割安株、セーラー広告(2156)での失敗談について

      2018/04/09

 2012年4月、当時の会社四季報(2012年2集 春号)で見つけた割安株がありました。それは、セーラー広告(2156)です。

 2012年3月期の業績は黒字を確保できないものの、次期のPERは8.9倍、PBRは043倍の割安感から同社に興味を持ち、そして株を購入しました。

 しかし、株価が下がったことで保有し続ける自信を無くし、そして損切をする羽目になったのです。

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目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.改善傾向にある業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.セグメント別売上高

 2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-3-1.現金及び預金が増えている

  2-3-2.受取手形及び売掛金と支払手形及び買掛金の関係について

  2-3-3.投資不動産(純額)と社債・長期借入金の関係について

  2-3-4.新株予約権の発行

  2-3-5.当期純利益と営業キャッシュ・フローが赤字

  2-3-6.支払手形が多い

3.2012年4月に株を取得

4.現在の株価と業績

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2012年2集 春号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「イベント等官公庁案件増えるが低採算。広告単価も依然厳しい。一転営業減益。営業外に自己株取得費用計上。13年3月期は官公庁向け横ばいだが建築、流通など地元企業が回復傾向。福岡で新規顧客開拓進む。販管費抑制続き営業益反発。」と少し明るい兆しが見える内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は38.4%です。安全性を第一に考えると、もう少しほしいところです。

 有利子負債は1,157百万円、総資産の25.3%を占めています。

 資本金294百万円に対し、利益剰余金は1,292百万円です。

 

 

 

1-3.改善傾向にある業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

09.3

(実績)

9,661 82 110 24 4.0
10.3

(実績)

9,586 12 39 ▲96 ▲16.4
11.3

(実績)

8,622 127 151 98 16.7
12.3

(予想)

8,400 75 65 0 0
13.3

(予想)

8,700 120 140 85 14.4

 売上高は年々減少していますが、2013年3月期から増加に転じる予想です。

 営業利益は年度ごとでばらつきがあり、2012年3月期は利益を確保できない予想になっています。しかし、2013年3月期からは黒字業績を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第60期(平成22年4年1日-平成23年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社は、広告業と出版業を行っています。

広告業 テレビ、ラジオ、新聞および雑誌を中心とする各種メディアを媒体とした広告の企画、立案、制作、ならびに、セールスプロモーションやインターネット関連広告など。
出版業 タウン情報誌を発行。また、単行本の発行、子会社自社サイト内における地域情報発信サイトの運営、その他パンフレットなどの制作。

 

 また、事業について次のような説明もありました。

 (1).四国中国九州エリアを中心として地域に密着した事業を展開。

 (2).地元企業との取引が多く、流通業、建設業、娯楽業に対する売上構成比が高い傾向にある。

 (3).広告業において、平成23年3月期のマスコミ4媒体の広告売上高が4割を占めている。

 

 

 

2-2.セグメント別売上高

 

 広告業と出版業のセグメント別売上高は、下記のようになっています。

 

 媒体別(広告別)売上高

区分 販売高(百万円) 割合(%)
セールスプロモーション 3,244 39.7
新聞 1,294 15.8
テレビ 1,255 15.4
イベント 502 6.1
インターネット/モバイル 270 3.3
屋外 257 3.1
ラジオ 244 3.0
雑誌 81 1.0
制作・その他 1,014 12.4
合計 8,166  

 

 商品区分別(出版別)売上高

セグメントの名称 販売高(千円) 割合(%)
広告売上 235 51.5
書籍売上 85 18.6
建てようネット売上 28 6.1
デジタル売上 19 4.2
その他売上 87 19.1
合計 456  

 

 

 

2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 この会社の場合、自己資本比率は38.4%です。資金に限りがありますので、効率よく運用する必要があります。

 そこで今回は、調達した資金をどのように活用しているのかについても触れたいと思います。

 

2-3-1.現金及び預金が増えている

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 485,673 10.9% 515,406 11.0% 727,544 16.4%
総資産合計 4,442,447   4,665,092   4,433,070  

 平成23年3月期には現金及び預金が大幅に増え、総資産の16.4%を占めるようになっています。

 連結財務3表で確認をすると、回収した受取手形及び売掛金の一部が現金及び預金に振替えられたと考えられます。

 

