地味な会社、京極運輸商事(9073)の魅力について

      2018/04/09

 日経平均が18,000円台にまで上昇した2015年9月、当時は割安な銘柄がほとんどなくなってしまいました。

 そんな中、発売されていた会社四季報(2015年4集 秋号)を読んでいたとき、PERは10.8倍、PBRは0.35倍の割安な銘柄がありました。それが、京極運輸商事(9073)です。

 陸運業に属する同社のイメージは「地味」でした。しかし、ほかに割安な銘柄がなかったため仕方なく同社のファンダメンタルズを分析したのです。すると、見ただけではわからないすばらしいファンダメンタルズを秘めていました。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.改善傾向にある業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.セグメント別売上高

 2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-3-1.現金及び預金が増えている

  2-3-2.受取手形及び売掛金が減っている

  2-3-3.半成工事が減っている

  2-3-4.たな卸資産が少ない

  2-3-5.その他が増えている

  2-3-6.車両運搬具(純額)が減り、リース資産(純額)が増えている

  2-3-7.投資有価証券が増えている

  2-3-8.退職給付に係る負債が増えている

  2-3-9.金融資産が増えている

  2-3-10.気になること

3.2016年6月に株を取得

4.2017年6月から株を売却

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2015年4集 秋号)から、会社のことについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事では、「港湾が主要顧客の海外移管に伴い輸出取扱量減。貨物輸送は石油関連の荷量減るが、猛暑特需加わり横ばい確保。倉庫の稼働率向上。退職給付関連費用終了も効く。ただ、下期は輸送関連で減価償却費増。燃料費も先行高見込む。営業益小幅反落。」と少しネガティブな内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は44.0%あり、問題はないレベルといえるでしょう。

 有利子負債は1,157百万円あり、総資産の16.6%を占めています。

 資本金160百万円に対し、利益剰余金は2,508百万円です。しっかり、稼いできていると言えるでしょう。

 

 

 

1-3.改善傾向にある業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

13.3

(実績)

8,725 65 133 74 23.4
14.3

(実績)

8.962 57 60 22 7.0
15.3

(実績)

9,042 152 180 92 29.7
16.3

(予想)

8,550 120 150 100 32.0
17.3

(予想)

8,600 150 180 120 38.4

 2014年3月期は大幅に利益が下がっているものの、毎年黒字を確保しています。

 そして、2015年3月期から営業利益が大幅に上がり、2016年3月期以降も同程度の水準を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第75期(平成26年4年1日-平成27年3月31日)からこの会社の魅力についてご紹介していきます。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社は、石油・ドラム缶等販売事業、貨物自動車運送事業、港湾運送及び通関事業、倉庫事業、タンク洗練・修理事業の5つの部門で構成されています。

 

 

 

2-2.セグメント別売上高

 

セグメントの名称 売上高(千円) 割合(%)
石油・ドラム缶等販売事業 3,909,960 43.2
貨物自動車運送事業 3,246,972 36.0
港湾運送及び通関事業 453,402 5.0
倉庫事業 529,497 5.9
タンク洗練・修理事業 902,008 10.0
合計 9,041,839  

 石油・ドラム缶等販売事業が売上高の43.2%を占め、次に貨物自動車運送事業が36.0%を占めています。

 JX日鉱日石エネルギーが主な販売先となっており、売上高は1,530,615千円、売上高に占める割合は16.9%になるそうです。

 

 

 

2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-3-1.現金及び預金が増えている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 1,039,922 15.9% 1,051,272 16.1% 1,218,724 18.0%
総資産合計 6,549,319   6,529,120   6,788,070  

 現金及び預金が増え、平成27年3月期には総資産の18%も占めるようになっています。増えた理由は、主に黒字業績によるものだと思われます。

 

2-3-2.受取手形及び売掛金が減っている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 8,725,434   8,962,291   9,041,839  
流動資産            
 受取手形及び売掛金 1,468,801 22.4% 1,411,481 21.6% 1,407,925 20.7%
総資産合計 6,549,319   6,529,120   6,788,070  

 売上高が上がっているにもかかわらず、平成26年3月期に受取手形及び売掛金が1,411、481千円にまで減っています。その理由は、満期手形が金融機関の休日にあたったためのようです。

 

2-3-3.半成工事が減っている

 

  H25.3.31 割合 H26.3.31 割合 H27.3.31 割合
  (千円) (%) (千円) (%) (千円) (%)
流動資産            
 半生工事 78,919 1.2% 37,524 0.6% 60,135 0.9%
総資産合計 6,549,319   6,529,120   6,788,070  

 平成26年3月期に半成工事が37,524千円にまで減っています。その理由は、タンク洗浄・修理工事の受注が減少したためのようです。

 

2-3-4.たな卸資産が少ない

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 商品 16,630 0.3% 10,769 0.2% 12,945 0.2%
 原材料及び貯蔵品 13,385 0.2% 14,336 0.2% 9,128 0.1%
 半生工事 78,919 1.2% 37,524 0.6% 60,135 0.9%
たな卸資産合計 108,934 1.7% 62,629 1.0% 82,208 1.2%
総資産合計 6,549,319   6,529,120   6,788,070  

