長期投資におすすめの銘柄、ムサシ(7521)について

      2018/04/09

 2013年10月、この頃になると500円以下の低位株がほとんど見つかりませんでした。そんな中、PER8.5倍、PBR0.34倍の割安株があったのです。それがムサシ(7521)でした。

 株価は1,050円の値がさ株でした。しかし、他に500円以下の低位株が見つからない。仕方なく、この会社のことについて詳しく調べてみることにしました。

 するとこの会社、好調な業績でファンダメンタルズに光るものがあったのです。

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目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.黒字続きの業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.経営上の重要な契約について

 2-3.経営成績に重要な影響を与える要因

 2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.3指標とも安定している

  2-4-2.現金及び預金が増えている

  2-4-3.受取手形及び売掛金が減っている

  2-4-4.たな卸資産が少ない

  2-4-5.土地が減っている

  2-4-6.投資有価証券が増えている

  2-4-7.支払手形及び買掛金が減っている

  2-4-8.その他が減っている

  2-4-9.金融資産が多い

3.2013年10月から株を取得

4.2014年11月に株を売却

5.長期投資におすすめの理由

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2013年4集 秋号)から会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事は、「主力の文書デジタル化は官公庁に加え、民間企業の受注が増え好調。金融システム機材は貨幣処理機器が伸びる。ただ好採算の選挙システムは衆院選が貢献でも前期の衆院選には及ばず。営業益横ばい。」と業績の好調ぶりが伺える内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は63.2%もあり、安全性は十分です。

 有利子負債は3,441百万円あり、総資産の8.8%しかありません。

 資本金1,208百万円に対し、利益剰余金は21,109百万円です。ここまでボロ儲けをしているという印象を受けます。

 

 

 

1-3.黒字続きの業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

11.3

(実績)

43,604 1,870 2,061 675 85.0
12.3

(実績)

38,126 795 890 388 48.9
13.3

(実績)

37,856 1,603 1,798 801 100.9
14.3

(予想)

38,900 1,560 1,630 1,000 125.9
15.3

(予想)

36,000 1,300 1,370 800 100.7

 2012年3月期は売上高が下がったことで、業績は悪化しています。しかし、全期間を通して黒字を確保している優良企業です。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第92期(平成24年4年1日-平成25年3月31日)からこの会社の魅力についてご紹介していきます。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社は、「情報・印刷・産業システム機材」「金融汎用・選挙システム機材」「紙・紙加工品」「その他」の4つの事業から構成されています。

 

区分 主要取扱品目
情報・印刷・産業システム機材 電子メディア・マイクロフィルム総合システムの機器・材料・情報処理サービスと保守印刷システム・IPS(名刺・ハガキ印刷)システム・産業用

検査の機器・材料と保守

金融汎用・選挙システム機材 貨幣処理・選挙・セキュリティシステムの機器及び

関連機材と保守

紙・紙加工品 印刷・出版・情報・事務用紙、紙器用板紙、特殊紙、紙加工品
その他 不動産の賃貸業・リース業・損害保険代理業・人材事業

 

 

 

2-2.経営上の重要な契約について

 

 同社は、富士フィルム系と販売特約店の基本契約を結んでいます。

 

相手先 契約締結日
富士フィルム株式会社 昭和34年4月21日
富士フィルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社 平成15年4月1日

 

 

 

2-3.経営成績に重要な影響を与える要因

 

 この会社では、選挙システムの機材を取り扱っています。そのため、任期満了前に衆議院選挙が解散されて全国レベルの選挙が実施されると、需要が一時的に増加するため業績に影響を与えるそうです。

 直接的なことについては言及していませんが、要するに予期していなかった選挙が行われると業績が上がるということが言いたいのだと思います。

 

 

 

2-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントと会社の魅力について触れていきます。

 

2-4-1.3指標とも安定している

 

 

 

H23.3.31

(回転)

H24.3.31

(回転)

H25.3.31

(回転)

売上債権回転比率 3.56 3.35 3.63
棚卸資産回転比率 20.57 20.32 18.68
買掛債務回転比率 4.90 4.56 4.60

 3指標ともほとんど増減はなく、一定の水準を保っています。安定した経営が行われているのかもしれません。

 

2-4-2.現金及び預金が増えている

 

 

 

H23.3.31

(百万円)

割合

(%)

H24.3.31

(百万円)

割合

(%)

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 13,961 34.8% 14,343 36.6% 16,935 42.1%
総資産合計 40,121   39,191   40,246  

 平成25年3月期に現金及び預金が大幅に増えています。連結財務3表で確認をすると、主に受取手形及び売掛金や有価証券が現金及び預金に振替られたこと、黒字業績で利益を確保できたことが増加した理由だと考えられます。

 また、現金及び預金だけで総資産の42.1%を占めるキャッシュリッチな会社です。

 

2-4-3.受取手形及び売掛金が減っている

 

 

 

H23.3.31

(百万円)

割合

(%)

H24.3.31

(百万円)

割合

(%)

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 受取手形及び売掛金 12,240 30.5% 11,388 29.1% 10,436 25.9%
総資産合計 40,121   39,191   40,246  

