お宝銘柄、東京鋼鐵(5448)の物語について

      2018/04/10

 それは2015年6月の頃です。当時発売された会社四季報(2015年3集 夏号)を早速購入し、血眼になって良い会社を探していたときに1つの銘柄が目にとまりました。それが、東京鋼鐵(5448)です。

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目 次

 

 1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 1-1.会社の特色、記事内容

 1-2.過去の業績内容

 1-3.強固な財務体質

2.有価証券報告書で会社を詳しくチェック

 2-1.大株主が凄い

 2-2.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)から儲かっていることを実感

  2-2-1.金融資産が増えている

  2-2-2.各回転比率が安定している

  2-2-3.当期純利益よりも、営業キャッシュ・フロー利益要素が多い

3.2015年7月に株を取得

4.最後は、TOBで儲ける

 

 

 

 

1.会社四季報で、会社を大まかにチェック

 


 

 会社四季報(2015年3集 夏号)を活用し、気になったポイントについて解説します。

 

 

 

1-1.会社の特色、記事内容

 

 同社は関東地盤の電炉中堅で、中小型山形鋼で3位を誇る三井物産系の鉄鋼会社です。

 会社四季報の記事には「主力の山形鋼は建設、自動車部在の動きが鈍く数量微増程度。原料スクラップ価格は前期並み想定でも半製品ビレット輸出が安価な中国製との競争激化と市状軟化で減速。夏場の設備更新による工場休止期間も従来より延び、利益後退。減配。」と、悲観的な内容になっていました。

 

 

 

1-2.過去の業績内容

 

 記事内容は悲観的になっているものの、業績を見てみると・・・

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

利益

(百万円)

1株益

(円)

11.3

(実績)

14,952 1,355 1,421 783 45.0
12.3

(実績)

16,256 1,460 1,569 890 51.1
13.3

(実績)

15,385 1,290 1,346 825 47.4
14.3

(実績)

15,793 899 957 575 33.0
15.3

(実績)

16,908 1,585 1,639 1,058 60.8
16.3

(予想)

15,000 1,150 1,200 800 45.9
17.3

(予想)

15,800 1,300 1,350 900 51.7

 と、2016年3月決算予想と2017年3月決算予想は決して悪いわけではありません。むしろ毎年黒字を出している素晴らしい会社です。

 

 

 

1-3.強固な財務体質

 

 特に私がこの会社に興味をひいたのは、強固な財務体質だからでした。本来であれば多くの設備投資を必要とする鉄鋼会社ですから、銀行からの借入が多額になり自己資本比率が低くても不思議ではありません。しかし、この会社の自己資本比率は78.1%もあったのです。

 「一体、いつからここまで高くなっていたのだろう・・!?」と疑問に思い、2007年3月決算時点の自己資本比率を確認しました。すると、この時点では54.7%だったのです。

 つまり、この8年余りで自己資本比率が23.4%も上がっていたのです。「オイ! マジかよ!!」と、驚愕したことを今でも覚えています。

 そして、総資産20,345百万円に対し、有利子負債は531百万。総資産に占める有利子負債の割合は、たったの2.6%程度だけしかなかったのです。

 

 

 
 

2.有価証券報告書で会社を詳しくチェック

 


 

 会社四季報で大まかに会社をチェックしたあとは、有価証券報告書で詳しく会社をチェックします。早速、第58期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)有価証券報告書で確認してみました。

 

 
 

2-1.大株主が凄い

 

 大株主の状況を見てみると・・・

 

氏名又は名称 所有株式数
(千株)
発行済株式

総数に対する

所有株数

の割合(%)

三井物産株式会社 5,092 29.19
阪和工業株式会社 4,611 26.43
ビービーエイチ フォー フィビイリティ ロー プライストック ファンド 1,369 7.85
朝日工業株式会社 870 4.99
モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 631 3.62
日鉄住金物産株式会社 550 3.15
清水眞一郎 500 2.87

 と、三井物産株式会社と阪和工業株式会社の2社だけで発行済株式総数に対する所有株式の割合は約57%も占めていたのです。

 

 

 

2-2.財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)から儲かっていることを実感

 

 次に、私が財務3表を分析して気になったポイントについて触れていきます。

 

2-2-1.金融資産が増えている

 

 儲かっている実感を貸借対照表から感じ取ったときに私はものすごく興奮をしました。

 この会社の金融資産には「現金及び預金」「受取手形・売掛金」「預け金」があります。その合計額について見てみると・・

 

  H25.3.31

(千円)

割合

(%)

H26.3.31

(千円)

割合

(%)

H27.3.31

(千円)

割合(%)
流動資産            
 現金及び預金 148,225 0.8% 133,922 0.7% 88,854 0.4%
 受取手形・売掛金 3,370,878 18.0% 3,659,081 19.6% 3,208,369 15.8%
 預け金 3,460,000 18.5% 3,170,000 17.0% 5,206,000 25.6%
金融資産合計 6,979,103 37.3% 6,963,003 37.3% 8,503,223 41.8%
総資産合計 18,708,740   18,647,983   20,345,868  

