老舗企業、ヤマシナ(5955)を分析してみる

   

 今回は、創業100周年近くになる老舗企業、ヤマシナ(5955)に関する記事です。

 同社は十字穴ネジを主力事業としてビジネスを行い、平成30年5月2日には業績の上方修正も行っています。

 (業績予想の修正(上方)に関するお知らせ

 今回はそんなヤマシナ(5955)のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.絶好調な業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.地域ごとの売上高

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金が増加

  2-4-2.土地が減少

  2-4-3.土地について

  2-4-4.資産除去債務について

  2-4-5.多額の営業外収益

  2-4-6.3指標とも安定

 2-5 気になる問題

  2-5-1.投資有価証券が減少

  2-5-2.破産更生債権等について

  2-5-3.減価償却費について

  2-5-4.配当金の支払いが高額

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「国内生産好調な自動車向けにネジと金属部品の出荷伸長。設備更新奏功し採算向上。100周年配。税平常化。19年3月期は自動車向けネジ、金属部品の好調継続。IoT化の設備構造や材料費の増加こなす。記念配落とすが1.5円配の公算。」と絶好調な内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は64.4%あり、安全性は十分です。

 有利子負債は1,122百万円あり、総資産の7.6%になります。

 資本金90百万円に対し、利益剰余金は2,109百万円もあります。

 

 

 

1-3.絶好調な業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

6,394 283 332 298 2.1
16.3

(実績)

8,516 355 353 341 2.5
17.3

(実績)

8,427 427 458 441 3.2
18.3

(会社予想)

8,897 516 526 580 4.17
19.3

(予想)

9,100 550 560 360 2.6

 2015年3月期以降から増収増益の傾向が続き、平成30年5月2日には業績の上方修正を行っています。

 2019年3月期は税の平常化による影響でしょうか、売上高は伸びるものの利益は減益になる予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第142期(平成28年4年1日-平成29年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、ねじ及び電線ケーブルの製造、販売並びに不動産事業を主な事業として取り組んでいます。

 

セグメントの名称 事業内容
金属製品事業 自動車、産業機器、精密機器及び建材等のねじの製造、販売及び加工並びに精密ばね部品及び関連品の製造及び販売を行う。
電線・ケーブル事業 産業機器用、通信用、輸送用及び音響機器用等の電線・ケーブルの製造、販売及び各種ケーブルの端末加工を行う。
不動産事業 不動産の賃貸を行う。
その他 売電事業等を行う。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

部門 売上高

(百万円)

割合

(%)

金属製品事業 6,887,708 81.7
電線・ケーブル事業 1,318,497 15.6
不動産事業 209,366 2.5
その他 11,812 0.1
合計 8,427,385  

 同社では金属製品事業の売上高が最も高く、全体の8割近くを占めています。

 

 

 

2-3.地域ごとの売上高

 

  売上高

(千円)

比率

(%)

日本 7,441,137 88.3
アジア 953,578 11.3
その他 32,668 0.4
売上高合計 8,427,385  

 同社は日本以外の地域でも販売を行っており、海外での売上高は11.7%を占めています。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金が増加

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 1,786,414 13.0% 1,966,994 14.2% 2,703,955 19.1%
総資産合計 13,765,620   13,897,282   14,155,761  

 3期に渡り、現金及び預金が増加しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、いずれの期も営業キャッシュ・フローから十分な資金を獲得したことが主な要因です。

 

2-4-2.土地が減少

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 土地 4,628,728 33.6% 4,631,014 33.3% 4,378,253 30.9%
総資産合計 13,765,620   13,897,282   14,155,761  

 平成29年3月期に土地が減少しています。

 投資キャッシュ・フローと有形固定資産明細表で確認を行いましたが、主な減少要因は不動産賃貸用土地を売却したためのようです。

 

2-4-3.土地について

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 土地 4,628,728 33.6% 4,631,014 33.3% 4,378,253 30.9%
総資産合計 13,765,620   13,897,282   14,155,761  

 同社の場合、資産で一番大きいのは土地になっており、総資産の30%近くを占めています。

※ 保有している土地の多くは京都市山科区にある本社工場の土地になっています。

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

その他の包括利益累計額            
 土地再評価差額金 1,422,557 10.3% 1,434,559 10.3% 1,433,031 10.1%
総資産合計 13,765,620   13,897,282   14,155,761  

