投資を見送った会社、ナンシン(7399)について

      2018/04/09

 当時の会社四季報(2015年4集 秋号)から見つけた割安な銘柄がありました。それは、ナンシン(7399)です。

 PERは5.2倍、PBRは0.37倍の割安感に関心を持った私は早速、会社のファンダメンタルズについて分析を行いました。

 割安と思っていた銘柄でしたが、さまざまな問題が見つかったために投資を見送りました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.拡大傾向にある業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績

 2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-3-1.現金及び預金について

  2-3-2.リース契約補償損失引当金について

  2-3-3.有利子負債が減少

 2-4.気になる問題

  2-4-1.売上債権回転比率が低い

  2-4-2.たな卸資産回転比率が低い

  2-4-3.現金の裏付けがある利益をしっかり確保

  2-4-4.有形固定資産の償却方法

  2-4-5.事業等のリスクについて

3.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2015年4集 秋号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「中国で医療用ベッド向け想定下回る。ただ国内は医療用機器向けや建設現場向け堅調。円安による採算悪化も値上げや原価低減努力で吸収。前号より営業減益幅縮小。マレーシアの借地権売却で特別益。過去に否認された損失の確定で税軽い。」と先行きに明るさが見え始めた内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は68.7%もあり、安全性は十分です。

 有利子負債は500百万円ですが、総資産の4.0%しかないので問題はありません。

 資本金1,696百万円に対し、利益剰余金は5,342百万円です。

 

 

 

1-3.拡大傾向にある業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

12.3

(実績)

14,839 183 166 ▲29 ▲5.0
13.3

(実績)

14,401 83 87 11 2.0
14.3

(実績)

15,693 162 168 99 16.6
15.3

(実績)

16,218 275 302 194 32.6
16.3

(予想)

15,500 130 160 100 16.5
17.3

(予想)

15,700 160 170 120 19.9

 売上高と利益は年々増加しています。しかし、2016年3月期以降は売上高も利益も減少する予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第69期(平成26年4年1日-平成27年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社は、キャスターや台車等の製造及び販売を行っています。

 

事業区分 事業の内容
キャスター事業 キャスターの製造及び販売
その他事業 台車、ロールボックスパレット、店舗用品、医療用樹脂部品の製造及び販売

 

 

 

2-2.販売実績

 

事業部門の名称 販売高(千円) 割合(%)
キャスター事業 5,776,086 60.0
その他事業 3,244,202 40.0
合計 9,020,289

 この会社では、キャスター事業が売上高の60.0%を占めています。

 

セグメントの名称 販売高(千円) 割合(%)
日本 8,212,230 91.0
中国 687,555 7.6
マレーシア 120,502 1.3
合計 9,020,289

 また、日本以外にも中国やマレーシアなどでも販売を行っています。

 

相手先 販売高(千円) 割合(%)
パラマウントベッド株式会社 936,161 10.4

 主な取引先はパラマウントベッド株式会社になっており、売上高の10.4%を占めています。

 

 

 

2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-3-1.現金及び預金について

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 1,824,658 14.6% 2,136,691 17.0% 2,046,009 16.2%
総資産合計 12,469,191 12,597,904 12,645,444

 平成26年3月期には現金及び預金が増え、平成27年3月期には減っています。

 連結財務3表で確認をすると平成26年3月期は十分な利益を確保したことで増え、平成27年3月期は負債の返済のために減ったようです。

 

2-3-2.リース契約補償損失引当金について

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

固定負債
 リース契約補償損失引当金 1,126,645 9.0% 722,203 5.7% 644,438 5.1%
総資産合計 12,469,191 12,597,904 12,645,444

 固定負債にリース契約補償損失引当金というものが計上されています。

 これは、イギリスの子会社に対する不動産リース債務への引当金のようです。

 

2-3-3.有利子負債が減少

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 1,413,213 11.3% 1,000,000 7.9% 500,000 4.0%
 1年内返済予定の長期借入金 48,600 0.4% 24,150 0.2% 0 0.0%
固定負債
 長期借入金 24,150 0.2% 0 0.0% 0 0.0%
有利子負債合計 1,485,963 11.9% 1,024,150 8.1% 500,000 4.0%
総資産合計 12,469,191 12,597,904 12,645,444

