投資を見送った会社、アイ・オー・データ機器(6916)について

   

 今回は2012年8月に投資を見送った会社、アイ・オー・データ機器(6916)に関する記事です。

 会社四季報(2012年3集 夏号)で見つけたときのPERは5.3倍、PBRは0.24倍と安かったので2012年7月に少額だけ購入を行いました。

 しかし購入後、会社のファンダメンタルズを調べてみるといくつかの問題が見つかったのですぐに処分を行いました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.赤字業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-3-1.現金及び預金が減少

  2-3-2.その他について

 2-4.気になる問題

  2-4-1.過剰な在庫

  2-4-2.不安定な利益

  2-4-3.不安定な営業キャッシュ・フロー

  2-4-4.財務キャッシュ・フローでは、自己株式の取得が中心

3.2012年7月に株を取得

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2012年3集 夏号)から会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「地デジ特需一服しチューナー、ディスプレー低調。ただ、タイ洪水によるHDD高騰で価格競争軟化、採算急改善。増配も。13年6月期はスマホ周辺機器、ネットワーク製品好調。HDD供給戻りストレージ回復でも在庫評価損で営業益反動減。」と業績の回復に期待が持てそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は66.1%あり、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は500百万円、総資産の1.8%程度しかありません。

 資本金3,588百万円に対し、利益剰余金は11,680百万円を保有しています。

 また、現金同等物を61.4億円保有しているこの会社の時価総額は、48.2億円でした。

 

 

 

1-3.赤字業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

09.6

(実績)

45,785 ▲725 ▲1,007 ▲1,050 ▲76.2
10.6

(実績)

44,632 312 350 566 41.3
11.6

(実績)

45,344 18 ▲429 ▲601 ▲44.0
12.6

(予想)

40,000 800 900 830 61.9
13.6

(予想)

43,800 550 550 350 26.1

 2009年6月期から3期に渡って売上高はほぼ一定であるにもかかわらず、2009年6月期と2011年6月期は赤字業績になっています。また、営業損失に比べて経常損失の大きさが気になります。

 2013年6月期以降からは増収を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第36期(平成22年7年1日-平成23年6月30日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社はパソコン用周辺機器の製造販売を主な事業としています。

 

事業内容 事業部門
パソコン用周辺機器の製造販売 ・増設メモリボード部門

・ストレージ部門

・液晶部門

・周辺機器部門

・特注部門

・その他の部門

 

 

 

2-2.販売実績について

 

品目 売上高

(百万円)

割合

(%)

増設メモリボード 4,100 9.0
ストレージ 20,491 45.2
液晶 7,712 17.0
周辺機器 8,773 19.3
特注製品 2,662 5.9
その他 1,604 3.5
合計 45,344  

 同社ではストレージの売上高が最も高く、売上全体の45.2%を占めています。

 その次は周辺機器の売上高が高く、売上全体の19.3%を占めています。

 

相手先 販売高

(百万円)

割合

(%)

ダイワボウ情報システム(株) 10,475 23.1
(株)ヤマダ電機 6,864 15.1

 また、主な販売先2社で売上全体の38.2%を占めており、この2社に依存しているような状況です。

 

 

 

2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-3-1.現金及び預金が減少

 

 

 

H21.6.30

(百万円)

割合

(%)

H22.6.30

(百万円)

割合

(%)

H23.6.30

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 8,285 29.7% 6,424 21.1% 6,147 23.6%
総資産合計 27,909   30,458   26,025  

 現金及び預金が3期に渡り減少しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成22年6月期は運転資金で使用したことが要因で減少しています。

 平成23年6月期は営業キャッシュ・フローで資金を儲けたものの、有形固定資産の取得や関係会社株式の取得、自己株式の取得のために資金を使用したことが要因で減少しています。

 

2-3-2.その他について

 

 

 

H21.6.30

(百万円)

割合

(%)

H22.6.30

(百万円)

割合

(%)

H23.6.30

(百万円)

割合

(%)

流動負債            
 その他 1,609 5.8% 2,093 6.9% 1,904 7.3%
総資産合計 27,909   30,458   26,025  

