投資を見送った会社、愛眼(9854)について

      2018/04/09

 2015年7月、当時発売された会社四季報(2015年3集 夏号)で見つけた割安な銘柄があります。それは、愛眼(9854)です。

 赤字続きの業績ですが、PBR0.34倍の割安性と大底にあるチャートに惹かれ、ファンダメンタルズを分析してみました。

 しかし、投資をする旨みがほとんど感じられなかったことから、結果的に見送ることにしました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.先行きの暗い業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.売上高が減少

 2-2.事業の内容

 2-3.販売実績について

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.たな卸資産回転比率が低い

  2-4-2.建物及び構築物(純額)とその他(純額)が減っている

  2-4-3.敷金及び保証金が減っている

  2-4-4.金融資産が多い

  2-4-5.当期純利益も、営業キャッシュ・フロー利益要素も赤字

  2-4-6.有形固定資産の減価償却累計額に関する表示方法の変更について

3.投資は見送る

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、会社四季報(2015年3集 夏号)から会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「店舗純減1(前期3)。既存店は一部フレーム値上げ等に伴う単価上昇で上向く。店舗改装費など減るが上期急改善見込む会社計画にやや過大感。営業益均衡圏に。店舗什器などの減損は見込まない。」と四季報記者による会社計画の過大感が指摘されています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は82.8%もあり、強固な財務体質です。

 有利子負債は345百万ですが、総資産の1.9%だけしかありません。

 赤字業績が続いているためか、資本金5,478百万円に対し、利益剰余金は5,312百万円です。

 

 

 

1-3.先行きの暗い業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

11.3

(実績)

19,045 ▲662 ▲610 ▲1,322 ▲66.6
12.3

(実績)

17,914 ▲607 ▲463 ▲1,040 ▲52.9
13.3

(実績)

16,150 ▲1,615 ▲1,606 ▲3,729 ▲191.1
14.3

(実績)

16,996 ▲321 ▲198 ▲454 ▲23.4
15.3

(実績)

15,988 ▲411 ▲341 ▲1,237 ▲63.8
16.3

(予想)

16,100 0 60 ▲40 ▲2.1
17.3

(予想)

16,300 40 100 0 0.0

 売上高が年々減少して、赤字業績が続いています。

 2016年3月期まで赤字業績が続き、2017年3月期になってようやく赤字から抜け出せる予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第55期(平成26年4年1日-平成27年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.売上高が減少

 

  平成23年3月 平成24年3月 平成25年3月 平成26年3月 平成27年3月
売上高
(百万円)
19,045 17,914 16,150 16,996 15,988
当期純損失
(百万円)
▲610 ▲463 ▲1,606 ▲198 ▲341
総資産額
(百万円)
23,600 22,476 18,903 18,568 17,429
営為業活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
61 ▲15 ▲2,202 ▲367 477
現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

3,572 3,144 1,654 1,647 1,902
従業員数
(人)
1,100 1,049 909 884 847

 年々売上高が減少をし、赤字業績と営業活動によるキャッシュ・フローの赤字が続いています。それにより、現金及び現金同等物が減っています。

 また、総資産額と従業員数が減っています。会社の説明によると、退店店舗の増加により人員の圧縮に努めたためのようです。

 

 

 

2-2.事業の内容

 

 この会社では、眼鏡・サングラス・その他関連商品及び写真撮影によるアルバム作成・デジタル写真データの販売等を行っています。

事業区分 事業の内容
眼鏡小売 眼鏡、サングラス、補聴器等の販売
写真館 写真撮影、アルバ作成、デジタル写真データの小売販売等
その他 眼鏡卸売等

 

 

 

2-3.販売実績について

 

セグメントの名称 売上高(百万円) 割合(%)
眼鏡小売 15,037 94.0
写真館 201 1.3
その他 749 4.7
合計 15,988  

 この会社では眼鏡小売が主力事業になっており、売上高の94.0%を占めています。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-4-1.たな卸資産回転比率が低い

 

 

 

H25.3.31

(回転)

H26.3.31

(回転)

H27.3.31

(回転)