2-3-2.受取手形及び売掛金と支払手形及び買掛金の関係について

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 受取手形及び売掛金 1,433,812 32.3% 1,675,873 35.9% 1,348,011 30.4%
流動負債            
 支払手形及び買掛金 1,403,981 31.6% 1,561,688 33.5% 1,270,163 28.7%
総資産合計 4,442,447   4,665,092   4,433,070  

 受取手形及び売掛金と、支払手形及び買掛金がともに総資産の約30%ぐらいになっています。

 このことから、支払手形及び買掛金から調達した負債は、受取手形及び売掛金として活用していると推測できます。

 

2-3-3.投資不動産(純額)と社債・長期借入金の関係について

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資不動産(純額) 690,091 15.5% 676,603 14.5% 709,595 16.0%
固定負債            
 社債 0 0.0% 100,000 2.1% 200,000 4.5%
 長期借入金 541,476 12.2% 485,640 10.4% 423,852 9.6%
有利子負債合計 541,476 12.2% 585,640 12.6% 623,852 14.1%
総資産合計 4,442,447   4,665,092   4,433,070  

 投資委不動産(純額)と社債・長期借入金がともに総資産の約15%ぐらいになっています。

 このことから、社債・長期借入金から調達した負債は、投資不動産(純額)に活用していると推測できます。

 

2-3-4.新株予約権の発行

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

純資産の部            
 新株予約権 0 0.0% 0 0.0% 1,953 0.0%
総資産合計 4,442,447   4,665,092   4,433,070  

 少額ながらも、純資産の部に新株予約権が計上されています。

 今は少額なので問題はありませんが、これが多くなって新株予約権が発行されると、会社の株式数が増えます。

 そうなると1株当たりの価値が減ってしまいますので、それを嫌気した投資家による投げ売りが始まり株価が暴落する恐れがあります。

 

2-3-5.当期純利益と営業キャッシュ・フローが赤字

 

 

 

H21.3.31

(千円)

H22.3.31

(千円)

H23.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー 61,432 ▲179,395 230,775
当期純利益 24,343 ▲96,548 98,480
差額 37,089 ▲82,847 132,295

 平成22年3月期に、当期純利益と営業キャッシュ・フローが赤字になっています。

 当期純利益が赤字になった理由は特別損失を計上したためであり、営業キャッシュ・フローが赤字になったのは、営業キャッシュ・フロー運転資本要素が赤字になったためです。

 

2-3-6.支払手形が多い

 

 

 

H21.3.31

(千円)

割合

(%)

H22.3.31

(千円)

割合

(%)

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 支払手形 529,158 12.5% 426,720 10.3% 436,871 10.7%
総資産合計 4,234,332   4,150,391   4,081,857  

 単独貸借対照表を確認すると、支払手形が436,871千円あり、総資産の10.7%を占めています。

 極端に多すぎるわけではありません。しかし、支払手形が多くなると印紙代などの余計な費用がかかる、不渡りを起こすといったリスクが高くなります。そのため、安全性を第一に考える自分にとっては気になるところです。

 

 

 

 

3.2012年4月に株を取得

 


 

 私は2012年4月に、1株平均125円で同社の株を購入しました。しかし、購入後に111円にまで下がったとき、これまで見てきたいくつかの問題点が頭をよぎりました。

 そして、保有し続ける自信がなくなったため、2012年6月に1株平均114円で損切りを行ったのです。

 

 

 

 

4.現在の株価と業績

 


 

 こちらが、現在の株価です。

 

 私が株を売却した2012年6月以降も株価は上昇を続け、2015年1月には620円にまで上昇しています。

 そして、最近発売された会社四季報(2018年1集 新春号)の業績がこちらです。

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.3

(実績)

8,680 131 156 69 18.7
14.3

(実績)

9,485 151 164 82 22.0
15.3

(実績)

9,264 184 201 68 18.4
16.3

(実績)

9,068 118 147 69 18.5
17.3

(実績)

9,302 168 184 80 21.3
18.3

(予想)

9,500 200 220 90 23.8
19.3

(予想)

9,700 220 240 100 26.5

 全期間を通して、売上高は増えています。そして、2018年3月期以降も業績が伸びる予想になっています。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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