上方修正銘柄、フライトホールディングス (3753)を分析してみる

   

 平成30年5月9日に、フライトホールディングス (3753)の上方修正に関する発表がありました。

 この発表によると、営業利益は5百万円から70百万円に上方修正され、親会社株主に帰属する当期純利益は0百万円から40百万円に上方修正さています。

 (業績予想の修正に関するお知らせ

 この上方修正の発表をうけ、翌日に株価は大幅に上昇をしています。

 そこで今回は、上方修正を行った同社のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.不安定な業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.経営上の重要な契約等

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金について

  2-4-2.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 2-5 気になる問題

  2-5-1.建物について

  2-5-2.長期貸付金について

  2-5-3.買掛金などについて

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「システム開発活況だが、電子決済端末がアップルペイ特需一巡。大型案件も遅れ利益下振れ。19年3月期はシステム開発が物流向け好調。決済端末で通信や小売り案件始動。EC関連も貢献し利益向上。」と来期からの業績に期待が持てそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は58.9%あり、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は333百万円、総資産の28.5%を占めています。

 資本金1,205百万円に対し、利益剰余金は▲1,711百万円とマイナスになっています。

 

 

 

1-3.不安定な業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.03

(実績)

1,592 ▲59 ▲62 ▲84 ▲8.9
16.03

(実績)

1,955 ▲92 ▲128 ▲162 ▲17.2
17.03

(実績)

3,153 590 570 407 43.1
18.03

(会社予想)

2,100 70 50 40 4.2
19.03

(予想)

2,400 200 200 130 13.7

 2015年3月期と2016年3月期は赤字業績になっていますが、2017年3月期は売上高の大幅な増収に伴い、黒字業績になっています。

 しかし、2018年3月期は減収減益の業績予想です。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第30期(平成28年4年1日-平成29年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社はデジタル放送・デジタルメディア業界向けの様々なサービス、各種システム開発、及びiPhone等スマートフォンを利用した電子決済ソリューションプラットフォームの構築や提供、並びにB2B向けECサイト構築パッケージの開発や販売等の事業を展開しています。

 

事業セグメント 事業内容
コンサルティング&ソリューション事業 デジタル放送・デジタルメディア関連向けや地方自治体向けのシステムコンサルティングサービス、並びにJavaやRubyのソフトウェア技術を活用した地方自治体の電子政府化関連や地銀・一般企業向け各種システム開発を行う。
サービス事業 iPhone等スマートフォン上で「電子決済ソリューション」の利用を可能にするサービス基盤(プラットフォーム)の開発を行う。
ECソリューション事業 B2B向けECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」の開発及び販売、並びに本パッケージ導入に係るコンサルティングやシステム開発及び保守を行う。

 

 

 

2-2.販売実績

 

セグメントの名称 売上高

(百万円)

割合

(%)

コンサルティング&ソリューション事業 724,812 23.0
サービス事業 2,339,180 74.2
ECソリューション事業 89,873 2.8
合計 3,153,866  

 同社ではサービス事業の売上高が最も高く、売上全体の74.2%を占めています。

 

相手先 販売高

(百万円)

割合

(%)

株式会社 大塚商会 1,314,000 41.7
株式会社 朋栄 881,925 28.0

 また、同社の売上高は対前年と比べると1,198,253千円の増収になっています。

 この売上高の増収分は、株式会社大塚商会との取引によるものだと考えられます。

 

 

 

2-3.経営上の重要な契約等

 

相手先 契約内容 契約年月日
米国

Network Appliance B.V.

販売代理店契約 平成19年5月21日から1年間。但し、契約期間満了までに双方いずれからも契約解除の申出がない限り、1年間自動継続され、以降も同様とする。
株式会社 朋栄 業務提携契約 平成20年11月12日に業務提携合意
米国

Apple Inc.

