特需株、船井電機(6839)について分析をしてみる

      2018/04/10

 会社四季報業界地図(2018年版)を読んでいたとき、1つの会社に注目をしました。それは、船井電機(6839)です。

 同社は電気機械器具の製造販売を行っており、本誌では「米国の低価格テレビ市場を主戦場としてきたが、近年販売不振が続いた。日本ではヤマダ電機と専売契約を結び、「FUNAI」ブランドの4Kテレビ拡販で巻き返しを図る」と紹介されていました。今後、特需株として注目を浴びそうな気がします。

 そこで今回は、船井電機(6839)について分析をしたいと思います。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.4K・8Kテレビは、総務省の主導で普及活動が行われている

2.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 2-1.暗い記事

 2-2.財務内容

 2-3.赤字だらけの業績

3.有価証券報告書から詳しく見ていく

 3-1.売上高の減少に伴い、総資産額も減少

 3-2.売上高のほとんどは、米州によるもの

 3-3.会社は4Kテレビに力を注いでいる

 3-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  3-4-1.キャッシュリッチな会社

  3-4-2.流動資産が減少している

  3-4-3.流動負債が減少している

  3-4-4.当期純利益も、営業キャッシュ・フロー利益要素も赤字

  3-4-5.多額の長期貸付金

4.投資は見送る

 

 

 

 

1.4K・8Kテレビは、総務省の主導で普及活動が行われている

 


 

 総務省の4K・8Kロードマップによれば、2014年から4Kテレビの試験が開始され、2020年の東京オリンピックが開催される頃には4K・8Kテレビが普及する構想を計画しているようです。

 また、テレビの買い替えは10年前後であり、2017年頃から需要期に入るため2020年頃までには4K・8Kが広く普及している可能性が高いと考えられます。

 

 

 

 

2.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 では、会社四季報(2018年1集 新春号)で大まかに見ていきたいと思います。

 

 

 

2-1.暗い記事

 

 業績記事では「柱の液晶テレビは国内が限定品等好調。ただ北米が価格競争激化で想定超え大苦戦。液晶パネル等高止まり打撃、7期連続営業赤字に。工場減損特損100億円。19年3月期も北米液晶テレビ上向かず。」と、悲観的な内容になっています。

 

 

 

2-2.財務内容

 

 自己資本比率は55.9%と、安全性に問題はなさそうです。

 しかし、2年連続で営業キャッシュ・フローが赤字です。これは、本業でカネを稼げていないということであり、人間で例えると血液不足に陥っている状態です。つまり、手持ちのカネがこのまま出ていくと、倒産してしまう可能性があります。

 時価総額307億円に対し、現金同等物は389億円もあります。

 

 

 

2-3.赤字だらけの業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

14.3

(実績)

233,802 ▲6,071 ▲2,908 ▲7,400 ▲216.9
15.3

(実績)

216,553 ▲659 600 31 0.9
16.3

(実績)

170,041 ▲10,539 ▲13,653 ▲33,839 ▲991.8
17.3

(実績)

133,838 ▲6,775 ▲7,726 ▲6,745 ▲197.7
18.3

(予想)

140,000 ▲8,400 ▲8,000 ▲17,400 ▲510.0
19.3

(予想)

146,000 ▲8,000 ▲7,600 ▲7,000 ▲205.2

 売上高も減少傾向で、営業利益の段階から赤字業績です。2018年3月決算以降も赤字予想で、絶望的としか言えません。

 

 

 

 

3.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 続いて、有価証券報告書第65期(平成28年4年1日-平成29年3月310日)から詳しく見ていきます。

 

 

 

3-1.売上高の減少に伴い、総資産額も減少

 

  平成25年3月 平成26年3月 平成27年3月 平成28年3月 平成29年3月
売上高
(百万円)
191,082 233,802 216,553 170,041 133,838
総資産額
(百万円)
194,207 180,729 188,902 154,191 108,685
自己資本比率
(%)
60.74 62.84 64.59 54.04 70.39
従業員数
(人)
4,776 5,112 3,604 3,318 2,826

 売上高の減少に伴い、総資産額も減少しています。また、従業員数も減少しています。それによって、自己資本比率は上がっています。

 どうやら、リストラを行って会社のスリム化を目指しているようです。

 

