割安株、オーテック(1736)に投資をしたときのお話

      2018/04/08

 今回は、2012年1月に会社四季報(2012年1集 新春号)で見つけた銘柄、オーテック(1736)に関する記事です。

 当時はPER9.8倍、PBR0.32倍という安さに魅力を感じ、投資を行いました。そして、結果的に少額ながらも儲けることができましたが、改めて見直すといくつかの問題点もありました。

 もし、今だったら投資を見送る判断を行っていたと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.減収続きの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.経営上の重要な契約について

 2-4.当座貸越契約について

 2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.現金及び預金について

  2-5-2.完成業務未収入金や未成工事支出金などの運転資金が多い

  2-5-3.投資有価証券が増えている

  2-5-4.その他について

  2-5-5.金融資産が多い

 2-6.気になる問題

  2-6-1.売上債権回転比率が低い

  2-6-2.営業未収入金について

  2-6-3.当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素について

3.2012年1月に株を取得

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2012年1集 新春号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「東日本の復旧需要で機器販売が増勢。設備工事は新規が完工、受注とも後退するが、リニューアル案件を伸ばす。前期の不採算案件なく人件費増を吸収、営業益底離れ。13年3月期も価格競争厳しいが、復興関連の受注続き営業益強含み。」と、今後が期待できそうな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は54.3%あり、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は1,260百万円ありますが、総資産の8.5%程度なので問題はありません。

 資本金599百万円に対し、利益剰余金は7,535百万円もあります。

 また、現金同等物を30.5億円保有しているこの会社の時価総額は、28.5億円です。

 

 

 

1-3.減収続きの業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

07.3

(実績)

18,858 1,014 1,080 534 94.2
08.3

(実績)

20,238 1,251 1,304 672 118.4
09.3

(実績)

18,216 930 984 519 91.6
10.3

(実績)

17,184 720 769 360 63.6
11.3

(実績)

16,891 451 475 205 36.5
12.3

(予想)

17,600 510 530 260 50.8
13.3

(予想)

18,300 560 580 290 56.6

 2008年3月期をピークに、2011年3月期まで売上高及び利益とも減収減益が続いています。

 しかし、2011年3月期を底にして来期以降からは売上高及び利益ともV字回復を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第63期(平成22年4年1日-平成23年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社は、管工機材販売事業、工事事業、環境機器販売事業を行っています。

 

事業区分 主要業務
管工機材販売事業 主要な商品は、鋼管、継手、バルブ、衛星陶器及び住設機器類になります。
工事事業 主要な工事は、新設及び既設建物に対する計装工事、電気工事及びメンテナンス(保守)工事になります。
環境機器販売事業 環境関連商品を取り扱っています。

 

 

 

2-2.販売実績

 

事業部門の名称 販売高(千円) 割合(%)
工事事業 8,955,860 53.0
管工機材販売事業 7,409,912 43.9
環境機器販売事業 526,000 3.1
合計 16,891,772  

 この会社では、工事事業が売上高の半分近くを占め、次に管工機材販売事業が売上高の43.9%を占めています。

 

 

 

2-3.経営上の重要な契約について

 

契約の相手方 契約の内容 契約期間
株式会社山武 空調自動制御機器等の供給に関する契約 平成23年4月1日から

平成24年3月31日まで

 この会社では、株式会社山武と空調自動制御機器等の供給に関する契約を結んでいます。

 

 

 

2-4.当座貸越契約について

 

当座貸越契約の総額 2,350,000千円
借入実行残高 1,070,00千円
差引額 1,280,000千円

 この会社では、いざというときのために取引銀行8行と運転資金の調達に関する当座貸越契約を締結しています。

 

 

 

2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-5-1.現金及び預金について

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 3,222,053 20.2% 3,790,982 24.5% 3,764,081 24.5%
総資産合計 15,919,400   15,498,982   15,369,648  

 現金及び預金が増減しています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成22年3月期は営業キャッシュ・フローから十分な資金が得らたことが要因で増えています。

 平成23年3月期は、配当金の支払いや自己株式の取得で資金を使ったことが要因で減っています。

 

2-5-2.完成業務未収入金や未成工事支出金などの運転資金が多い

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 受取手形 2,365,601 14.9% 2,138,679 13.8% 2,119,771 13.8%
 売掛金及び完成業務未収入金 3,117,478 19.6% 3,089,471 19.9% 3,177,957 20.7%
 営業未収入金 1,921,943 12.1% 1,434,601 9.3% 1,401,808 9.1%
 商品 351,665 2.2% 294,066 1.9% 323,481 2.1%
 未成工事支出金 1,207,348 7.6% 1,044,587 6.7% 696,004 4.5%
 原材料及び貯蔵品 12,872 0.1% 14,895 0.1% 29,376 0.2%
流動負債            
 支払手形 3,438,338 21.6% 3,106,557 20.0% 3,416,947 22.2%
 買掛金及び工事未払金 1,323,600 8.3% 1,160,504 7.5% 1,239,543 8.1%
 未成工事受入金 618,839 3.9% 423,594 2.7% 173,993 1.1%
総資産合計 15,919,400   15,498,982   15,369,648  

 この会社は、数千万円単位にもなる工事を請負っています。そのため、多額の材料費や外注費などの運転資金を必要とします。

 そのため、運転資金にあたる受取手形や完成業務未収入金などの売上債権、未成工事支出金などのたな卸資産が総資産の50%近くを占めています。

 また流動負債では、仕入債務にあたる買掛金及び工事未払金、未成工事受入金の割合も高くなっています。

 

