投資を見送った会社、サンセイランディック(3277)について

   

 今回は2012年7月に見つけた銘柄、サンセイランディック(3277)に関する記事です。

 当時の会社四季報(2012年3集 夏号)が発売されたときのPERは3.7倍、PBRは0.54倍のと非常に割安でした。

 早速銘柄のファンダメンタルズを調べてみましたが、利益調整を行っているように感じられたため最終的には投資を見送りました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.増収増益の業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.大株主の状況

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金が増加

  2-4-2.投資不動産(純額)が減少

  2-4-3.財務キャッシュ・フローでは、資金調達に関することが中心

 2-5.気になる問題

  2-5-1.売掛金が増加、貸倒引当金が少ない

  2-5-2.たな卸資産回転比率が悪化

  2-5-3.無形固定資産が多い

  2-5-4.営業キャッシュフロー利益要素よりも、当期純利益の方が多い

3.投資は見送る

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2012年3集 夏号)から会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「地盤改良に時間要し注文住宅の一部物件が下期へ引き渡しずれ込む。ただ震災影響消え受注正常化。不動産再販は組織改善効果発現し想定より前倒しで採算改善。営業益上伸。営業外の違約金収入ない」と先の明るい内容です。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は52.9%と、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は1,478百万円、総資産の25.0%を占めています。同社は不動産業を営んでいますが、そのわりに有利子負債は少ないように感じます。

 資本金257百万円に対し、利益剰余金は2,644百万円もあります。すばらしいですね。

 

 

 

1-3.増収増益の業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

08.12

(実績)

8,176 629 468 254 42.4
09.12

(実績)

5,990 306 263 143 23.9
10.12

(実績)

7,414 654 539 301 50.2
11.12

(実績)

8,042 749 746 444 73.5
12.12

(予想)

10,800 850 750 450 65.2
13.12

(予想)

11,300 950 850 480 69.6

 リーマンショックの影響で2009年12月期には売上高及び利益は大きく落ち込んでいます。

 しかし、それ以降は業績の回復が続いています。

 2012年12月期以降も増収増益の予想です。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第36期(平成23年1年1日-平成23年12月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は底地等に係る「不動産販売事業」、戸建注文住宅などの「建築事業」、賃貸物件の管理を行う「その他事業」を主たる業務として行っています。

 

事業内容 事業内容
不動産販売事業 自由な活用が制限されたり、資産価値が低くなっている物件を所有者から買い取り、独自のノウハウで不動産価値を高めて販売をする事業を行っている。
建築事業 デザイナーズフルオーダー戸建注文住宅・デザイナーズリフォームの企画設計・施工及び管理業務を行っている。
その他事業 オフィスビル・マンション・アパートなどの賃貸物件や当社グループ外の賃貸物件の管理事業、不動産売買・賃貸の仲介事業を行っている。

 

※ 底地とは、土地所有者が第三者に土地を貸し、賃借料収入を得ている土地を指します。

 

2-2.販売実績について

 

セグメント 売上高

(千円)

割合

(%)

不動産販売事業 6,886,952 85.6
建築事業 1,121,031 13.9
その他事業 34,088 0.4
合計 8,042,072  

 同社では不動産販売事業の売上高が最も高く、全体の85.6%を占めています。

 

 

 

2-3.大株主の状況

 

 大株主を見てみると・・・

 

氏名又は名称 所有株式数
(株)
発行済株式

総数に対する

所有株数

の割合(%)

松崎 隆司 1,578,100 22.87
松浦 正二 564,600 8.18
伊佐治 順子 539,600 7.82
天野 智子 539,600 7.82
中川 好正 450,200 6.52

 法人の大株主はいません。個人名による大株主で占めており、非常に珍しいケースです。

 また、大株主トップ4までは取締役を兼任しています。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金が増加

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 745,482 18.0% 892,100 13.1% 1,155,604 19.0%
総資産合計 4,143,812   6,801,375   6,085,461  

 3期に渡り、現金及びが増えています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成22年12月期は主に借入や社債を発行したことで資金を調達しています。

 平成23年12月期は、営業キャッシュフローから資金を得られたことや、投資不動産を売却したこと、株式を発行したことなどによって資金を調達しています。

 

2-4-2.投資不動産(純額)が減少

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資不動産(純額) 645,362 15.6% 633,082 9.3% 452,487 7.4%
総資産合計 4,143,812   6,801,375   6,085,461  

 平成23年12月期には投資不動産(純額)が減っています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、投資不動産(純額)を売却したためです。

 

※ 投資不動産は、賃貸オフィスや賃貸住宅などになります。

 

2-4-3.財務キャッシュ・フローでは、資金調達に関することが中心

 

 

 

H21.12.31

(千円)

