投資を見送った会社、サンユウ(5697)について

      2018/04/09

 会社四季報(2015年4集 秋号)を読んでいた時に見つけた銘柄があります。それは、サンユウ(5697)です。

 PERは19.2倍と割高であったものの、PBRは0.27倍と割安なうえ、大きく値下がりをした株価に興味を持った私は会社のファンダメンタルズについて分析を行いました。

 売上高の増加や財務体質の改善など魅力的な部分はあったものの、ある問題点から投資を見送ることにしたのです。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.拡大傾向にある業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.売上高が増えている

 2-2.事業の内容

 2-3.販売実績

 2-4.大株主の状況

 2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-5-1.現金及び預金が減っている

  2-5-2.受取手形及び売掛金と支払手形及び買掛金が増えている

  2-5-3.その他について

  2-5-4.出資金が増えている

  2-5-5.その他が増えている

  2-5-6.有利子負債が減っている

  2-5-7.現金の裏付けがある利益をしっかり確保

  2-5-8.改善傾向にある営業利益率

 2-6.気になる問題

  2-6-1.たな卸資産回転比率が低い

  2-6-2.過剰な長期貸付金

3.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2015年4集 秋号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「客先の自動車業界は新興国経済減速で先行き不透明感。CH線の出荷停滞。産業機械向け堅調なみがき棒鋼も部門全体では不調。製販子会社サンユウ九州も、稼働率低下で踊り場。減産影響大きく前号比で減益幅拡大。会社未定だが5円配当維持も。」と先行きが怪しい内容になっています。       

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は49.0%と、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は2,224百万円あり、総資産の15.6%程度なので問題はありません。

 資本金1,513百万円に対し、利益剰余金は4,168百万円です。

 

 

 

1-3.拡大傾向にある業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

12.3

(実績)

14,839 183 166 ▲29 ▲5.0
13.3

(実績)

14,401 83 87 11 2.0
14.3

(実績)

15,693 162 168 99 16.6
15.3

(実績)

16,218 275 302 194 32.6
16.3

(予想)

15,500 130 160 100 16.5
17.3

(予想)

15,700 160 170 120 19.9

 売上高は年々増加しており、それに伴って利益も増えています。

 しかし、2016年3月期は売上高、利益ともに減少する予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第69期(平成26年4年1日-平成27年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.売上高が増えている

 

平成23年3月 平成24年3月 平成25年3月 平成26年3月 平成27年3月
売上高
(千円)
12,907,780 14,839,048 14,401,284 15,693,481 16,218,163
総資産額
(千円)
14,413,191 16,400,902 15,032,025 14,911,312 14,723,530
自己資本比率
(%)
47.7 41.4 44.7 45.5 47.2
従業員数
(人)
166 203 211 219 223

 年々売上高が増え、従業員数も増えています。

 総資産額は平成24年3月期まで増えていますが、それ以降は減っています。そして、自己資本比率が上がっています。

 負債を減らすことで資産のスリム化を図ったのでしょう。

 

 

 

2-2.事業の内容

 

 この会社は、みがき棒鋼部門と冷間圧造用鋼線部門の2つで構成されています。

 

事業区分 事業の内容
みがき棒鋼部門 みがき棒鋼の製造・販売

みがき棒鋼のセンタレス・旋盤・寸法切等の精密機械加工とその販売

冷間圧造用鋼線部門 冷間圧造用鋼線を製造・販売

 

 

 

2-3.販売実績

 

事業部門の名称 販売高(千円) 割合(%)
みがき棒鋼部門 9,798,504 60,4
冷間圧造用鋼線部門 6,419,658 39.6
合計 16,218,163

 この会社では、みがき棒鋼部門が売上高の60.4%を占めています。

 

相手先 販売高(千円) 割合(%)
日鉄住金物産株式会社 1,916,096 11.8

 また、主な取引先は日鉄住金物産株式会社になっており、売上高の11.8%を占めています。

 

 

 

2-4.大株主の状況

 

 大株主を見てみると・・・

 

氏名又は名称 所有株式数
(千株)
発行済株式

総数に対する

所有株数

の割合(%)

新日鐵住金株式会社 2,035 33.41
株式会社メタルワン 315 5.17
伊藤忠丸紅鉄鉱株式会社 295 4.84
日鉄住金物産株式会社 250 4.10
サンユウ従業員持株会 221 3.64

 新日鐵住金株式会社や伊藤忠丸紅鉄鉱株式会社などの大企業が大株主になっています。

 

 

 

2-5.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-5-1.現金及び預金が減っている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 現金及び預金 1,388,825 9.2% 1,139,785 7.6% 1,052,775 7.2%
総資産合計 15,032,017 14,911,304 14,723,522

 3期に渡り、現金及び預金が減っています。

 連結財務3表で確認をすると、平成26年3月期は主に流動負債の1年内返済予定の長期借入金を返済したために減り、平成27年3月期は主に流動負債の短期借入金を返済しいたために減ったと思われます。

 

2-5-2.受取手形及び売掛金と支払手形及び買掛金が増えている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 14,401,284 15,693,481 16,218,163
流動資産
 受取手形及び売掛金 4,241,400 28.2% 4,658,592 31.2% 4,706,289 32.0%
流動負債
 支払手形及び買掛金 3,676,240 24.5% 4,013,563 26.9% 4,360,079 29.6%
総資産合計 15,032,017 14,911,304 14,723,522

 受取手形及び売掛金と、支払手形及び買掛金が3期に渡り増えています。

 売上高が増えたことで、運転資金の需要が高まったためだと考えられます。

 

