割安株、伏木海陸運送(9361)について分析をしてみる

      2018/04/10

 株式市場には、何千という会社が上場しています。その中には、業績に明るい兆しいが見えて割安であるにもかかわらず、地味であるために投資家に見向きもされない会社もあるものです。

 今回は、そんな株についてご紹介します。

 財務データをダウンロードする(Excel形式)

 

 

目 次

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.明るい記事

 1-2.財務内容について

 1-3.好調な業績

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 2-1.事業の内容

 2-2.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

  2-2-1.現金及び預金が増えている

  2-2-2.有形固定資産が増えている

  2-2-3.投資有価証券が増えている

  2-2-4.有利子負債合計は、ほぼ一定

  2-2-5.現金の裏付けがある利益をしっかり確保

 2-3.不動産事業が伸びている

 2-4.大きな問題もある

3.チャートから買いのタイミングを計る

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 今回紹介する会社は、伏木海陸運送(9361)という富山県で紙製品やコンテナの港湾作業を中心に行っている会社です。

 では、会社四季報(2018年1集 新春号)で会社を大まかにチェックしていきます。

 

 

 

1-1.明るい記事

 

 会社四季報(2018年1集 新春号)の業績記事には、「海上コンテナやロシア向け自動車等の取り扱いが想定以上に好伸。前期買収の大洋住宅も通年寄与。自動車シートの製造子会社も底打つ。駐車場修繕費やトラック燃料高こなし、前号比で営業益増額。」と明るい内容になっています。

 また、材料記事には「射水市で開始した飼料米集出荷業の新倉庫に一部入荷始まる。18年から本格化へ。伏木港に入港するクルーズ船の訪日客には金沢などの北陸ツアー企画拡販。」と、業績拡大に向けての布石をうっている内容になっています。

 

 

 

1-2.財務内容について

 

 自己資本比率は38.1%と、安全性に問題はなさそうです。

 有利子負債は7,791百万円で総資産の35.6%を占めていました。

 資本金1,850百万円に対し、利益剰余金は4,705百万円です。設立が1944年3月であることを考えれば、そこまで内部留保を蓄えていないという印象をうけます。

 

 

 

1-3.好調な業績

 

 次に、業績を見てみると・・・

 

  売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

15.6

(実績)

14,090 646 583 323 125.5
16.6

(実績)

13,192 564 118 42 16.5
17.6

(実績)

13,419 769 688 366 142.0
18.6

(予想)

14,100 730 660 360 139.4
19.6

(予想)

14,500 750 680 370 143.2

 このようになっていました。

 過去10年分の業績も確認しましたが、毎年黒字を確保している優良企業です。また、2018年6月決算以降も売上高は拡大傾向にあるようです。

 

 

 

 

2.有価証券報告書から詳しく見ていく

 


 

 ここまで会社四季報(2018年1集 新春号)を活用して、大まかに見てきました。続いて、有価証券報告書第100期(平成28年7月1日-平成29年6月30日)から詳しく見ていきます。

 

 

 

2-1.事業の内容

 

 この会社は、親会社である伏木海陸運送(9361)を含め、11社の子会社と6社の関連会社で構成されているようです。そして「港湾事業」「不動産事業」「繊維製品製造事業」の3セグメントで事業を行っているようです。

 また、不動産業を行っている大洋住宅を買収して子会社にしています。

 

 

 

2-2.連結財務3表(連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書)を分析してみる

 

 次に、私が連結財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-2-1.現金及び預金が増えている

 

 

 

H27.6.30

(千円)

割合

(%)

H28.6.30

(千円)

割合

(%)

H29.6.30

(千円)

割合

(%)

流動資産            
 現金及び預金 1,842,101 8.4% 1,894,198 8.8% 2,184,461 9.9%
総資産合計 21,855,304   21,528,202   22,132,813  

 平成29年6月期に現金及び預金が増えています。その主な理由は、大洋住宅を連結子会社にしたことで増加したようです。

 

2-2-2.有形固定資産が増えている

 

 

 

H27.6.30

(千円)

割合

(%)

H28.6.30

(千円)

割合

(%)

H29.6.30

(千円)

割合

(%)

有形固定資産            
 建物及び構築物(純額) 2,814,663 12.9% 2,997,356 13.9% 3,130,639 14.1%
 機械装置及び運搬具(純額) 1,108,216 5.1% 1,056,791 4.9% 1,277,911 5.8%
 土地 8,744,028 40.0% 8,776,980 40.8% 8,936,910 40.4%
 建物仮勘定 13,123 0.1% 298,046 1.4% 3,349 0.0%
 その他 157,277 0.7% 130,614 0.6% 100,993 0.5%
有形固定資産合計 12,837,307 58.7% 13,259,787 61.6% 13,449,802 60.8%
総資産合計 21,855,304   21,528,202   22,132,813  

 平成29年6月期には有形固定資産が増え、総資産の60.8%を占めるようになっています。では、その内訳について見ていきましょう。

 建物及び構築物の主な増額分は、ソラエ高岡の投資を行ったためのようです。

 機械装置及び運搬具の主な増額分は、港湾事業で使用する原料加工設備とハイブリッドトランスフォークレーンの投資を行ったためのようです。新たに飼料米集出荷業に参入したと会社四季報(2018年1集 新春号)に記載されていましたが、そのための設備投資だと考えられます。