 金融資産は右肩上がりで増えています。しかも、総資産に対して金融資産の占める割合は41.8%と、この会社がキャッシュリッチであることもわかりました。

 さらに、金融資産合計と負債合計の差額についても見ると・・・

 

 

 

H25.3.31

(千円)

H26.3.31

(千円)

H27.3.31

(千円)

金融資産合計 6,979,103 6,963,003 8,503,223
負債合計 4,224,086 3,762,251 4,451,638
差額 2,755,017 3,200,752 4,051,585

 負債合計よりも、金融資産合計が多い。しかも、それが毎年、負債合計よりも増えている。私は、その凄さに脱帽したものです。

 

2-2-2.各回転比率が安定している

 

 各回転比率の推移について見てみると・・・

 

 

 

H25.3.31

(回転)

H26.3.31

(回転)

H27.3.31

(回転)

売上債権回転比率 4.56 4.32 5.27
棚卸資産回転比率 10.34 9.02 10.49
買掛債務回転比率 13.29 20.06 19.85

 と、各事業年度で多少の増減はあるものの、ほとんど安定しています。

 

2-2-3.当期純利益よりも、営業キャッシュ・フロー利益要素が多い

 

 当期純利益と営業キャッシュ・フロー利益要素の差額について見てみると・・・

 

 

 

H25.3.31

(千円)

H26.3.31

(千円)

H27.3.31

(千円)

営業キャッシュ・フロー利益要素 1,440,239 1,201,375 2,189,822
当期純利益 825,705 575,259 1,058,596
差額 614,534 626,116 1,131,226

と、しっかりキャッシュの裏付けがあることもわかりました。

 

 この時点で私はものすごいお宝銘柄を発見しました。しかし、残念なことが1つありました。それは、固定資産の償却方法が定額法であるということです。

 一般的に、固定資産の償却方法は定額法よりも定率法が早く費用計上ができるため、節税に効果があるとされています。そのため、この会社が定額法を採用していることについては残念に思いました。

 しかし、これだけ魅力的な会社の株がPBR8.9倍、PER0.45倍と信じられない安値で売られていたのです。既に私の頭では「買い」の2文字だけしかありませんでした。

 

 

 

 

3.2015年7月に株を取得

 


 

 早速、チャートを見ながら買い値を決めることにしました。それが、2015年7月のときです。そして、そのときのチャートがこれです。

 

 チャートを確認すると、ここ2年余りで358円の安値をつけていることを確認しました。そのため365円で買うことを検討したのです。

 しかし、既にこの会社が欲しくたまりません。「株価がこのまま下がらず、上がり続けたらどうしよう・・・」 そのような考えが私の頭をよぎりました。

 結局、私は株価が下がるのを待てず、2015年7月に1株平均407円で購入してしまったのです。

 

 その後、会社は業績予想を上方修正しました。通期個別業績予想の変化はないものの、平成28年3月期第2四半期(累計)個別業績予想数値を営業利益は31.6%の増額、経常利益は33.3%の増額、四半期当期純利益は37.5%の増額です。

 これに反応し、一時株価も478円まで急騰しました。が・・・・、その後株価はなぜか下がり続け、2015年8月には350円の水準まで暴落したのです。そのとき私は「何で上方修正したのに株価は暴落するんだよ!! (ノ`△´)ノ」と、大きいな含み損を抱え、ものすごくイライラしました。

 ついには「もう、株価なんて見ない!!」と開き直り、株価にはしばらく目を瞑っていました。

 

 

 

 

4.最後は、TOBで儲ける

 


 

 2015年10月頃、「そういえば、会社の株価はどうなったんだろう?」と、ふと思い出し、チェックしてみました。それが、下のチャートです。

 

 何と、株価が暴騰していたのです。

 「一体、何があったんだ!! ( ゚Д゚)」と、驚きながら決算プロで情報を確認してみました。すると、大阪製鐵株式会社により1株630円のTOBが発表されていたのです。

 おかげで私は、東京鋼鐵(5448)で儲けることができました。

 しかし、同時に反省点もあります。2015年8月に株価が暴落して350円で売られていたときに買い増しをするべきだったのです。少なくとも値下がりしたとき、冷静になって買い増しを検討するべきだったのです。

 しかし、値下がりをして大きな含み損を抱えたこの株に対し、感情的になって嫌気がさしてしまったのです。

 自分の反省点についてまとめると、1つ目は株の値下がりを待てずに買ってしまったという点、2つ目は株価が値下がりをして悲観的になり、冷静な判断ができなかったことです。このとき、自分の感情をコントロールする難しさを経験しました。

 

 最後に、株式投資は自己責任でお願いします。

 

 

 

 

 - 業種別, 鉄鋼

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