増収増益株、東海カーボン(5301)を分析してみる

   

 2018年2月13日に東海カーボン(5301)の決算発表がありました。それによると、2018年12月期の売上高は対前年比で63.8%の増収、当期純利益は対前年比で2.53倍の増益を予想しています。

 (2017年12月期 決算短信[日本基準](連結)

 また、創立100周年記念配当を実施する予定の発表も行っています。

 (2018年12月期 創立100周年記念配当に関するお知らせ

 そこで今回は、増収増益の業績予想を行った同社のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.増収増益予想の業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.地域ごとの売上高

 2-4.役員の報酬について

 2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.現金及び預金が増加

  2-5-2.投資有価証券が増加

  2-5-3.保有株式について

  2-5-4.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

  2-5-5.多額の営業外収益

  2-5-6.赤字業績

 2-6 気になる問題

  2-6-1.たな卸資産が増加

  2-6-2.のれんが多額

  2-6-3.のれんの償却方法について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「タイヤ用カーボンブラック引き合い旺盛。リチウムイオン2次電池用負極材も続伸。黒鉛電極は需給逼迫で市場急回復、売価の大幅上昇で収益急増。北米拠点の買収効果も通年寄与。最高純益を軽々更新。100周年記念配当含め配当倍増。」と完璧ともいえる内容です。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は68.8%もあり、安全性は十分です。

 有利子負債は16,142百万円、総資産の8.8%ほどしかありません。

 資本金20,436百万円に対し、利益剰余金は78,902百万円あります。

 

 

 

1-3.増収増益予想の業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.12

(実績)

100,935 1,655 3,114 1,213 5.7
14.12

(実績)

114,576 3,703 4,180 2,562 12.0
15.12

(実績)

104,864 4,088 4,317 2,484 11.7
16.12

(実績)

88,580 1,131 1,702 ▲7,929 ▲37.2
17.12

(実績)

106,252 11,486 13,249 11,816 55.4
18.12

(予想)

174,000 43,000 44,000 30,000 140.7
19.12

(予想)

175,000 42,000 43,000 29,000 136.1

 2016年12月期を除くと、2013年12月期から2017年12月期まで売上高はほぼ一定であるものの、増益が続いています。

 そして、2018年12月期は売上高及び利益の増収増益を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第156期(2017年1年1日-2017年12月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、カーボンブラックや電気製鋼炉用黒鉛電極などを扱う事業を行っています。

 

事業区分 主要な製品
カーボンブラック事業 カーボンブラック(ゴム製品用・黒色顔料用・導電用)
黒鉛電極事業 電気製鋼炉用黒鉛電極
ファインカーボン事業 ファインカーボン(特殊炭素製品)、電機用ブラシ、鉛筆用芯
工業炉及び関連製品事業 工業用電気炉、ガス炉、炭化けい素・アルミナ耐火物、耐火断熱煉瓦、炭化けい素発熱体、セラミックス抵抗器
その他事業 摩擦材、リチウムイオン二次電池用負極材、不動産賃貸

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(百万円)

割合

(%)

カーボンブラック事業 47,828 45.0
黒鉛電極事業 23,610 22.2
ファインカーボン事業 14,447 13.6
工業炉及び関連製品事業 6,823 6.4
その他事業 13,542 12.7
合計 106,252  

 同社はカーボンブラック事業の売上高が最も高く、売上全体の45.0%を占めています。

 その次は黒鉛電極事業の売上高が高く、売上全体の22.2%を占めています。

 

 

 

2-3.地域ごとの売上高

 

  売上高

(百万円)

比率

(%)

日本 49,623 46.7
タイ 12,094 11.4
アジア 18,225 17.2
欧州 12,310 11.6
その他の地域 13,998 13.2
売上高合計 106,252  

 同社は日本以外でも販売を行っており、外国の売上高比率は53.3%になっています。

 

 

 

2-4.役員の報酬について

 

 同社の役員報酬は「基本報酬」に加えて、業績目標の達成度によって変動する「業績連動型報酬」で構成されています。

 

 

 

2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-5-1.現金及び預金が増加

 

 

 

H27.12.31

(百万円)

割合

(%)

H28.12.31

(百万円)

割合

(%)

H29.12.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 16,045 8.7% 16,528 10.4% 22,152 12.1%
総資産合計 184,064   158,815   182,963  

 平成29年12月期には現金及び預金が増加しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、有価証券を売却したことが要因で増えていました。

 

2-5-2.投資有価証券が増加

 

 

 

H27.12.31

(百万円)

割合

(%)

H28.12.31

(百万円)

割合

(%)

H29.12.31

(百万円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資有価証券 24,681 13.4% 24,377 15.3% 28,121 15.4%
総資産合計 184,064   158,815   182,963  

 平成29年12月期には投資有価証券が増えています。

 その主な要因は、保有している銘柄の時価総額が上昇したためです。

 

2-5-3.保有株式について

 

H29.12.31

 

種類

 

連結貸借対照表

計上額

(百万円)

取得原価

 

(百万円)

差額

 

(百万円)

株式 22,181 6,148 16,032

 同社が保有している株式の取得原価は6,148百万円です。そして、現在の時価総額は22,181百万円です。

 上昇率は、

22,181百万円 ÷ 6,148百万円 = 3.6倍

 何と、株価は3.6倍にまで上昇をしていました。非常においしい話ですね!!

