業績回復はあるのか!? オンキヨー(6628)を分析してみる

      2018/06/02

 音響の老舗であるオンキヨー(6628)は、平成30年3月期の連結業績を含め5期連続で赤字業績になっています。

 平成31年3月期の連結業績については黒字を予想していますが、赤字業績が続いたため多くの投資家は疑心暗鬼になっている様子です。果たして大丈夫なのでしょうか?

 (平成30年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

 そこで今回は、同社のファンダメンタルズを見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.赤字業績

2.決算短信から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.次期の見通し

 2-4.株式価値の希薄化のリスク

 2-5.継続企業の前提に関す重要事象等

 2-6.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-6-1.現金及び預金について

  2-6-2.財務キャッシュ・フローでは、借入金の返済が中心

 2-7   気になる問題

  2-7-1.売上高について

  2-7-2.新株予約権付社債について

  2-7-3.当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素について

  2-7-4.多額の営業外費用

  2-7-5.自己資本比率について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「柱のAV縮小。17年末AIスピーカー投入も想定以下。新商品の開発費重く営業益を再減額。経常赤字は幅拡大。19年3月期はAV機器縮小一服。イヤホン好調、AIスピーカー通期貢献。粗利改善と新商品開発費大幅減が効く。経常赤字は減。」と19年3月期から期待したい内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率はわずか8.6%しかありません。

 有利子負債は7,126百万円、総資産の18.6%を占めています。

 資本金5,792百万円に対し、利益剰余金は▲9,124百万円のマイナスになっています。

 

 

 

1-3.赤字業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

35,563 ▲2,616 ▲3,483 ▲4,060 ▲64.6
16.3

(実績)

64,392 ▲2,029 ▲2,241 ▲1,126 ▲14.9
17.3

(実績)

55,882 770 ▲458 ▲752 ▲9.2
18.3

(実績)

51,533 ▲1,023 ▲1,947 ▲3,426 ▲35.9
19.3

(会社予想)

52,000 2,000 1,200 1,000 10.4

 2016年3月期の売上高をピークに、2017年3月期以降は減収が続いています。

 しかし、それ以上に深刻なのは2015年3月期から赤字業績が続いていることです。

 2019年3月期の業績は、売上高の増収と黒字業績を見込んでいます。

 

 

 

 

2.決算短信から詳しく見ていく

 


 

 続いて、平成30年3月期決算短信[日本基準](連結)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、「AV事業」、「デジタルライフ事業」及び「OEM事業」の3つの事業で構成されています。

 

セグメント別 事業内容
AV事業 オーディオ・ビジュアル関連製品の生産・販売を行う。
デジタルライフ事業 電話機及びヘッドホン等の販売、音楽配信等のコンテンツ事業を行う。
OEM事業 車載用スピーカー、家電用スピーカー、及びスピーカー部品等の生産・販売を行う。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(百万円)

割合

(%)

AV事業 34,748 67.4
デジタルライフ事業 10,136 19.7
OEM事業 7,089 13.8
調整額 ▲441 ▲0.9
合計 51,533

 同社はAV事業の売上高が最も高く、売上全体の67.4を占めています。

 

 

 

2-3.次期の見通し

 

平成30年3月期の連結業績

(百万円)

平成31年3月期の連結業績予想

(百万円)

対前期増減率

(%)

売上高 51,533 52,000 0.9
営業利益 ▲1,023 2,000
経常利益 ▲1,947 1,200
親会社株主に帰属する当期純利益 ▲3,426 1,000

 AV事業については構造改革による効率化を図り、不採算モデルの販売見直しを徹底していくそうです。そのため、売上高は約320億円程度となる見通しになっています。

 デジタルライフ事業については今期に発生した供給停止問題を解決することで、約120億円の売上を見込んでいます。

 OEM事業については、インド市場での事業拡大及び、新規分野での販売拡大を見込み、売上高は約80億円になる見通しです。

 

 

 

2-4.株式価値の希薄化のリスク

 

 第5回無担保転換社債型新株予約権付社債と、第4回新株予約権らの潜在株式による権利行使が行われた場合、権利行使前の発行済株式総数に対して14.2%の希薄化がおこるリスクがあります。

 

 

 

2-5.継続企業の前提に関す重要事象等

 

 平成25年度より継続して経常損失を計上し、取引金融機関との間で締結しているシンジケート・ローン契約の財務制限条項に抵触することとなったため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しています。

 

 

 

2-6.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-6-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 6,804 21.1% 3,086 10.4% 7,645 24.1%
総資産合計 32,305 29,779 31,664

 現金及び預金が増減しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成29年3月期は主に営業キャッシュ・フローからの資金の支出があったため現金及び預金が減少しています。

 平成30年3月期は主に社債や株式の発行で資金を調達したため、現金及び預金が増えています。

 

2-6-2.財務キャッシュ・フローでは、借入金の返済が中心

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

財務キャッシュ・フロー ▲4,344 3,009 5,423
短期借入の純増減額
(▲は減少)
▲416 ▲1,110 ▲430
長期借入れによる収入 0 200 1,159
長期借入金の返済による支出 ▲689 ▲723 ▲1,381

 財務キャッシュ・フローでは、銀行からの借入金の返済が中心になっています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 4,815 14.9% 3,381 11.4% 4,546 14.4%
固定負債
 長期借入金 2,275 7.0% 2,075 7.0% 257 0.8%
借入金合計 7,090 21.9% 5,456 18.3% 4,803 15.2%
総資産合計 32,305 29,779 31,664

