割安株、倉元製作所(5216)での失敗談について

      2018/04/09

 今回は、2012年5月に投資を行った倉元製作所(5216)に関する記事です。

 同社はスマホやタブレットで使われる液晶パネルを製造・販売しているため、当時、市場で材料視される可能性があったことや、低PERであったことから投資を行いました。

 しかし、値下がりする株価に自信を持つことができず、損切をすることになってしまったのです。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.減少傾向の業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.売上高が年々減少

 2-2.事業の内容

 2-3.大手が主な販売先

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.現金及び預金が増えている

  2-4-2.受取手形及び売掛金が多い

  2-4-3.たな卸資産回転比率が悪化している

  2-4-4.貸倒引当が少ない

  2-4-5.有形固定資産が減少している

  2-4-6.災害損失引当金の計上

  2-4-7.過剰な有利子負債

3.2012年5月から株を取得

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2012年2集 春号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「中小型液晶用ガラス基板は加工賃方式変更で表面上規模圧縮だが、震災影響解消やスマホ好調で実質拡大。HDD用精密研磨布も在庫調整の一巡やタイの生産停滞消え持ち直す。ただ前期被災で特損処理し一部人件費が通常化し営業益低迷。」とスマホ関連で材料視が期待できそうな内容になっています。

 しかし、材料記事には「銀行への借入金返済猶予等で継続前提に重要事象」と気になる一文があります。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は22.1%と、安全性に欠けています。

 有利子負債は7,648百万円あり、総資産の58.8%も占めています。

 資本金4,885百万円に対し、利益剰余金は▲8,370百万円と危ない状況です。

 

 

 

1-3.減少傾向の業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

07.12

(実績)

30,044 917 481 ▲3,192 ▲330.3
08.12

(実績)

21,641 250 44 ▲287 ▲29.0
09.12

(実績)

13,850 ▲192 ▲358 ▲881 ▲88.8
10.12

(実績)

11,962 1,463 1,140 597 38.5
11.12

(実績)

9,516 798 607 19 1.2
12.12

(予想)

10,500 850 650 700 43.4
13.12

(予想)

11,500 1,000 800 800 49.6

 売上高は年々減少をし、赤字業績が続いています。

 しかし、2012年12月期から売上高は上昇に転じ、利益も増える予想です。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第37期(平成23年1年1日-平成23年12月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.売上高が年々減少

 

  平成19年12月 平成20年12月 平成21年12月 平成22年12月 平成23年12月
売上高
(千円)
30,044,698 21,641,131 13,850,051 11,962,022 9,516,235
総資産額
(千円)
22,036,996 15,498,657 12,838,054 13,066,006 12,992,120
自己資本比率
(%)
13.2 16.9 14.1 21.9 22.1
従業員数
(人)
1,064 919 574 548 532

 売上高が年々減少し、平成23年12月期はピーク時の3分の1ほどにまで減少しています。

 そのための対策と思われますが、総資産額は減って自己資本比率が上がっています。そして、従業員数も減っています。事業のスリム化を行ったのでしょう。

 

 

 

2-2.事業の内容

 

 この会社では液晶用中小型ガラス基盤加工を中心に行っています。

 

事業区分 事業の内容
ガラス基板事業 液晶ガラス基板加工品、カラーフィルタ基板加工品、成膜ガラス基板の加工・販売
精密研磨布事業 精密研磨布・人工皮革等の製造・販売
その他事業 石英製品・産業用機械の製造・販売

 

 

 

2-3.大手が主な販売先

 

 この会社の主な販売先は、旭硝子株式会社などの大手が中心です。

 

相手先 販売額(千円) 割合(%)
旭硝子株式会社 1,627,722 17.1
八千代マイクロサイエンス株式会社 1,070,002 11.2
シャープ株式会社 1,050,070 11.0
その他 5,768,441 60.6
合計 9,516,235  

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-4-1.現金及び預金が増えている

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 651,483 5.1% 927,483 7.1% 1,246,011 9.6%
総資産合計 12,838,043   13,066,001   12,992,114  

 3期に渡り、現金及び預金が増えています。

 連結財務3表で確認をすると、平成22年3月期は十分な利益が出たことと増資により資金調達を行ったことで現金及び預金が増え、平成23年3月月期は受取手形及び売掛金が回収されたことで現金及び預金が増えたと推測します。

 

2-4-2.受取手形及び売掛金が多い

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 受取手形及び売掛金 2,207,517 17.2% 2,886,086 22.1% 2,301,736 17.7%
総資産合計 12,838,043   13,066,001   12,992,114  

 会社の自己資本比率は22.1%しかなく、運転資金に余裕はありません。そのため、効率的に資金を活用する必要があります。

 この会社の場合、受取手形及び売掛金が総資産の17.7%も占めています。売上債権回転比率は・・・

 

 

 

H21.12.31

(回転)

H22.12.31

(回転)

H23.12.31

(回転)

売上債権回転比率 6.27 4.14 4.13

 4回転ほどしかありません。不良債権化しないためにも、早く回収を心がける必要があります。

 

