただ、建築請負が風評など響き出足厳しい。北朝鮮の余波でグアムのホテル低調。営業増益だが伸び鈍化。繰延税金資産取り崩しなどない。」とマイナスも含んだ内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は49.0%もあり、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は31,860百万円、総資産のわずか9.9%程です。

 資本金75,282百万円に対し、利益剰余金は35,882百万円になっています。

 

 

 

1-3.増収増益傾向の業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

483,188 14,763 13,424 14,507 55.2
16.3

(実績)

511,424 20,996 19,820 19,432 73.9
17.3

(実績)

520,488 22,898 22,355 20,401 77.6
18.3

(実績)

530,840 22,930 22,354 14,819 58.02
19.3

(会社予想)

553,000 24,500 24,000 15,000 59.50

 売上高については2015年3月期から増収が続き、2019年3月期も増収を見込んでいます。

 しかし、利益については2017年3月期がピークになっていますが、2019年3月期から再び増益になることを見込んでいます。

 

 

 

 

2.決算短信から詳しく見ていく

 


 

 続いて、平成30年3月期決算短信[日本基準](連結)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、「賃貸事業」、「開発事業」、「シルバー事業」及び「ホテルリゾート・その他事業」の4つの事業で構成されています。

 

セグメント別 事業内容
賃貸事業 アパート等の賃貸・管理、営繕工事、ブロードバンドサービス、賃料債務保証事業、社宅代行事業、太陽光発電事業、少額短期保険業等を行う。
開発事業 アパート・戸建注文住宅等の建築工事の請負、マンションの開発等を行う。
シルバー事業 介護施設の運営を行う。
ホテルリゾート・その他事業 ホテル・リゾート施設の運営等を行う。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(百万円)

割合

(%)

賃貸事業 435,537 82.0
開発事業 76,587 14.4
シルバー事業 12,807 2.4
ホテルリゾート・その他事業 5,908 1.1
合計 530,840

 同社は賃貸事業の売上高が最も高く、売上全体の8割近くを占めています。

 

 

 

2-3.次期の見通し

 

平成30年3月期の連結業績

(百万円)

平成31年3月期の連結業績予想

(百万円)

対前期増減率

(%)

売上高 530,840 553,000 4.2
営業利益 22,930 24,500 6.8
経常利益 22,354 24,000 7.4
親会社株主に帰属する当期純利益 14,819 15,000 1.2

 平成31年3月期の連結業績見通については、売上高5,530億円、営業利益245億円、経常利益240億円、親会社株主に帰属する当期純利益150億円になることを見込んでいます。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 88,043 26.9% 104,432 30.9% 106,543 31.6%
総資産合計 327,596 337,816 337,245

 3期に渡り、現金及び預金が増加しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、いずれの期も営業キャッシュ・フローから資金を獲得したことで現金及び預金が増加しています。

 また、保有する現金及び預金は106,543百万円、総資産の31.6%を占めていますが、不動産業にしては多い方だと思います。

 

2-4-2.投資有価証券について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

投資その他の資産
 投資有価証券 8,230 2.5% 12,453 3.7% 17,999 5.3%
総資産合計 327,596 337,816 337,245

 3期に渡り、投資有価証券が増加しています。

 いずれも期も、営業キャッシュ・フローで儲けた余剰資金の一部を投資有価証券で運用しているという印象を受けます。

 

2-4-3.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

財務キャッシュ・フロー 1,374 ▲14,048 ▲20,197
短期借入れによる収入 399 200 2,455
短期借入金の返済による支出 ▲176 ▲265 ▲1,250
長期借入れによる収入 8,544 235 4,303
長期借入金の返済による支出 ▲23,244 ▲1,423 ▲1,268
社債の発行による収入 21,220 0 0
社債の償還による支出 ▲2,993 ▲4,326 ▲3,966

 財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心になっています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 265 0.1% 0 0.0% 1,210 0.4%
 1年内返済予定の長期借入金 1,412 0.4% 1,263 0.4% 1,754 0.5%
 1年内償還予定の社債 4,326 1.3% 3,966 1.2% 3,966 1.2%
固定負債
 社債 20,001 6.1% 16,035 4.7% 12,069 3.6%
 長期借入金 14,106 4.3% 13,267 3.9% 16,643 4.9%
有利子負債合計 40,110 12.2% 34,531 10.2% 35,642 10.6%
総資産合計 327,596 337,816 337,245

