割安株、マツモト(7901)に投資をしたときのお話

      2018/04/08

 会社四季報(2012年3集 夏号)で見つけた割安株があります。それは、マツモト(7901)です。

 PERは17.0倍ですが、PBRは0.23倍と割安であったことに魅力を感じたため、投資を行いました。

 けど、改めてこの銘柄をブログで記事にしながら見直してみると、今なら投資を見送っていたかもしれません・・・。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.売上高が年々減少

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.売上高が年々減少

 2-2.事業の内容

 2-3.販売実績

 2-4.設備の新設計画

 2-5.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.現金及び預金が増えている

  2-5-2.機械及び装置(純額)が減っている

  2-5-3.投資有価証券が減っている

  2-5-4.保険積立金が増えている

  2-5-5.支払手形がない

  2-5-6.未払金が増えている

 2-6.気になる問題

  2-6-1.貸倒引当金について

  2-6-2.有形固定資産について

3.2012年8月から株を取得

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2012年3集 夏号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「13年4月期は商業印刷が高単価のカラーカタログ軸に下落懸念。下期偏重の学校アルバム競争激化。ただ新設備導入による生産効率化や人件費抑制寄与。黒字守る。営業外の貸倒引当金戻入益消える。」と先行きの怪しい内容になっています。

 また材料記事では、「受注環境厳しいため工場レイアウト見直しなどに尽力。ネット受注は印刷物件範囲拡大し14年4月期年商3億円目指す(現状約1億円)。」と切羽詰まった状況が伺えます。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は74.6%と問題のない財務体質です。

 有利子負債はなく、無借金経営が行われています。

 資本金929百万円に対し、利益剰余金は346百万円しかありません。

 また、現金同等物を11.3億円も保有しているこの会社の時価総額はたったの6.8億円です。

 大株主は、創業者一族がトップ3位に入っています。

 

 

 

1-3.売上高が年々減少

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

09.4

(実績)

2,731 ▲88 ▲74 ▲221 ▲584.9
10.4

(実績)

2,751 ▲192 ▲180 ▲229 ▲608.4
11.4

(実績)

2,826 ▲96 ▲73 ▲150 ▲398.9
12.4

(予想)

2,820 15 60 40 100.6
13.4

(予想)

2,700 20 30 20 50.3

 2011年4月期から売上高は若干回復していますが、赤字業績が続いていま。

 また、過去3期とも経常損失よりも純損失の方が大きくなっています。その要因は特別損失を計上しているからだと思われますが、3期連続で何を特別損失に計上したのでしょうか?

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第24期(平成23年5年1日-平成24年4月30日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.売上高が年々減少

 

  平成20年4月 平成21年4月 平成22年4月 平成23年4月 平成24年4月
売上高
(千円)
2,864,941 2,731,791 2,751,444 2,826,682 2,827,889
当期純利益又は当期純損失(▲)
(千円)
▲207,317 ▲221,112 ▲229,988 ▲150,740 40,980
純資産額
(千円)
4,258,495 3,968,948 3,755,785 3,555,632 3,542,196
自己資本比率
(%)
82.5 83.2 81.2 79.4 78.8
従業員数
(人)
245 236 245 231 223

 平成22年4月期から売上高が少しずつ回復して、赤字続きの業績も平成24年4月期からは黒字になっています。

 赤字業績が続いていたため純資産額は年々減り、自己資本比率も下がっています。

 また会社の説明によると、平成24年4月期は人件費の抑制や減価償却費等の経費削減に取り組んできたそうです。

 従業員数は平成23年4月期から減っています。

 

 

 

2-2.事業の内容

 

 この会社の事業は印刷物の製造販売を主とし、主要製品は学校向けの卒業アルバムになっています。

 

事業区分 事業の内容
印刷物の製造販売 学校アルバム部門

一般商業印刷部門

 

 

 

2-3.販売実績

 

