投資を見送った会社、シャルレ(9885)について

      2018/04/09

 最近発売された会社四季報(2018年1集 新春号)を読んでいたとき、PBR0.44倍の割安株を見つけました。それが、シャルレ(9885)です。

 早速、会社のファンダメンタルズを調べてみることにしました。すると、確かに割安であったものの、気になる問題があったので投資を見送りました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.先行きの暗い業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.販売実績について

 2-3.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-3-1.現金及び預金が増えている

  2-3-2.有価証券が減っている

  2-3-3.建物仮勘定が増えている

  2-3-4.投資有価証券が減っている

  2-3-5.支払手形がない

  2-3-6.繰越利益剰余金が減っている

 2-4.気になる問題

  2-4-1.たな卸資産回転比率が低い

  2-4-2.自己株式の消却

  2-4-3.有形固定資産の償却方法

  2-4-4.会社名の変更

3.投資は見送る

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、会社四季報(2018年1集 新春号)から会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「化粧品、健康食品は前期並み。主力の女性インナーは販売キャンペーンが奏功。数量上向くが下期から配送料大幅値上げが重荷。営業益続落。19年3月期はインナー数量上向きだがコスト増解消せず。」と先行きの暗い内容になっています。

 材料記事では、「販売実績に応じたボーナス支給など販売員の意欲向上を図るほか、試着会を促進してリピーターを増やす。引き続き健康食品の開発など新業態を模索中」と業績回復に向けての試行錯誤が伺えます。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は81.2%もあり、強固な財務体質です。

 有利子負債はなく、無借金経営が行われています。

 資本金3,600百万円に対し、利益剰余金は11,128百万円もありました。

 驚くことに、現金同等物を124億円も所有しているこの会社の時価総額は、87.1億円です。

 また、創業者一族が大株主に名を連ねています。

 

 

 

1-3.先行きの暗い業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.3

(実績)

21,271 733 777 418 21.8
14.3

(実績)

20,838 1,011 1,046 540 28.2
15.3

(実績)

18,613 999 1,070 1,005 52.5
16.3

(実績)

18,836 1,207 1,259 1,004 52.4
17.3

(実績)

18,068 654 680 276 15.3
18.3

(予想)

18,100 330 340 70 4.4
19.3

(予想)

18,400 350 360 90 5.6

 毎年黒字を確保していますが、年々売上高は下がり続けています。そして、2018年3月期以降はギリギリ黒字を確保する業績予想になっています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第49期(平成28年4年1日-平成29年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社では主にレディースインナーを中心に、衣料品類、化粧品類、健康食品類、その他を販売しています。

 

 

 

2-2.販売実績について

 

品目の名称 売上高(百万円) 割合(%)
衣料品類 14,002 77.5
化粧品類 2,717 15.0
健康食品類 880 4.9
その他 468 2.6
合計 18,068  

 この会社の主力製品は衣類品類で、売上高の77.5%を占めています。次に、化粧品類が売上高の15.0%を占めています。

 

 

 

2-3.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、財務3表を分析して気になったポイントについて解説します。

 

2-3-1.現金及び預金が増えている

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 9,139 38.5% 9,250 38.2% 12,408 55.1%
総資産合計 23,761   24,212   22,499  

 平成29年3月期に現金及び預金が増えています。財務3表で確認をすると、売却した有価証券の分3,158百万円分が振替られたと思われます。

 

2-3-2.有価証券が減っている

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 有価証券 3,659 15.4% 4,498 18.6% 0 0.0%
総資産合計 23,761   24,212   22,499  

 平成29年3月期に有価証券がなくなっています。財務3表で確認をすると、売却した分の3,158百万円分は現金及び預金に振替えられ、残り1,340百万円分は自己株式の取得のために使われたと考えられます。

 

2-3-3.建物仮勘定が増えている

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

有形固定資産            
 建物仮勘定 0 0.0% 13 0.1% 222 1.0%
総資産合計 23,761   24,212   22,499  

 建物仮勘定が増えています。どうやら、次期情報ネットワークの設備投資を行ったためのようです。

 

2-3-4.投資有価証券が減っている

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資有価証券 1,587 6.7% 1,051 4.3% 1,034 4.6%
総資産合計 23,761   24,212   22,499  

 平成28年3月期に投資有価証券が1,051百万円にまで減っています。財務3表で確認をすると、流動資産の有価証券やたな卸資産の購入に充てられたと思われます。

 

2-3-5.支払手形がない

 

 この会社には、支払手形がありません。当座比率は527%もありますので、資金繰りは十分です。

 これなら、支払手形がないこともうなずけます。

 

2-3-6.繰越利益剰余金が減っている

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

利益剰余金            
 繰越利益剰余金 3,776 15.9% 4,435 18.3% 1,511 6.7%
総資産合計 23,761   24,212   22,499  

 平成29年3月期に純資産の部の繰越利益剰余金が1,511百万円にまで減っています。黒字業績であるにもかかわらずあまりにも減った額が大きいため、詳しく調べてみました。

 どうやら、これまで所有していた自己株式と、年度中に取得した自己株式を消却したことで繰越利益剰余金が減っていました。

 

 

 

2-4.気になる問題

 

 さて、ここで気になる問題をまとめて挙げていきたいと思います。

 

2-4-1.たな卸資産回転比率が低い

 

 

 

H27.3.31

(回転)

H28.3.31

(回転)

H29.3.31

(回転)

たな卸資産回転比率 5.12 4.47 4.84

 一般に、卸売業のたな卸資産回転比率は20回転と言われています。

 しかし同社の場合は4.84回転しかありません。過剰に在庫を持っているか不良在庫を抱えているのか、何か問題があると考えられます。

 

2-4-2.自己株式の消却

 

 この会社は平成29年3月期に自己株式の消却を行っています。一般に、自己株式の消却を行えば1株あたりの価値があがるので、投資家にとっては歓迎すべきことです。

 しかしこの会社の場合、時価総額90億円に対し、27.2億円相当の自己株式の消却を行っています。

 消却する額があまりにも大きすぎるため、個人的には何か変な違和感があります。

 

2-4-3.有形固定資産の償却方法

 

 一般に、有形固定資産の償却方法では多くの会社が定率法を採用しています。なぜなら、その方が最初で多くの費用を計上できるため、節税に効果があるからです。

 しかしこの会社の場合、毎年一定額で費用計上を行う定額法を採用しています。

 

2-4-4.会社名の変更

 

 現在の会社名は「株式会社シャルレ」ですが、以前の会社名は「株式会社デン・アローズ」です。

 まったく違う社名に変更されていますが、なぜ社名を変更しないといけなかったのか、その辺にも変な違和感があります。

 

 

 

 

3.投資は見送る

 


 

 この会社は、強固な財務体質で多くの現金及び預金を保有していますので投資対象としては魅力的です。

 しかし、最後に挙げた問題点も含めて総合的に判断をした結果、私は投資を見送ることにしました。みなさんはどうでしょうか?

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 卸売業, 業種別

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