割安株、理経(8226)に投資をしたときのお話

   

 今回は2011年8月に投資を行った会社、理経(8226)に関する記事です。

 当時の会社四季報(2011年3集 夏号)では4期連続で赤字業績が続き、その影響で株価は大幅に値下がりをしていました。

 しかし、PERは7.6倍、PBRは0.29倍と超安かったため投資を行いました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.赤字続きの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.地域ごとの売上高

 2-4.経営上の重要な契約について

 2-5.中長期的な経営戦略について

 2-6.重要事象等について

 2-7.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-7-1.現金及び預金が増加

  2-7-2.運転資金の減少

  2-7-3.貸倒引当金について

  2-7-4.事務所は賃借

  2-7-5.その他について

  2-7-6.役員退職慰労引当金について

  2-7-7.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 2-8 気になる問題

  2-8-1.営業キャッシュ・フロー利益要素は黒字

3.2011年8月に株を取得

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2011年3集 夏号)から会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「官公庁向け不振だが、民間企業や私立大学向けが堅調。前期赤字の電子部品は民需軸に小幅黒字化。映像配信システムは好調。前期受注したネットワークシステム持ち越し案件こなし通期営業黒字化。」と業績の黒字化が期待できそうな内容になっています。

 しかし、材料記事には「赤字で継続前提に重要事象」という注意が記載されています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は54.8%あり、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は750百万円、総資産の%11.0%を占めています。

 資本金3,426百万円に対し、利益剰余金は▲294百万円とマイナスになっています。

 しかし、現金同等物を25.6億円保有している同社の時価総額は、11.0億円しかありませんでした。

 

 

 

1-3.赤字続きの業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

07.3

(実績)

22,329 364 246 113 8.2
08.3

(実績)

16,047 ▲436 ▲486 ▲1,909 ▲126.2
09.3

(実績)

16,008 ▲52 ▲50 ▲458 ▲30.3
10.3

(実績)

9,405 ▲452 ▲509 ▲811 ▲53.6
11.3

(実績)

8,784 ▲171 ▲214 ▲259 ▲17.1
12.3

(予想)

9.700 160 160 140 9.3
13.3

(予想)

10,000 230 230 180 11.9

 2007年3月期の売上高をピークに、2011年3月期まで減収が続いています。そして、2008年3月期から4期連続で赤字業績になっています。

 しかし、2012年3月期からは業績の回復を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第54期(平成22年4年1日-平成23年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 同社は、情報通信技術(ICT)業界において日本、米国並びにアジアでの商品の輸出入販売を主要業務としています。

 

セグメントの名称 事業内容
システムソリューション 大学研究機関向けシステム、中央省庁向けシステム、製造業向け3次元機械CAD、eコマースシステムなどを販売。
ネットワークソリューション 高画質映像伝送装置、ブロードバンドネットワーク、地方自治体向けのJ-ALEAR受信機等の非常時通信ネットワークなどを販売。
電子部品及び機器 情報端末用半導体及び液晶、産業端末用タッチパネル、防衛省向け機材などを販売。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

電子部品及び機器 4,091,770 46.6
システムソリューション 3,428,007 39.0
ネットワークソリューション 1,265,214 14.4
合計 8,784,992  

 同社の販売実績は電子部品及び機器の売上高が最も高く、その次はシステムソリューションになっています。

 

 

 

2-3.地域ごとの売上高

 

  売上高

(千円)

比率

(%)

日本 7,266,432 82.7
中国 788,590 9.0
その他 729,969 8.3
売上高合計 8,784,992  

 同社は日本以外でも販売を行っており、外国での売上高比率は17.3%になっています。

 

 

 

2-4.経営上の重要な契約について

 

相手先 主要取扱商品 契約の種類
日本アイ・ビー・エム株式会社 コンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク製品及び周辺機器 国内販売代理店契約
ARMTEC COUNTERMEASURES CO.,

A SUBSIDIARY OF ARMTEC DEFENSE PRODUCTS CO.

防衛用機材 販売代理店契約
PTCジャパン株式会社 CAD/CAMソフトウェア 国内販売代理店契約
日本ヒューレット・パッカード株式会社 コンピュータシステム、ワークステーション、パーソナルコンピュータ及び周辺機器 国内販売代理店契約
日本ナショナルインスツルメンツ株式会社 GP-IBインタフェースボード、モジュール式計測・制御ハードウェア 国内販売代理店契約

 同社は、販売代理店に関する契約を国内外5社と結んでいます。

 また販売代理店契約に関し、メーカー側の事情で何らかの変更があった場合は業績に影響があることを挙げています。

 

 

 

2-5.中長期的な経営戦略について

 

 同社は、今後ブロードバンド社会に対応したICTを中心としたソリューション・プロバイダーを目指していくそうです。

 

 

 

2-6.重要事象等について

 

 同社は継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる状況が生じています。

 しかし、自己資本比率は54.8%を維持し、資産の圧縮に努め、営業キャッシュ・フローは3期連続で黒字を確保しています。

 また、55期は粗利益率の高い取引に注力し、人件費や賃借料等の更なる削減を予定しているそうです。

 

 

 

2-7.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-7-1.現金及び預金が増加

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 2,407,860 24.7% 2,862,792 35.0% 3,066,130 44.9%
総資産合計 9,732,642   8,190,063   6,828,537  

 3期に渡り、現金及び預金が増えています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、営業キャッシュ・フローから資金を得られたことが主な要因になっています。

 

2-7-2.運転資金の減少

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 16,008,381   9,405,403   8,784,992  
流動資産            
 受取手形及び売掛金 2,928,926 30.1% 2,166,600 26.5% 1,656,920 24.3%
 商品及び製品 403,698 4.1% 129,876 1.6% 190,666 2.8%
負債合計 4,880,188 50.1% 4,155,940 50.7% 3,083,378 45.2%
総資産合計 9,732,642   8,190,063   6,828,537  

