優良企業、エーワン精密(6156)の魅力について

      2018/04/09

 日経平均がまだ9,000円台で推移していた2012年10月、当時発売された会社四季報(2012年4集 秋号)を読んでいたときに見つけたのがエーワン精密(6156)です。

 株価は1,270円、PERは9.5倍、PBRは0.55倍の割安水準で、多くの投資家から見放されていました。

 けど、会社のファンダメンタルズについて詳しく調べてみると、以前ご紹介したティーライフ(3172)に匹敵するほどの凄い会社だったのです。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 関連記事:奇跡の銘柄、ティーライフ(3712)の魅力について

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.改善傾向にある業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.平成21年6月期以降から業績は改善

 2-2.事業の内容

 2-3.事業の特徴

 2-4.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-4-1.3指標とも安定

  2-4-2.現金及び預金が増え、有価証券が減っている

  2-4-3.受取手形及び売掛金が少ない

  2-4-4.機械及び装置(純額)が増えている

  2-4-5.支払手形がない

  2-4-6.金融資産が多い

  2-4-7.桁外れの営業利益率

3.2012年11月に、株を取得

4.最近の株価とチャート

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2012年4集 秋号)から、会社のチェックポイントについて解説していきます。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事では、「自動車関連軸に国内顧客の機械稼働率上向き、主力の旋盤用コレットチェック伸びる。日系の海外生産用も活発。顧客開拓進み、再研磨など切削工具の成長続く。操業度改善効き、営業増益。連続増配。」と明るい内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 自己資本比率は93.5%という、目を疑いたくなるような高さです。

 有利子負債はなく、無借金経営が行われています。

 資本金292百万円に対し、利益剰余金は6,378百万円もあります。ここまで十分に、稼いできたことが伺えます。

 

 

 

1-3.改善傾向にある業績

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

08.6

(実績)

2,186 794 822 487 162.61
09.6

(実績)

1,483 324 345 1 0.50
10.6

(実績)

1,518 322 342 196 65.63
11.6

(実績)

1,808 492 515 301 100.64
12.6

(実績)

1,876 484 513 284 94.98
13.6

(予想)

2,150 640 650 400 133.4
14.6

(予想)

2,300 710 720 440 146.6

 2009年6月期には、リーマン・ショックの影響で売上高は大幅に減っていますが、それでもギリギリ黒字を確保しています。

 それ以降は売上高、利益ともに改善傾向にあり、2014年6月期には売上高の記録更新を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第22期(平成23年7年1日-平成24年6月30日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.平成21年6月期以降から業績は改善

 

  平成20年6月 平成21年6月 平成22年6月 平成23年6月 平成24年6月
売上高
(千円)
2,186,356 1,483,963 1,518,385 1,808,168 1,876,238
当期純利益
(千円)
487,817 1,505 196,894 301,930 284,936

 リーマンショックの影響だと考えられますが、平成21年6月期に売上高は約32%も減少しています。それでも、ギリギリ黒字を確保しています。

 主力製品であるスプレイングコレットチェックがよく使われる消耗工具であるため、比較的安定した受注が見込まれるようです。そのため、ギリギリ黒字を確保できたのかもしれません。

 

 

 

2-2.事業の内容

 

 会社の事業内容は、3つのセグメントで構成されているようです。

 

コレットチェック部門 旋盤コレットチェックとカムを扱い、量産部品加工に使用されるコレットチェックの製造、販売
切削工具部門 金属等の材料を削る工業用刃物の切削工具の再研磨による再生加工を受託
自動旋盤用カム部門 精密機器、電機、時計、事務器の部品の部品を製作する小型自動旋盤に使用されるカムの設計、製造、販売

 またリピートオーダーが多いため、切削工具部門以外では積極的な営業活動は行っていないとのことです。

 

 

 

2-3.事業の特徴

 

 入念な参入準備のもとで「高品質、短納期」を実現し、5年程度で業界の高シェアの確保を目指せることを事業方針にしているようです。

 また、業績については内閣府が発表している実質機械受注(電力・船舶を除く)にほぼ連動しているとのことです。

 

 

 

2-4.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 続いて、財務3表からこの会社の魅力をご紹介していきます。

 

2-4-1.3指標とも安定

 

 

 

H22.6.30

(回転)

H24.3.30

(回転)

H24.6.30

(回転)

売上債権回転比率 3.88 4.36 4.39
棚卸資産回転比率 7.70 9.79 9.15
買掛債務回転比率 114.05 111.59 117.71

 3期に渡り、3指標とも安定しています。うまく経営が行われているのかもしれません。

 

2-4-2.現金及び預金が増え、有価証券が減っている

 

 

 

H22.6.30

(千円)

割合

(%)

H23.6.30

(千円)

割合

(%)

H24.6.30

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 2,755,387 39.1% 3,597,488 49.0% 3,453,719 46.9%
 有価証券 506,960 7.2% 0 0.0% 0 0.0%
総資産合計 7,048,235   7,335,902   7,360,307  

 現金及び預金が増え、有価証券が減っています。

 原因を財務3表で確認すると、平成23年6月期は売却した有価証券が現金及び預金に振替えられているように思われます。また、平成24年6月期は現金及び預金が減っていますが、どうやら流動負債と固定負債の返済にあてたと思われます。

