投資を見送った会社、三精輸送機(6357)について

      2018/04/08

 今回は2012年9月頃に見つけた会社、三精輸送機(6357)に関する記事です。

 当時発売された会社四季報(2012年3集 夏号)では、PER11.9倍、PBR0.28倍と割安なうえ、4年間も株価は低迷を続けていました。

 この会社に魅力を感じた私は、早速会社のファンダメンタルズを調べてみました。

 するといくつかの問題が見つかったため、最終的には投資を見送ることにしたのです。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.黒字続きの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.重要な後発事象

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金が減少

  2-4-2.有価証券が減少

  2-4-3.投資キャッシュ・フローでは、有価証券の売買が中心

  2-4-4.子会社の株式を取得

  2-4-5.多額の営業外収益

 2-5.気になる問題

  2-5-1.営業キャッシュ・フロー運転資本要素がマイナス

  2-5-2.有形固定資産の償却方法

  2-5-3.のれんの償却方法

3.投資を見送る

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2012年3集 夏号)から会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「子会社化で売上高38億円、利益2億円上乗せ。保守改修は短納期営業に傾注。ただ、テーマパークなど遊戯機械の大型案件剥落。舞台機構も市民会館等の復興特需先送り。官需中心に昇降機低迷続く。」とネガティブ含みの内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は85.4%もあり、安全性は十分です。

 有利子負債はなく、無借金経営が行われています。

 資本金3,251百万円に対し、利益剰余金は16,714百万円もあります。しかし、この利益剰余金は他社を買収して積み重ねたものかもしれません。

 

 

 

1-3.黒字続きの業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

08.3

(実績)

13,613 2,062 2,359 647 33.6
09.3

(実績)

11,841 1,386 1,568 582 30.3
10.3

(実績)

13,190 1,871 2,180 715 40.4
11.3

(実績)

13,303 1,374 1,606 489 30.2
12.3

(実績)

13,689 968 1,168 684 42.2
13.3

(予想)

14,800 930 1,080 510 31.4
14.3

(予想)

18,000 1,250 1,350 640 39.4

 2009年3月期を除くと、売上高は安定しています。そして、毎年黒字を確保しています。

 2013年3月期以降は売上高の増収を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第62期(平成23年4年1日-平成24年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社では、遊戯機械装置や昇降機械装置の製造販売を主に、納入製品の保守サービス・改修工事も行っています。

 また、遊戯施設の営業および所有不動産・駐車場の賃貸も行っています。

 

セグメントの名称 事業内容
製品製造・保守改修関連 劇場・文化ホール等の舞台装置・吊物装置、ジェットコースター・急流すべり等の遊戯機械装置、エレベーター・エスカレーター・パーキング装置等の製造および販売を行っている。

保守改修関連は、当社納入製品の保守サービスおよび改修工事等の業務を行っている。

その他 国内における遊園地で、レジャー・サービスの提供・運営管理を行っている。また、当社所有ビル等の賃貸を行っている。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高

(千円)

割合

(%)

保守改修関連 8,987,747 65.7
製品製造関連 4,473,827 32.7
その他 228,334 1.7
合計 13,689,909  

 この会社では保守改修関連の売上高が最も高く、全体の65.7%を占めています。

 

 

 

2-3.重要な後発事象

 

 この会社では株式会社テルミックの株式を平成24年6月8日に取得し、そして完全子会社化するための契約を結んだそうです。

 株式会社テルミックはテレビ、舞台、イベント、コンサート等で、電気、機械装置の設計、製作、施工及び操作を行う事業を営んでいます。

 事業環境の変化を踏まえ既在事業との相乗効果を見込んで完全子会社化にするそうですが、親会社となる三精輸送機は平成23年3月期に子会社事業譲渡損を計上しています。

 果たして、今回はうまくいくのでしょうか?

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.現金及び預金が減少

 

 

 

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 7,128,600 26.2% 6,339,627 23.6% 5,638,359 22.2%
総資産合計 27,223,205   26,882,877   25,401,510  

 3期に渡り、現金及び預金が減少しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成23年3月期は営業キャッシュ・フローで儲けた資金を投資有価証券の取得や配当金の支払いで使用したことが要因で減少しています。

 平成24年3月期は、営業キャッシュ・フローで儲けた資金を子会社の株式取得のためや配当金の支払いで使用したことが要因で減少しています。

 

2-4-2.有価証券が減少

 

 

 

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 有価証券 2,413,833 8.9% 2,443,667 9.1% 809,305 3.2%
総資産合計 27,223,205   26,882,877   25,401,510  