たな卸資産回転比率 6.64 6.07 6.71

 一般に、小売業の平均的なたな卸資産回転比率は20回転です。しかしこの会社の場合、6.7回転しかありません。

 眼鏡などの高額品を扱っているため回転比率は低くなる傾向があるかもしれません。それでも6.7回転という低さには問題があるように感じます。

 たな卸資産を見てみると・・・

 

 

 

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

H26.3.31

(百万円)

割合

(%)

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 商品及び製品 2,418 12.8% 2,772 14.9% 2,355 13.5%
 原材料及び貯蔵品 16 0.1% 28 0.2% 29 0.2%
たな卸資産合計 2,434 12.9% 2,800 15.1% 2,384 13.7%
総資産合計 18,900   18,562   17,423  

 総資産の13.7%しか占めていないので、在庫水準は適正と考えられます。にもかかわらず、たな卸資産回転比率が低いということは商品に人気がないのかもしれません・・・。

 

2-4-2.建物及び構築物(純額)とその他(純額)が減っている

 

 

 

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

H26.3.31

(百万円)

割合

(%)

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

有形固定資産            
 建物及び構築物(純額) 1,362 7.2% 1,286 6.9% 1,162 6.7%
 その他(純額) 8 0.0% 208 1.1% 23 0.1%
総資産合計 18,900   18,562   17,423  

 平成27年3月期に、有形固定資産の建物及び構築物(純額)とその他(純額)が減っています。

 いずれも、大阪府等にある店舗及び広告設備と共用資産の減損損失を計上しているため、それが要因で減ったと考えられます。

 

2-4-3.敷金及び保証金が減っている

 

 

 

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

H26.3.31

(百万円)

割合

(%)

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 敷金及び保証金 4,091 21.6% 4,124 22.2% 3,883 22.3%
総資産合計 18,900   18,562   17,423  

 平成27年3月期に敷金及び保証金が3,883百万円にまで減っています。

 この会社では全店の約6割をショッピングセンターのテナントとして出店していますが、平成27年3月期には業績不振で数店舗を閉店しています。そのため、敷金及び保証金を回収したことで減ったと考えられます。

 

2-4-4.金融資産が多い

 

 

 

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

H26.3.31

(百万円)

割合

(%)

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 5,117 27.1% 4,428 23.9% 4,702 27.0%
 受取手形及び売掛金 948 5.0% 1,173 6.3% 753 4.3%
投資その他の資産            
 敷金及び保証金 4,091 21.6% 4,124 22.2% 3,883 22.3%
 投資有価証券 1,490 7.9% 1,491 8.0% 1,686 9.7%
金融資産合計 11,646 61.6% 11,216 60.4% 11,024 63.3%
総資産合計 18,900   18,562   17,423  

 現金及び預金等の金融資産は11,024百万円もあり、総資産の63.3%を占めています。

 また、当座比率は302%もありますので、しばらくの間は倒産の心配をする必要はなさそうです。

 

2-4-5.当期純利益も、営業キャッシュ・フロー利益要素も赤字

 

 

 

H25.3.31

(百万円)

H26.3.31

(百万円)

H27.3.31

(百万円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 ▲1,808 ▲48 ▲198
当期純利益 ▲3,729 ▲454 ▲1,237
差額 1,921 406 1,039

 当期純利益も、営業キャッシュ・フロー利益要素も3期に渡り赤字が続いています。

 この状態が続けば、会社に入ってくる資金よりも出ていく資金が多くなるため、いずれ倒産に陥ってしまいます。そうならないためにも早めに手を打つ必要があります。

 

2-4-6.有形固定資産の減価償却累計額に関する表示方法の変更について

 

 各資産科目ごとに表示されていた有形固定資産の減価償却累計額についてですが、平27年3月期から一括表示に変更されています。そのため、各資産科目ごとの減価償却累計額がわからなくなっています。

 私はいくつもの会社を見てきましたが、このような表示方法へと変更をする会社は初めてです。そのため、妙な違和感があります。

 

 

 

 

3.投資は見送る

 


 

 この会社は多くの金融資産を保有しており、株価は割安です。しかし、赤字続きの業績など多くの問題が見受けられました。

 そのため、投資をするにはリスキーに思えたため私は投資を見送ることにしました。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 小売業, 業種別

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