今後はどうなるの!? 中村超硬(6166)を分析してみる!

   

 2018年5月11日に、中村超硬(6166)の決算発表がありました。

 この発表をうけて同社に好感を持つ投資家もいれば、しばらくは投資を見合わせる、悲観的になる投資家など反応は様々です。

 (平成30年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

 果たして、今後はどうなっていくのでしょうか?

 そこで今回は、中村超硬(6166)のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.右肩上がりの業績

2.決算短信から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.地域ごとの売上高

 2-4.今後の見通し

 2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.現金及び預金について

  2-5-2.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

  2-5-3.財務キャッシュ・フローでは、借入金の借入が中心

  2-5-4.リース資産について

 2-6 気になる問題

  2-6-1.売上総損失の計上

  2-6-2.たな卸資産の増加

  2-6-3.株式の発行

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「ダイヤモンドワイヤが新規大手顧客中心に繁忙。高付加価値が増加。棚卸資産評価損(前期8億円)解消。独自増額。19年3月期は新規開拓が寄与。新設備稼働し増産続く。工作機器向け工具等精密機器、ノズルも着実。減価償却増吸収し快走。」と最高の業績内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は43.8%と、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は5,625百万円、総資産の31.7%を占めています。

 資本金3,773百万円に対し、利益剰余金は1,498百万円になります。

 

 

 

1-3.右肩上がりの業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

5,123 819 926 1,077 327.1
16.3

(実績)

6,836 1,435 1,440 1,221 308.4
17.3

(実績)

4,992 ▲1,653 ▲1,803 ▲2,075 ▲445.8
18.3

(実績)

12,140 1,570 1,365 1,381 288.9
19.3

(会社予想)

15,000 1,650 1,500 1,000 200.4

 2017年3月期の売上高は減収になっていますが、2015年3月期から右肩上がり傾向に伸びています。

 2019年3月期も売上高の増収を見込んでいますが、利益については減益を予想しています。

 

 

 

 

2.決算短信から詳しく見ていく

 


 

 続いて、2018年3月期決算短信[日本基準](連結)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、電子材料スライス周辺関連、特殊精密機器関連、化学繊維用紡糸ノズル関連の開発・製造・販売を主な事業としています。

 

セグメント別 事業内容
電子材料スライス周辺事業 主にソーラーパネル用シリコンウエハ等のスライス加工用のダイヤモンドワイヤの生産を行う。
特殊精密機器事業 主に電子部品実装機用のノズル及び装着ヘッドの周辺部品、産業工作機械用の基幹部品の生産を行う。
化学繊維用紡糸ノズル事業 主に化学繊維用の紡糸ノズル等の生産を行う。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

電子材料スライス周辺事業 9,975,062 82.2
特殊精密機器事業 850,411 7.0
化学繊維用紡糸ノズル事業 1,324,611 10.9
調整額 ▲9,217 ▲0.1
合計 12,140,867

 同社では電子材料スライス周辺事業の売上高が最も高く、売上全体の82.2%を占めています。

 

相手先 販売高

(千円)

割合

(%)

GCLグループ 5,574,383 45.9

 また、主な販売相手はGCLグループになっています。

 ちなみに、前期もGCLグループと取引を行っていますが、今期は販売高が約5倍近くに増えています。

 

 

 

2-3.地域ごとの売上高

 

売上高

(千円)

比率

(%)

日本 1,795,694 14.8
中国 8,851,276 72.9
アジア(中国を除く) 1,265,542 10.4
その他 228,355 1.9
売上高合計 12,140,867

 同社は日本以外の地域でも販売を行っており、海外での売上高は85.2%を占めています。

 

 

 

2-4.今後の見通し

 

平成30年3月期の連結業績

(千円)

平成31年3月期の連結業績予想

(千円)

対前期増減率

(%)

売上高 12,140 15,000 23.5
営業利益 1,570 1,650 5.1
経常利益 1,365 1,500 9.9
親会社株主に帰属する当期純利益 1,381 1,000 ▲27.6

 第2四半期連結累計期間(平成30年4月1日~平成30年9月30日)は、ダイヤモンドワイヤの生産拡大、販路拡大及び原価低減の実現への過渡期となるため、本格的な業績回復は下半期以降を見込み、通期では売上高、営業利益、経常利益において前年を上回る予想です。

 しかし、親会社に帰属する当期純利益は、税務上の繰越欠損金の控除額減少等により前期実績を下回る予想になっています。

 

 

 

2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-5-1.現金及び預金について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 2,799,807 27.4% 1,649,913 13.5% 4,458,128 25.3%
総資産合計 10,225,504 12,195,295 17,621,300

 現金及び預金が増減しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成29年3月期は営業キャッシュ・フローからの資金の流出に加え、新たに有形固定資産を取得したことが要因で現金及び預金が減少しています。

 平成30年3月期は営業キャッシュ・フローからの資金の獲得に加え、新たに株式を発行して資金の調達を行ったことが要因で現金及び預金が増加しています。

 

2-5-2.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー ▲1,823,312 ▲2,605,741 ▲1,796,232
有形固定資産の取得による支出 ▲1,606,720 ▲2,527,545 ▲1,791,184
有形固定資産の売却による収入 6,522 0 3,096
有形固定資産の除去による支出 0 ▲331 ▲685

