驚愕、日産自動車(7201)を分析してみる

      2018/05/06

 私なりにいろいろ調べていると多くの投資家に注目されている銘柄を見つけました。それが、日産自動車(7201)です。

 平成30年2月8日に業績の上方修正を行っていますが、これが注目されている理由なのでしょうか?

 (業績予想の修正に関するお知らせ

 他にもいろいろと調べていると、日産自動車などで構成する企業連合は世界販売第2位になったそうです。

 そこで今回は、日産自動車(7201)のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.増益傾向の業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.地域ごとの売上高

 2-4.経営上の重要な契約

 2-5.役員の報酬

 2-6.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-6-1.現金及び預金が増加

  2-6-2.経常利益の方が多い

 2-7 気になる問題

  2-7-1.為替換算調整勘定のマイナス幅が増加

  2-7-2.販売金融事業について

  2-7-3.販売金融債権について

  2-7-4.投資キャッシュ・フローでは、リース車両の取得が中心

  2-7-5.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の借入が中心

  2-7-6.有形固定資産の償却方法について

  2-7-7.偶発債務について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「世界販売578万台(2.7%増)。不正検査関連費膨張で再減額。米国法人減税で純益膨張。19年3月期は米国採算改善に加え、不正関連費消滅し国内販売も回復。新車投入で中国に攻戦。営業益向上。」と来期からの業績に期待が持てそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は27.1%しかありません。

 有利子負債は8,758,453百万円、総資産の44.8%も占めています。

 資本金605,814百万円に対し、利益剰余金は4,729,730百万円もあります。

 

 

 

1-3.増益傾向の業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.03

(実績)

11,375,207 589,561 694,232 457,574 109.2
16.03

(実績)

12,189,519 793,278 862,272 523,841 125.0
17.03

(実績)

11,720,041 742,228 864,733 663,499 165.9
18.03

(予想)

11,800,000 565,000 670,000 705,000 180.3
19.03

(予想)

11,900,00 720,000 870,000 600,000 153.4

 売上高はほぼ横ばいですが、利益は年々増えています。

 しかし、2018年3月期以降も増収が続くものの、2019年3月期にはいったん減益になる業績予想です。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第118期(平成28年4年1日-平成29年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社では自動車及び部品の製造と販売を主な事業とし、さらに販売活動を支援するための販売金融サービスを行っています。

 

セグメントの名称 事業内容
自動車事業 自動車及び部品の製造と販売を行う。
販売金融事業 自動車事業の販売活動を支援するために、販売金融及びリース事業を行ている。

 

 

 

2-2.販売実績

 

セグメントの名称 売上高

(百万円)

割合

(%)

自動車事業 10,736,810 91.6
販売金融事業 983,231 8.4
合計 11,720,041  

 同社では自動車事業の売上高が最も高く、売上全体の9割近くを占めています。

 

 

 

2-3.地域ごとの売上高

 

  売上高

(百万円)

比率

(%)

日本 1,827,937 15.6
北米 5,807,622 49.5
欧州 1,670,283 14.3
アジア 1,260,964 10.8
その他 1,153,235 9.8
売上高合計 11,720,041  

 国内の売上高はわずか15.6%ほどしかなく、外国での販売がメインになってます。

 

 

 

2-4.経営上の重要な契約

 

相手先 内容 契約年月日
ルノー(フランス) 資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約 平成11年3月27日
ダイムラーAG(ドイツ)

ルノー(フランス)

資本参加を含む戦略的協力に関する提携契約 平成22年4月7日
三菱自動車工業株式会社(日本) 資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約 平成28年5月25日

 同社は、ルノーやダイムラーAG、三菱自動車工業株式会社と資本参加に関する契約を結んでいます。

 

 

 

2-5.役員の報酬

 

氏名 役員区分 総報酬

(百万円)

カルロス ゴーン 取締役 1,098
西川 廣人 取締役 396
中村 公泰 取締役 110
坂本 秀行 取締役 102

 同社では1億円以上の報酬をもらっている役員が4名いますが、中でもカルロスゴーンは10億円を超えています。

 

 

 

2-6.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-6-1.現金及び預金が増加

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 761,074 4.5% 918,771 5.3% 1,122,484 6.1%
総資産合計 17,045,659   17,373,643   18,421,008  

 3期に渡り、現金及び預金が増えています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、固定資産やリース車両の取得のために営業キャッシュ・フローからの資金だけでは補うことができず、その不足分を銀行などから借入れた結果、現金及び預金が増えています。

 

2-6-2.経常利益の方が多い

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

経常利益 694,232 862,272 864,733
営業利益 589,561 793,278 742,228
差額 104,671 68,994 122,505

 3期に渡り、営業利益よりも経常利益の方が多くなっています。

 その理由は、持分法による投資利益やデリバティブ収益などの営業外収益があるためです。

 

 

 

2-7 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析している中で気になる問題もありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-7-1.為替換算調整勘定のマイナス幅が増加

 

 

 

H27.12.31

(百万円)

割合

(%)

H28.12.31

(百万円)

割合

(%)

H29.12.31

(百万円)

割合

(%)