 

2-4-3.受取手形及び売掛金が少ない

 

 

 

H22.6.30

(千円)

割合

(%)

H23.6.30

(千円)

割合

(%)

H24.6.30

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 受取手形及び売掛金 391,716 5.6% 415,091 5.7% 427,357 5.8%
総資産合計 7,048,235   7,335,902   7,360,307  

 私がこれまで見てきたキャッシュリッチな会社は、資金繰りが贅沢なためか売上債権の割合が多くなる傾向にありました。

 しかしこの会社の場合、売上債権は総資産の5.8%しかありません。

 不良債権化しないためにも、早めに回収を心掛けているのかもしれません。もしくは、支払能力がある顧客だけを相手にしているのかもしれません。抜かりないですね。

 

2-4-4.機械及び装置(純額)が増えている

 

 

 

H22.6.30

(千円)

割合

(%)

H23.6.30

(千円)

割合

(%)

H24.6.30

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 機械及び装置(純額) 557,406 7.9% 528,482 7.2% 858,447 11.7%
総資産合計 7,048,235   7,335,902   7,360,307  

 平成24年6月期に、機械及び装置(純額)が大幅に増えています。

 どうやら、切削工具部門の生産性増大と能率向上のための設備投資を行ったためのようです。

 

2-4-5.支払手形がない

 

 資金繰りに余裕があるからだと思いますが、流動負債に支払手形がありません。

 企業の短期的な支払能力を表す指標に当座比率というものがありますが、この会社の場合は2,746%と桁外れの凄さを誇っています(一般的に、100%あればよいと言われています)。

 これなら、支払手形がないのもうなずけます。

 

2-4-6.金融資産が多い

 

 

 

H22.6.30

(千円)

割合

(%)

H23.6.30

(千円)

割合

(%)

H24.6.30

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 2,755,387 39.1% 3,597,488 49.0% 3,453,719 46.9%
 受取手形及び売掛金 391,716 5.6% 415,091 5.7% 427,357 5.8%
 有価証券 506,960 7.2% 0 0.0% 0 0.0%
投資その他の資産            
 投資有価証券 1,290,826 18.3% 1,328,713 18.1% 1,278,131 17.4%
金融資産合計 4,944,889 70.2% 5,341,292 72.8% 5,159,207 70.1%
総資産合計 7,048,235   7,335,902   7,360,307  

 現金及び預金等の金融資産が5,159,207千円もあり、総資産の70.1%を占めています。

 現金及び預金だけでも3,453,719千円もあますが、これは売上高の2倍に近い額です。

 自己資本比率93.5%を誇るすごさを見せつけられた気分になります。

 

2-4-7.桁外れの営業利益率

 

 

 

H22.6.30

(%)

H24.3.30

(%)

H24.6.30

(%)

営業利益率 21.2 27.3 25.8

 一般に、製造業の平均的な営業利益率は4.0%と言われています。

 しかし、この会社の営業利益率は25.8%もあります。もはや、桁外れにすごいとしかいいようがありません。

 さらに、本業以外での収益を加味して残った利益を示す経常利益率だと収益率はもっと上がります。

 この会社は加工から熱処理まで一貫して自社生産を行っています。そして、完成した製品は長時間使用しても精度を保つことができるようです。

 利益率の高さはその辺に秘密があるのかもしれません。

 

 

 

 

3.2012年11月に、株を取得

 


 

 

 私はこの会社の株を2012年11月に1株平均1,168円で取得しました。

 それから1年余り同社の株を所有し続け、だいぶ含み益も出てきたため2014年1月から2015年12月にかけて1株平均1,833円で売りました。

 

 

 

 

4.最近の株価とチャート

 


 

 この記事を書いている2018年2月になって、最近の株価と業績について調べてみることにしました。

 まず、こちらが最近の株価チャートです。

 

 私が株を売った2015年12月以降も順調に株価は上昇を続けています。しかし、2倍、3倍以上に株価は上がっていることを予想したのですが、思ったほど株価が上昇していないというのが正直な気持ちです。

 次に、最近発売された会社四季報(2018年1集 新春号)の業績はこのようになっています。

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.6

(実績)

1,920 501 503 447 160.78
16.6

(実績)

1,925 526 544 561 234.15
17.6

(実績)

1,932 560 578 394 164.51
18.6

(予想)

2,050 590 610 400 166.71
19.6

(予想)

2,170 620 640 401 170.88

 当時の会社四季報(2012年4集 秋号)では、2013年6月期には売上高2,150百万円を予想していましたが、2015年6月期から売上高は1,920百万円でほぼ一定です。

 営業利益率は相変わらず高いものの利益は伸びていなく、2018年6月期以降の業績予想も現在の水準です。

 日本経済が絶好調なので売上高、利益ともに2倍、3倍になっていると思っていたのですが、予想が外れていました。改めて、これが株式投資の難しさですね・・・。

 最近発売された会社四季報(2018年1集 新春号)だと、PER14.2倍、PBR0.75倍です。強固な財務体質と高収益の利益率を考えると、もっと×2市場から評価されてもいいと思うんですけどね・・・。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 機械

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