割安株、日本電技(1723)に投資をしたときのお話

      2018/04/08

 今回は割安株、日本電技(1723)に投資をしたときの記事です。

 この銘柄は会社四季報(2012年4集 秋号)が発売されたときに発見した銘柄であり、PERは5.9倍、PBRは0.40倍と割安でした。また当時は多くの建設株と違い、株価は低迷を続けていました。

 そのために私はこの銘柄に興味を持ち、そして2012年6月に投資を行いました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.安定した業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.特定融資枠契約について

 2-4.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金預金について

  2-4-2.有価証券が増えている

  2-4-3.完成工事未収入金や未成工事支出金などの運転資金が多い

  2-4-4.保険積立金が増えている

  2-4-5.工事損失引当金が増えている

  2-4-6.投資キャッシュ・フローでは、投資有価証券の取得が中心

2-5.気になる問題

  2-5-1.売上債権回転比率が低い

  2-5-2.営業キャッシュ・フロー利益要素よりも、当期純利益の方が多い

3.2012年6月に株を取得

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2011年4集 秋号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「自動制御など産業計装は手持ち少なく伸び悩む。ただ、主力の空調軽装が病院、医療向けに加え事務所関連伸ばし完工増勢。工場向け軸に新設案件の受注も想定以上。会社営業益は上振れ。増配余地。」と、四季報記者が絶賛する内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は64.5%と、安全性は十分です。

 有利子負債はなく、無借金経営が行われています。

 資本金470百万円に対し、利益剰余金は11,631百万円もあります。少ない元手でここまで増やしてきたことに感心をします。

 さらに、現金同等物を56.7億円保有しているこの会社の時価総額は、48.8億円です。

 

 

 

1-3.安定した業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

10.3

(実績)

21,514 1,636 1,667 934 114.0
11.3

(実績)

21,795 1,379 1,401 799 97.5
12.3

(実績)

20,852 1,050 1,082 583 71.1
13.3

(予想)

22,800 1,450 1,450 830 101.3
14.3

(予想)

23,500 1,600 1,600 920 112.2

 売上高及び利益ともに減少しています。しかし、毎年黒字を確保している優良企業です。

 2012年3月期を底に、2013年3月期以降からはV字回復の業績を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第53期(平成23年4年1日-平成24年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社では、ビルディングオートメーション及びフォクトリーオートメーション等の自動制御システムの設計・施工等及び自動制御機器類の販売並びにこれらに関する事業を行っています。

 

事業区分 事業内容
空調計装関連事業 オフィスビル、工場、病院、研究所、学校、商業施設等の非居住用建設物に対する空調軽装分野を対象とし、空調自動制御システムの設計、施工並びに施工後の保守・点検を行います。

また、自動制御盤、センサー、サーモスタット等の空調を自動制御するための機器類を販売します。

産業計装関連事業 空調計装以外のあらゆる計装分野を対象に、各種自動制御システムの設計、施工並びに施工後の保守、点検などを行っています。

 

 

 

2-2.販売実績

 

事業部門の名称 販売高

(千円)

割合

(%)

空調計装関連事業 17,899,875 85.8
産業計装関連事業 2,259,970 10.8
商品売上高 692,595 3.3
合計 20,852,441  

 この会社では空調計装関連事業の売上高が一番高く、売上全体の85.8%を占めています。

 

 

 

2-3.特定融資枠契約について

 

契約の名称 相手先 契約の概要
コミットメントライン契約 (株)みずほ銀行

(株)りそな銀行

住友信託銀行(株)

貸付金金融機関3行との借入総額1,000,000千円のシンジケーション方式の借入契約

 この会社では運転資金や設備投資資金の不足の事態に備え、取引銀行3行と総額1,000百万円の特定融資枠(シンジケーション方式によるコミットメントライン)を平成23年3月30日に締結したそうです。

 

 

 

2-4.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-4-1.現金預金について

 

 

 

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 2,655,441 13.6% 2,526,566 12.3% 2,970,981 14.5%
総資産合計 19,490,305   20,478,356   20,488,616  

 現金預金が増減しています。

 キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、平成23年3月期は配当金の支払いで現金及び預金が減少しています。

 平成24年3月期は営業キャッシュ・フローから資金を得られたことが要因で現金及び預金が増えています。

 

2-4-2.有価証券が増えている

 

 

 

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 有価証券 2,330,736 12.0% 2,607,720 12.7% 3,208,565 15.7%
総資産合計 19,490,305   20,478,356   20,488,616  

 3期に渡り、有価証券が増えています。

 有価証券明細表で確認をすると、売買を繰り返した結果により増えていました。

 

2-4-3.完成工事未収入金や未成工事支出金などの運転資金が多い

 

 

 

