株主優待制度を廃止!? ウェルス・マネジメント(3772)を分析してみる

   

 平成30年5月11日にウェルス・マネジメント(3772)の決算発表がありました。これによると、平成30年3月期は売上高は対前年比で2.6倍の増収、親会社株主に帰属する当期純利益は対前年比で20%の増益と絶好調な決算です。

 しかし、平成31年3月期の連結業績予想の発表は行っていません。

平成30年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

 また株主優待制度(UCCギフトカード500円分)を廃止し、配当を行う方針を発表しています。

剰余金の配当(特別配当含む)及び株主優待制度廃止に関するお知らせ

 そのため、多くの投資家に動揺を与えています。果たして、今後はどうなるのでしょうか?

 そこで今回は、ウェルス・マネジメント(3772)のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.増収増益の業績

2.決算短信から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.今後の見通し

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金が増加

  2-4-2.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

  2-4-3.財務キャッシュ・フローでは、借入金の借入が中心

  2-4-4.営業キャッシュ・フロー利益要素よりも当期純利益の方が多い

 2-5 気になる問題

  2-5-1.過剰な借入金

  2-5-2.有形固定資産の償却方法について

  2-5-3.特定上場会社等について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「ホテル運営事業伸びる、インバウンドの追い風。営業益は会社計画超過。19年3月期は大阪・梅田と京都・東山のホテル始動で運営事業が下期中心に拡大。だが、不動産金融事業は大阪・堂島ホテルの信託受益権譲渡の押し上げ分がほぼ剥落。」とネガティブ含みの内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は30.6%と、安全性に不安が残ります。

 有利子負債は7,434百万円、総資産の63.0%も占めています。

 資本金880百万円に対し、利益剰余金は2,412百万円もあります。

 

 

 

1-3.増収増益の業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

1,194 ▲51 ▲22 15 3.9
16.3

(実績)

1,531 344 311 443 107.1
17.3

(実績)

1,767 252 1,093 992 239.9
18.3

(実績)

4,601 1,647 1,549 1,192 288.43
19.3

(予想)

2,800 550 450 310 75.0

 2015年3月期から2018年3月期まで増収増益が続いています。

 会社として2019年3月期の業績予想はまだ未発表ですが、四季報記者は大幅な減収減益を予想しています。

 

 

 

 

2.決算短信から詳しく見ていく

 


 

 続いて、2018年3月期決算短信[日本基準](連結)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、不動産金融事業及びホテル運営事業を行っています。

 

セグメント別 事業内容
不動産金融事業 アドバイザリーサービス(投資案件の発掘からデューディリジェンス、取得、売却までのトータルアドバイスの提供)、アセットマネジメントサービス(不動産投資の入口から出口までをワンストップでサポートするプラットフォームの提供)や不動産賃貸業を行う。
ホテル運営事業 ホテル及び宿泊・飲料施設等の経営、受託運営事業を行う。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

不動産金融事業 3,440,613 74.8
ホテル運営事業 1,768,154 38.4
調整額 ▲606,814 ▲13.2
合計 4,601,952

 同社は不動産金融事業の売上高が最も高く、売上全体の74.8%を占めています。

 

 

 

2-3.今後の見通し

 

 平成29年3月期に行った不動産金融及びホテル運営を中心とした不動産関連事業に注力するビジネスモデルへの転換以来、期間損益については引き続き堅調に推移しています。

 平成31年3月期の通期連結業績見通しについては、現在精査中であり、当該数値が判明したら速やかに開示をするそうです。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金が増加

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 571,311 24.3% 543,201 4.5% 1,468,436 12.4%
総資産合計 2,351,956 12,203,344 11,863,531

 平成30年3月期には現金及び預金が増加しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、営業キャッシュ・フローからの資金の獲得に加え、投資有価証券を清算したことなどが要因で現金及び預金が増加しています。

 

2-4-2.投資キャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得が中心

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー 102,365 ▲9,442,325 840,668
有形固定資産の取得による支出 ▲919,494 ▲8,325,842 ▲29,272
有形固定資産の売却による収入 1,096,425 0 0

