有機EL関連銘柄、ケミプロ化成(4960)を分析してみる

   

 今、  有機EL関連で成長株としてひそかに注目を浴びている銘柄を発見しました。それは、ケミプロ化成(4960)です。

 また、平成29年11月10日には平成30年2月期第2四半期累計期間業績の上方修正を行っています。

 (平成30年3月期第2四半期累計期間業績予想と実績の差異に関するお知らせ

 そこで今回は、ケミプロ化成(4960)のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.安定した業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.地域ごとの売上高

 2-4.経営上の重要な契約について

 2-5.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.現金及び預金が増加

  2-5-2.有形固定資産が増加

 2-6 気になる問題

  2-6-1.たな卸資産が増加

  2-6-2.財務キャッシュ・フローでは、短期借入金が中心

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「酸化防止剤など全般数量増加。原料価格安定だが、償却増が営業益圧迫。保険金特益消滅。19年3月期は紫外線吸収剤がBASF向けに硬調。有機EL材料の福島工場は操業率向上。原料高でも利益好転。」と期待が持てそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は29.2%と、少し安全性に欠けている気がします。

 有利子負債は6,291百万円、総資産の42.6%も占めています。

 資本金2,155百万円に対し、利益剰余金は1,098百万円しかありません。

 

 

 

1-3.安定した業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

8,648 185 59 61 3.7
16.3

(実績)

9,208 227 113 163 10.0
17.3

(実績)

9,050 452 357 301 18.4
18.3

(予想)

10,000 420 300 180 11.0
19.3

(予想)

10,500 480 360 200 12.2

 2015年3月期から2017年3月期まではほぼ、増収増益傾向です。

 しかし、2018年3月期は売上高は増益、利益は減益の予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第36期(平成28年4年1日-平成29年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、化学品事業、ホーム産業事業の製造・販売を主たる業務としています。

 

セグメントの名称 主要取扱い品目
化学品事業 ・紫外線吸収材

・写真薬中間体

・製紙用薬剤

ホーム産業事業 ・木材保存薬剤

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

化学品事業 8,090,542 89.4
ホーム産業事業 959,853 10.6
合計 9,050,395  

 同社では化学品事業の売上高が最も高く、売上全体の9割近くを占めています。

 

相手先 販売高

(百万円)

割合

(%)

BASFジャパン(株) 3,466,519 38.3

 また、売上高の38.3%はBASFジャパン(株)に対する販売で成り立っています。

 

 

 

2-3.地域ごとの売上高

 

  売上高

(千円)

比率

(%)

日本 7,944,831 87.8
その他 1,105,564 12.2
売上高合計 9,050,395  

 同社は日本以外の地域でも販売を行っており、売上全体の12.2%を占めています。

 

 

 

2-4.経営上の重要な契約について

 

相手先 契約内容 契約期間
BASFジャパン(株) 1.当社より、BASFジャパン(株)への紫外線吸収剤の安定的供給についての基本契約

2.当社製品である紫外線吸収剤の国外における実質的独占販売権をBASFジャパン(株)に許与する。

3.BASFジャパン(株)は、当社より紫外線吸収剤を一定量以上購入する。

平成27年10月1日から平成30年9月30日まで

 同社は、BASFジャパン(株)へ主力製品である紫外線吸収剤の安定的な供給を保証する契約を取り交わしています。

 後ほど同社の在庫水準の問題について触れますが、もしかするとこの契約も関係しているのかもしれません。

 

 

 

2-5.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-5-1.現金及び預金が増加

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 2,718,544 19.8% 3,372,700 24.4% 3,338,421 23.2%
総資産合計 13,755,197   13,832,771   14,400,046  

 平成28年3月期には現金及び預金が増加しています。

 キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、営業キャッシュ・フローから十分な資金を獲得したことが要因で増えています。

 

