ストップ高銘柄、SAMURAI&J PARTNERS(4764)を分析してみる

      2018/05/30

 5月22日にSAMURAI&J PARTNERS(4764)がストップ高になりました。

 そのため多くの投資家に注目を浴びていますが、特に変わったニュースの発表はありません。

 果たして、それほど魅力的な会社なのでしょうか?

 そこで、同社のファンダメンタルズを調べてみることにしました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.赤字続きの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.ストック・オプション行使による株式価値の希薄化

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金について

  2-4-2.設備投資について

  2-4-3.長期借入金について

 2-5 気になる問題

  2-5-1.売上高について

  2-5-2. 従業員1人当たりの売上高について

  2-5-3.過年度決算訂正関連費用について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「19年1月期はシステム開発が大手自動車メーカーで採用され続伸。官公庁向け捜査支援システムも底堅い。新規の金融・投資関連が好転。買収子会社も利益寄与。かさむ開発費を吸収し営業益浮上へ。」と今後の業績に期待が持てそうな内容です。

 材料記事では「ICO(仮想通貨による資金調達)を目的とした台湾子会社を1月設立。」と記載されています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は67.4%あり、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は271百万円、総資産の24.0%も占めています。

 資本金987百万円に対し、利益剰余金は▲224百万円のマイナスになっています。

 

 

 

1-3.赤字続きの業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

14.1

(実績)

123 ▲42 ▲42 ▲70 ▲2.6
15.1

(実績)

180 16 17 13 0.5
16.1

(実績)

155 20 6 ▲11 ▲0.4
17.1

(実績)

148 ▲86 ▲83 ▲143 ▲5.3
18.1

(実績)

382 ▲182 ▲195 ▲124 ▲4.4
19.1

(予想)

300 50 50 20 0.7

 売上高は2015年1月期をピークに2017年1月期まで減収が続いています。しかし、2018年1月期は大幅な増収です。

 利益については、2015年1月期のみ黒字です。

 会社として2019年1月期の業績予想については未発表ですが、四季報記者は黒字業績を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第22期(平成29年2年1日-平成30年12月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、「ITサービス事業」、「自社ビル賃貸事業」、「金融関連事業」の3つで構成されています。

 

セグメントの名称 事業内容
ITサービス事業 ネットワークアクセス高速化ミドルウェア「Fast Connector」シリーズの販売・保守業務、捜査支援画像処理システム「イメージレポーター」の販売のほか、システム受託開発を行っている。

ITソリューション事業及びシステム受託開発事業を行っている。

コンピュータの利用技術に関する資格試験運用サービス業務を行っている。

外貨両替機の設置・運用業務を行っている。

自社ビル賃貸事業 保有する賃貸不動産の賃貸事業を行っている。
金融関連事業 エクイティファイナンスを中心とした投資銀行事業を行っている。

クラウドファンディングサービスを中心とした投資銀行事業を行っている。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 販売高

(千円)

割合

(%)

ITサービス事業 73,418 19.2
自社ビル賃貸事業 42,206 11.0
金融関連事業 267,079 69.8
合計 382,703  

 同社は金融関連事業の売上高が最も高く、売上全体の7割近くを占めています。

 

 

 

2-3.ストック・オプション行使による株式価値の希薄化

 

 同社は取締役、監査役に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しています。

 現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があるそうです。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.1.31

(千円)

割合

(%)

H29.1.31

(千円)

割合

(%)

H30.1.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 543,190 52.7% 450,633 51.7% 658,262 37.3%
総資産合計 1,029,932   871,831   1,764,533  

 現金及び預金が増減しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成29年1月期は営業キャッシュ・フローによる資金の支出によって現金及び預金が減少しています。

 平成30年1月期は長期借入金や株式の発行で資金を調達したことによって現金及び預金が増えています。

 

2-4-2.設備投資について

 

 

 

H28.1.31

(千円)

H29.1.31

(千円)

H30.1.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー ▲154,854 179,753 ▲810,739
有形固定資産の取得による支出 ▲519 ▲22,775 ▲600,780

 平成30年1月期には有形固定資産の購入で600,780千円の投資を行っています。

 

 

 

H28.1.31

(千円)

割合

(%)

H29.1.31

(千円)

割合

(%)