 投資キャッシュ・フロ-では、有形固定資産の取得が中心になっています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産
 建物(純額) 6,732 0.3% 1,589,357 13.0% 1,528,367 12.9%
 工具、器具及び備品(純額) 17,136 0.7% 23,577 0.2% 42,570 0.4%
 土地 0 0.0% 6,672,068 54.7% 6,672,068 56.2%
有形固定資産合計 23,868 1.0% 8,285,002 67.9% 8,243,005 69.5%
総資産合計 2,351,956 12,203,344 11,863,531

 その結果、平成29年3月期には建物と土地が増えていますが、これは大阪市にあるホテルと京都市内の土地を購入したためです。

 

2-4-3.財務キャッシュ・フローでは、借入金の借入が中心

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー ▲503,000 8,494,895 ▲1,545,352
短期借入れによる収入 1,449,000 2,446,000 0
短期借入金の返済による支出 ▲1,072,000 ▲1,377,000 ▲1,446,000
長期借入れによる収入 0 7,500,000 35,000
長期借入金の返済による支出 ▲880,000 ▲37,500 ▲83,748

 財務キャッシュ・フローでは、銀行からの借入が中心になっています。

 平成29年3月期には8,531,500千円分の借入を行っていますが、これは有形固定資産を取得するための借入だと考えられます。

 

2-4-4.営業キャッシュ・フロー利益要素よりも当期純利益の方が多い

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 558,796 579,210 1,698,679
当期純利益 443,028 992,045 1,192,942
差額 115,768 ▲412,835 505,737

 平成29年3月期は営業キャッシュ・フロー利益要素よりも当期純利益の方が多くなっています。

 

 

 

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

H30.3.31

(千円)

営業利益 344,897 252,659 1,647,539
 営業外収益
  持分法による投資利益
23,986 937,411 2,348
経常利益 311,319 1,093,389 1,549,387

 その主な要因は、営業外収益に持分法による投資利益937,411千円を計上しているためです。

 

※ 計上した持分法による投資利益は、キャッシュの取得は伴っていません。

 

 

 

2-5 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析している中で気になる問題もありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-5-1.過剰な借入金

 

 

 

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

H30.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 377,000 16.0% 1,446,000 11.8% 0 0.0%
 1年内返済予定の長期借入金 0 0.0% 75,000 0.6% 86,664 0.7%
固定負債
 長期借入金 0 0.0% 7,387,500 60.5% 7,327,088 61.8%
有利子負債合計 377,000 16.0% 8,908,500 73.0% 7,413,752 62.5%
総資産合計 2,351,956 12,203,344 11,863,531

 同社の場合、平成30年3月期の有利子負債合計は7,413,752千円もあり、総資産の62.5%を占めています。

 不動産関連事業を行っているため借入金が過剰になることは仕方ありませんが、今後金利が上昇して業績に悪影響を与えることが心配です。

 また、急激な借入に伴い自己資本比率は31.5%にまで低下しています。

 

2-5-2.有形固定資産の償却方法について

 

  一般に、有形固定資産の償却方法では多くの会社が定率法を採用しています。なぜなら、その方が最初で多くの費用を計上できるため節税に効果があるからです。

 しかし同社の場合、毎年一定額で費用計上を行う定額法を採用しています。

 

2-5-3.特定上場会社等について

 

 同社は、特定上場会社等に指定されています。

 特定上場会社等とは、関係会社に対する売上高が80%以上を占める会社を指します。

 正直、特定上場会社等の定義についてよくわかりませんが、私自身はインサイダー取引につながりやすい会社なのだと解釈しています。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 外国人訪問客の増加に伴い、今後は業績の期待が持てると思います。

 そのために平成29年3月期は大幅な設備投資を行い、平成30年3月期には売上高が対前年比で2.6倍の増収を達成しています。

 また会社の説明によると、平成32年のオリンピック・パラリンピックに向け外国人数の増加に伴い宿泊需要が拡大することを見込み、来期以降も堅調な業績で推移することを見込んでいます。

 ファンダメタルズも良くなってきているように感じられましたが、一番気がかりな点は売上高の1.6倍近くもある有利子負債の存在です。

 5月14日の終値である1,585円で計算をすると、PBRは1.75倍になっています。

 

※ PERについては、会社側が業績予想を発表していないため公表できません。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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