上方修正銘柄、市進ホールディングス(4645)を分析してみる

   

 平成30年4月11日に、市進ホールディングス(4645)は業績の上方修正を行いました。

その発表によると、経常利益を45百万円から271百万円の6倍に上方修正を行っています。

 (業績予想の修正に関するお知らせ)

 そこで今回は、上方修正を行った同社のファンダメンタルズについて見ていきたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.業績の黒字化

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.費用統制の取組

 2-2.事業の内容

 2-3.販売実績

 2-4.材料ネタについて

 2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.現金及び預金について

  2-5-2.土地の減少

  2-5-3.敷金及び保証金について

  2-5-4.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

  2-5-5.大幅な赤字業績

  2-5-6.現金の裏付けがある利益をしっかり確保

 2-6.気になる問題

  2-6-1.新株予約権の計上

  2-6-2.配当金の支払について

3.私の見解

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 まずは最近発売された会社四季報(2018年2集 春号)から、同社のことについて大まかに見ていきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「19年2月期は市進軸に生徒数が増加。大学入試改革に対応した授業映像のネット配信も堅調。前期ほどの既存教室の移転や教室設備リニューアルなく費用減。営業益上向く。株売却益なく純益後退。」と、非常に明るい内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は13.3%しかなく、安全性に不安が残ります。

 有利子負債は5,224百万円、総資産の半分近くも占めています。

 資本金1,476百万円に対し、利益剰余金は▲726百万円とマイナスになっています。

 

 

 

1-3.業績の黒字化

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.2

(実績)

16,771 315 282 ▲1,053 ▲105.6
16.2

(実績)

16,321 649 623 242 23.5
17.2

(実績)

15,956 511 489 234 22.4

 売上高の減収が続き、2015年2月期は赤字業績になっています。

 しかし2016年2月期以降からは黒字業績に転換し、売上高は下がっていますが営業利益は増えています。

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第43期(平成28年3年1日-平成29年2月28日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.費用統制の取組

 

  平成25年2月 平成26年2月 平成27年2月 平成28年2月 平成29年2月
売上高
(千円)
19,139,305 17,858,804 16,771,921 16,321,283 15,956,480
親会社に帰属する当期純利益又は親会社に帰属する当期純損失(▲)
(千円)
▲1,577,587 ▲737,606 ▲1,053,370 242,928 234,155
総資産額
(千円)
13,977,851 12,541,939 11,628,623 10,586,015 10,884,556
自己資本比率
(%)
25.7 22.1 14.1 16.3 19.3
従業員数
(人)
920 927 811 785 722

 平成26年2月期から売上高の減収が続き、平成27年2月期まで当期純損失を計上しています。

 その対策の一環だと思われますが、総資産額と従業員数が減少しています。その結果、平成27年2月期には14.1%にまで落ち込んだ自己資本比率は19.3%にまで回復をしています。

 そして、平成28年2月期からは黒字業績に転換しています。

 

 

 

2-2.事業の内容

 

 同社の事業内容は、学習塾事業及び映像コンテンツ企画販売、日本語学校等の教育関連事業を行っています。

 

 

 

2-3.販売実績

 

収入項目 販売高

(百万円)

割合

(%)

学習塾事業 14,254 89.3
教育関連事業 1,702 10.7
合計 15,956  

 同社では学習塾事業の売上高が最も高く、売上全体の9割近くを占めています。

 

 

 

2-4.材料ネタについて

 

 同社の関連会社である株式会社江戸カルチャーセンターは日本語学校を運営しており、2020年の東京オリンピック開催による日本語への関心の高まりから、順調に推移しているそうです。

 しかし、株式会社江戸カルチャーセンターがグループ全体の売上高にどのくらい貢献をしているのかについては記載がありませんでした。

 

 

 

2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-5-1.現金及び預金について

 

 

 

H27.2.28

(千円)

割合

(%)

H28.2.29

(千円)

割合

(%)

H29.2.28

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 1,638,282 14.1% 1,434,402 13.5% 1,761,527 16.2%
総資産合計 11,628,613   10,586,005   10,884,545  

 現金及び預金が増減しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成28年2月期は有形固定資産の取得や有利子負債の返済のために資金を使用したことが要因で減少しています。

 平成29年2月期は営業キャッシュ・フローで資金を得られたことが要因で資金が増えています。

 

2-5-2.土地の減少

 

 

 

H27.2.28

(千円)

割合

(%)

H28.2.29

(千円)

割合

(%)

H29.2.28

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 土地 1,131,803 9.7% 1,117,779 10.6% 934,233 8.6%
総資産合計 11,628,613   10,586,005   10,884,545  

 平成29年2月期には土地が減少しています。

 その要因は、株式会社カルチャーセンターが所有していた東京都港区の土地建物を売却をしたためのようです。その結果、有形固定資産の売却益として93百万円を得ています。

 

2-5-3.敷金及び保証金について

 

 

 

H27.2.28

(千円)

割合

(%)

H28.2.29

(千円)

割合

(%)