 土地の増額は見られませんが、主要な設備の状況で確認をすると半分以上が親会社の港湾事業で活用している土地のようです。

 建物仮勘定の主な減少分は、ソラエ高岡が完成したため、建物の勘定に振替えられたためのようです。

 

2-2-3.投資有価証券が増えている

 

 

 

H27.6.30

(千円)

割合

(%)

H28.6.30

(千円)

割合

(%)

H29.6.30

(千円)

割合

(%)

投資その他の資産            
 投資有価証券 2,566,274 11.7% 2,163,631 10.1% 2,478,114 11.2%
総資産合計 21,855,304   21,528,202   22,132,813  

 平成29年6月期には投資有価証券が増えています。どうやら、投資有価証券の株価が上昇をしたため、その分が増えたようです。

 

2-2-4.有利子負債合計は、ほぼ一定

 

 

 

H27.6.30

(千円)

割合

(%)

H28.6.30

(千円)

割合

(%)

H29.6.30

(千円)

割合

(%)

流動負債            
 短期借入金 820,500 3.8% 823,000 3.8% 968,000 4.4%
 1年内返済予定の長期借入金 2,248,368 10.3% 2,380,910 11.1% 2,310,392 10.4%
 1年内償還予定の社債 375,000 1.7% 55,000 0.3% 125,000 0.6%
固定負債            
 社債 192,500 0.9% 537,500 2.5% 412,500 1.9%
 長期借入金 4,316,919 19.8% 4,602,737 21.4% 4,186,332 18.9%
有利子負債合計 7,953,287 36.4% 8,399,147 39.0% 8,002,224 36.2%
総資産合計 21,855,304   21,528,202   22,132,813  

 流動負債と固定負債の各有利子負債は増減していますが、有利子負債合計は8,000,000千円でほぼ一定になっています。どうやらこの会社は、この金額内でうまい具合に経営をやりくりしているのではないかと推測します。

 

2-2-5.現金の裏付けがある利益をしっかり確保

 

 当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素の差額について見てみると・・・

 

 

 

H27.6.30

(千円)

H28.6.30

(千円)

H29.6.30

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 1,522,411 865,639 1,427,557
当期純利益 323,772 42,458 366,884
差額 1,198,639 823,181 1,060,673

 と、しっかりキャッシュの裏付けがある黒字を確保していることが確認できました。

 

 

 

2-3.不動産事業が伸びている

 

 会社のセグメント別売上高と利益について見てみると・・・

 

  H27.6.30

(千円)

売上高割合

利益率

H28.6.30

(千円)

売上高割合

利益率

H29.6.30

(千円)

売上高割合

利益率

港湾事業            
 売上高 9,260,167 63.1% 8,748,092 66.0% 8,954,246 66.5%
 利益 671,801 7.3% 704,519 8.1% 857,034 9.6%
不動産事業            
 売上高 416,362 2.8% 480,546 3.6% 521,395 3.9%
 利益 200,296 48.1% 250,618 52.2% 251,889 48.3%
繊維製品製造事業            
 売上高 3,094,399 21.1% 2,628,395 19.8% 2,547,460 18.9%
 利益 38,332 1.2% 5,715 0.2% 47,244 1.9%
その他事業            
 売上高 1,900,305 13.0% 1,393,018 10.5% 1,437,501 10.7%
 利益 82,537 4.3% 34,908 2.5% 54,275 3.8%
売上高合計 14,671,233   13,250,051   13,460,602  
利益率合計 992,966 6.8% 995,760 7.5% 1,210,442 9.0%

 港湾事業の売上高がダントツです。

 しかし、利益率では不動産事業がダントツです。また、売上高も伸びてきています。大洋住宅を買収したのは、今後、不動産事業に力を入れるためなのかもしれません。

 

 

 

2-4.大きな問題もある

 

 さて、ここまで有価証券報告書を読んできましたが、ここで1つ大きな問題を抱えていました。

 関係会社にゴルフ場経営や観光施設経営を行っている氷見観光開発株式会社があります。

 この関係会社の再建支援のために2,273,600千円を貸し付けているのです。単独貸借対照表で確認を行いましたが、総資産の19.7%も占めていました。

 一応、不良債権化したときのために貸倒引当金を▲1,956、281千円計上していました。それに加え、担保としてゴルフ場の土地と建物の抵当権を設定しているようです。

 また、ゴルフ場関係の業績は安定的に推移しているようなので、氷見観光開発株式会社が今のところ倒産になる可能性は低いと考えています。

 不良債権化したときのための手を打っているようですが、投資家にとっては頭が痛くなるタネです。

 

 

 

 

3.チャートから買いのタイミングを計る

 


 

 最近のチャートはこのようになっています。

 

 2016年7月の安値1,115円から少し株価があがったあと、ほとんど横ばい状態です。

 会社四季報(2018年1集 新春号)が発売された時点の株価は1,359円でした。そのときのPERは9.7倍、PBRは0.42倍と割安に放置されたままです。

 ここ1年間の間で下値が固まっているようなので、1,350円まで下がるのを待ちたいと思います。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 倉庫・運輸関連業, 業種別

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