2-5-3.その他について

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 その他 250,659 1.7% 184,189 1.2% 241,160 1.6%
総資産合計 15,032,017 14,911,304 14,723,522

 流動資産のその他が241,160千円にまで増え、総資産の1.6%を占めています。

 そのうち、162,745千円分は新日鐵住金に対する未収入金のようです。

 

2-5-4.出資金が増えている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産
 出資金 8,196 0.1% 227,842 1.5% 227,842 1.5%
総資産合計 15,032,017 14,911,304 14,723,522

 平成26年3月期に出資金が増え、総資産の1.5%を占めるようになっています。

 気になったので出資先について調べてみたものの、不明でした。

 

2-5-5.その他が増えている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 その他 332,725 2.2% 355,752 2.4% 437,885 3.0%
総資産合計 15,032,017 14,911,304 14,723,522

 流動負債のその他が年々増え、総資産の3.0%を占めています。

 単独貸借対照表で確認をすると、主に未払金や未払費用、預り金が増えたためだと推測します。

 

2-5-6.有利子負債が減っている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債
 短期借入金 100,000 0.7% 200,000 1.3% 100,000 0.7%
 1年内返済予定の長期借入金 1,310,186 8.7% 1,071,532 7.2% 1,235,236 8.4%
固定負債
 長期借入金 2,395,539 15.9% 1,974,536 13.2% 1,174,400 8.0%
有利子負債合計 3,805,725 25.3% 3,246,068 21.8% 2,509,636 17.0%
総資産合計 15,032,017 14,911,304 14,723,522

 有利子負債が総資産の25.3%から17.0%にまで減っています。

 それによって自己資本比率は上がっています。財務上は非常に好ましいことです。

 

2-5-7.現金の裏付けがある利益をしっかり確保

 

 当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素の差額について見てみると・・・

 

 

 

H25.3.31

(千円)

H26.3.31

(千円)

H27.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 553,884 611,244 677,686
当期純利益 11,715 99,294 194,813
差額 542,169 511,950 482,873

 と、しっかりキャッシュの裏づけがある利益を確保していることが確認できます。

 

2-5-8.改善傾向にある営業利益率

 

 

 

H25.3.31

(%)

H26.3.31

(%)

H27.3.31

(%)

営業利益率 0.6 1.0 1.7

 3期に渡り、営業利益率が上がっています。

 しかし、製造業の平均的な営業利益率は4.0%と言われていますので、まだまだ利益率の改善を図る必要がありそうです。

 

 

 

2-6.気になる問題

 

 さて、ここまで有価証券報告書を活用して会社の様々な面を見てきました。しかし、いくつかの問題点も見受けられたのでまとめて解説します。

 

2-6-1.たな卸資産回転比率が低い

 

 

 

H25.3.31

(回転)

H26.3.31

(回転)

H27.3.31

(回転)

たな卸資産回転比率 4.20 4.52 4.68

 製造業の場合、平均的なたな卸資産回転比率は10回転といわれています。

 しかしこの会社の場合、たな卸資産回転比率は4.6回転ほどしかありません。

 たな卸資産をみてみると・・・

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産
 商品及び製品 2,168,319 14.4% 2,018,690 13.5% 1,978,978 13.4%
 仕掛品 0 0.0% 182,278 1.2% 199,047 1.4%
 原材料及び貯蔵品 1,257,034 8.4% 1,269,037 8.5% 1,290,438 8.8%
たな卸資産合計 3,425,353 22.8% 3,470,005 23.3% 3,468,463 23.6%
総資産合計 15,032,017 14,911,304 14,723,522

 総資産の23.6%を占め、少々過剰気味に感じます。

 平成18年3月期のたな卸資産は総資産の14.5%しか占めていなかったことを考えると、現在は余分な在庫を抱えているように感じます。

 売上の機会を逃さないためにも多めに在庫を抱えているのかもしれませんが、売れ残った場合は余計な費用がかかってしまい、利益を圧迫することになります。

 

2-6-2.過剰な長期貸付金

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産
 長期貸付金 2,555,463 16.7% 2,319,309 15.4% 2,345,769 15.8%
 貸倒引当金 ▲14,213 ▲0.1% ▲20,033 ▲0.1% ▲7,765 ▲0.1%
総資産合計 15,287,571 15,093,185 14,821,962

 単独貸借対照表を確認すると、この会社には2,345,769千円あまりの長期貸付金がありました。

 関係会社に対する長期貸付金のようですが、詳しいことについては確認できませんでした。

 また、長期貸付金に対する貸倒引当金の計上額が不足気味のように感じます。

 

 以上の理由も含めて総合的に判断をした結果、私は投資を見送ることにしたのです。

 

 

 

 

3.現在の株価と業績

 


 

 こちらが現在のチャートになります。

 

 私がこの会社に注目をしたのは2015年9月ごろでしたが、そのときの株価は316円でした。それから株価は低迷を続けていましたが、2017年8月から株価が急に上がっています。

 どうやら業績の上方修正を行っていますが、そのことに市場が反応をして株価が急騰したのでしょう。

 そして、現在の業績はこうなっています。

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.3

(実績)

14,401

 

83 87 11 2.0
14.3

(実績)

15,693 162 168 99 16.6
15.3

(実績)

16,218 275 302 194 32.6
16.3

(実績)

15,414 237 263 173 28.8
17.3

(実績)

15,404 292 312 194 32.2
18.3

(予想)

16,700 360 390 430 71.1
19.3

(予想)

17,000 400 430 240 39.7

 売上高の増加に伴い、利益も上がっています。

 そして2018年3月期は、対前年比で2倍以上の利益予想になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 鉄鋼

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