割安株、大崎エンジニアリング(6259)での失敗談について

      2018/04/09

 今回は、大崎エンジニアリング(6259)での失敗談に関する記事です。

 同社は薄型パネルを作る製造装置メーカーであり、会社四季報(2014年1集 新春号)が発売された当時、割安であったことや底値をうったチャートの形から注目をしていた銘柄です。

 今回は、銘柄の分析から損切りに至るまでの失敗談に関する記事です。

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 目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.記事内容

 1-2.財務内容

 1-3.改善傾向にある業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.売上高が大幅に減少

 2-2.親会社は、大崎電気工業株式会社

 2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-3-1.売上高が大幅に減少

  2-3-2.流動資産が減っている

  2-3-3.キャッシュリッチな会社

  2-3-4.たな卸資産回転比率が低い

  2-3-5.流動負債が減っている

  2-3-6.業績の赤字に伴って、営業キャッシュ・フロー利益要素も赤字

3.2013年10月から株を取得

4.その後、株価は・・・

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、当時の会社四季報(2014年1集 新春号)で注目していたポイントについて解説します。

 

 

 

1-1.記事内容

 

 業績記事では「車載センサー向けを下期拡大。2次電池・LED分野深耕も奏功。FPD用が中国向け拡大、黒字化図る。ただ、マイナンバー制導入遅れなど誤算多く、通期再赤字に。減損特損。減配。15年3月期は車載、医療用などに展開強化し浮上図る。」とようやく業績の黒字化の兆しが見えてきた内容になっていました。

 

 

 

1-2.財務内容

 

 有利子負債は0円で、自己資本比率は94.1%もあります。全く、倒産の心配が感じられません。

 現金同等物を38.7億円も持っているこの会社についた時価総額は24.6億円です。つまり、24.6億円を払えば、38.7億円を持っているこの会社を買うことができたわけです。

 

 

 

1-3.改善傾向にある業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

09.3

(実績)

9,563 2,008 2,007 1,098 212.5
10.3

(実績)

3,264 ▲518 ▲473 ▲537 ▲104
11.3

(実績)

3,801 169 184 141 27.4
12.3

(実績)

3,081 78 95 82 16.0
13.3

(実績)

1,525 ▲479 ▲467 ▲503 ▲97.5
14.3

(予想)

2,500 ▲200 ▲190 ▲420 ▲81.2
15.3

(予想)

3,000 100 120 90 17.2

 赤字と黒字を繰り返している業績になっています。そして、来期の2014年3月期までは赤字が続くものの、2015年3月期から黒字化を予想しています。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第23期(平成24年4年1日-平成25年3月31日)から詳しく見ていくことにします。

 

 

 

2-1.売上高が大幅に減少

 

  平成21年3月 平成22年3月 平成23年3月 平成24年3月 平成25年3月
売上高
(千円)
9,563,907 3,264,873 3,801,600 3,081,473 1,525,878
総資産額
(千円)
10,137,752 8,116,577 8,321,660 7,997,651 7,312,054
自己資本比率
(%)
79.9 91.0 89.2 92.2 93.3
従業員数
(人)
212 204 188 156 151

 平成21年3月期と平成25年3月期を比べると、売上高は8分の1に減っています。しかし、それに伴って総資産と従業員が減り、自己資本比率は93.3%まであがっています。

 どうやら、リストラを行ってスリム化を行ったみたいです。

 

 

 

2-2.親会社は、大崎電気工業株式会社

 

 大崎エンジニアリング(6259)の親会社は、電気機械器具製造業を行っている大崎電気工業株式会社(東証一部上場会社)です。そして、大崎電気工業株式会社が発行済株式総数の54.07%も所有していました。

 

 

 

2-3.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-3-1.売上高が大幅に減少

 

 

 

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

H25.3.31

(千円)

売上高 3,801,600 3,081,473 1,525,878

 平成25年3月期には売上高が、5割も減っています。「なぜ、こんなにも減ったのだろう・・・」と気になったため、調べてみると次のようになっていました。

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

 パナソニックプラズマディスプレイ 2,248,929 59.2% 0 0.0% 0 0.0%
 キャノン 0 0.0% 1,084,202 35.2% 517,590 33.9%
 KISCO 0 0.0% 439,722 14.3% 286,830 18.8%
 ナイチック・プレンジョン・アンド・テクノロジーズ 0 0.0% 402,750 13.1% 0 0.0%
 その他 1,552,671 40.8% 1,154,799 37.5% 721,458 47.3%
売上高合計 3,801,600   3,081,473   1,525,878  

 平成24年3月期はパナソニックプラズマディスプレイへ販売が一切なくなってしまいましたが、新たにキャノン、KISCO、ナイチック・プレンジョン・アンド・テクノロジイーズへの販売がありました。