 

 

3-2.売上高のほとんどは、米州によるもの

 

  売上高 比率(%)
日本(百万円) 31,200 23.3
米州(百万円) 101,751 76.0
アジア(百万円) 274 0.20
欧州(百万円) 612 0.45
売上高合計(百万円) 133,838 100

 売上高の構成比を見てみると、米州で76.0%も占め、日本は23.3%ほどです。

 

 

 

3-3.会社は4Kテレビに力を注いでいる

 

 4Kテレビで必要とする新しい分野は、船井電機(6839)が持つ技術をいかんなく発揮できるようです。そのため、これまでに培った技術を活かし、独自の製品作りに取り組んでいるみたいです。

 

 

 

3-4.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

3-4-1.キャッシュリッチな会社

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 66,820 35.2% 57,609 37.4% 40,136 36.9%
 受取手形・売掛金 38,183 20.1% 24,092 15.6% 15,571 14.3%
投資その他の資産            
 投資有価証券 2,814 1.5% 2,418 1.6% 1,425 1.3%
金融資産合計 107,817 56.8% 84,119 54.6% 57,132 52.6%
総資産合計 189,684   154,183   108,676  

 金融資産が57,132百万円もあり、総資産の52.5%も占めるキャッシュリッチな会社です。負債総額は32,024百万円なので、まだ倒産の心配はなさそうです。

 

3-4-2.流動資産が減少している

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動資産 154,772 81.6% 123,212 79.9% 85,501 78.7%
総資産合計 189,684   154,183   108,676  

 流動資産が大幅に減っています。どうやら、裁判で損害賠償を支払ったために現金及び預金が減少したことが主な原因のようです。

 それ以外にも、売上高の減少で受取手形及び売掛金と、棚卸資産が減少したことも流動資産が減った理由のようです。

 

3-4-3.流動負債が減少している

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

流動負債 51,375 27.1% 59,819 38.8% 29,572 27.2%
総資産合計 189,684   154,183   108,676  

 流動負債も大幅に減少しています。どうやら、裁判での損害賠償を支払ったことにより、未払金が減少したことが主な原因のようです。

 

3-4-4.当期純利益も、営業キャッシュ・フロー利益要素も赤字

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

H28.3.31

(百万円)

H29.3.31

(百万円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 7,446 ▲6,292 ▲29,779
当期純利益 31 ▲33,839 ▲6,745
差額 7,415 27,547 ▲23,034

 当期純利益も、営業キャッシュ・フロー利益要素も赤字になっています。このまま赤字が続けば、贅沢な資金もいずれ枯渇してしまい、倒産になる恐れがあります。

 

3-4-5.多額の長期貸付金

 

 

 

H27.3.31

(百万円)

割合

(%)

H28.3.31

(百万円)

割合

(%)

H29.3.31

(百万円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 長期貸付金 16,417 13.6% 13,632 11.7% 21,014 22.8%
 貸倒引当金 ▲14,177 ▲11.7% ▲11,904 ▲10.2% ▲11,803 ▲12.8%
総資産合計 120,763   116,239   91,994  

 単独貸借対照表も確認を行いましたが、親会社の船井電機(6839)には、21,014百万円の長期貸付金がありました。総資産額91,994百万円に対して22.8%も占めるため、非常に多額です。

 また、不良債権化したときのために貸倒引当金を計上しているようですが、不足気味のような気がします。

 貸付先は不明でしたが、子会社か関連会社に対する貸付ではないかと思います。

 以前紹介した伏木海陸運送(9361)も同じように多額の長期貸付金がありました。しかし、貸付先と貸付先の経営状況について説明があったものです。そのことに比べると、船井電機(6839)は投資家に事実を隠したいようにしか見えません。

 関連記事:割安株、伏木海陸運送(9361)について分析をしてみる

 

 

 

 

4.投資は見送る

 


 

 以上、会社のことについて分析をしてきました。

 総合的に判断すると、メリットよりもデメリットの方が大きいため、私は投資を見送ることにします。

 また、日本での販売実績が少ないことから、「米州で販売実績があるからといって、日本でも成功するのだろうか?」という、素朴な疑問も投資を見送る理由の1つです。

 

最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 電気機器

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。