 有利子負債が総資産の11.9%から4.0%にまで減っています。

 それによって自己資本比率は67.8%にまで上がっています。

 財務上は非常に好ましいことです。

 

 

 

2-4.気になる問題

 

 さて、ここまで有価証券報告書を活用して会社のことについて見てきました。しかし、多くの問題点も見受けられたのでまとめて解説します。

 

 

 

2-4-1.売上債権回転比率が低い

 

 

 

H25.3.31

(回転)

H26.3.31

(回転)

H27.3.31

(回転)

売上債権回転比率 3.28 3.09 2.87

 売上債権回転比率が年々低くなり、平成27年3月期は3回転を切っています。

 これだけ低いと、押込み販売や回収条件の悪化、不良債権など、何らかの問題を抱えているように感じます。

 

2-4-2.たな卸資産回転比率が低い

 

 

 

H25.3.31

(回転)

H26.3.31

(回転)

H27.3.31

(回転)

たな卸資産回転比率 4.55 5.20 5.01

 製造業の平均的なたな卸資産回転比率は10回転と言われていますが、同社の場合は5回転しかありません。

 たな卸資産をみてみると・・・

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 商品及び製品 932,151 7.5% 841,038 6.7% 889,313 7.0%
 仕掛品 322,818 2.6% 327,247 2.6% 358,072 2.8%
 原材料及び貯蔵品 580,038 4.7% 527,242 4.2% 553,191 4.4%
たな卸資産合計 1,835,007 14.7% 1,695,527 13.5% 1,800,576 14.2%
総資産合計 12,469,191 12,597,904 12,645,444

 たな卸資産は総資産の14.2%ほどしかなく、在庫水準は適切だと考えられます。

 それでもたな卸資産回転比率が低いということは、商品・製品に人気がないなど、何らかの問題を抱えているのかもしれません。

 

 

 

2-4-3.現金の裏付けがある利益をしっかり確保

 

 当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素の差額について見てみると・・・

 

 

 

H25.3.31

(千円)

H26.3.31

(千円)

H27.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 1,239,027 1,062,081 787,959
当期純利益 679,269 1,017,726 572,590
差額 559,758 44,355 215,369

 と、しっかりキャッシュの裏づけがある利益を確保しいていることが確認できます。

 しかし、私が見てきた多くの製造業では多額の減価償却費を計上するため、営業キャッシュ・フロー利益要素は当期純利益の2倍以上はあります。

 それに比べると、同社の営業キャッシュ・フロー利益要素は当期純利益と比較して少ないように感じます。

 

 

 

2-4-4.有形固定資産の償却方法

 

 一般に、有形固定資産の償却方法では多くの会社が定率法を採用しています。なぜなら、その方が最初で多くの費用を計上できるため、節税に効果があるからです。

 しかしこの会社の場合、毎年一定額で費用計上を行う定額法を採用しています。

 

 

 

2-4-5.事業等のリスクについて

 

 私がこれまで見てきた多くの会社は、事業等のリスクについて詳しく説明されていました。

 しかし同社の場合は説明が大雑把であり、私は信頼することができません。

 

 以上の理由も含めて総合的に判断をした結果、私は投資を見送りました。

 

 

 

 

3.現在の株価と業績

 


 

 こちらが現在のチャートになります。

 

 私がこの会社に注目をしたのは2015年9月ごろでした。その時の株価は410円です。

 そこから2018年1月には715円の高値にまで株価は上昇をしています。

 もし、2015年9月に同社の株を取得したとしても、2016年に入ると株価は400円を切ってます。そこから含み損を抱えた段階で、結果的に損切を行っていたのではないかと思います。

 そして業績は・・・

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.3

(実績)

8,347 983 997 679 88.6
14.3

(実績)

8,811 832 1,336 1,017 132.7
15.3

(実績)

9,020 750 760 572 74.7
16.3

(実績)

9,366 824 985 817 106.6
17.3

(実績)

8,853 1,015 1,119 802 104.6
18.3

(予想)

9,500 790 810 530 69.1
19.3

(予想)

9,809 950 970 630 82.2

 売上高も利益も増えたり減ったりを繰り返しています。何か変なことでもしているのでしょうか?

 そして、2018年3月期以降は売上高も利益も増加する予想になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 輸送用機器

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