 3期に渡り、売上高の減収が続いています。

 それに伴い、売上債権やたな卸資産などの運転資金が回収されています。

 この回収した運転資金は負債の返済に充て、資産の圧縮に努めているようです。

 

2-7-3.貸倒引当金について

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 貸倒引当金 ▲1,699 0.0% ▲658 0.0% ▲535,440 -7.8%
投資その他の資産            
 貸倒引当金 ▲637,739 -6.6% ▲897,690 -11.0% 0 0.0%
総資産合計 9,732,642   8,190,063   6,828,537  

 流動資産と投資その他の資産に貸倒引当金が計上されています。

 この貸倒引当金は総資産の7.8%に匹敵しますが、おそらく未収入金に対するものではないかと思われます。

 

2-7-4.事務所は賃借

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産合計 485,154 5.0% 461,526 5.6% 456,237 6.7%
投資その他の資産            
 差入保証金 357,949 3.7% 352,004 4.3% 247,382 3.6%
総資産合計 9,732,642   8,190,063   6,828,537  

 有形固定資産合計は総資産の6.7%しかなく、また差入保証金が計上されています。

 事務所はどうしているのだろうと気になり調べてみると、支店や営業所の事務所については賃借をしているそうです。

 ムダな経費は使わないように心掛けているのかもしれません。

 

2-7-5.その他について

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 その他 472,544 4.9% 487,581 6.0% 384,603 5.6%
総資産合計 9,732,642   8,190,063   6,828,537  

 流動負債のその他が総資産の5.6%も占めています。

 単独貸借対照表から内訳を調べてみると、主に未払費用や前受金になっていました。

 

2-7-6.役員退職慰労引当金について

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

固定負債            
 役員退職慰労引当金 154,716 1.6% 164,416 2.0% 0 0.0%
 長期未払金 0 0.0% 0 0.0% 168,991 2.5%
総資産合計 9,732,642   8,190,063   6,828,537  

 平成23年3月期から役員退職慰労引当金を長期未払金として表示しています。

 これは役員退職慰労引当金制度を廃止するため、制度廃止までの在任期間に支給するために長期未払金に振替たようです。

 赤字業績が続いているため、経費削減の一環として行っているのかもしれません。

 

2-7-7.財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心

 

 

 

H21.3.31

(千円)

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

財務キャッシュ・フロー ▲1,001,875 ▲100,446 ▲550,528
短期借入の純増減額
(▲は減少)
▲1,000,000 ▲100,000 ▲550,000

 財務キャッシュ・フローでは、有利子負債の返済が中心になっています。

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 短期借入金 1,400,000 14.4% 1,300,000 15.9% 750,000 11.0%
有利子負債合計 1,400,000 14.4% 1,300,000 15.9% 750,000 11.0%
総資産合計 9,732,642   8,190,063   6,828,537  

 その結果、1,400,000千円まであった有利子負債合計は750,000千円にまで減少しています。

 この短期借入金は、運転資金として活用していたそうです。売上高の減収で必要がなくなったために返済したと考えられます。

 

 

 

2-8 気になる問題

 

 さて、1つ気になる問題があったのでそのことについても取り上げたいと思います。

 

2-8-1.営業キャッシュ・フロー利益要素は黒字

 

 

 

H21.3.31

(千円)

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 310,012 205,192 666,412
当期純利益 ▲458,687 ▲811,061 ▲259,261
差額 768,699 1,016,253 925,673

 3期に渡って赤字業績が続いていますが、営業キャッシュ・フロー利益要素は黒字を確保しています。

 「一体なぜだろう?」と疑問に思い営業キャッシュ・フロー計算書を詳しく調べてみると、主に未収入金を回収したことによって黒字を確保していました。

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 未収入金 32,741 0.3% 0 0.0% 788,266 11.5%
投資その他の資産            
 長期未収入金 2,178,215 22.4% 1,910,709 23.3% 0 0.0%
総資産合計 9,732,642   8,190,063   6,828,537  

 この未収入金についてですが、平成23年3月期には総資産の11.5%も占めています。ここまで多いのは通常ありえません。

 過去の売上高(利益)をここに隠し、赤字業績のときにはためてきた売上高を吐き出しているのでしょうか?

 

 

 

 

3.2011年8月に株を取得

 


 

 赤字続きの業績で利益剰余金はマイナスになり、継続前提に重要事象が生じていました。

 しかし、株価は非常に割安でした。そのうえ、当座比率は180%もあって営業キャッシュ・フローは黒字で倒産の心配がなかったこと、経費の削減に努めていたことから2011年8月に1株平均61円で同社の株を購入したのです。

 それから2012年1月になると株価は上がって含み益が30%以上になり、それに満足したことで1株平均82円で売却を行いました。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが、現在の株価です。

 

 定期的に山と谷を繰り返して値動きの荒いチャートになっています。仕立筋が関わっているのでしょうか?

 現在の株価は200円くらいになっています。

 

 そして業績は・・・

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

7,093 85 97 89 5.9
16.3

(実績)

6,282 ▲127 ▲121 ▲137 ▲9.1
17.3

(実績)

6,505 67 68 107 7.1
18.3

(予想)

7,900 50 50 30 2.0
19.3

(予想)

10,000 140 140 80 5.3

 売上高は減っています。そして、利益も減っています。

 本格的な増収増益は、2019年3月期から予想しています。

 現在のPERは105倍、PBRは0.83倍ですが、私が見つけた2011年8月のときはPER7.6倍、PBR0.29倍でした。あれは、一体何だったのでしょうか?

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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