 流動負債のその他が総資産の7.3%をしています。

 単独貸借対照表で確認をすると主な内訳は、未払金や未払費用、デリバティブ債務だと思われます。

 

 

 

2-4.気になる問題

 

 さて、同社にはいくつのかの問題がありました。そのことについても取り上げていきたいと思います。

 

2-4-1.過剰な在庫

 

 

 

H21.6.30

(百万円)

割合

(%)

H22.6.30

(百万円)

割合

(%)

H23.6.30

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 商品及び製品 4,666 16.7% 5,935 19.5% 3,858 14.8%
 原材料及び貯蔵品 1,256 4.5% 2,380 7.8% 1,600 6.1%
たな卸資産合計 5,922 21.2% 8,315 27.3% 5,458 21.0%
総資産合計 27,909   30,458   26,025  

 たな卸資産が総資産の21.0%も占め、在庫が過剰気味のように感じます。

 それが原因かもしれませんが、連結損益計算書には売上割引が計上されていました。

 

2-4-2.不安定な利益

 

 

 

H21.6.30

(百万円)

H22.6.30

(百万円)

H23.6.30

(百万円)

経常利益 ▲1,007 350 ▲429
営業利益 ▲725 312 18
差額 ▲282 38 ▲447

 平成21年6月期と平成23年6月期それぞれの営業利益と経常利益を比べてみると、各利益間に大きな開きがあります。

 連結損益計算書で確認をすると、営業外費用に売上割引や為替差損を計上していたことが要因していました。

 特に、為替差損による営業外費用の損失が大きくなっていました。その理由は、円高が急激に発生したためのようです。

 

2-4-3.不安定な営業キャッシュ・フロー

 

 

 

H21.6.30

(百万円)

H22.6.30

(百万円)

H23.6.30

(百万円)

売上高 45,785 44,632 45,344
営業キャッシュ・フロー 3,568 ▲1,460 417
流動資産      
 受取手形及び売掛金 6,513 8,077 7,288
 たな卸資産合計 5,922 8,315 5,458
流動負債      
 支払手形及び買掛金 7,513 9,494 5,835

 売上高はほぼ一定であるにもかかわらず、営業キャッシュ・フローは不安定です。

 その要因は、売上債権やたな卸資産、買掛債務などの運転資金の変動が激しくなっているためです。

 

2-4-4.財務キャッシュ・フローでは、自己株式の取得が中心

 

 

 

H21.6.30

(百万円)

H22.6.30

(百万円)

H23.6.30

(百万円)

財務キャッシュ・フロー ▲339 1 ▲266
自己株式の取得による支出 ▲110 0 ▲164
自己株式の処分による収入 0 73 0

 平成21年6月期と平成23年6月期には自己株式を取得しています。

 しかし、平成22年6月期は保有していた自己株式を処分して資金を調達しています。

 一体、何のために自己株式を取得しているのでしょうか? その真意が見えてきません。

 

 

 

 

3.2012年7月に株を取得

 


 

 2012年7月にこの銘柄を発見し、最初は少額だけ購入をしました。

 しかしこれまで見てきたように、在庫は過剰で運転資金の変動が激しい。正直、経営管理がへたくそだという印象を受けました。

 そのため、2012年8月には1株平均285円で処分をしました。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが、現在の株価です。

 

 私が処分した2012年8月の285円が底値付近になり、それから株価は上昇を続けています。

 そして、2016年11月には1,470円の高値にまで上昇をしています。実に5倍以上に株価は上がっていたのです。

 

 そして業績は・・・

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.6

(実績)

36,671 624 533 ▲356 ▲26.6
14.6

(実績)

46,228 2,226 2,429 2,008 155.3
15.6

(実績)

41,177 1,142 1,551 883 69.0
16.6

(実績)

44,946 1,149 1,334 849 66.4
17.6

(実績)

48,461 2,508 2,361 1,800 140.7
18.6

(予想)

53,000 2,200 2,200 1,550 113.7
19.6

(予想)

54,000 2,200 2,200 1,550 113.7

 2013年6月期に売上高は減収しているものの、2014年6月期以降からは増収傾向です。

 しかし、それ以上に利益は伸びています。すばらしいですね。

 そして2018年6月期以降も増収を予想しています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 電気機器

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