 その結果、借入金合計は7,090百万円から4,803百万円にまで減少しています。

 しかし、同社場合は業績の低迷で銀行から借入金の返済を求められたためではないかと思います。

 

 

 

2-7   気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを調べていると問題だらけの会社であるように感じました。そのことについて取り上げていきたいと思います。

 

2-7-1.売上高について

 

平成26年3月 平成27年3月 平成28年3月 平成29年3月 平成30年3月
連結売上高
(百万円)
36,060 35,563 64,392 55,882 51,533

 平成28年3月期になると、子会社を含めた連結売上高は対前年比で2倍近くに増加しています。

 

平成26年3月 平成27年3月 平成28年3月 平成29年3月 平成30年3月
単独売上高
(百万円)
25,132 22,357 9,944 7,176 7,869

 しかし、親会社のみの単独売上高は平成28年3月期になると半分以下に減少しています。

 

2-7-2.新株予約権付社債について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

固定負債
 新株予約権付社債 0 0.0% 1,000 3.4% 2,000 6.3%
総資産合計 32,305 29,779 31,664

 固定負債には新株予約権付社債が計上されています。

 新株予約権付社債とは、新株予約権の性格を有した社債のことです。

 ここで注意することは会社が新株予約権として権利を行使した場合、発行済株式数が増えてしまうことです。そうなれば、1株当たりの利益の希薄化が起こります。

 

2-7-3.当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素について

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 ▲1,440 91 ▲4,042
当期純利益 ▲1,126 ▲752 ▲3,426
差額 ▲314 843 ▲616

 平成28年3月期と平成30年3月期は、営業キャッシュ・フロー利益要素よりも当期純利益の方が多くなっています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 ▲1,440 91 ▲4,042
 固定資産除売却損益(▲は益) ▲2,649 61 3
 未払金及び未払い費用の増減額(▲は減少) ▲131 ▲132 ▲1,841

 平成30年3月期に営業キャッシュ・フロー利益要素が少なかった主な理由は、未払金及び未払費用の支払いがあったためでした。

 しかし、平成28年3月期は固定資産除売却損益の計上で営業キャッシュ・フロー利益要素が少なくなっています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

特別利益
 固定資産売却益 2,682 0 0

 これは、連結損益計算書では特別利益として計上されています。けど、営業キャッシュ・フローでは資金の獲得につながっていません。

 特別利益として計上した固定資産売却益についてですが、おそらく利益の捻出と資金を確保するためではないかと思います。

 

※ 特別利益として計上している固定資産売却益は、投資キャッシュ・フローで資金の獲得になっています。

 

2-7-4.多額の営業外費用

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

経常利益 ▲2,241 ▲458 ▲1,947
営業利益 ▲2,029 770 ▲1,023
差額 ▲212 ▲1,228 ▲924

 営業利益に比べると、経常利益は少なくなっています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

H30.3.31

(百万円)

営業外費用
 支払利息 255 143 221
 支払手数料 552 649 775

 その原因は、営業外費用にあります。

 同社の場合、銀行からの借入金などがあるため支払利息が生じています。

 しかし、支払手数料はその倍以上の費用が発生しています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債
 支払手形及び買掛金 13,498 41.8% 13,134 44.1% 13,306 42.0%
総資産合計 32,305 29,779 31,664

 流動負債に支払手形及び買掛金が総資産の4割近くを占めていますが、営業外費用に計上していた支払手数料はこれが原因なのかもしれません。

 

2-7-5.自己資本比率について

 

 

 

H28.3.31

(%)

H29.3.31

(%)

H30.3.31

(%)

自己資本比率 9.0 9.0 8.5

 同社の場合、3期に渡って自己資本比率が10%を切っています。

 

 

 

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

H30.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産
 受取手形及び売掛金 10,797 33.4% 13,496 45.3% 10,212 32.3%
 商品及び製品 6,599 20.4% 5,113 17.2% 5,071 16.0%
 仕掛品 89 0.3% 102 0.3% 125 0.4%
 原材料及び貯蔵品 1,035 3.2% 1,268 4.3% 1,387 4.4%
流動負債
 支払手形及び買掛金 13,498 41.8% 13,134 44.1% 13,306 42.0%
総資産合計 32,305 29,779 31,664

 流動資産の部を見ると、受取手形や売掛金、たな卸資産などの運転資金は総資産の53.0%を占めています。

 特に受取手形や売掛金ですが、それらの資産を早く現金化して流動負債の支払手形及び買掛金などの支払いに充てるべきだと思います。

 そうすれば自己資本比率は上がり、支払手数料などの費用を抑えることができると思います。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 自己資本比率は低く、資金がショートしたらすぐに倒産をする会社だと思います。投資家は同社の倒産リスクに気を使った方がよいと思います。

 また自力で資金を稼ぐことができず、銀行の借入も難しくなっているように感じられます。そのため、社債や株式を発行して資金を調達するしか方法はないように感じられます。

 同社は至学館大学と共同でAIアプリの事業展開を行っているそうですが、AIアプリ関連の商品発表を行ったとき、それが材料視され株価は上昇をするかもしれません。

 業績の改善施策としてインド市場での事業拡大などを挙げていますが、そのためにも銀行の融資が得られるかがポイントだと思います。

 5月25日の終値である130円で計算をすると、PERは12.4倍、PBRは4.13倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 電気機器

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