H30.1.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 建物及び構築物(純額) 21,284 2.1% 20,198 2.3% 147,833 8.4%
 工具、器具及び備品(純額) 0 0.0% 8,840 1.0% 7,229 0.4%
 土地 155,646 15.1% 155,646 17.9% 442,884 25.1%
 建物仮勘定 519 0.1% 0 0.0% 0 0.0%
有形固定資産合計 177,449 17.2% 184,684 21.2% 597,946 33.9%
総資産合計 1,029,932   871,831   1,764,533  

 その結果、平成30年1月期は主に建物及び構築物(純額)と土地が増えています。

 これは新たに収益不動産として設備投資を行ったためです。

 

2-4-3.長期借入金について

 

 

 

H28.1.31

(千円)

割合

(%)

H29.1.31

(千円)

割合

(%)

H30.1.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 1年内返済予定の長期借入金 0 0.0% 0 0.0% 26,040 1.5%
固定負債            
 長期借入金 0 0.0% 0 0.0% 220,940 12.5%
総資産合計 1,029,932   871,831   1,764,533  

 平成30年1月期から長期借入金が計上されています。

 この長期借入金は 株式会社オリーブスパの保有する固定資産を取得するための借入です。

 

 

 

2-5 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析していると気になる問題がいくつかありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-5-1.売上高について

 

 

 

H28.1.31

(千円)

H29.1.31

(千円)

H30.1.31

(千円)

売上高 155,014 148,133 382,703

 平成30年1月期は対前年比で売上高が約2.6倍に増加しています。

 

 

 

H29.1.31

(千円)

H30.1.31

(千円)

ITサービス事業 136,722 73,418
自社ビル賃貸事業 11,411 42,206
金融関連事業 0 267,079
合計 148,133 382,703

 しかしこの増収した売上高は、新たに連結子会社化したAIP証券株式会社が行っている金融関連事業を連結業績に含めたためです。

 逆に、本業であるITサービス事業の売上高は対前年比で減少しています。

 

2-5-2. 従業員1人当たりの売上高について

 

 

 

H28.1.31

(万円)

H29.1.31

(万円)

H30.1.31

(万円)

従業員1人当たりの売上高 1,192 1,234 1,093

 一般社団法人 情報サービス産業協会によると、情報通信サービス業におけるSIサービス型の従業員1人当たりの売上高は3,016万円です。

 しかし同社の場合は1,093万円しかありません。

 (2015 年版 情報サービス産業 基本統計調査

 

2-5-3.過年度決算訂正関連費用について

 

 

 

H28.1.31

(千円)

H29.1.31

(千円)

H30.1.31

(千円)

売上高 155,014 148,133 382,703
特別損失      
 過年度決算訂正関連費用 0 43,900 0

 平成29年1月期には特別損失として過年度決算訂正関連費用を43,900千円計上していますが、これは売上高の29.6%に相当します。

 この特別損失について特に詳しい説明はありません。同社の会計処理について疑いを持ちます。

 

2-5-4.偶発債務について

 

 同社は、前代表取締役社長である星川征仁氏に下記の内容で民事訴訟が提起されていたそうです。

 

(1)訴訟を提起した者:星川征仁

(2)訴訟の内容:業務委託報酬請求事件

(3)訴訟の目的の価格:訴訟物の価額 35,881千円

            貼用印紙代     128千円

            訴状送達の翌日から年6分の割合による全員の支払いを求める

 しかし、平成30年3月26日に原告から請求の放棄があったため、業績に与える影響はないとのことです。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 平成30年1月期には収益不動産を購入しています。また、金融関連事業を行っているAIP証券株式会社を連結子会社にしています。

 赤字業績が続き、本業であるITサービス事業の売上高の増収が見込めないため、収益不動産を購入したり、別の会社を買収したのではないかと思いました。

 また、前代表取締役社長に民事訴訟が提起されていましたが、会社の内部管理体制に問題があるのではないかと思います。

 5月22日に株価が急騰した理由として考えられるのは、会社四季報の材料記事に記載されている仮想通貨関連の子会社が材料視されたことぐらいです。

 5月22日の終値である494円で計算をすると、PBRは10.45倍になっています。

 

※ PERについては、会社側が業績予想を発表していないため公表できません。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 情報・通信業, 業種別

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