2-5-2.有形固定資産が増加

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 建物(純額) 868,585 6.3% 1,087,445 7.9% 1,035,126 7.2%
 機械及び装置(純額) 213,860 1.6% 435,707 3.1% 394,070 2.7%
総資産合計 13,755,197   13,832,771   14,400,046  

 平成28年3月期には建物(純額)と機械及び装置(純額)の増加が目立ちます。

 増加要因について詳しく調べてみると、有機ELを扱っている福島工場への設備投資を行っていました。

 ちなみに、平成28年3月期には「ふくしま産業復興企業立地補助金」として310百万円の国庫補助金を計上しています。

 福島工場への設備投資は、この補助金を活用したものだと考えられます。

 

 

 

2-6 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析している中で気になる問題もありました。そのことについても取り上げたいと思います。

 

2-6-1.たな卸資産が増加

 

 

 

H27.3.31

(%)

H28.3.31

(%)

H29.3.31

(%)

営業利益率 2.1 2.5 5.0

 平成29年3月期は売上高が減少しているものの、営業利益率は改善しています。

 利益面の改善として、利益率の高い製品の売上高が増加したことや、経費圧縮に努めたことを挙げています。

 

 

 

H27.3.31

(回転)

H28.3.31

(回転)

H29.3.31

(回転)

たな卸資産回転比率 2.88 3.24 2.68

 しかし、たな卸資産回転比率は2.68回転にまで悪化しています。

 

 

 

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

H28.3.31

(千円)

割合

(%)

H29.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 8,648,216   9,208,306   9,050,395  
流動資産            
 商品及び製品 2,317,585 16.8% 2,138,515 15.5% 2,616,750 18.2%
 仕掛品 94,746 0.7% 108,858 0.8% 171,752 1.2%
 原材料及び貯蔵品 591,945 4.3% 596,579 4.3% 589,277 4.1%
たな卸資産合計 3,004,276 21.8% 2,843,952 20.6% 3,377,779 23.5%
総資産合計 13,755,197   13,832,771   14,400,046  

 同時に、たな卸資産も増えています。

 本来であれば、評価損として計上するべき費用の計上を見送っているのではないでしょうか?

 

2-6-2.財務キャッシュ・フローでは、短期借入金が中心

 

 

 

H27.3.31

(千円)

H28.3.31

(千円)

H29.3.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー ▲100,333 ▲227,134 ▲525,165
短期借入による収入 5,550,000 6,435,000 5,545,000
短期借入金の返済による支出 ▲5,550,000 ▲6,435,000 ▲6,545,000

 財務キャッシュ・フローでは短期借入金の借入や返済が中心になっていますが、この取扱金額は総資産の約45.0%に匹敵します。

 短期借入金は主として運転資金に活用しているそうですが、過剰在庫が過剰借入の原因につながっているように感じられます。

 従って在庫管理を徹底して適正水準に保つことができれば、借入金額も今より少額に抑えることができるのではないでしょうか。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 同社のファンダメンタルズを分析して感じたことは、在庫管理がヘタで借入金に頼っている会社だという印象を受けました。

 そのため、在庫管理を徹底する必要があると感じます。そうして無駄な在庫を持たないようにすれば、管理費や処分費、運転資金として活用している借入金の金利費用などを抑えることができると思います。

 しかし、これらの問題については同社も対応すべき課題としてきちんと自覚をしていますので、将来的には改善をしていくことに期待したいと思います。

 また新規ビジネスである有機EL材料については、すでにディスプレイ用途をはじめとする様々な方面に販売ルートの構築を行う段階に達し、有機EL関連特許も相当数保有しているそうです。

 その他、紫外線吸収剤及び有機EL材料をはじめとする電子材料関連の独自技術を駆使して新製品の開発を進めているそうです。

 今後、その分野の成長性が見込まれて多くの投資家に注目を浴びれば、大化けをするかもしれません。

 4月16日の終値である306円で計算をすると、PERは33.41倍、PBRは1.16倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 化学, 業種別

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