 その結果、有利子負債は40,110百万円から35,642百万円にまで減少しています。

 また有利子負債は総資産の10.6%だけしかありません。多額の借入金を必要とする不動産業にしては少ない方だと思います。

 

2-4-4.自己株式を消去

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

自己株式の消去 0 0 11,228

 連結株主資本等変動計算書を確認すると、平成30年3月期は自己株式の消去を行っています。

 

 

 

H28.3.31

(千株)

H29.3.31

(千株)

H30.3.31

(千株)

発行済株式数 262,874 262,874 255,412

 その結果、発行済株式数は減少しています。

 自己株式の消去を行うメリットは市場に流通する株式数が少なくなるため、1株当たりの当期純利益が増加します。

 また、株主資本利益率( ROE )の向上にもつながりますので、株主に対する最高の利益還元方法といえます。

 

 

 

2-5.気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを調べていると気になる部分もありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-5-1.たな卸資産回転比率が悪化

 

 

 

H28.3.31

(回転)

H29.3.31

(回転)

H30.3.31

(回転)

たな卸資産回転比率 366.94 157.06 117.73

 3期に渡り、たな卸資産回転比率が悪化しています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

売上高 511,513 520,488 530,840
流動資産
 販売用不動産 21 0.0% 421 0.1% 952 0.3%
 仕掛販売用不動産 0 0.0% 1,849 0.5% 2,571 0.8%
 未成工事支出金 785 0.2% 518 0.2% 458 0.1%
 原材料及び貯蔵品 588 0.2% 526 0.2% 528 0.2%
たな卸資産合計 1,394 0.4% 3,314 1.0% 4,509 1.3%
総資産合計 327,596 337,816 337,245

 悪化した主な要因は、販売用不動産と仕掛販売用不動産が増えていたためです。

 けど、同社のたな卸資産は4,509百万円、総資産のわずか1.3%程しかありません。

 そのため現時点ではまだ問題はないと思いますが、今後も増えていくようであれば何か問題があると考えられます。

 

2-5-2.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の売却が中心

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

投資キャッシュ・フロー ▲11,087 ▲8,653 423
有形固定資産の取得による支出 ▲9,053 ▲4,318 ▲9,856
有形固定資産の売却による収入 666 16,744 14,121

 投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の売却が中心になっています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

有形固定資産
 建物及び構築物(純額) 57,979 17.7% 41,827 12.4% 42,705 12.7%
 機械装置及び運搬具(純額) 16,105 4.9% 14,206 4.2% 12,547 3.7%
 土地 84,241 25.7% 80,388 23.8% 63,638 18.9%
 リース資産(純額) 9,417 2.9% 13,652 4.0% 16,028 4.8%
 建物仮勘定 2,444 0.7% 3,911 1.2% 5,208 1.5%
 その他(純額) 1,848 0.6% 1,281 0.4% 3,215 1.0%
有形固定資産合計 172,034 52.5% 155,265 46.0% 143,341 42.5%
総資産合計 327,596 337,816 337,245

 その結果、有形固定資産は172,034百万円から143,341百万円と16.7%も減少しています。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 不動産業にしては多くの現金及び預金を保有し、有利子負債は少なく、自己資本比率は47.3%もあるので財務体質は優れている方だと思います。

 また、3期連続でキャッシュの裏付けがある黒字業績を上げ、しっかりと儲けている印象を受けました。

 たな卸資産の増加や有形固定資産の一部売却、繰延税金資産取り崩しを見送るなど気になる部分もありますが、総合的にファンダメンタルズは良くなっているという印象を受けました。

 もし、今回の建築基準法違反の騒動が一時的なもので、いつかこの問題は解決すると考えている投資家の方は、この記事も参考にしてもらえればと思います。

 5月30日の終値である753円で計算をすると、PERは12.66倍、PBRは1.19倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 不動産業, 業種別

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