割安株、アップルインターナショナル(2788)を分析してみる

   

 平成30年12月期第1四半期の連結業績発表を目前にしてにわかに注目を浴びている銘柄があります。それが、アップルインターナショナル(2788)です。

 そこで今回は、同社のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.V字回復期待の業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.地域ごとの売上高

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金について

 2-5 気になる問題

  2-5-1.売上高が減少

  2-5-2.たな卸資産が増加

  2-5-3.投資有価証券について

  2-5-4.長期滞留債権について(その1)

  2-5-5.長期滞留債権について(その2)

  2-5-6.短期借入金が減少

  2-5-7.株式の発行について

  2-5-8.非支配株主持分について

  2-5-9.売上債権について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「国内加盟店は純増5~10(前期2)。中古車輸出はタイがトヨタ新型車販売テコに回復。中古商用車輸出はタイ拠点通じいすゞ自の台数拡大。リース、レンタカー事業も台数増。営業利益反転増。中国子会社採算に伴う為替差益。配当継続。」と期待が持てそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は89.4%もあり、安全性は十分です。

 有利子負債は1,476百万円、総資産の17.9%を占めています。

 資本金4,322百万円に対し、利益剰余金は1,988百万円です。

 

 

 

1-3.V字回復期待の業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.12

(実績)

31,024 747 19 50 4.0
14.12

(実績)

40,707 589 ▲759 ▲1,030 ▲82.7
15.12

(実績)

25,460 1,322 1,339 1,273 102.2
16.12

(実績)

14,808 489 517 388 31.2
17.12

(実績)

13,634 325 335 204 15.4
18.12

(予想)

16,600 570 1,300 1,150 83.1
19.12

(予想)

18,500 700 700 540 39.0

 2013年12月期から減収が続き、利益も減益傾向です。

 しかし、2018年12月期からは売上高及び利益ともに増収増益を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第23期(平成29年1年1日-平成29年12月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、国内、海外において自動車の販売ならびに仕入および買取を行っています。

 

セグメントの名称 事業内容
中古車輸出事業 国内一般ユーザー等から買取および国内オートオークションから仕入れた中古車を海外の輸入業者へ販売を行っている。
中古車買取・販売事業 国内ユーザー等から中古車の買取を行い、国内オートオークション、中古車販売業者等に販売を行っている。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

相手先 販売高

(千円)

割合

(%)

TEDDY AUTO SALE Co.,LTD. 1,525,968 11.2

 同社はTEDDY AUTO SALE Co.,LTD.に対して販売を行っており、売上高の11.2%を占めています。

 

 

 

2-3.地域ごとの売上高

 

売上高

(千円)

比率

(%)

日本 7,071,886 51.9
アジア

(中国除く)

6,562,836 48.1
売上高合計 13,634,723

 同社は日本以外の地域でも販売を行っており、売上高の半分ほどが海外によって構成されています。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金について

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 2,533,841 27.8% 2,429,573 32.0% 3,389,098 41.2%
総資産合計 9,104,709 7,593,008 8,230,049

 現金及び預金が増減しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成28年12月期は借入金の返済による支出が要因で減少しています。

 平成29年12月期は営業キャッシュ・フローから得られた資金と借入金や株式の発行による資金の調達によって増加しています。

 

 

 

2-5 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析していると多くの問題が見つかりました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-5-1.売上高が減少

 

 

 

H27.12.31

(千円)

H28.12.31

(千円)

H29.12.31

(千円)

売上高 25,460,047 14,808,003 13,634,723
当期純利益 1,273,159 388,673 204,173

 平成28年12月期には対前年比で売上高が4割近くも減少していますが、黒字を確保しています。

 連結損益計算書で確認を行いましたが、売上原価と販売費及び一般管理費が減少したことが要因で黒字を確保しています。

 

2-5-2.たな卸資産が増加

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

売上高 25,460,047 14,808,003 13,634,723
流動資産
 商品及び製品 731,943 8.0% 868,412 11.4% 1,299,967 15.8%
総資産合計 9,104,709 7,593,008 8,230,049

 売上高が3期連続で減少しているものの、商品及び製品は増加しています。

 売上原価の未計上や不良在庫が発生していないでしょうか?