H22.12.31

(千円)

H23.12.31

(千円)

短期借入の純増減額
(▲は減少)
▲749,690 819,749 ▲459,171
長期借入れによる収入 782,055 1,414,000 754,000
長期借入金の返済による支出 ▲63,590 ▲867,780 ▲1,495,618
社債の発行による収入 48,595 585,910 0
社債の償還による支出 ▲35,500 ▲97,000 ▲59,000
株式の発行による収入 0 0 406,271

 財務キャッシュ・フローでは、銀行からの借入や株式発行などによる資金の調達が中心になっています。

 調達した資金は、主に不動産を購入するために活用しているそうです。

 

※ 銀行等からの借入に対し、代表取締役が債務保証を受けています。

 

 

 

2-5.気になる問題

 

 さて、同社にはいくつのかの問題がありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-5-1.売掛金が増加、貸倒引当金が少ない

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

売上高 5,990,195   7,414,917   8,042,072  
流動資産            
 売掛金 18,105 0.4% 41,039 0.6% 146,911 2.4%
 貸倒引当金 ▲133 0.0% ▲1,460 0.0% ▲2,396 0.0%
総資産合計 4,143,812   6,801,375   6,085,461  

 売上高の増加に伴い、売掛金が増えています。

 しかし、平成21年12月期には総資産の0.4%ほどしかなかったのに、それが平成23年12月期には2.4%も占めるようになっています。

 また、貸倒引当金が全くといっていいほど計上されていません。そのことにも問題があるように感じます。

 

2-5-2.たな卸資産回転比率が悪化

 

 

 

H21.12.31

(回転)

H22.12.31

(回転)

H23.12.31

(回転)

たな卸資産回転比率 2.88 1.59 2.17

 平成22年12月期には棚卸資産回転比率が1.59回転にまで急激に悪化しています。

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 販売用不動産 2,048,767 49.4% 4,618,035 67.9% 3,698,086 60.8%
総資産合計 4,143,812   6,801,375   6,085,461  

 その要因は、販売用不動産を大量に仕入れたためです。

 平成23年12月期には仕入れた販売用不動産が売れて減少していますが、依然高水準であることが気になります。

 

2-5-3.無形固定資産が多い

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

無形固定資産            
 無形固定資産合計 19,637 0.5% 72,567 1.1% 85,750 1.4%
総資産合計 4,143,812   6,801,375   6,085,461  

 3期に渡り無形固定資産が増え、平成23年12月期には総資産の1.4%も占めるようになっています。

 内訳について設備投資等の概要で確認をすると、基幹業務システムを導入したためだと考えられます。

 

2-5-4.営業キャッシュフロー利益要素よりも、当期純利益の方が多い

 

 

 

H21.12.31

(千円)

H22.12.31

(千円)

H23.12.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 54,739 889,340 283,604
当期純利益 143,166 301,075 444,466
差額 ▲88,427 588,265 ▲160,862

 平成21年12月期と平成23年12月期は営業キャッシュフロー利益要素よりも、当期純利益の方が多くなっています。

 本来であれば計上するべき引当金などの費用を計上せず、ステークホルダーに儲かっているように見せるため利益調整を行っているのかもしれません。

 

 

 

 

3.投資は見送る

 


 

 私が同社を見つけた2012年7月のときは、PERは3.7倍、PBRは0.54倍と非常に割安でした。また増収増益が続いていたことも魅力的でした。

 しかしこれまで見てきたように、同社の場合は利益調整を行っている可能性が感じられました。また、独自のノウハウがあるとはいえわけあり物件を扱っていることも不安でした。

 結局、私は同社への投資を見送ることにしたのです。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが、現在の株価です。

 

 私がこの会社を見つけた2012年7月のときは、215円くらいでした。

 そのときが底値圏で株価は順調に上昇トレンドを描き、2018年1月には1,506円の高値にまで高騰しています。

 実に、株価は7倍以上になっていました。

 

 そして業績は・・・

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.12

(実績)

9,187 919 809 455 66.0
14.12

(実績)

10,443 1,204 1,044 626 90.2
15.12

(実績)

11,567 1,299 1,196 724 90.1
16.12

(実績)

12,300 1,446 1,328 853 104.9
17.12

(実績)

13,098 1,762 1,668 1,111 134.5
18.12

(予想)

17,500 1,830 1,700 1,160 138.6
19.12

(予想)

17,700 1,850 1,720 1,170 139.8

 2013年12月期から2017年12月期は、増収増益が続いています。

 2018年12月期以降の売上高及び利益はさらなる増収増益を予想しています。すばらしいですね。

 現在のPERは8.7倍と割安感はまだありますが、PBRは1.26倍にまで高くなっていました。

 

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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