増収増益株、レカム(3323)を分析してみる

   

 近年、増収増益が続いている絶好調な銘柄がありました。それが、レカム(3323)です。

 平成30年4月26日には、同社の子会社が中国に上場申請を行い、それが受理されたという発表を行っていますが、株価は大幅に値下がりをしました。

 (海外子会社の中国新三板市場への上場申請に関するお知らせ

 本日は、そんなレカム(3323)のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

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目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.増収増益の業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.セグメント別売上高について

 2-3.発行済株式総数、資本金等の推移について

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金が増加

  2-4-2.投資キャッシュ・フローでは、有価証券及び投資有価証券の取得が中心

 2-5 気になる問題

  2-5-1.のれんについて

  2-5-2.役員退職慰労引当金について

  2-5-3.黒字業績について

  2-5-4.財務キャッシュ・フローでは、株式の発行が中心

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「海外の日系工場向けLED照明販売が一段増。BPOも既存顧客向け伸ばす。情報通信はセキュリティ機器好調だがビジネスホン、デジタル複合機が不振。光通信子会社の連結化で前号より営業益上振れだが、会社増額計画には過大感。増配。」と好調ぶりの業績に対し、会社計画の過大感があることを指摘した内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は54.8%と、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は344百万円、総資産の12.2%を占めています。

 資本金1,011百万円に対し、利益剰余金は▲428百万円になっています。

 

 

 

1-3.増収増益の業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.9

(実績)

3,718 ▲64 ▲67 28 0.6
16.9

(実績)

4,421 124 97 54 1.0
17.9

(実績)

5,139 292 258 140 2.4
18.9

(予想)

7,700 600 570 290 4.7
19.9

(予想)

9,000 700 670 340 5.6

 2015年9月期から2017年9月期までは増収増益の業績が続いています。

 そして、2018年9月期以降も増収増益を予想しており、業績の好調ぶりが伺えます。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第24期(平成28年10年1日-平成29年9月30日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、ビジネスホン・デジタル複合機等の情報通信機器のリース販売、これに付帯する設置工事、保守サービスおよびBPO事業を行っています。

 

セグメントの名称 事業内容
情報通信事業 ビジネスホン、デジタル複合機、その他OA機器等の情報通信機器を直営店、フランチャイズ加盟店、代理店のチャネルで販売を行う。
BPO事業 グループ内の管理業務の受託事業、グループ外の顧客からのアウトソース事業を主として中国国内にて運営を行う。
海外法人事業 中国及びベトナム国内におけるLED等のエコ商材、情報通信機器の販売を行う。

 

 

 

2-2.セグメント別売上高について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

情報通信事業 4,305,726 83.8
海外法人事業 488,361 9.5
BPO事業 345,092 6.7
合計 5,139,179  

 同社では情報通信事業の売上高が最も高く、売上全体の8割以上を占めています。

 

相手先 販売高

(千円)

割合

(%)

オリックス株式会社 1,368,450 26.6
NTTファイナス株式会社 1,243,362 24.2

 また、オリックス株式会社とNTTファイナンス株式会社の2社だけで売上高の50%を占めています。

 

 

 

2-3.発行済株式総数、資本金等の推移について

 

  発行済株式総数増減数

(株)

発行済株式総数残高

(株)

資本金増減額

(千円)

平成26年4月1日 42,891,651 43,324,900 0
平成26年5月31日 60,000 43,384,900 652
平成26年8月31日 4,324,500 47,709,400 167,186
平成26年9月30日 2,796,100 50,505,500 110,208
平成27年9月30日 292,000 50,797,500 3,349
平成27年11月30日 43,000 50,840,500 524
平成28年2月29日 1,538,500 52,379,000 50,001
平成28年3月31日 5,300,100 57,679,100 174,188
平成29年8月31日 2,437,800 60,116,900 79,375

 毎年のように、新たに株式を発行して資金調達を行っています。

 その結果、発行済株式総数残高はこの4年間で38.7%も増えています。

 新たに株式を発行すれば1株あたりの利益は希薄化をしますので、結果的に株主としては損をすることになります。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金が増加

 

 

 

H27.9.30

(千円)

割合

(%)

H28.9.30

(千円)

割合

(%)

H29.9.30

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 481,725 22.9% 976,486 37.5% 1,304,017 41.2%
総資産合計 2,099,122   2,602,471   3,161,975  

 3期に渡り、現金及び預金が増加しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成28年9月期は営業キャッシュ・フローから資金を得られたことに加え、新たに株式を発行して資金を調達したことが要因で増えています。

 平成29年9月期は営業キャッシュ・フローから資金を得らえたことに加え、銀行からの借入や新たに株式を発行して資金を調達したことが要因で増えています。

 また、短期的な支払能力を表す当座比率は177%もあり、財務体質には優れています。

 

2-4-2.投資キャッシュ・フローでは、有価証券及び投資有価証券の取得が中心

 