 

2-5-3.投資有価証券について

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産
 投資有価証券 846,235 9.3% 268,155 3.5% 325,872 4.0%
総資産合計 9,104,709 7,593,008 8,230,049

 同社は投資有価証券を保有していますが、純資産の部にはその他有価証券評価差額金は計上されていません。

 株式のように時価変動を伴う投資有価証券は保有していないのでしょうか?

 

2-5-4.長期滞留債権について(その1)

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産
 長期滞留債権 1,643,174 18.0% 305,448 4.0% 299,448 3.6%
 貸倒引当金 ▲2,575,047 -28.3% ▲1,075,486 -14.2% ▲1,075,679 -13.1%
総資産合計 9,104,709 7,593,008 8,230,049

 投資その他の資産に長期滞留債権が計上されています。

 名称から考えると回収困難な債権だと考えられますが、破産更生債権等とすべき勘定科目ではないかと思われます。

 また、金額も大きく総資産の3.6%も占めています。そのことについても多少問題があるように感じます。

 

※ 一応、不良債権化したときのために貸倒引当金はきちんと計上されています。また、この貸倒引当金は、長期貸付金、長期営業債権、長期滞留債権に対するものになっています。

※ 長期滞留債権については、回収期間が見込めないそうです。

 

2-5-5.長期滞留債権について(その2)

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産
 長期滞留債権 1,643,174 18.0% 305,448 4.0% 299,448 3.6%
 貸倒引当金 ▲2,575,047 -28.3% ▲1,075,486 -14.2% ▲1,075,679 -13.1%
総資産合計 9,104,709 7,593,008 8,230,049

 平成28年12月期に長期滞留債権と貸倒引当金が減少しています。

 長期滞留債権を回収したため減少したのかもしれませんが、金額があまりにも大きいため詳しい理由について調べてみました。しかし、減少した理由につていの説明はありませんでした。

 

2-5-6.短期借入金が減少

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 2,354,665 25.9% 225,000 3.0% 0 0.0%
総資産合計 9,104,709 7,593,008 8,230,049

 一般に、短期借入金のような有利子負債が減少することは金利費用の減少と自己資本比率の上昇につながるため好ましいことです。

 しかし同社の場合、平成28年12月期には225,000千円にまで急激に減少しています。資産の部を見ても、この短期借入金を返済するために無理をして資金を調達しているように感じられます。

 このことから、私には銀行が融資を引きあげ始めたように感じられるのです。

 

※ 借入金のうち、974,160千円には、財務制限条項が付いているそうです。

 

2-5-7.株式の発行について

 

 

 

H27.12.31

(千円)

H28.12.31

(千円)

H29.12.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー 1,137,867 ▲181,309 224,886
 株式の発行による収入 0 0 398,737

 平成29年12月期には新たに株式を発行して資金の調達を行ってます。

 もし、銀行が融資を引きあげ始めていた場合には今後も新たに株式を発行して資金の調達を行うのではないかと思われます。

 そうなれば、発行済株式総数が増え続けていくことになりますので1株あたりの利益は減少をすることになります。

 

2-5-8.非支配株主持分について

 

 

 

H27.12.31

(千円)

割合

(%)

H28.12.31

(千円)

割合

(%)

H29.12.31

(千円)

割合

(%)

純資産の部
 非支配株主持分 ▲1,831,970 -20.1% ▲1,685,946 -22.2% ▲1,592,007 -19.3%
総資産合計 9,104,709 7,593,008 8,230,049

 純資産の部に計上されている非支配株主持分が▲1,592,007千円のマイナスとなっています。

 これは、子会社が債務超過になっていることを表しています。

 

2-5-9.売上債権について

 

 

 

H27.12.31

(千円)

H28.12.31

(千円)

H29.12.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー ▲418,718 8,580 841,958
 売上債権の増減額(▲は増加) ▲1,916,971 220,930 890,192

 営業キャッシュ・フローを確認すると、平成27年12月期に売上債権が1,916,971千円も増えています。

 同社の場合、海外の輸入業者ともビジネスを行っているため入金の遅れから売上債権が増加する場合があるそうです。

 それでも、この金額は他の勘定科目と比べても突出しており、不自然さを感じます。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 これまで見てきたように、私には多くの問題を抱えた会社のように感じられます。

 有価証券報告書を読んでいても、例えば「財政状況の分析」では流動資産や固定資産が増減した説明はありませんでした。この行為が投資家を欺いているように感じられます。

 5月2日の終値である367円で計算をすると、PERは4.38倍、PBRは0.69倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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