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 完成工事未収入金 5,764,528 29.6% 6,546,458 32.0% 6,346,065 31.0%
 未成工事支出金 3,425,492 17.6% 3,384,671 16.5% 2,666,162 13.0%
流動負債            
 工事未払金 2,139,950 11.0% 2,266,141 11.1% 2,661,005 13.0%
 未成工事受入金 1,405,454 7.2% 1,456,217 7.1% 1,006,913 4.9%
総資産合計 19,490,305   20,478,356   20,488,616  

 この会社は、数億円にもなる工事を請負っています。そのため、多額の材料費や外注費などの運転資金を必要とします。

 そのため、運転資金にあたる完成工事未収入金や未成工事支出金、工事未払金や未成工事受入金が総資産の多くを占めています。

※ 完成工事未収入金とは、工事請負代金で未回収のものです。いわゆる、売掛金に相当します。

※ 未成工事支出金とは、未完成の工事原価(材料費や労務費、外注費や経費など)を集計したものです。いわゆる、たな卸資産に相当します。

※ 未成工事受入金とは、工事が完成する前に受け取った前受代金です。いわゆる、前受金に相当します。

 

2-4-4.保険積立金が増えている

 

 

 

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 保険積立金 0 0.0% 51,484 0.3% 335,848 1.6%
総資産合計 19,490,305   20,478,356   20,488,616  

 3期に渡り、保険積立金が増えています。

 理由について詳しく調べてみましたが、わかりませんでした。

 

2-4-5.工事損失引当金が増えている

 

 

 

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 工事損失引当金 83,079 0.4% 234,065 1.1% 167,688 0.8%
総資産合計 19,490,305   20,478,356   20,488,616  

 平成23年3月期に工事損失引当金が増えています。

 増えた要因は、売上が増えたためだと考えられます。

※ 工事損失引当金とは、受注した工事のうち、損失の発生が見込まれるものに対する引当金です。

 

2-4-6.投資キャッシュ・フローでは、投資有価証券の取得が中心

 

 

 

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

投資キャッシュ・フロー ▲320,431 ▲43,638 ▲639,864
投資有価証券の取得による支出 ▲413,076 ▲213,980 ▲429,145
投資有価証券の償還による収入 52,000 18,755 102,100

 この会社の投資キャッシュ・フローは、投資有価証券の取得が中心になっています。

 余裕資金を財テクとして活用しているのかもしれません。

 

 

 

2-5.気になる問題

 

 さて、いくつかの気になる問題点もあったのでそれについても取り上げたいと思います。

 

2-5-1.売上債権回転比率が低い

 

 

 

H22.3.31

(回転)

H23.3.31

(回転)

H24.3.31

(回転)

売上債権回転比率 3.08 2.84 2.81

 売上債権回転比率は2.81回転しかありません。

 数億円にもなる工事を請負っているため、工事がある程度完了してからはじめて売上金が入金されると考えられます。

 そのため、売上債権回転比率が低いのかもしれません。

 

2-5-2.営業キャッシュ・フロー利益要素よりも、当期純利益の方が多い

 

 

 

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 588,347 1,216,651 651,857
当期純利益 934,680 799,279 583,085
差額 ▲346,333 417,372 68,772

 平成22年3月期には、営業キャッシュ・フロー利益要素よりも、当期純利益の方が多くなっています。つまり、現金の裏付けが少ない利益を計上していることになります。

 営業キャッシュ・フロー計算書で確認をすると、その他による資金の流出と多額の法人税等の支払で営業キャッシュ・フロー利益要素が減少しています。

 

 

 

 

3.2012年6月に株を取得

 


 

 私は、2012年6月に1株平均576円で少しだけ購入をしました。

 それから直近の550円まで値下がりをしたら全力買いをするつもりでしたが、それ以降から株価は値下がりをすることはありませんでした。

 それから半年以上経っても思うように株価は上がらず、それに嫌気した私は2013年3月になると1株平均676円で売却しました。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが現在のチャートになります。

 

 私がこの株を売った676円から、2017年3月には3,140円の高値にまで高騰しています。実に、4.5倍近くになります。

 2016年7月には株価が一段と上昇していま。確かこの頃は、IoT銘柄として同社が材料視されたためだったと思います。

 

 そして、現在の業績は・・・

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.3

(実績)

21,786 1,389 1,452 766 93.5
14.3

(実績)

24,517 2,337 2,399 1,367 166.8
15.3

(実績)

23,477 2,061 2,170 1,367 166.8
16.3

(実績)

25,799 2,736 2,785 1,805 221.4
17.3

(実績)

27,652 2,906 2,957 2,022 250.0
18.3

(予想)

28,000 3,000 3,050 2,150 268.6
19.3

(予想)

29,000 3,100 3,200 2,200 274.9

 売上高も利益も徐々に増えています。そして、2018年3月期以降も増収増益を見込んでいます。

 文句なしの内容ですね。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 建設業, 業種別

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。