 

 

H27.9.30

(千円)

H28.9.30

(千円)

H29.9.30

(千円)

投資キャッシュ・フロー ▲46,430 ▲89,619 ▲146,566
有価証券及び投資有価証券の取得による支出 0 ▲95,882 ▲114,698
有価証券及び投資有価証券の売却による収入 0 61,082 0

 投資キャッシュ・フローでは、有価証券及び投資有価証券の取得が中心になっています。

 

 

 

H27.9.30

(千円)

割合

(%)

H28.9.30

(千円)

割合

(%)

H29.9.30

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 有価証券 0 0.0% 0 0.0% 101,541 3.2%
投資その他の資産            
 投資有価証券 0 0.0% 34,800 1.3% 47,956 1.5%
総資産合計 2,099,122   2,602,471   3,161,975  

 その結果、有価証券と投資有価証券が増えています。

 

 

 

2-5 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析している中で気になる問題もありました。そのことについても取り上げたいと思います。

 

2-5-1.のれんについて

 

 

 

H27.9.30

(千円)

割合

(%)

H28.9.30

(千円)

割合

(%)

H29.9.30

(千円)

割合

(%)

無形固定資産            
 のれん 292,943 14.0% 277,582 10.7% 245,359 7.8%
総資産合計 2,099,122   2,602,471   3,161,975  

 のれんが245,359千円も計上され、総資産の7.8%を占めるようになっています。

 これまでに高い金額を出して他社を買収してきたと考えらますが、本業の方は一体どうなっているのでしょうか?

 また、今後もM&Aを活用して事業拡大を図っていくそうです。

 

※ のれんとは無形の価値(会社のブランド力や収益力など)に対し、帳簿価格以上の金額で買収をした場合に計上される勘定科目です。例えば、純資産800万円の会社を1,000万円で買収した場合、差額の200万円がのれんになります。

※ 同社の場合、のれんの償却期間は8年間から10年間の均等償却を行っています。

 

2-5-2.役員退職慰労引当金について

 

 

 

H27.9.30

(千円)

割合

(%)

H28.9.30

(千円)

割合

(%)

H29.9.30

(千円)

割合

(%)

固定負債            
 役員退職慰労引当金 22,098 1.1% 0 0.0% 0 0.0%
総資産合計 2,099,122   2,602,471   3,161,975  

 平成28年9月期から、役員退職慰労引当金がなくなっています。

 連結損益計算書で確認をすると、特別利益として役員退職慰労引当金戻入額22,274千円を計上しています。

 役員退職慰労金の制度を止めたのでしょうか? 気になるところです。

 

2-5-3.黒字業績について

 

 

 

H27.9.30

(千円)

H28.9.30

(千円)

H29.9.30

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 ▲2,231 156,043 307,525
当期純利益 28,774 54,201 140,361
差額 ▲31,005 101,842 167,164

 平成27年9月期の当期純利益は黒字であるものの、営業キャッシュ・フロー利益要素は赤字になっています。

 その理由について連結損益計算書と連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、特別利益として事業譲渡益や預り金返還免除益、関係会社株式売却益などの特別利益を計上しているため黒字業績になっていました。

 しかし、これらの特別利益はキャッシ・フロー上では資金の獲得につながっていません。

 

2-5-4.財務キャッシュ・フローでは、株式の発行が中心

 

 

 

H27.9.30

(千円)

H28.9.30

(千円)

H29.9.30

(千円)

財務キャッシュ・フロー ▲30,079 373,599 101,096
株式の発行による収入 0 99,227 0
新株予約権の行使による株式の発行による収入 0 342,627 156,494

 財務キャッシュ・フローでは、株式の発行による資金調達が中心になっています。

 

 

 

H27.9.30

(千円)

割合

(%)

H28.9.30

(千円)

割合

(%)

H29.9.30

(千円)

割合

(%)

株主資本            
 資本金 707,805 33.7% 932,519 35.8% 1,011,895 32.0%
 資本剰余金 626,281 29.8% 916,452 35.2% 956,236 30.2%
総資産合計 2,099,122   2,602,471   3,161,975  

 その結果、純資産の部の資本金及び資本剰余金が増えています。

 

 

 

H27.9.30

(株)

H28.9.30

(株)

H29.9.30

(株)

発行済株式 50,797,500 57,679,100 60,116,900

 また、発行済み株式総数も年々増えています。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 平成28年3月期と平成29年3月期は黒字業績で営業キャッシュ・フローから資金を獲得しているにもかかわらず、新たに株式を発行して資金を調達しています。

 私にはこの行為が株主の利益を無視した行為に感じられます。

 業績は増収増益が続いて素晴らしいものがありますが、今後も新たに株式を発行し続け利益の希薄化が続いてしまう恐れがあると思っています。

 4月26日の終値である262円で計算をすると、PERは46.29倍、PBRは10.15倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 卸売業, 業種別

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