粉飾決算!? 省電舎ホールディング(1711)を分析してみる

   

 掲示板の書き込みなどを眺めていると粉飾決算の疑いで注目を浴びている銘柄があります。それが、省電舎ホールディングス(1711)です。

 私も同社の有価証券報告書を読んでみましたが、粉飾決算を行っているように感じられました。

 そこで今回は、同社が粉飾決算を行っていると思われる3つのポイントに絞って見ていきたいと思います。

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目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.不安定な業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.財務制限条項について

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.たな卸資産が増加

  2-4-2.異常に多い仮受金

  2-4-3.営業キャッシュ・フロー利益要素が赤字

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「省エネ支援は堅調。太陽光発電施設工事は買収分もあり伸びるが大口案件含め後ずれぎみ。19年3月期は売買目的の太陽光発電設備は鈍化。自家消費型システム販売の立ち上げ次第だが、浮揚力弱い。」と先行きが暗い内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は28.2%になり、安産性に不安が残ります。

 有利子負債は507百万円、総資産の21.8%を占めています。

 資本金1,009百万円に対し、利益剰余金は▲1,475百万円のマイナスになっています。

 

 

 

1-3.不安定な業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

2,638 ▲324 ▲357 ▲568 ▲318.3
16.3

(実績)

2,142 57 71 57 31.3
17.3

(実績)

1,785 ▲117 ▲112 ▲58 ▲27.7
18.3

(予想)

2,500 50 50 20 7.3
19.3

(予想)

2,700 70 70 30 10.9

 2015年3月期から売上高は減収傾向です。

 2016年3月期は黒字業績になっていますが、2015年3月期と2017年3月期は赤字業績になっています。

 しかし、2018年3月期からは売上高の増収に伴って黒字業績に転換をする業績予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第32期(平成28年4年1日-平成29年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は省エネルギー事業の推進により、顧客企業にエネルギー・ソリューション・サービスの提供を行っています。

 

セグメントの名称 事業内容
省エネルギー関連事業 顧客企業の省エネルギー化計画の調査からプランの作成、設計・施工、効果の検証までを一貫して行うエスコ事業を中心とし、各種省エネルギー化製商品の販売等も行っている。
再生可能エネルギー事業 太陽光発電及びバイオガスプラント等再生可能エネルギー設備導入における企画、設計、販売、施工及びコンサルティング事業を推進している。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

省エネルギー関連事業 301,990 16.9
再生可能エネルギー事業 1,483,102 83.1
合計 1,785,092  

 同社では再生可能エネルギー事業の売上高が最も高く、売上全体の83.1%を占めています。

 

相手先 販売高

(千円)

割合

(%)

昭和リース株式会社 435,000 24.4
株式会社トランスオーシャンプランニング 205,305 11.5
株式会社さんぴる 230,000 12.9
中国木材株式会社 228,992 12.8

 また、主な販売先4社で売上全体の61.6%を占めています。

 

 

 

2-3.財務制限条項について

 

 同社の連結子会社である株式会社エールケンフォーは、複数の取引金融機関との間で以下のような財務制限条項が付されているそうです。

 

(1) 各事業年度の決算期における連結子会社単体の損益計算書に示される経常利益及び減価償却費の合計を25,000千円以上に維持すること。

(2) 各事業年度の決算期の末日における連結子会社の貸借対照表における純資産の金額を451百万円以上に維持すること。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 さて、同社が粉飾決算を行っていると思われる3つのポイントについて取り上げていきたいと思います。

 

2-4-1.たな卸資産が増加

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 2,638,391   2,142,259   1,785,092  
流動資産            
 仕掛品 0 0.0% 0 0.0% 1,036 0.0%
 原材料及び貯蔵品 339,884 20.7% 17,391 1.9% 28,906 1.3%
 未成事業支出金 372,441 22.7% 73,306 8.0% 577,011 26.3%
たな卸資産合計 712,325 43.4% 90,697 9.8% 606,953 27.7%
総資産合計 1,641,415   921,071   2,190,838  

 平成29年3月期は売上高が減少していますが、たな卸資産が異常に増加しています。

 

 

 

H27.3.31

(回転)

H28.3.31

(回転)

H29.3.31

(回転)

たな卸資産回転比率 3.70 23.62 2.94

 また、たな卸資産回転比率も悪化しています。

 本来であれば費用として計上するべきものを資産化し、費用の過少計上を行っている可能性があります。

 

2-4-2.異常に多い仮受金

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 仮受金 366,120 22.3% 0 0.0% 0 0.0%
総資産合計 1,641,415   921,071   2,190,838  

 本来、仮受金は正式に科目処理をするまで一時的に分類する勘定科目であり、通常は短期間で正式な科目に振替えたあとになくなります。

 しかし、仮受金が366,120千円も計上され、総資産の22.3%を占めているのは異常です。会社として何かまずいものを隠しているのかもしれません。

 これも、かなりの可能性で粉飾を疑った方がよいと思います。

 

2-4-3.営業キャッシュ・フロー利益要素が赤字

 

 

 

H27.3.31

(千円)

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 ▲279,918 ▲180,176 ▲291,444
当期純利益 ▲568,183 57,624 ▲58,604
差額 288,265 ▲237,800 ▲232,840

 平成28年3月期は黒字業績なのに営業キャッシュ・フロー利益要素は赤字になっています。

 また、平成29年3月期は営業キャッシュ・フロー利益要素より当期純利益の方が多くなっています。

 いずれの期も業績不振を隠している可能性を疑った方がよいと思います。

 

 

 

3.私の見解

 


 

 今回、粉飾決算の可能性を疑うべきポイントについて3点を取り上げましたが、これ以外にも危険な兆候はいくつか見受けられました。

 投資家として危ない会社を見極めるためにも、まずは今回の事例でいえばこの3点は抑えておくべきだと思います。

 何よりも多くの会社の財務諸表を読み、知識を蓄えていけば投資家として目が肥えていき、よい会社、悪い会社の判断をする能力が身についていきます。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 建設業, 業種別

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