 しかし、総資産の10%は含み益で構成されています。

 

2-4-4.資産除去債務について

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

固定負債            
 資産除去債務 0 0.0% 0 0.0% 46,252 0.3%
総資産合計 13,765,620   13,897,282   14,155,761  

 平成29年3月期から資産除去債務が計上されています。

 これは、不動産賃貸借に伴う原状回復義務等のために計上され、17年間を見積もっているそうです。

 

2-4-5.多額の営業外収益

 

 

 

H27.3.31

(千円)

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

経常利益 332,434 353,099 458,817
営業利益 283,140 355,941 427,119
差額 49,294 ▲2,842 31,698

 営業利益に比べると、経常利益の方が多くなっています。

 その理由は、主にその他の営業外収益があるためです。

 

2-4-6.3指標とも安定

 

 

 

H27.3.31

(回転)

H28.3.31

(回転)

H29.3.31

(回転)

売上高 6,394,924 8,516,128 8,427,385
売上債権回転比率 2.66 3.40 3.40
棚卸資産回転比率 5.70 6.65 6.70
買掛債務回転比率 7.63 9.53 9.04

 売上高は増減していますが、3指標ともほとんど安定しています。

 経営管理がしっかりしている会社かもしれません。

 

 

 

2-5 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析している中で気になる問題がありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-5-1.投資有価証券が減少

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資有価証券 212,354 1.5% 68,275 0.5% 72,929 0.5%
総資産合計 13,765,620   13,897,282   14,155,761  

 平成28年3月期には投資有価証券が減少しています。

 投資キャッシュ・フローで確認をしても、144,079千円も減少した理由については不明です。

 

2-5-2.破産更生債権等について

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 破産更生債権等 1,155,223 8.4% 1,155,096 8.3% 1,039,269 7.3%
 貸倒引当金 ▲1,187,150 -8.6% ▲1,183,375 -8.5% ▲1,071,657 -7.6%
総資産合計 13,765,620   13,897,282   14,155,761  

 破産更生債権等が1,039,269千円も計上され、総資産の7.3%を占めています。

 一応、不良債権化したときのために貸倒引当金は計上されていますが、与信管理が甘い会社だという印象を受けました。

 

2-5-3.減価償却費について

 

 

 

H27.3.31

(千円)

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー 677,959 582,175 926,606
 税金等調整前当期純利益 312,886 356,185 330,609
 減価償却費 263,790 376,747 352,695

 税金等調整前当期純利益と比べると、減価償却費の計上額が少ないように感じられます。

 有形固定資産の内訳を見てみると多くの減価償却費を計上できそうな勘定科目は機械装置及び運搬具(純額)ぐらいだと思いますが、総資産のわずか5.0%しかありませんでした。

 もっと減価償却費を計上することはできないのでしょうか。そうすれば利益を低く抑えることができ、結果的に会社に多くのカネを残すことができるはずです。

 

2-5-4.配当金の支払いが高額

 

 

 

H27.3.31

(千円)

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

当期純利益 298,025 341,285 441,316
配当額 138,915 139,295 140,062
会社に残る利益 159,110 201,990 301,254

 利益の多くが配当金として支払われています。そのため、会社には思っていたほど利益が残っていませんでした。

 しかし、この会社は自己資本比率も十分にあってニッチ市場でビジネスを行っています。そのため、あまり利益を必要とはせず株主に還元する方向で経営を行っているのかもしれません。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 業績は右肩上がりで、経営管理と財務体質に比較的優れた会社だという印象を受けました。

 しかし、破産更生債権等の計上額が一番気がかりですが、平成17年3月期の頃と比べるとだいぶ改善はしています。この調子でいけば、あと10年くらいでなくなると思います。

 また保有している土地の含み益により資産価値が大きく上昇していますが、不況がやってきたときに地価の下落が起こらないか心配です。そうなれば会社の資産は大きく値下がりをすることになり、自己資本比率も悪くなるため財務的に悪影響を与えます。また、業績にも大きな影響を与えてしまいます。

 5月2日の終値である116円で計算をすると、PERは50.43倍、PBRは1.62倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 金属製品

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