 

2-5-4.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 

 

 

H27.12.31

(百万円)

H28.12.31

(百万円)

H29.12.31

(百万円)

財務キャッシュ・フロー ▲14,926 ▲7,613 ▲4,534
短期借入の純増減額
(▲は減少)
▲11,452 ▲4,156 9,019
長期借入れによる収入 4,000 0 0
長期借入金の返済による支出 ▲6,071 ▲2,068 ▲10,042

 財務キャッシュ・フローでは、3期に渡って有利子負債の返済が中心になっています。

 

 

 

H27.12.31

(百万円)

割合

(%)

H28.12.31

(百万円)

割合

(%)

H29.12.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債            
 短期借入金 7,469 4.1% 2,894 1.8% 12,006 6.6%
 1年内返済予定の長期借入金 2,068 1.1% 10,016 6.3% 2,068 1.1%
固定負債            
 長期借入金 14,398 7.8% 4,137 2.6% 2,068 1.1%
有利子負債合計 23,935 13.0% 17,047 10.7% 16,142 8.8%
総資産合計 184,064   158,815   182,963  

 その結果、平成27年12月期には23,935百万円あった有利子負債は、平成29年12月期には16,142百万円にまで減少しています。

 

2-5-5.多額の営業外収益

 

 

 

H27.12.31

(百万円)

H28.12.31

(百万円)

H29.12.31

(百万円)

経常利益 4,317 1,702 13,249
営業利益 4,088 1,131 11,486
差額 229 571 1,763

 経常利益と営業利益を比べると、経常利益の方が多くなっています。

 その理由は、本業以外にも配当金や賃借料などの営業外収益があるためです。

 

2-5-6.赤字業績

 

 

 

H27.12.31

(百万円)

H28.12.31

(百万円)

H29.12.31

(百万円)

当期純利益又は、当期純損失 2,484 ▲7,929 11,816

 平成28年12月期には赤字業績を計上しています。

 しかしこれは、特別損失を計上したことによる一時的なものです。また、この特別損失は実際にはキャッシュの支出は伴っていませんので、それほど深刻ではないと思います。

 

 

 

2-6 気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析している中でいくつか気になる問題がありました。そのことについても取り上げたいと思います。

 

2-6-1.たな卸資産が増加

 

 

 

H27.12.31

(%)

H28.12.31

(%)

H29.12.31

(%)

営業利益率 3.9 1.3 10.8

 平成29年12月期には営業利益率が10.8%にまで上がっています。

 その理由の1つとして、同社は主要3事業のマージンが改善したことや構造改革効果による固定費の減少を挙げています。

 

 

 

H27.12.31

(回転)

H28.12.31

(回転)

H29.12.31

(回転)

たな卸資産回転比率 3.06 4.27 3.88

 しかし、たな卸資産回転比率は悪化しています。

 

 

 

H27.12.31

(百万円)

割合

(%)

H28.12.31

(百万円)

割合

(%)

H29.12.31

(百万円)

割合

(%)

売上高 104,864   88,580   106,252  
流動資産            
 商品及び製品 13,828 7.5% 7,516 4.7% 9,257 5.1%
 仕掛品 12,182 6.6% 7,886 5.0% 10,063 5.5%
 原材料及び貯蔵品 8,241 4.5% 5,330 3.4% 8,041 4.4%
たな卸資産合計 34,251 18.6% 20,732 13.1% 27,361 15.0%
総資産合計 184,064   158,815   182,963  

 たな卸資産回転比率が悪化した要因は、売上高の増加以上にたな卸資産が増加したためです。

 本来であれば売上原価として計上するべき費用や評価損を見送っているのではないのでしょうか?

 

2-6-2.のれんが多額

 

 

 

H27.12.31

(百万円)

割合

(%)

H28.12.31

(百万円)

割合

(%)

H29.12.31

(百万円)

割合

(%)

無形固定資産            
 のれん 6,135 3.3% 5,604 3.5% 12,683 6.9%
総資産合計 184,064   158,815   182,963  

 のれんが12,683百万円も計上され、総資産の6.9%を占めるようになっています。

 

※ のれんとは無形の価値(会社のブランド力や収益力など)に対し、帳簿価格以上の金額で買収をした場合に計上される勘定科目です。例えば、純資産800万円の会社を1,000万円で買収した場合、差額の200万円がのれんになります。

 

 また、平成29年12月期には子会社の株式を取得するために12,964百万円もの資金を使っていますが、これは平成29年12月期で得られた当期純利益よりも多い金額です。

 平成29年12月期に買収をした会社は黒鉛電極の製造・販売・研究開発の事業を行っている海外の企業です。

 買収の目的は、グローバル生産体制の最適化及びコスト競争力の強化につなげるためです。

 

※ 同社は今後も成長戦略の一環として約500億円をM&A等に向け、既存事業の収益性改善と事業領域の拡大を進めていく予定です。

 

2-6-3.のれんの償却方法について

 

 私がこれまでに見てきたのれんを計上している多くの会社は、5年間の均等償却を行っていました。

 しかし同社の場合、10~17年間の定額法で償却を行っています。

 償却期間が長いほど、毎年計上される費用も少なくなります。その結果、利益は増えることになります。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 平成29年12月期に買収をした海外の企業は、黒鉛電極関連の会社です。このことから、同社が手がけている黒鉛電極市場が拡大をしていくと思います。少なくとも、会社を買収するために非常に高い買い物をしていますので、それなりの勝算があるのでしょう。

 また、同社は今後も積極的にM&Aを行って事業拡大を行う予定です。しかし、買収をするために多額の現金を使っていることや、のれんの償却期間が長いことが気がかりです。

 4月12日の終値である1,317円で計算をすると、PERは9.36倍、PBRは2.23倍になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - ガラス・土石製品, 業種別

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