 平成24年3月期には、有価証券が大幅に減っています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、有価証券を売却したことが主な要因になっています。

 

2-4-3.投資キャッシュ・フローでは、有価証券の売買が中心

 

 

 

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー 1,283,461 ▲532,572 ▲791,317
有価証券の取得による支出 ▲1,501,542 ▲1,704,991 ▲400,428
有価証券の売却及び償還による収入 2,349,266 2,099,612 1,978,345

 投資キャッシュ・フローでは、3期に渡り有価証券の売買が中心になっています。

 贅沢な余剰資金を財テクとして運用している印象を受けます。

 

2-4-4.子会社の株式を取得

 

 

 

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー 1,283,461 ▲532,572 ▲791,317
子会社株式の取得による支出 0 0 ▲2,347,300

 投資キャッシュ・フローを確認すると、平成24年3月期には2,347,300千円(総資産の9.2%に相当)もの資金を使って別の会社を買収しています。

 

 

 

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

無形固定資産            
 のれん 0 0.0% 0 0.0% 358,765 1.4%
総資産合計 27,223,205   26,882,877   25,401,510  

 それに伴ってのれんが計上されています。どうやら割高な価格で買収をしたようですが、それに見合う収益が今後見込まれるのでしょうか?

 

※ のれんとは無形の価値(会社のブランド力や収益力など)に対し、帳簿価格以上の金額で買収した場合に計上される勘定科目です。例えば、純資産800万円の会社を1,000万円で買収した場合、差額の200万円がのれんになります。

 

2-4-5.多額の営業外収益

 

 

 

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

経常利益 2,180,237 1,606,896 1,168,894
営業利益 1,871,507 1,374,440 968,547
差額 308,730 232,456 200,347

 この会社は営業利益よりも経常利益の方が多くなっています。

 その理由は、営業外収益に多額の利息や配当金があるためです。

 

 

 

2-5.気になる問題

 

 さて、ここでいくつか気になる問題がありました。そのことについても触れたいと思います。

 

2-5-1.営業キャッシュ・フロー運転資本要素がマイナス

 

 

 

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー運転資本要素 ▲1,066,771 ▲311,632 ▲652,610

 3期に渡り、営業キャッシュ・フロー運転資本要素のマイナスが続いています。

 

 

 

H22.3.31

(回転)

H23.3.31

(回転)

H24.3.31

(回転)

売上債権回転比率 2.71 2.50 2.30

 その要因は、受取手形及び売掛金が増えているためです。それに伴い、売上債権回転比率が悪化しています。

 もしかすると、 売上の水増しを行っているのでしょうか?

 

2-5-2.有形固定資産の償却方法

 

 一般に、有形固定資産の償却方法では多くの会社が定率法を採用しています。なぜなら、その方が最初で多くの費用を計上できるため、節税に効果があるからです。

 しかし、この会社の場合は一部の事業所については定額法を採用しています。

 

2-5-3.のれんの償却方法

 

 私がこれまでに見てきたのれんを計上している多くの会社は、5年間の均等償却を行っていました。

 しかしこの会社の場合、10年もかけて均等償却を行っています。

 償却期間が長いほど、毎年計上される費用も少なくなります。その結果、利益は増えることになります。

 

 

 

 

3.投資を見送る

 


 

 この会社は贅沢な資金を保有しているため非常に魅力的でしたが、最終的には投資を見送りました。

 理由として、他の会社を買収していることや財テクに走っている様子から、本業が行き詰まっているように感じたからです。

 他にも、運転資金を使って利益操作を行っているように感じられました。

 そして、カネで他社から業績を買っているようなやり方に対して嫌気をしたことも投資を見送った理由の1つです。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが、現在の株価です。

 

 私はこの会社を2012年9月ごろに見つけました。そのときの株価は、370円くらいだったと思います。

 そして現在では、約4倍近くの1,455円の高値にまで株価は上昇をしています。

 

※ 現在は、三精テクノロジーズ(株)に社名変更しています。

 

 そして業績は・・・

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.3

(実績)

24,479 1,653 1,886 1,059 57.6
16.3

(実績)

23,990 2,082 2,224 1,291 70.2
17.3

(実績)

29,122 3,226 3,396 2,224 120.9
18.3

(予想)

26,000 2,200 2,200 1,350 73.3
19.3

(予想)

29,000 2,700 2,700 1,650 89.6

 2012年3月期と比べると、売上高は2倍、利益は3倍以上に増えています。

 現在のPERは18.0倍、PBRは0.87倍とすでに割安感はなくなっていました。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 機械

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