トヨタ自動車と業務提携! ALBERT(3906)を分析してみる

      2018/06/07

 平成30年5月15日、ALBERT(3906)はトヨタ自動車との業務資本提携に関する発表を行いました。

 提携内容は、同社の技術力を活かして自動運転領域のデータの入手及び選別、集計及び分析や、人工知能の開発に関連する業務などの実施を目指していくそうです。

 (トヨタ自動車株式会社との業務資本提携、第三者割当による新株式の発行 並びに主要株主の異動に関するお知らせ

 この発表をうけ、翌日に株価はストップ高になりました。

 トヨタ自動車と業務提携を行ったALBERT(3906)とはどのような会社なのでしょうか?

 そこで今回は、同社のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.赤字続きの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.セグメント別売上高について

 2-3.業績等の概要

 2-4.税務上の繰越欠損金について

 2-5.発行済株式総数、資本金等の推移について

 2-6.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-6-1.現金及び預金について

  2-6-2.投資キャッシュ・フローでは、無形固定資産の取得が中心

  2-6-3.財務キャッシュ・フローでは、社債の発行が中心

 2-7 気になる問題

  2-7-1.3期連続で赤字業績

  2-7-2.新株予約権付社債について

  2-7-3.総資産額が急増

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「AI、IoTブームが追い風に。ディープラーニング技術活用したデータ分析案件が伸長。データサイエンティスと増強で人件費増えるが、前期開始の開発内製化さらに進歩し外注費削減。営業黒字化。」と業績の好転ぶりが伺える内容になっています。

 材料記事では「ディープラーニング使った深度(距離)測定エンジンを開発。単眼カメラによる2次元映像を分析。自動車運転やロボットへの応用狙う。継続前提に重要事象。」と記載されています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は27.9%と、少し安全性に不安が残ります。

 有利子負債は1,988百万円、総資産の65.9%も占めています。

 資本金883百万円に対し、利益剰余金は▲588百万円のマイナスになっています。

 

 

 

1-3.赤字続きの業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.12

(実績)

647 51 53 94 51.6
14.12

(実績)

918 166 161 167 91.4
15.12

(実績)

959 ▲33 ▲43 ▲185 ▲90.5
16.12

(実績)

812 ▲107 ▲121 ▲279 ▲128.3
17.12

(実績)

872 ▲161 ▲158 ▲172 ▲71.3
18.12

(予想)

1,200 20 20 10 3.9
19.12

(予想)

1,500 100 100 70 27.1

 2014年12月期まで黒字業績でしたが、2015年12月期からは赤字業績が続いています。

 しかし、2018年12月期からは増収増益に転じて黒字業績になる予想です。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第13期(平成29年1年1日-平成29年12月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、「システムソリューション」、「アナリティクス・コンサルティング」の2つのサービスで構成されています。

 

セグメントの名称 事業内容
システムソリューション 企業内に蓄積・散在している大量のデータを有効活用し、経営課題の解決、高度なマーケティング施策へ展開しようとする動きが高まっております。それを実現するための方法のひとつとして、データマネジメントプラットフォームを社内に構築し、PDCAサイクルの実行へとつなげるものです。
アナリティクス・コンサルティング 企業からデータを拝見して分析し、マーケティングの示唆やマーケティングオートメーションシステムの設計を指南する分析コンサルティング、顧客分析/商圏分析/商品分析/広告分析等の課題解決に必要な各分析メニュー、統計解説関連に深い知見を持つ講師人を豊富に揃え企業に派遣して講義をするデータサイエンティスト養成講座などを展開しています。

 

 

 

2-2.セグメント別売上高について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

システムソリューション 575,111 65.9
アナリティクス・コンサルティング 297,171 34.1
合計 872,283  

 同社はシステムソリューションの売上高が最も高く、売上全体の65.9%を占めています。

 

相手先 販売高

(千円)

割合

(%)

株式会社ミスミグループ本社 119,419 13.7

 また、株式会社ミスミグループ本社に対する販売高は売上全体の13.7%を占めています。

 

 

 

2-3.業績等の概要

 

 同社の得意分野、特にディープラーニング技術を活用したAI市場においては、自動運転技術開発をはじめとし、ドローン、IoT(モノのインターネット)、Fintech(IT技術を使った新たな金融サービス)等、各分野での需要拡大が顕著化しているそうです。

 

 

 

2-4.税務上の繰越欠損金について

 

 同社は、税務上の繰越欠損金を有しています。これは法人税負担の軽減効果があり、今後も当該繰越欠損金の繰越期間の使用制限範囲内においては納税額の減少により、キャッシュ・フローの改善に貢献します。

 

 

 

2-5.発行済株式総数、資本金等の推移について

 

  発行済株式総数増減数

(株)

発行済株式総数残高

(株)

資本金増減額

(千円)

平成27年1月1日

平成27年12月31日

95,200 2,171,500 9,820
平成28年8月30日 7,400 2,178,900 785
平成28年12月31日 199,000 2,377,900 120,494
平成29年8月30日 20,100 2,398,000 2,040
平成29年9月26日 149,250 2,547,250 90,370
平成29年12月15日 38,000 2,585,250 3,800