 受取手形及び売掛金が減っています。連結財務3表で確認をすると、平成24年3月期は流動負債の返済に充てられ、平成25年3月期は現金及び預金に振替られたことが減少した理由だと考えられます。

 

2-4-4.たな卸資産が少ない

 

 

 

H23.3.31

(百万円)

割合

(%)

H24.3.31

(百万円)

割合

(%)

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

売上高            
流動資産            
 商品及び製品 1,719 4.3% 1,509 3.9% 1,394 3.5%
 仕掛品 113 0.3% 79 0.2% 55 0.1%
 原材料及び貯蔵品 288 0.7% 288 0.7% 578 1.4%
たな卸資産合計 2,120 5.3% 1,876 4.8% 2,027 5.0%
総資産合計 40,121   39,191   40,246  

 たな卸資産は2,027百万円、総資産の5.0%しかありません。

 無駄な在庫を持たないよう上手に管理されているのかもしれません。財務上は好ましいことです。

 

2-4-5.土地が減っている

 

 

 

H23.3.31

(百万円)

割合

(%)

H24.3.31

(百万円)

割合

(%)

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

有形固定資産            
 土地 2,131 5.3% 2,238 5.7% 1,991 4.9%
総資産合計 40,121   39,191   40,246  

 平成25年3月期に、土地が1,991百万まで下がっています。

 どうやら、大阪府大阪市の賃貸駐車場に対する減損損失を計上したためのようです。

 

2-4-6.投資有価証券が増えている

 

 

 

H23.3.31

(百万円)

割合

(%)

H24.3.31

(百万円)

割合

(%)

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資有価証券 1,379 3.4% 1,361 3.5% 1,673 4.2%
総資産合計 40,121   39,191   40,246  

 平成25年3月期に投資有価証券が増えています。純資産の部のその他有価証券評価差額金が増えていることから、保有株式の時価総額が上がったためだと考えられます。

 

2-4-7.支払手形及び買掛金が減っている

 

 

 

H23.3.31

(百万円)

割合

(%)

H24.3.31

(百万円)

割合

(%)

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債            
 支払手形及び買掛金 8,903 22.2% 8,359 21.3% 8,225 20.4%
総資産合計 40,121   39,191   40,246  

 平成24年3月期に支払手形及び買掛金が大幅に減っています。連結財務3表で確認をすると、主に流動資産の受取手形及び売掛金から支払いに充てられたと考えられます。

 

2-4-8.その他が減っている

 

 

 

H23.3.31

(百万円)

割合

(%)

H24.3.31

(百万円)

割合

(%)

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

固定負債            
 その他 1,403 3.5% 1,079 2.8% 789 2.0%
総資産合計 40,121   39,191   40,246  

 固定負債のその他が年々減っています。単独貸借対照表で確認をすると、主に長期未払金が減ったためだと思われます。

 

2-4-9.金融資産が多い

 

 

 

H23.3.31

(百万円)

割合

(%)

H24.3.31

(百万円)

割合

(%)

H25.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 13,961 34.8% 14,343 36.6% 16,935 42.1%
 受取手形及び売掛金 12,240 30.5% 11,388 29.1% 10,436 25.9%
 有価証券 0 0.0% 299 0.8% 0 0.0%
投資その他の資産            
 投資有価証券 1,379 3.4% 1,361 3.5% 1,673 4.2%
金融資産合計 27,580 68.7% 27,391 69.9% 29,044 72.2%
総資産合計 40,121   39,191   40,246  

 現金及び預金などの金融資産は29,044百万円もあり、総資産の72.2%を占めるようになっています。これだけあれば、倒産の心配は皆無と言っていいでしょう。

 ちなみに、企業の短期的な支払能力を表す当座比率は、201%もありました(一般に、100%あればよいといわれています)

 

 

 

 

3.2013年10月から株を取得

 


 

 ここまでファンダメンタルズ分析を行いすっかりこの会社に魅せられた私は、2013年10月から2014年3月までにかけ、同社の株を平均1,084円で購入しました。

 

 

 

 

4.2014年11月に株を売却

 


 

 私はこの会社を長期保有するつもりでした。なぜなら、PER8.5倍、PBR0.34の割安性からこれ以上の下値が考えられなかったためです。仮に市場から評価されなかったとしても、安定した市場で長期に渡って利益を上げ続けて会社の価値が高まる可能性が高いと考えていました。

 ところが、2014年11月に急きょ衆議院解散選挙が行われる報道がありました。その報道を受け、同社が材料視されたため株価が高騰したのです。

 この意外な出来事に私は、これが当面の高値だと思い2014年11月に1株平均1,850円で売却をしたのです。

 

 

 

 

5.長期投資におすすめの理由

 


 

 私はキャピタルゲイン(株価上昇の利益)が目的だったので2014年11月に株を売却しましたが、この株は長期投資が向いていると思います。

 その理由として、10年以上安定した売上と黒字を確保しています。また、選挙機材と貨幣処理機器を扱うニッチ市場を築いていることも魅力的です。そして、現金及び預金などの金融資産を多く持っているため、倒産は考えられません。

 ですから、インカムゲイン(配当狙い)を目的にしている方や、資産の価値が長期的に上昇することを期待している方などにはこの会社をおすすめします。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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