急騰銘柄、JMC(5704)を分析してみる

   

 平成30年5月14日に、JMC(5704)の平成30年12月期第1四半期決算発表がありました。

 これによると、平成30年12月期第1四半期の業績は売上高が対前年比で84.1%の増収、四半期当期純利益が対前年比で赤字から黒字に転換しています。

 そして、平成30年12月期の業績予想は、売上高が対前年比で29.1%の増収、当期純利益は対前年比で5.6倍になることを予想しています。

 (平成30年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

 この発表を受け、翌日に株価は急騰しました。

 そこで今回は、同社のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.増収減益の業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.自動車のEV化への対応

 2-4.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 2-5.重要な設備の新設計画

 2-6.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-6-1.現金及び預金について

  2-6-2.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

 2-7 気になる問題

  2-7-1.売掛金が増加

  2-7-2.前渡金について

  2-7-3.営業利益の減少

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「3Dプリンタ出力は横ばい。CT撮像サービスが続伸。主柱の鋳造はEV向け部品の試作需要が拡大し増加。前期重荷となった外注費など費用管理厳格化が奏功し採算改善。償却費増こなし営業益反発。」と今後の業績に期待が持てそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は74.6%もあり、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は137百万円、総資産の5.6%を占めています。

 資本金758万円に対し、利益剰余金は328百万円になります。

 

 

 

1-3.増収減益の業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

14.12 変

(実績)

643 57 51 20 21.7
15.12

(実績)

1,327 170 194 124 83.9
16.12

(実績)

1,477 139 172 119 75.7
17.12

(実績)

1,629 22 28 15 6.1
18.12

(予想)

2,100 120 120 80 30.7
19.12

(予想)

2,400 140 140 90 34.6

 売上高は2014年12月期から4期連続で増収が続いていますが、利益は2015年12月期以降から減益が続いています。

 しかし、2018年12月期以降は増収増益の業績予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第26期(平成29年1年1日-平成29年12月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は製造業を中心に幅広い業種の「試作品」から「最終製品」づくりをトータルサポートすることを主たる事業としており、3Dプリンター出力事業、鋳造事業及びCT事業から構成されています。

 

セグメント別 事業内容
3Dプリンター出力事業 製品開発を行っている顧客に対して試作品を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っている。
鋳造事業 製品の形状を反転させた型に、鉄・銅・アルミニウム・マグネシウム等の溶かした金属を流し込み、製品を作製する工法になる。
CT事業 産業用CTによる非破壊検査や三次元測定などを提供する。

GEセンシング&インスペクション・テクノロジー株式会社製の産業用CT及び関連サービスの販売を行っている。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

3Dプリンター出力事業 413,725 25.4
鋳造事業 959,456 58.9
CT事業 256,507 15.7
合計 1,629,689  

 同社では鋳造事業の売上高が最も高く、売上全体の58.9%を占めています。

 

相手先 販売高

(千円)

割合

(%)

日本電産株式会社 222,692 13.7

 また、主な販売相手は日本電産株式会社になっており、売上全体の13.7%を販売しています。

 

 

 

2-3.自動車のEV化への対応

 

 今後、世界の自動車販売に占めるEVの普及に伴い、新たに開発が見込まれるモーターや重要保安部品等における試作技術力が求められています。

 同社はこれを好機ととらえ、強みである高品質・高付加価値を活かし、EV化の対応に取り組んでいくそうです。

 

 

 

2-4.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 

 同社は業績向上に対する役職員の意識を高めることを目的として、ストックオプション(新株予約権)を発行しています。

 新株予約権による潜在株式総数は222,800株であり、これは発行済株式総数の8.56%に相当します。

 今後、これらの新株予約権が行使された場合、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があるそうです。

 

 

 

2-5.重要な設備の新設計画

 

セグメントの名称 設備の内容 投資予定額

(千円)

資金調達の方法
鋳造事業
CT事業
機械装置
(産業用CT)
85,000 自己資金
借入金
鋳造事業
CT事業
建物
(第5期棟・仕上棟)
100,000 自己資金
借入金
鋳造事業 土地
(増設分)
112,858 借入金
鋳造事業 建物
(製造棟)
500,000 自己資金
借入金
3Dプリンター出力事業 機械装置
(砂型3Dプリンター)
70,000 借入金
鋳造事業 機械装置
(製造棟設備)
100,000 自己資金

 同社は今後、主に鋳造事業を中心とした設備の新設計画があります。

 