2-4-3.たな卸資産回転比率が悪化している

 

 

 

H21.12.31

(回転)

H22.12.31

(回転)

H23.12.31

(回転)

たな卸資産回転比率 24.90 17.00 9.74

 年々、たな卸資産回転比率が悪化しています。たな卸資産を見てみると・・・

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

売上高 13,850,051   11,962,022   9,516,235  
流動資産            
 商品及び製品 118,010 0.9% 103,758 0.8% 132,448 1.0%
 仕掛品 285,758 2.2% 299,523 2.3% 312,104 2.4%
 原材料及び貯蔵品 151,219 1.2% 299,754 2.3% 532,156 4.1%
たな卸資産合計 554,987 4.3% 703,035 5.4% 976,708 7.5%
総資産合計 12,838,043   13,066,001   12,992,114  

 売上高が減っているのに、たな卸資産は増えています。

 東日本大震災の影響でたな卸資産廃棄損を計上していますが、震災の影響で不良在庫を抱えてしまったのかもしれません。

 

2-4-4.貸倒引当が少ない

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

売上高 13,850,051   11,962,022   9,516,235  
流動資産            
 貸倒引当金 ▲263 0.0% ▲347 0.0% ▲645 0.0%
総資産合計 12,838,043   13,066,001   12,992,114  

 不良債権化に備えて計上する貸倒引当金ですが、売上高に対して少ないように思えます。

 

2-4-5.有形固定資産が減少している

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 建物及び構築物(純額) 3,109,036 24.2% 2,639,886 20.2% 2,468,655 19.0%
 機械装置及び運搬具(純額) 2,072,834 16.1% 1,497,947 11.5% 1,592,909 12.3%
 土地 3,458,305 26.9% 3,458,305 26.5% 3,458,305 26.6%
 建物仮勘定 224,104 1.7% 48,050 0.4% 209,834 1.6%
 その他(純額) 90,173 0.7% 72,543 0.6% 71,271 0.5%
有形固定資産合計 8,954,452 69.7% 7,716,731 59.1% 7,800,974 60.0%
総資産合計 12,838,043   13,066,001   12,992,114  

 平成22年12月期に有形固定資産が減少しています。どうやら、減価償却費787,000千円及び減損損失766,000千円を計上したことが主な要因のようです。

 

2-4-6.災害損失引当金の計上

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 災害損失引当金 0 0.0% 0 0.0% 251,419 1.9%
総資産合計 12,838,043   13,066,001   12,992,114  

 平成23年12月期から、災害損失引当金が計上されています。

 どうやら、東日本大震災による復旧費用や固定資産除去損、たな卸資産廃棄損などの特別損失を計上したためだと考えられます。

 

2-4-7.過剰な有利子負債

 

 

 

H21.12.31

(千円)

割合

(%)

H22.12.31

(千円)

割合

(%)

H23.12.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 短期借入金 5,367,300 41.8% 5,115,571 39.2% 4,965,526 38.2%
 1年内返済予定の長期借入金 337,801 2.6% 320,439 2.5% 359,146 2.8%
固定負債            
 長期借入金 2,699,040 21.0% 2,338,043 17.9% 2,324,513 17.9%
有利子負債合計 8,404,141 65.5% 7,774,053 59.5% 7,649,185 58.9%
総資産合計 12,838,043   13,066,001   12,992,114  

 有利子負債は年々減少しているものの、それでも総資産の58.9%を占めています。有利子負債が多いとそれだけ金利の支払いで利益を圧迫することになりますので、過剰な借入は問題です。

 また会社の説明によれば、銀行からの借入金の返済を待ってもらっている状況とのことです。

 

 

 

 

3.2012年5月から株を取得

 


 

 この会社はスマホ関連で材料視される可能性とPER5.7倍の魅力があったため、私は2012年5月から2012年7月にかけて1株平均123円で同社の株を購入しました。

 しかし、難平買いをしているうちに同社の財務問題が頭をよぎり、同社の株を保有し続ける自身がなくなってしまったのです。そのため、2012年8月に1株平均110円で損切を行いました。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが、現在の株価です。

 

 2015年4月には1,338円の高値まで急騰した後、株価は徐々に下がっています。

 そして、最近発売された会社四季報(2018年1集 新春号)の業績がこちらです。

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

14.12

(実績)

6,818 ▲158 ▲280 ▲360 ▲22.4
15.12

(実績)

5,864 ▲571 ▲627 ▲632 ▲39.2
16.12

(実績)

2,659 ▲606 ▲648 ▲2,001 ▲124.0
17.12

(予想)

2,150 0 ▲50 ▲60 ▲3.7
18.12

(予想)

2,050 0 0 0 0

 もう、最悪としか言いようがありません。

 会社の自己資本比率は9%しかなく、営業キャッシュ・フローも赤字が続いています。借入金は総資産の80.6%にまで膨らみ、いつ倒産してもおかしくない状況です。

 この先、一体どうなってしまうのでしょうか?

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - ガラス・土石製品, 業種別

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