 投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心です。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 6,836,969 4,922,602 12,140,867
有形固定資産
 機械装置及び運搬具 4,466,453 43.7% 6,177,001 50.7% 7,602,817 43.1%
総資産合計 10,225,504 12,195,295 17,621,300

 取得した有形固定資産の中でも機械装置及び運搬具の増加が目立ちますが、売上高の増収に伴う設備投資だと考えられます。

 

2-5-3.財務キャッシュ・フローでは、借入金の借入が中心

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー 946,559 3,384,971 2,009,498
短期借入金の純増減額(▲は減少) ▲210,000 896,336 ▲340,000
長期借入れによる収入 1,059,968 1,530,000 1,600,000
長期借入金の返済による支出 ▲1,156,426 ▲971,697 ▲1,230,092

 財務キャッシュ・フローでは、銀行からの借入が目立ちます。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 625,000 6.1% 1,540,000 12.6% 1,200,000 6.8%
 1年内返済予定の長期借入金 861,484 8.4% 1,086,458 8.9% 1,248,709 7.1%
固定負債
 長期借入金 2,104,002 20.6% 2,437,330 20.0% 2,644,987 15.0%
有利子負債合計 3,590,486 35.1% 5,063,788 41.5% 5,093,696 28.9%
総資産合計 10,225,504 12,195,295 17,621,300

 その結果、有利子負債合計の増加が目立ちますが、これは主に有形固定資産を取得するための借入だと考えられます。

 

2-5-4.リース資産について

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産
 リース資産 352,834 3.5% 517,716 4.2% 1,055,506 6.0%
流動負債
 リース債務 37,658 0.4% 132,725 1.1% 498,526 2.8%
固定負債
 リース債務 76,742 0.8% 305,858 2.5% 1,307,930 7.4%
総資産合計 10,225,504 12,195,295 17,621,300

 3期に渡り、リース資産も増加しています。

 それに伴い、流動負債と固定負債のリース債務も増加しています。

 これ以上、銀行から借入をすることはできないのでしょうか!? そのために設備投資としてリース資産も活用するようにしたのかもしれません。

 

 

 

2-6 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析している中で気になる問題もありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-6-1.売上総損失の計上

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

売上高 6,836,969 4,992,602 12,140,867
 売上原価 4,108,886 5,087,995 8,654,254
売上総利益 2,728,083 ▲95,393 3,486,613

 平成29年3月期は売上原価の増加に伴い、売上総損失を計上しています。

 その主な要因は、主力製品のダイヤモンドワイヤの仕様変更に伴うたな卸資産の評価減の実施(813百万円)を行ったためのようです。

 

2-6-2.たな卸資産の増加

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 6,836,969 4,922,602 12,140,867
流動資産
 商品及び製品 239,474 2.3% 440,016 3.6% 831,351 4.7%
 仕掛品 227,593 2.2% 298,956 2.5% 364,828 2.1%
 原材料及び貯蔵品 382,697 3.7% 689,062 5.7% 1,130,806 6.4%
たな卸資産合計 849,764 8.3% 1,428,034 11.7% 2,326,985 13.2%
総資産合計 10,225,504 12,195,295 17,621,300

 平成29年3月期は売上高が減収であるにもかかわらず、たな卸資産が増加しています。

 

 

 

H28.3.31

(回転)

H29.3.31

(回転)

H30.3.31

(回転)

たな卸資産回転比率 8.05 3.45 5.22

 平成29年3月期は主力製品のダイヤモンドワイヤの仕様変更に伴いたな卸資産の評価減の実施を行っていますが、それでもたな卸資産回転比率は3.45回転にまで落ち込んでいます。

 平成30年3月期にはたな卸資産回転比率は5.22回転にまで回復していますが、それでも平成28年3月期の8.05回転には及びません。

 売上高の増収に伴い、在庫管理がずさんになってきていないでしょうか? 少し心配です。

 

2-6-3.株式の発行

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー 946,559 3,384,971 2,009,498
株式の発行による収入 1,378,631 2,051,616 1,459,544

 売上高の増収に伴い運転資金等を補うためでしょうか、新たに株式を発行して資金の調達を行っています。

 

 

 

H28.3.31

(株)

H29.3.31

(株)

H30.3.31

(株)

発行済株式数 4,195,900 4,678,900 4,989,900

 その結果、発行済株式数は増えています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 6,836,969 4,922,602 12,140,867
流動負債
 支払手形及び買掛金 337,716 3.3% 540,976 4.4% 792,346 4.5%
総資産合計 10,225,504 12,195,295 17,621,300

 しかし、売上高は伸びているのに支払手形及び買掛金はそれほど増えていません。

 まずは、新たに株式を発行して資金調達を行う前に仕入先に支払いを待ってもらい、それで資金繰りを楽にすることが先決だと思います。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 主力事業で扱っているダイヤモンドワイヤの生産拡大に伴い、売上高は右肩上がりで増えていますのでその点は非常に魅力的です。

 右肩上がりの業績に伴い、設備投資にも積極的になっています。まさに、成長株といってよいでしょう。

 しかし、資金繰り計画がヘタクソな会社だという印象を受けました。また、在庫管理にも疑問を感じます。

 5月11日の終値である5,300円で計算をすると、PERは18.50倍、PBRは3.40倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 機械

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