その他の包括利益累計額            
 為替換算調整勘定 ▲246,776 -1.4% ▲582,363 -3.4% ▲687,841 -3.7%
総資産合計 17,045,659   17,373,643   18,421,008  

 3期に渡り、純資産の部に計上されている為替換算調整勘定のマイナス幅が増えています。その結果、平成29年3月期には総資産が3.7%も減少しています。

 為替換算調整勘定のマイナス幅が増えた要因は、円高の影響によるものだと考えられます。

 

※ 為替換算調整勘定とは海外に子会社を有している場合に計上され、日本の親会社がこれを決算で連結する際に円に換算する(例えば、ドルから円へ)ためのものです。

 

2-7-2.販売金融事業について

 

  自動車事業 販売金融事業 連結計
売上高
(百万円)
10,736,810 983,231 11,720,041
当期純利益
(百万円)
570,500 92,999 663,499
売上高当期純利益率
(%)
5.3 9.5 5.7

 自動車事業の売上高当期純利益率が5.3%に対し、販売金融事業の売上高当期純利益率は9.5%もあります。

 

  自動車事業 販売金融事業 連結計
売上高
(百万円)
10,736,810 983,231 11,720,041
総資産
(百万円)
7,850,505 10,570,503 18,421,008
総資産回転比率
(回転)
1.37 0.09 0.64

 しかし、自動車事業の総資産回転比率が1.37回転もあるのに対し、販売金融事業の総資産回転比率は0.09回転しかありません。

 

2-7-3.販売金融債権について

 

 

販売金融事業

H27.3.31

(百万円)

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

売上高 811,330 964,874 983,231
営業キャッシュ・フロー ▲114,818 35,748 97,444
 販売金融債権の増減額(▲は増加) ▲709,393 ▲806,840 ▲768,086

 営業キャッシュ・フローでは、販売金融債権による資金の支出が目立ちます。

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 販売金融債権 6,312,874 37.0% 6,653,237 38.3% 7,340,636 39.8%
総資産合計 17,045,659   17,373,643   18,421,008  

 その結果、販売金融債権は年々増えて総資産の39.8%も占めるようになっています。

 この販売金融債権は販売金融事業に対する資産であり、顧客に対する債権です。

 

2-7-4.投資キャッシュ・フローでは、リース車両の取得が中心

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

投資キャッシュ・フロー ▲1,022,025 ▲1,229,280 ▲1,377,626
リース車両の取得による支出 ▲1,070,654 ▲1,385,990 ▲1,293,840
リース車両の売却による収入 537,721 560,861 512,375

 投資キャッシュ・フローでは、リース車両の取得が中心になっています。

 このリース車両は、販売金融事業で使用するためのものです。

 

2-7-5.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の借入が中心

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

財務キャッシュ・フロー 245,896 530,606 320,610
短期借入の純増減額
(▲は減少)
445,170 420,085 16,119
長期借入れによる収入 981,970 1,824,367 1,724,688
社債の発行による収入 325,513 270,592 878,641
長期借入金の返済による支出 ▲1,094,942 ▲1,545,177 ▲1,369,795
社債の償還による支出 ▲238,124 ▲212,033 ▲344,009

 財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の借入が中心になっています。

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債            
 短期借入金 1,022,613 6.0% 1,037,271 6.0% 980,654 5.3%
 1年内返済予定の長期借入金 1,376,780 8.1% 1,350,894 7.8% 1,339,982 7.3%
 コマーシャル・ペーパー 200,692 1.2% 499,875 2.9% 430,019 2.3%
 1年内償還予定の社債 216,942 1.3% 357,998 2.1% 368,101 2.0%
固定負債            
 社債 1,095,518 6.4% 969,987 5.6% 1,493,159 8.1%
 長期借入金 2,717,478 15.9% 2,755,896 15.9% 3,103,803 16.8%
有利子負債合計 6,630,023 38.9% 6,971,921 40.1% 7,715,718 41.9%
総資産合計 17,045,659   17,373,643   18,421,008  

 その結果、有利子負債は年々増えて総資産の41.9%を占めるようになっています。

 この有利子負債は販売金融債権に対する運転資金や、リース車両を取得するために調達したと考えられます。

 

2-7-6.有形固定資産の償却方法について

 

 一般に、有形固定資産の償却方法では多くの会社が定率法を採用しています。なぜなら、その方が最初で多くの費用を計上できるため節税に効果があるからです。

 しかし同社の場合は、毎年一定額で費用計上を行う定額法を採用しています。

 

2-7-7.偶発債務について

 

 タカタ製エアバッグ・インフレーター(膨張装置)に関連した訴訟について将来発生する費用を合理的に見積もることができないため、それに係る損失の引当金は計上していないそうです。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 会社のファンダメンタルズを分析していると、自動車事業でせっかく儲けた資金がリース車両の取得のために消えてしまっていることに違和感を持ちました。

 また、「本業の自動車事業よりも販売金融事業に力を入れていくのかな」という印象を受けました。

 少なくとも、日産自動車の自動車事業に期待をして投資をするということについてはいかがなものかと思います。

 4月27日の終値である1,151.5円で計算をすると、PERは6.39倍、PBRは0.85倍になっていました。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 輸送用機器

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