※ 未成工事支出金とは、未完成の工事原価(材料費や労務費、外注費や経費など)を集計したものです。いわゆる、たな卸資産に相当するものです。

※ 未成工事受入金とは、工事が完成する前に受け取った前受代金です。いわゆる、前受金に相当するものです。

 

 しかし、これらの運転資金にあたる勘定科目の割合について1つの疑問が生じます。それについては、のちほど解説したいと思います。

 

2-5-3.投資有価証券が増えている

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資有価証券 575,776 3.6% 625,219 4.0% 792,107 5.2%
総資産合計 15,919,400   15,498,982   15,369,648  

 平成23年3月期に投資有価証券が増えています。

 連結キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、増えた要因は新たに投資有価証券を購入したためのようです。

 

2-5-4.その他について

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 その他 1,031,774 6.5% 1,073,226 6.9% 1,130,852 7.4%
総資産合計 15,919,400   15,498,982   15,369,648  

 投資その他の資産のその他が1,130,852千円もあり、総資産の7.4%を占めています。

 内訳について単独貸借対照表で確認をすると、主に長期預金や敷金及び保証金で構成されていました。

 

2-5-5.金融資産が多い

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 3,222,053 20.2% 3,790,982 24.5% 3,764,081 24.5%
 受取手形 2,365,601 14.9% 2,138,679 13.8% 2,119,771 13.8%
 売掛金及び完成業務未収入金 3,117,478 19.6% 3,089,471 19.9% 3,177,957 20.7%
 営業未収入金 1,921,943 12.1% 1,434,601 9.3% 1,401,808 9.1%
 有価証券 20,533 0.1% 20,559 0.1% 20,576 0.1%
投資その他の資産            
 投資有価証券 575,776 3.6% 625,219 4.0% 792,107 5.2%
金融資産合計 11,223,384 70.5% 11,099,511 71.6% 11,276,300 73.4%
総資産合計 15,919,400   15,498,982   15,369,648  

 現金及び預金などの金融資産が11,276,300千円もあり、総資産の73.4%を占めています。

 総資産の半分近くは運転資金として負債の部から調達されているもののように感じられましたが、それを差しいても20%近くは残る計算になるのでやはり魅力的です。

 

 

 

2-6.気になる問題

 

 さてこの会社の場合、いくつかの問題点が見受けられました。その点についても取り上げたいと思います。

 

2-6-1.売上債権回転比率が低い

 

 

 

H21.3.31

(回転)

H22.3.31

(回転)

H23.3.31

(回転)

売上債権回転比率 2.46 2.58 2.52

 この会社の場合、売上債権回転比率が2.52回転しかありません。

 数千万円にもなる工事を請負っていれば、売上金が入金されるまでには長い期間を必要とします。そのため、売上債権回転比率は低くなる傾向になるでしょう。

 しかしこの会社の場合、工事事業は売上高の約半分しか占めていません。残りの売上高は管工機材販売事業や環境機器販売事業で構成されています。

 そのことを考えると、売上債権がここまで低いことには何か疑念を感じます。不良債権が含まれているとか、何らかの問題を抱えているのかもしれません。

 

2-6-2.営業未収入金について

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 営業未収入金 1,921,943 12.1% 1,434,601 9.3% 1,401,808 9.1%
総資産合計 15,919,400   15,498,982   15,369,648  

 この会社には営業未収入金という勘定科目があり、総資産の9.1%を占めています。

 営業未収入金の相手先は、みずほ信託銀行株式会社や三菱UFJファクター株式会社などの金融機関系になっていました。

 建設業で事業を行っているこの会社にとってほとんど関係ない相手先だと思いますが、一体どんな取引を行っているのでしょうか?

 

2-6-3.当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素について

 

 

 

H21.3.31

(千円)

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 379,019 545,094 232,843
当期純利益 519,883 360,614 205,407
差額 ▲140,864 184,480 27,436

 平成21年3月期は黒字業績になっていますが、営業キャッシュ・フロー利益要素より当期純利益の方が多くなっています。

 つまり、現金の裏付けが少なり利益を計上していることになります。

 

 

 

 

3.2012年1月に株を取得

 


 

 私がこの会社に注目をしたのは、2011年12月ごろでした。

 このときは今ほど詳しく財務分析を行わず、安くて魅力的だったので2012年1月に1株平均499円で購入しました。

 それから約半年ほど経つと同社への興味が薄れたことや、ある程度含み益が出てきたことから2012年6月に1株平均561円で売却を行いました。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが現在のチャートになります。

 

 私は2012年6月に1株平均561円で売却を行いましたが、そこを底値として株価はきれいな右肩上がりを続けています。

 そして、2018年2月には1,915円の高値にまで上昇しています。

 

 そして、現在の業績は・・・

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.3

(実績)

19,736 877 949 534 104.2
14.3

(実績)

21,509 1,021 1,062 555 107.9
15.3

(実績)

20,994 1,116 1,167 690 134.2
16.3

(実績)

23,454 1,491 1,558 977 189.8
17.3

(実績)

24,026 1,566 1,650 1,074 205.6
18.3

(予想)

24,300 1,410 1,460 980 186.7
19.3

(予想)

24,300 1,600 1,650 1,050 200.0

 黒字だらけの業績で、売上高も利益も無理のない理想的できれいな右肩上がりを続けています。

 私がこの会社に注目をした時期には首都圏への販売に力を注いでいました。それが、現在の好業績につながったのかもしれませんね。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 建設業, 業種別

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