技術ライセンス契約 平成24年5月31日から2年間

その後1年毎の自動更新

 同社は、3社との間で契約を結んでいます。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金について

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 704,845 48.7% 436,626 30.8% 811,488 52.9%
総資産合計 1,446,129   1,415,469   1,533,478  

 現金及び預金が増減しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成28年3月期は営業キャッシュ・フローからの資金の支出に加え、有形固定資産や無形固定資産の取得、借入金の返済を行ったことが要因で現金及び預金が減少しています。

 平成29年3月期は営業キャッシュ・フローから十分な資金を儲けたことに加え、投資不動産を売却したことが要因で現金及び預金が増加しています。

 

2-4-2.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 

 

 

H27.3.31

(千円)

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー ▲73,237 ▲81,708 ▲213,165
短期借入金の純増減額(▲は減少) ▲62,130 ▲67,500 ▲277,035
長期借入れによる収入 0 0 100,000
長期借入金の返済による支出 ▲11,107 ▲14,208 ▲36,130

 財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心になっています。

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 短期借入金 484,348 33.5% 416,848 29.4% 177,894 11.6%
固定負債            
 長期借入金 236,459 16.4% 222,251 15.7% 248,040 16.2%
有利子負債合計 720,807 49.8% 639,099 45.2% 425,934 27.8%
総資産合計 1,446,129   1,415,469   1,533,478  

 その結果、有利子負債合計額は720,807千円から425,934千円にまで減少しています。

 平成29年3月期は多くの有利子負債を返済していますが、それでも多くの現金及び預金が手元に残っています。財務上はすばらしいことです。

 

 

 

2-5 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析していると気になる問題点も見受けられました。そのことについても取り上げていきます。

 

2-5-1.建物について

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 建物 17,089 1.2% 16,026 1.1% 16,026 1.0%
 減価償却累計額 ▲16,814 -1.2% ▲16,026 -1.1% ▲16,026 -1.0%
 建物(純額) 275 0.0% 0 0.0% 0 0.0%
総資産合計 1,446,129   1,415,469   1,533,478  

 同社が保有している建物は減価償却も済んで資産価値が0千円になっています。今回、始めて目にする珍しい事例です。

 しかし、この建物は親会社であるフライホールディングス(3753)が保有している建物のようです。

 従業員数7人で東京都渋谷区にある16,026千円の建物とは一体どんな建物なのでしょうか? 想像ができません。

 

※ 本社の所在地は、東京都渋谷区恵比寿4-6-1になっています。

 

2-5-2.長期貸付金について

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 長期貸付金 75,000 5.2% 75,000 5.3% 0 0.0%
総資産合計 1,446,129   1,415,469   1,533,478  

 平成28年3月期まで計上されていた75,000千円の長期貸付金が、平成29年3月期にはなくなっています。

 

 

 

H27.3.31

(千円)

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー ▲200,092 ▲118,127 505,547
その他 17,356 28,219 72,489

 なくなった理由について連結財務諸表を読んでもはっきりとはわかりませんが、平成29年3月期の営業キャッシュ・フローのその他として72,489千円の収入が計上され、長期貸付金の金額とほぼ一致しています。

 このことから、営業活動として長期貸付金を回収したと考えられます。しかし、本来であればこの長期貸付金は投資キャッシュ・フローからの収入として計上するべきものではないのでしょうか?

 

2-5-3.買掛金などについて

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 1,592,476   1,955,613   3,153,866  
流動負債            
 買掛金 167,608 11.6% 378,739 26.8% 154,497 10.1%
 未払法人税等 3,426 0.2% 5,581 0.4% 93,954 6.1%
 未払消費税等 0 0.0% 0 0.0% 78,670 5.1%
総資産合計 1,446,129   1,415,469   1,533,478  

 平成29年3月期は対前年比で61%も売上高が増えています。

 しかし、運転資金となる買掛金は増えるどころか逆に減っています。

 逆に未払法人税等や未払消費税等が急激に増え、両方を合計すると買掛金よりも多い172,624千円になります。

 この点について不自然さを感じます。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 平成29年3月期になると急激に売上高も利益も増加しています。その点についてはすばらしいと思います。

 また有利子負債の返済にも努め、財務体質も改善していることについては大いに評価できます。

 しかし、これまで取り上げてきたような問題点も含んでいる会社のように感じられました。

 5月9日の終値である1,149円で計算をすると、PERは271.63倍、PBRは15.78倍になっていました。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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