部門 販売高(千円) 割合(%)
学校アルバム 2,029,777 71.8
一般商業印刷 798,112 28.2
合計 2,446,063  

 この会社では、学校アルバム部門の売上高が一番高く、売上高の71.8%を占めています。

 

 

 

2-4.設備の新設計画

 

事業所及び

所在地

設備の内容

 

着手年月

完了予定年月

本社及び工場
(北九州市門司区)
印刷機械 自 平成24年5月
至 平成25年3月
製本機械 自 平成24年5月
至 平成24年12月
コンピュータシステム 自 平成24年5月
至 平成25年4月
その他設備 自 平成24年5月
至 平成25年4月

 この会社では、平成24年5月から平成25年4月にかけ、印刷機械などの設備計画があるそうです。

 また設備投資に伴う資金調達方法は、自己資金で補うようです。

 

 

 

2-5.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-5-1.現金及び預金が増えている

 

 

 

H22.4.30

(千円)

割合

(%)

H23.4.30

(千円)

割合

(%)

H24.4.30

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 1,637,957 35.4% 1,632,238 36.4% 1,727,066 38.4%
総資産合計 4,623,794   4,478,306   4,492,891  

 平成24年4月期に現金及び預金が増えています。

 財務3表で確認をすると、営業キャッシュ・フローで多額の減価償却費を計上したことが要因しています。

 また、現金及び預金だけで総資産の38.4%を占めるキャッシュリッチな会社です。

 

2-5-2.機械及び装置(純額)が減っている

 

 

 

H22.4.30

(千円)

割合

(%)

H23.4.30

(千円)

割合

(%)

H24.4.30

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 機械及び装置(純額) 757,361 16.4% 682,291 15.2% 569,989 12.7%
総資産合計 4,623,794   4,478,306   4,492,891  

 有形固定資産の中でも、機械及び装置(純額)の減少が目立ちます。

 財務3表や有形固定資産等明細表で確認をすると、製本用機械や工程管理用情報処理装置などの減少や減価償却費を計上したことが要因していると思われます。

 

2-5-3.投資有価証券が減っている

 

 

 

H22.4.30

(千円)

割合

(%)

H23.4.30

(千円)

割合

(%)

H24.4.30

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資有価証券 247,051 5.3% 237,434 5.3% 219,221 4.9%
総資産合計 4,623,794   4,478,306   4,492,891  

 年々、投資有価証券が減っています。

 純資産の部に計上されているその他有価証券評価差額金のマイナスが大きくなっていますが、どうやら保有株式の時価総額が減ってしまったためのようです。

 

2-5-4.保険積立金が増えている

 

 

 

H22.4.30

(千円)

割合

(%)

H23.4.30

(千円)

割合

(%)

H24.4.30

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 保険積立金 49,146 1.1% 44,904 1.0% 105,201 2.3%
総資産合計 4,623,794   4,478,306   4,492,891  

 平成24年4月期に、保険積立金が増えています。

 気になったので内訳について調べてみましたが、わかりませんでした。

 

2-5-5.支払手形がない

 

 この会社には支払手形がありません。

 当座比率は352%もありますので、資金繰りに余裕が感じられます。

 これなら、支払手形がないこともうなずけます。

 

2-5-6.未払金が増えている

 

 

 

H22.4.30

(千円)

割合

(%)

H23.4.30

(千円)

割合

(%)

H24.4.30

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 未払金 92,694 2.0% 86,872 1.9% 111,276 2.5%
総資産合計 4,623,794   4,478,306   4,492,891  

 平成24年4月期に、未払金が増えています。

 気になったので内訳について調べてみましたが、わかりませんでした。

 

 

 

2-6.気になる問題

 

 さて、ここで会社の気になる問題がいくつかあったので、まとめて解説していきたいと思います。

 

2-6-1.貸倒引当金について

 

 

 

H22.4.30

(千円)

割合

(%)

H23.4.30

(千円)