 しかし、平成25年3月期になると、ナイチック・プレンジョン・アンド・テクノロジイーズへの販売もなくなり、キャノン、KISCO、その他への販売も大幅に減っています。

 

2-3-2.流動資産が減っている

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産合計 6,216,872 74.7% 5,967,115 74.6% 5,336,217 73.0%
総資産合計 8,321,654   7,997,645   7,312,050  

 流動資産が大幅に減っています。

 平成24年3月期は支払手形や買掛金の支払いのために流動資産が減り、平成25年3月期は売上高の減少によって流動資産が減っていました。

 

2-3-3.キャッシュリッチな会社

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 3,302,399 39.7% 3,623,238 45.3% 3,870,795 52.9%
総資産合計 8,321,654   7,997,645   7,312,050  

 現金及び預金が3,870,795千円もあり、総資産の52.9%も占めています。これは、売上高の2倍以上にも匹敵する額であり、会社の負債総額491,844千円の7倍以上もあります。

 当座比率は100%あればよいといわれていますが、この会社の場合は1144%もありました。

 倒産の心配は一切なさそうです。

 

2-3-4.たな卸資産回転比率が低い

 

 

 

H23.3.31

(回転)

H24.3.31

(回転)

H25.3.31

(回転)

たな卸資産回転比率 5.80 8.06 2.53

 たな卸資産回転比率が2.53回転にまで急激に低下しています。原因を調べてみると・・・

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

売上高 3,801,600   3,081,473   1,525,878  
流動資産            
 たな卸資産 654,819 7.9% 381,908 4.8% 602,081 8.2%
総資産合計 8,321,654   7,997,645   7,312,050  

 売上高は半分も減っているのに、たな卸資産は増えていました。

 最初は不良在庫を抱えた可能性が高いと思っていましたが、有価証券報告書第23期(平成24年4年1日-平成25年3月31日)を詳しく調べてみると、このように記載されていました。

 「当社グループの事業はカスタマイズ製品の受注生産であり、設計・製造から据付調整までの期間は平均的に4~5か月でありますが、これを大きく超える場合もあります。したがって、仕掛品残高の納期・生産スケジュールによって大きく増減します。」

 なるほど。たな卸資産が増えたのは、仕入先への納期がズレたことが原因かもしれません。

 

2-3-5.流動負債が減っている

 

 

 

H23.3.31

(千円)

割合

(%)

H24.3.31

(千円)

割合

(%)

H25.3.31

(千円)

割合

(%)

流動負債合計 785,642 9.4% 517,618 6.5% 409,352 5.6%
総資産合計 8,321,654   7,997,645   7,312,050  

 流動負債が大幅に減っています。

 平成24年3月期は主に支払手形及び買掛金の支払いで減り、平成25年3月期も主に支払手形及び買掛金の支払いで減っていました。

 

2-3-6.業績の赤字に伴って、営業キャッシュ・フロー利益要素も赤字

 

 平成25年3月期の営業キャッシュ・フローは黒字でしたが、当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素を見てみると・・・

 

 

 

H23.3.31

(千円)

H24.3.31

(千円)

H25.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 436,383 211,054 ▲495,127
当期純利益 141,832 82,615 ▲503,863
差額 294,551 128,439 8,736

 と、業績の赤字に伴って営業キャッシュ・フロー利益要素も赤字になっています。

 ちなみに、平成25年3月期の営業キャッシュ・フローが黒字であったのは、営業キャッシュ・フロー運転資本要素が営業キャッシュ・フロー利益要素を上回ったためでした。

 (営業キャッシュ・フロー = 営業キャッシュ・フロー利益要素 + 営業キャッシュ・フロー運転資本要素)

 

 

 

 

3.2013年10月から株を取得

 


 

 5期に渡る売上高の大幅な減少で不安要素はあったものの、現金及び預金の多さと自己資本比率の高さから倒産はないと考えていました。何よりも、割安であったためこの会社の株がほしくてたまりません。

 結局、2013年10月から2013年12月までにかけ、1株平均482円で取得しました。

 

 しかし、2014年1月に会社は業績の下方修正を行いました。売上高2,500百万円の予想を1,295百万円に下方修正を行い、当期純損失360百万円の予想は、当期純損失715百万円にまで下方修正されたのです。

 「やっぱり、ダメだったのか・・・」と思い、2014年2月に1株平均476円で損切りをしたのです。

 

 

 

 

4.その後、株価は・・・

 


 

 実は、最近になって会社の株価を調べてみました。すると、2016年7月に親会社の大崎電気工業株式会社へ株式を売却する発表を行っていました。この発表によって、1株798円にまで急騰をしたのです。

 2014年2月に株を売却せず、保有し続けていれば儲けることができたかもしれません。しかし、有価証券報告書から会社を分析した段階で問題が見つかり、自信が持てなかった段階で投資は見送るべきでした。

 同時に、投資には確固たる信念が必要だということを改めて学んだ出来事でもありました。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

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