 たな卸資産は82,208千円、総資産の1.2%しかありません。

 在庫が多くなると管理費や処分費などの費用がかかります。そのため、たな卸資産が少ないということは財務上、好ましいことです。

 

2-3-5.その他が増えている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 その他 117,574 1.8% 114,112 1.7% 154,785 2.3%
総資産合計 6,549,319   6,529,120   6,788,070  

 平成27年3月期からその他が増え、総資産の2.3%も占めるようになっています。増えた理由について詳しく調べてみると、主に港湾事業及び通関事業での立替金が増えたためのようです。

 

2-3-6.車両運搬具(純額)が減り、リース資産(純額)が増えている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 車両運搬具(純額) 288,555 4.4% 287,167 4.4% 213,152 3.1%
 リース資産(純額) 248,285 3.8% 254,860 3.9% 325,194 4.8%
総資産合計 6,549,319   6,529,120   6,788,070  

 平成27年3月期に車両運搬具(純額)が減っていますが、それと同じくらいリース資産(純額)が増えています。どうやら、営業車両の代替えをリース資産で対応したためのようです。

 また、平成27年7月までに営業車両(433,826千円分)を取得する予定があるそうです。

 

2-3-7.投資有価証券が増えている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資有価証券 885,515 13.5% 990,416 15.2% 1,104,336 16.3%
総資産合計 6,549,319   6,529,120   6,788,070  

 投資有価証券が年々増えています。どうやら、保有している株式の時価評価が上昇したためのようです。

 

2-3-8.退職給付に係る負債が増えている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

固定負債            
 退職給付引当金 654,288 10.0% 0 0.0% 0 0.0%
 退職給付に係る負債 0 0.0% 741,559 11.4% 796,503 11.7%
総資産合計 6,549,319   6,529,120   6,788,070  

 平成26年3月期には退職給付引当金がなくなりましたが、代わりに退職給付に係る負債が平成27年3月期まで増えています。定年退職者が今後、一斉に出てくる予定なのかもしれません。

 

2-3-9.金融資産が増えている

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 1,039,922 15.9% 1,051,272 16.1% 1,218,724 18.0%
 受取手形及び売掛金 1,468,801 22.4% 1,411,481 21.6% 1,407,925 20.7%
投資その他の資産            
 投資有価証券 885,515 13.5% 990,416 15.2% 1,104,336 16.3%
金融資産合計 3,394,238 51.8% 3,453,169 52.9% 3,730,985 55.0%
総資産合計 6,549,319   6,529,120   6,788,070  

 年々金融資産が増えていますが、平成27年3月期には現金及び預金が一気に増えたことで総資産の55.0%にまであがっています。

 きっと、経営者としては儲かりすぎて笑いが止まらない状態でしょう。

 

2-3-10.気になること

 

 最後に、1つ気になることがあったのでご紹介します。

 

 

 

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 立替金 48,124 0.9% 70,806 1.3% 93,947 1.6%
 関係会社短期貸付金 146,400 2.7% 140,500 2.5% 140,000 2.4%
総資産合計 5,521,180   5,569,511   5,828,257  

 単独貸借対照表を確認すると、立替金が93,947千円、関係会社短期貸付金が140,000千円計上され、両方を合計すると総資産の4.0%を占めています。これらは本業とはほとんど関係のない資産なので、財務上は好ましいことではありません。

 仮に計上されていたとしても総資産の1%以下までなら許容範囲ですが、4.0%もあるのは問題だと感じます。

 もう1つ気がかりなのが、立替金が年々増え続け、関係会社短期貸付金がほとんど減っていないことです。相手に貸付けることが習慣化しているように感じます。

 

 

 

 

3.2016年6月に株を取得

 


 

 さて、立替金や関係会社短期貸付金に関することの懸念材料はあるものの、会社は儲かってウハウハ状態であることが想像できたため、この会社の株を買うことに決めたのです。

 

 私がこの会社の株価に注目をしたのは、2015年10月頃でした。まだそのときは高値水準であったため、株価が下がるのを待ち続けました。

 そして2016年の中旬頃、株式市場が弱気ムードになり多くの銘柄が投げ売りされました。

 運よく京極運輸商事(9073)も市場の弱気ムードで株価が大幅に下がり、2016年6月に1株平均310円で買うことができたのです。

 

 

 

 

4.2017年6月から株を売却

 


 

 2016年6月の株価購入後、一時は大きな含み損を抱えしばらくは我慢が続きました。それからしばらくして株価が上がり始め、私は2017年6月から少しずつ売り始めたのです。

 そして、2017年11月には会社の第2四半期決算短信の業績発表があり、そのタイミングで大きな買い注文が入ったため同社の株を平均603円で売却することができました。私にとっては相性のよい銘柄だと感じます。

 現在の株価は500円台ですが、同社の株が買値の300円付近まで下がったときにはまた買うつもりです。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 陸運業

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