割合

(%)

H24.4.30

(千円)

割合

(%)

売上高 2,751,444   2,826,682   2,827,889  
流動資産            
 貸倒引当金 ▲22,000 ▲0.5% ▲69,000 ▲1.5% ▲37,500 ▲0.8%
総資産合計 4,623,794   4,478,306   4,492,891  

 流動資産に計上されている貸倒引当金ですが、平成23年4月期には増加し、平成24年4月期には減少しています。いずれも、売上高の増減に比べると大きな金額になります。

 平成24年4月期に減少したのは、債権の回収可能性や貸倒実績率を見直したことから、貸倒引当金の計上をやめたそうです。また、損益計算書では営業外収益に貸倒引当金戻入額が計上されていることも確認できました。

 しかし、たった1年間でここまで大きな金額が動くことに不自然さを感じます。私には胡散臭く感じるのです。

 

2-6-2.有形固定資産について

 

 

 

H22.4.30

(千円)

割合

(%)

H23.4.30

(千円)

割合

(%)

H24.4.30

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 建物(純額) 351,985 7.6% 338,647 7.6% 324,756 7.2%
 構築物(純額) 1,288 0.0% 915 0.0% 555 0.0%
 機械及び装置(純額) 757,361 16.4% 682,291 15.2% 569,989 12.7%
 車両運搬具(純額) 4,208 0.1% 3,394 0.1% 2,076 0.0%
 工具、器具及び備品(純額) 12,730 0.3% 12,265 0.3% 10,625 0.2%
 土地 929,190 20.1% 929,190 20.7% 929,190 20.7%
有形固定資産合計 2,056,762 44.5% 1,966,702 43.9% 1,837,191 40.9%
総資産合計 4,623,794   4,478,306   4,492,891  

 この会社の場合、十分な売上高がないため赤字業績が続いています。

 市場規模が年々縮小しているため、不採算設備を抱え込んでいることも赤字業績の要因の1つと考えられます。

 この会社では、本社以外にも3か所の工場や3か所の営業所の他、デザインセンター並びに下部組織のプランニングスタジオ及びサテライトオフィスの設備がありますが、これは平成20年4月期から変わっていません。

 本来であればその中の不採算設備を売却するなどをして整理縮小に努める必要があると考えられますが、有形固定資産の金額からはその動きが見られません。

 特に、土地の占める割合が一番高くなっていますが、本当に有効活用されているのでしょうか?

 

 

 

 

3.2012年8月から株を取得

 


 

 この記事を書きながら改めてこの会社のファンダメンタルズを見てきましたが、今なら投資を見送っていたと思います。

 しかし私は、2012年8月にこの会社の割安な株価にすっかりほれ込んでしまい、今ほど問題を意識することができませんでした。そして、同社の株を平均1,930円で購入したのです。

 今ではなぜ売ったのか記憶も記録も残っていないためわかりませんが、2012年9月から2012年12月にかけて1株平均1,920円で損切を行いました。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが、現在の株価です。

 

 私が最後に売った2012年12月が大底で、そこから株価は右肩上がりを続けています。そして、今では倍以上の株価になっています。

 

 業績について見てみると・・・

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.4

(実績)

2,736 5 16 42 113.8
16.4

(実績)

2,747 ▲61 ▲50 ▲58 ▲154.5
17.4

(実績)

2,811 ▲27 ▲10 14 37.3
18.4

(予想)

2,900 20 40 20 53.0
19.4

(予想)

3,000 30 50 30 79.5

 売上高はほとんど変わっていません。

 2017年4月は黒字業績になっていますが、どうやら特別利益を計上したためのようです。

 気になっていた有形固定資産について最近のものを調べてみましたが、現在では逆に増えていました。

 売上高は上がっていないのに有形固定資産が増えているなんて・・・、経営の方向性として大丈夫なのでしょうか?

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - その他製品, 業種別

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。