H29.2.28

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 敷金及び保証金 2,092,362 18.0% 1,833,221 17.3% 1,736,387 16.0%
総資産合計 11,628,613   10,586,005   10,884,545  

 敷金及び保証金が計上され、総資産の16.0%を占めています。

 同社が展開する校舎の多くは、近隣相場や採算性を考慮したうえで賃貸物件を利用しているそうです。

 そのため、敷金及び保証金を賃貸人に預け入れています。

 

2-5-4.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 

 

 

H27.2.28

(千円)

H28.2.29

(千円)

H29.2.28

(千円)

財務キャッシュ・フロー ▲617,660 ▲884,983 ▲178,308
短期借入の純増減額
(▲は減少)
350,000 ▲280,000 ▲300,000
長期借入れによる収入 350,000 830,000 1,400,000
長期借入金の返済による支出 ▲1,085,984 ▲1,037,654 ▲1,066,009
社債の償還による支出 ▲48,000 ▲48,000 ▲24,000

 財務キャッシュ・フローでは、借入金や社債などの有利子負債の返済が中心になっています。

 

 

 

H27.2.28

(千円)

割合

(%)

H28.2.29

(千円)

割合

(%)

H29.2.28

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 短期借入金 1,080,000 9.3% 800,000 7.6% 500,000 4.6%
 1年内返済予定の長期借入金 955,093 8.2% 949,269 9.0% 1,069,543 9.8%
 1年内償還予定の社債 48,000 0.4% 24,000 0.2% 0 0.0%
固定負債            
 社債 24,000 0.2% 0 0.0% 0 0.0%
 長期借入金 3,114,287 26.8% 2,937,762 27.8% 3,151,479 29.0%
有利子負債合計 5,221,380 44.9% 4,711,031 44.5% 4,721,022 43.4%
総資産合計 11,628,613   10,586,005   10,884,545  

 その結果、平成27年2月期には5,221,380千円あった有利子負債が平成29年2月期には4,721,022千円にまで減少しています。

 

2-5-5.大幅な赤字業績

 

 

 

H27.2.28

(千円)

H28.2.29

(千円)

H29.2.28

(千円)

当期純利益 ▲1,053,370 242,928 234,155

 平成27年2月期には大幅な赤字業績になっています。

 しかしこれは利益体質の強化を行うために特別損失(固定資産除去損や早期退職費用など)として一時的に発生した費用です。

 またこれら特別損失の多くはキャッシュの支出はありませんので、それほど深刻ではないと思います。

 

 

 

H27.2.28

(%)

H28.2.29

(%)

H29.2.28

(%)

営業利益率 2.0 4.0 3.2

 そして利益体質の強化に取り組んできた結果、平成28年2月期は減収であるにもかかわらず営業利益率は大きく改善しています。

 

2-5-6.現金の裏付けがある利益をしっかり確保

 

 当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素の差額について見てみると・・・

 

 

 

H27.2.28

(千円)

H28.2.29

(千円)

H29.2.28

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 1,217,452 863,750 1,001,419
当期純利益 ▲1,053,370 242,928 234,155
差額 2,270,822 620,822 767,264

 と、これまでしっかりキャッシュの裏付けがある黒字を確保していることが確認できます。

 

 

 

2-6.気になる問題

 

 さて、同社のファンダメンタルズを分析している中で気になる問題もありました。そのことについても取り上げたいと思います。

 

2-6-1.新株予約権の計上

 

 これまで同社のファンダメンタルズを調べてみましたが、資金需要が大きいように感じます。

 今後、資金調達のために新たに株式を発行して1株あたりの利益の希薄化が起こらないか少し心配です。

 

※ 平成28年6月には新株予約権の行使により、発行済株式総数が154,000株増加しています。

 

2-6-2.配当金の支払について

 

 

 

H27.2.28

(千円)

H28.2.29

(千円)

H29.2.28

(千円)

当期純利益 ▲1,053,370 242,928 234,155
配当額 90,084 103,274 103,589
会社に残る利益 ▲1,143,454 139,654 130,566

 同社の場合、収益体質の強化に向けて費用統制に取り組んでいますが、そんな中でも配当金を支払っています。

 せっかく稼いだ利益も、この配当金の支払いで会社には半分ほどしか残っていません。

 売上高が伸びて利益が安定し、そして自己資本比率が向上するまでは無配にするべきだと私は思います。

 

 

 

 

3.私の見解

 


 

 平成27年2月期から平成29年2月期までのファンダメタルズを分析した結果、同社が利益体質の強化に向けて費用統制に取り組んできた様子が伺えました。

 平成30年4月11日に発表された平成30年2月期の業績予想は教室移転に伴う原状回復工事費や有形固定資産の売却費の計上で当期純利益は減益を予想しています。しかし、平成31年2月期からは利益の増益が期待できると思います。

 けど、4月11日の終値である378円で計算をすると、PERは14.2倍、PBRは2.7倍になります。この時点では割安感は感じられません。

 また、自己資本比率の低さや有利子負債が多いことについても気になります。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - サービス業, 業種別

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