 

 

2-6.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-6-1.現金及び預金について

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 315,853 23.2% 1,219,846 49.4% 465,260 18.9%
総資産合計 1,360,943   2,471,312   2,455,268  

 現金及び預金が増減しています。

 キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成28年12月期は営業キャッシュ・フローから資金を獲得したことに加え、株式を発行して資金の調達を行ったことが要因で現金及び預金が増加しています。

 平成29年12月期は運転資金で使用したことや、有形固定資産を取得したことが要因で現金及び預金が減少しています。

 

2-6-2.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

 

 

 

H27.12.31

(千円)

H28.12.31

(千円)

H29.12.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー ▲204,607 ▲228,666 ▲545,576
有形固定資産の取得による支出 ▲188,343 ▲218,688 ▲545,576
有形固定資産の売却による収入 419 0 150

 投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心になっています。

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 建物(純額) 291,030 21.4% 280,497 11.4% 655,789 26.7%
 構築物(純額) 2,398 0.2% 1,821 0.1% 8,035 0.3%
 機械及び装置(純額) 128,761 9.5% 149,509 6.0% 215,528 8.8%
 車両運搬具(純額) 7,534 0.6% 6,703 0.3% 4,313 0.2%
 工具、器具及び備品(純額) 12,321 0.9% 14,142 0.6% 21,162 0.9%
 土地 0 0.0% 116,456 4.7% 116,456 4.7%
 リース資産(純額) 162,338 11.9% 200,383 8.1% 151,972 6.2%
 建物仮勘定 605 0.0% 6,087 0.2% 1,870 0.1%
有形固定資産合計 604,987 44.5% 775,598 31.4% 1,175,125 47.9%
総資産合計 1,360,943   2,471,312   2,455,268  

 その結果、有形固定資産合計は増加しています。

 特に、平成29年12月期は建物(純額)の増加が目立ちますが、これは鋳造工程に特化した工場を建設したためです。

 (鋳造工程に特化した新工場稼働のお知らせ

 

 

 

2-7 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析していると気になる問題もありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-7-1.売掛金が増加

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

売上高 1,327,176    1,477,760    1,629,689  
流動資産            
 売掛金 164,293 12.1% 208,131 8.4% 410,203 16.7%
総資産合計 1,360,943   2,471,312   2,455,268  

 平成29年12月期は売上高が対前年比で151,929千円の増収(1,629,689千円 - 1,477,760千円)に対し、売掛金は202,072千円も増加(410,203千円 - 208,131千円)しています。

 つまり、平成29年12月期の売上高151,929千円の増収分は、現金の裏付けがないことになります。

 このことから、無理な押し売り販売を行ってはいないでしょうか?

 

2-7-2.前渡金について

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 前渡金 0 0.0% 0 0.0% 69,551 2.8%
総資産合計 1,360,943   2,471,312   2,455,268  

 平成29年12月期から前渡金が69,551千円も計上されるようになっています。

 これは産業用CT販売に係る前渡金になっていますが、産業用CTの販売は平成29年4月から開始をしたそうです。そのことと関係しているのでしょうか?

 しかし、前渡金が総資産の2.8%も占めているのは多いように感じます。その点について少し気になります。

 

2-7-3.営業利益の減少

 

 

 

H27.12.31

(千円)

H28.12.31

(千円)

H29.12.31

(千円)

売上高 1,327,176 1,477,760 1,629,689
営業利益 170,480 139,664 22,018
当期純利益 124,093 119,859 15,906

 売上高は3年連続で増収を達成しているにもかかわらず、当期純利益は3年連続で減益になっています。

 その要因は、営業利益の減少が続いているためです。

 会社の説明によると平成29年12月期に営業利益が減益になった理由は、外注委託の増加や労務費の増加による売上原価が増えたこと、営業人件費の増加による販売費および一般管理費が増えたためのようです。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 3年連続の増収となり過去最高の売上高を達成したことは素晴らしいと思いますが、当期純利益は3年連続で減少しています。

 しかし会社四季報の記事によれば、外注費などの費用管理が奏功して採算が改善したそうです。今後は利益を伸ばしていくとに期待したいと思います。

 しかし、売掛金や前渡金の増加が少し気がかりです。

 また、新株予約権が行使された場合、株式価値の希薄化が起こってしまうことが心配です。

 5月18日の終値である1,690円で計算をすると、PERは51.78倍、PBRは2.35倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 非鉄金属

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