 同社は上場以来、毎年のように新たに株式を発行して資金調達を行っています。

 その結果、発行済株式総数残高はこの3年間で19.1%も増えています。

 新たに株式を発行すれば1株あたりの利益は希薄化をしますので、投資家はそのことに注視する必要があると思います。

 

 

 

2-6.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-6-1.現金及び預金について

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 523,882 53.8% 2,835,812 90.0% 2,678,581 88.8%
総資産合計 973,164   3,152,517   3,015,068  

 現金及び預金が増減しています。

 キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成28年12月期は社債を発行して資金を調達したことが要因で現金及び預金が増加しています。

 平成29年12月期は営業キャッシュ・フローからの資金の支出と投資有価証券の取得、無形固定資産の取得により現金及び預金が減少しています。

 

2-6-2.投資キャッシュ・フローでは、無形固定資産の取得が中心

 

 

 

H27.12.31

(千円)

H28.12.31

(千円)

H29.12.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー ▲218,745 ▲42,876 ▲48,659
無形固定資産の取得による支出 ▲54,205 ▲96,200 ▲16,505

 投資キャッシュ・フローでは、無形固定資産の取得が中心になっています。

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

無形固定資産            
 商標権 468 0.0% 0 0.0% 0 0.0%
 ソフトウエア 17,400 1.8% 0 0.0% 0 0.0%
 ソフトウエア仮勘定 27,387 2.8% 0 0.0% 0 0.0%
無形固定資産合計 45,255 4.7% 0 0.0% 0 0.0%
総資産合計 973,164   3,152,517   3,015,068  

 しかし、貸借対照表上では無形固定資産合計の価値は0千円になっています。

 損益計算書や営業キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、減損損失や減価償却費が計上されています。

 それらの計上額が取得価格を上回っているため、結果として貸借対照表上では価値が0千円になったと考えられます。

 

2-6-3.財務キャッシュ・フローでは、社債の発行が中心

 

 

 

H27.12.31

(千円)

H28.12.31

(千円)

H29.12.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー 647,949 2,413,620 11,680
社債の発行による収入 0 2,409,890 0

 財務キャッシュ・フローでは、社債の発行が中心になっています。

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

固定負債            
 新株予約権付社債 0 0.0% 2,168,901 68.8% 1,988,159 65.9%
総資産合計 973,164   3,152,517   3,015,068  

 その結果、平成28年12月期から新株予約権付社債が2,168,901千円、総資産の68.8%も計上されています。

 

※ 新株予約権付社債の償還期日は、平成31年12月27日になっています。

 

 

 

2-7 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析していると気になる問題がいくつかありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-7-1.3期連続で赤字業績

 

 

 

H27.12.31

(千円)

H28.12.31

(千円)

H29.12.31

(千円)

売上高 959,315 812,833 872,283
営業利益 ▲33,949 ▲107,484 ▲161,027
当期純利益 ▲185,370 ▲279,345 ▲172,977

 十分な売上高をあげることができていないため、営業利益の段階で赤字に陥っています。

 そのため、3期連続で当期純利益は赤字になっています。

 

 

 

H27.12.31

(千円)

H28.12.31

(千円)

H29.12.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー ▲196,974 ▲7,425 ▲122,280

 また、赤字業績に伴い営業キャッシュ・フローも赤字になっています。この状態が続けば資金繰り問題につながり、結果として倒産に陥ってしまいます。

 そのためにも、早めに黒字業績を確保できるように経営改善が必要です。

 

2-7-2.新株予約権付社債について

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

固定負債            
 新株予約権付社債 0 0.0% 2,168,901 68.8% 1,988,159 65.9%
総資産合計 973,164   3,152,517   3,015,068  

 新株予約権付社債とは、新株予約権の性格を有した社債のことです。

 ここで注意することは会社が新株予約権として権利を行使した場合、発行済株式数が増えてしまうことです。そうなれば、1株当たりの利益の希薄化が起こります。

 またこの新株予約権付社債で調達した資金の用途についてですが、運転資金や設備投資資金、研究開発費として活用していくそうです。

 

2-7-3.総資産額が急増

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

総資産合計 973,164   3,152,517   3,015,068  

 平成28年12月期の総資産額は973,164千円ですが、平成29年12月期には3,152,517千円にまで急激に増加しています。

 急激に総資産額が増えた理由は、新株予約権付社債を発行したためです。

 

 

 

H27.12.31

(%)

H28.12.31

(%)

H29.12.31

(%)

自己資本比率 88.1 26.1 28.0

 そのため、会社の安全性を示す自己資本比率は88.1%から26.1%にまで急激に低下しています。

 

 

 

 

3.私の見解

 

 同社は3年連続で赤字業績になり、ファンダメタルズについては特に長所は見られませんでした。

 しかし、会社四季報にはディープラーニングを使った深度(距離)推定エンジンを開発したとあります。それがトヨタ自動車に材料視され、業務提携を結んだのかもしれません。

 5月21日の終値である5,910円で計算をすると、PERは1,912倍、PBRは17.77倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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